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予期せぬデート

胡桃沢がゼミの男とデートする事に。

果たして付き合うのか。

「卒論もあと少し頑張ろう!乾杯!」


ゼミ長が音頭を取る。

「かんぱ〜い」


各々近くに人とグラスをぶつけた後、ゴクッとお酒を飲む。各々教授の元に乾杯をしに来て少し会話して席に戻っていく。


私のゼミの4年生は9人で教授と合わせて10人

4人卓がパリピ、6人卓が普通の構成だ。

私は普通卓の端っこを選択。

パリピ寄りの人はゼミ飲みにも関わらず、飲む気満々だ。

団体席で仕切られている区画の為だから、

ある程度騒いでも問題ないだろう。教授も慣れているので度を超えなければ見逃してくれている。


普通チームの真ん中に教授がおり、みんなに色々と近況などを聞いている。今は就活が話題の中心だ。

英文科ということもあり文系だが就職先は出版や教育などが大半を占める。

11月という事で一通りみんな就活は終えているようであった。私はというと、実はまだ企業の事をみんなに話しておらず、不動産系の会社に勤める事になって、宅建を取るように言われたので勉強していた、という事にしている

。嘘ではないよね?しばらくすると


パリピ側の席からええっーという歓声が聞こえた。始まったか?チラッとみたら、パリピ席から陽の民、チャラ男秋本が近づいてきた。


「ちょっと胡桃沢こっちの席来て!」

「え、何、こわいんだけど!」

「まあまあ」


何やら嫌な予感がしたが、呼ばれているようなので自分の酒を持ってついていった。パリピとも喋れるけど本質的のはちょっとノリが違う。気楽なのは普通席の方なんだけどな。


秋本が丸椅子を使って誕生日席に無理やり座ったため、5名いる。ぎゅうぎゅうの状態である。


「で、開始早々呼び出してどうしたのさ」


陽の民②美香が答える。

美香はギャルだ。良い子だけど青学でも陽の部類に入る。就活終わったのか即金髪に戻している。

「私達4年生じゃん?もうそろそろ大学も終わりじゃんね」

「まあそうだね」

「雛はなんか大学生活で悔いとかある?」


「急にざっくりした質問だなぁ。むずいなそれ」

陽の民③の真奈が乗っかる。

真奈はコミュ力お化けで、どんな人でも仲良くできる超良い子。

「えー雛本当に?とぼけないでよ」

「何が!?」

「雛さ、ずっと彼氏いないよね?」

ゲッ、この手の話か。あまり巻き込まれたくない!

「まあいないけど」

「やっぱまだいないんだー!だってさ工藤!」

すると陽の民④工藤くんが振り絞るように言う。


工藤くんはパリピ組だけど総合商社に内定している。華やかな容姿から一部のゼミ生は彼を狙っていた。ただ長く付き合っている彼女がいたはずだが。

「あのさ、胡桃沢俺とデートしてよ」

「え?私と?何?別れたの?」

チャラ男秋本が解説する

「なんかさーこいつの彼女2年も付き合ってたのに、商社が海外転勤あるとかそんな理由で振ってきてんだってさ。ひどいよな?」


海外転勤は環境も生活も変わる。確かに商社の海外転勤はお金はがっぽりだろうが、嫌な気持ちわかる。彼女が悪い訳じゃないけど折り合いがつかない要因にはなるだろうな。


「まあ海外暮らしって想像できないからね。嫌な人は嫌なんじゃないかな。でも工藤くん総合商社だよね?凄いね」


秋本が脈アリじゃぁん!と言ってる。


「胡桃沢そんなに話した事ないけど、前々から実は気になってて…一回遊びいくだけ行ってくれないか?全力出すからさ」


秋本が叫んでる。元気だなこいつ。

美香が追い打ちをかける。


「雛さ、こんな可愛いのにずっと彼氏もいなくてさ、工藤にチャンスだけでもあげたら?デートだけ試しにさ」


「別に工藤が嫌なわけじゃないよ。でも私彼氏とかつくる気分じゃないから、わざわざデートしてもらうのも申し訳ないんだけど」


「まあまあ…じゃあいつにする?」

美香が仕切る。


「もう〜人の話聞いてよ」


「本当に嫌だったらいいからね。でも俺はいつでも空いてるから。例えば今週土曜とか良かったらどう。」

工藤は言う。


「うおおおおおおおおお!」

秋本が一気飲みしてる。無視。


「うーん…まあじゃあ一回だけだよ?本当に遊び行くだけだからね」

「ありがとう!場所とか時間はまた連絡するから」

工藤は人懐っこいシベリアンハスキーのようだ。

かっこいいけど可愛さもあるタイプ。


「変なことされたらすぐ連絡していいからね?」

美香が冗談混じりに言う。


「俺はそんな事しないって」


秋本だったら断ってるけど、工藤ならまあ。

たまにはデートくらい付き合ってやるか。

でも工藤のこと気になってる子もいたからあんまりゼミで話題にはしてほしくないな。


そんな事を思っていると秋本がもう一度。

「じゃ、工藤と胡桃沢の幸せを願って、かんぱーい!」

一気飲みをする、秋本。

飲む理由欲しいだけじゃん…

◾︎

工藤から飲み会のLINEがきて土曜日の14時から。朝は遅い方がいいという私の希望から遅めのランチを一緒に食べる事になった。場所は中目黒。美味しいオムライスの提案を受け、気取ってない感じが丁度良く好物(まあ殆ど好物なんだけど)なので、それで確定した。


待ち合わせは改札前。少し早めに着いちゃったけど…、あ、もういる。


「おはよ、早いね」

「おはよう。楽しみで早くきちゃってさ」


こうして工藤とのデートが始まった。

デート自体久々だからなんかむずむずするな。

私達は工藤が予約していたオムライス屋に向かった。


◾︎

「もう、9時だね」

隠れ家的なバルで、夕ご飯も一緒に食べた。あんまり遅くなりたくなく、時間を気にするそぶりを見せた。


微妙な表情をする工藤。

何か言おうか迷ってる様子だ。


「そうだな。あのさ胡桃沢、やっぱ今日一日一緒に居たけど、楽しかった。胡桃沢って可愛いけど変に気取ってないというかなんか一緒に居て安心するんだ。」


「そう…?ありがとう」

まずいなぁ、このままだと。。


「さっきもランチの時も話したけど俺海外転勤あって、俺の仕事お金良い分、そこが大変でさ。でも胡桃沢偏見ないって言ってくれたし」


「うん、凄い仕事だと思う」


「こんな時期だけどさ、付き合ってくれないかな」


今日一日いて、工藤は良いやつだとは知った。気も利くし優しい、稼ぎもいいだろう。少しチャラいのも明るいの範疇。ただ出来すぎるのだ。私の為に、色々自分の気持ちを抑えて気を遣っているように見えた。

尽くしてくれる、お姫様扱いしてくれる彼氏が良いって人もいるけど私は申し訳ない気持ちになってしまう。


「ダメかな?本気なんだけど…」


そもそも学校と家での私は結構違う。

学校ではサバサバ系で明るく振る舞ってるけど、実際はめんどくさがり屋のぐうたら娘だ。

工藤が好きなのは学校の私だしいつかその違和感で揉めるかもしれない。工藤が受け入れる事はできないって決めつけてるのも、失礼なんだけど。今日1日は楽しかったけど疲れた。

これから、会社設立って時に海外転勤で頓挫なんて怒るのかな?有栖川さんはどうでもいいか私の事なんか。


「ごめん、今日は楽しかったけど飲み会の時言った通り工藤の気持ちには応えられない。私今状況的に彼氏つから気分じゃない」


なるべく余地がないようにきっぱり伝えた。


「そっか…わかった。でもありがとう。今日一日。あと俺の選んだ仕事を褒めたり凄いって言ってもらえて嬉しかった。胡桃沢も不動産頑張れよ?」


ここまで伝えてくれて黙ってるのは悪い気がした。


「ごめん…実は私ね、不動産会社じゃなくて、自分で不動産会社起業するの。」


目をきょとんとさせる工藤。


「へ…?そうなの。めっちゃ凄いじゃん!学生で企業なんて」

「ううん、成り行きでね。就活もうまくいってなかったし。まだみんなに内緒ね!だから忙しくなりそうで。今日付き合ってくれたから特別に教えた」


「そっか…教えてくれてありがとう。落ち着いたらまた飲んでくれよ?」

「うん、じゃあまたゼミでね。」


その後、私はタクシーで帰ると嘘をつき、その場で別れた。流石に一緒に帰るのは気まずいだろう。


私は三茶まで歩く事にした。

中目黒からは川沿いを歩いていけば30分ちょっと。酔い覚ましには丁度いい。


人も日中ほどは多くない。歩いているのは大通りだが、

快適に歩けるくらいだ。


オムライスもバルのお酒も美味しかったんだけど。

やっぱり気疲れしたなぁ。コンビニで甘いもんでも買って帰るかな。コンビニ入りスイーツを物色。

どれにしようかな。


「あれ、胡桃沢」

低くやるせない声で声かけられる。不審者?


「あれ?…有栖川さんじゃないですか。万引きですか?ダメですよ?」


「してねえよ、なんでコンビニで商品見てるだけで万引き扱いなんだよ」


「だって家から遠いしここ、そんなキョロキョロと」


「エリア変えて万引きとかしてないから。

さっきこの辺で友達と飲んでたんだよ」


「へー…私からお金借りてるのに?」


「まあそれは…すまん…見逃してくれ」

慌てて申し訳なさそうだ。


「冗談です!別にいいですよ。てか友達いたんですね」


「なんだと思ってるんだ。いるにはいるぞ少ないけど」


「女?」


「…別にいいだろうが。今日は男も女もいた」

ふーん、女の人の友達もいるんだ。意外かも。


「お前こそ何してたんだよ」

話を逸らすように続ける。


「それはですねー…あ、有栖川さん良かったら家まで歩きませんか?途中で話してあげます」


「なんだ、そんな面白い話なのか?いいよ。でもノンデリポイント1ポイントと引き換えな」


「ちゃっかり消費させられた」


「…俺はビール飲むけどお前も飲むか?」


「ごちそうさまです!折角だしスミノフにします!」


「ん、俺奢るって言った今?意識とんでたかな」


「私の金で飲んだんだから、これくらいいいでしょ〜」


「…まあそれを言われるとな。はいはい。」

お会計を済まして、そのまま店を出た。


「じゃあ早速…あれ。ん…開かないな」

なんかスミノフの蓋が硬くてうまく開かない。


「何やってんだよ。ほら貸してみ」

なんなく捻り1発で開けた。案外力あるんだな


「ありがとうございます…じゃあかんぱい!」

「おう」

コツンとしてからゆっくり並んで歩きはじめる。


「で面白い話ってなんだよ」


「実はですねー私、今総合商社内定のイケメンとデートしてたんですよ!」


「へぇーそりゃ凄い。付き合って養ってもらえばいいじゃないか。で、その妄想が面白い話か?」


「妄想で自慢し始めたらもう終わりですって!」


「まあ真偽はさておき、振られ方によっては面白い話だから聞いてやろうじゃないか」


私の歩幅に合わせて、ケラケラと聞いてくる。


「先に言っときますけど振ったの私ですからね!実はゼミ飲みの時…


話をしながら、ゆっくりと歩みだす。


途中でお酒を飲み干してしまい、結局2人とももう1本ずつ買ってしまった。酔いが丁度良くまわって心地よい。


酔い覚ましの為に歩き始めた事なんて、もうすっかり忘れてしまっていた。

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