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会社設立なんてした事ないんだが③

会社設立に向けてミスドで会議③

「不動産を軸に、余った時間で便利屋をする。会社失敗した時の保険として、胡桃沢は宅建を取る。ここまでいいな」


「意義ありません。ではポンデリング食べます」

宣言制度を採用してる家庭で育ったんだろうか。

最後の一つであるポンデリング食べ始めた。


「じゃあ事業内容はざっくり決まった。2つ目の手続きの話だ。会社名、資本金の供託、印鑑証明の作成、定款の作成、法人登記、まあこの辺りを粛々とこなす訳だが…」


「うわー難しい話…そういえば昨日の夜やってた映画見ました?旦那にイライラしてる主婦がタイムリープして離婚までこぎつけるんだけど、ループができなくなった最後の世界で、実は奥さんの事を愛していた事を知って後悔する話。泣けましたね」


「話を逸らすなよ。その映画は少し面白そうだな。後で教えてくれ」


「はい!観たら語り合いましょう!なんだったかなタイトル…」

こいつ、俺の事友達かなんかだと思ってないか?


「事務手続き系は俺が役所とか税理士さんとか頼って進めとくぞ。費用とか胡桃沢の判断が必要なものが発生したら都度連絡するから」


「うわーその辺りやってもらえるのガチで助かります有栖川さん、大好きです!」


「大好きなら手伝ってくれ」

おっと、危ない好きになりかけた。

急に大好きって言われると胡桃沢ですらドキドキするもんだな。冗談でも良くないぜ。


「今日ひとまず胡桃沢に確認したいのはこの辺かな。①会社名②創設の費用③店舗の設置有無と備品関係 ④スケジュール感」


「うう…めまいが…ポンデリング食べます」

ポンデリングはバファリンではない。

優しい食感ではあるけども。


「まず話しやすいところだが、①会社名はどうする?案はあるか?」


「うーん…オシャレな感じがいいかな?」


「まあ不動産屋兼何でも屋だしなぁ。横文字でカッコいいのも、悪くないけど胡散臭くないのがいいな」


「胡桃だからウォールナットだし…?ウォールナットフューチャリティイノベーションコンサルティングとか?」


「胡散臭い。あと長い!しかもつらつらと並べておいて具体的に何をする会社なのか全然分からん」


「えーかっこいいのに」


「シンプルな方が良いと思うんだよな」


「なんか競合他社に埋もれちゃいませんか?」


「でも長く信頼される、安心感を持ってもらうなら突飛な名前よりシンプルな方が良い」


「ウォールナットカンパニー、でどうですか?」


「うーん悪くないな、それでいいならいいぞ」

会社名は大事だけど胡桃沢の会社だし、俺に命名権はない。支障が出なそうであれば特段問題ない。


「え、そんなあっさり。うーん」


考え込む胡桃沢。


「有栖川さんの要素を入れましょう」


「どうした突然。いらんぞ俺の気配は」

「いえ、一緒に頑張るんだし、入れたいです。

仲間じゃないですか?」


なるほどそういう事も考えてくれるのか。

良いやつだな胡桃沢。


「失敗した時連帯責任感出せますし」

前言撤回の巻


「それが目的かよ。失敗するの嫌だったら、ウォールナットを入れるのはリスクじゃないか?」


「でも成功した時は自分の名前入ってて欲しいじゃないですか?」


「都合いいなお前。人間らしい。」


「でも最初有栖川さんの名前で設立して、成功したら私の名前に切り替えるというのはどうですか?r


「構わんが名称変更の手続きは自分でやれよ。いくらなんても気が乗らん」


「でも流石にずるすぎますね?やめましょう」


「…じゃあイニシャル取ってAKカンパニーでどうだ?」


「なるほど…割と良いですが…私KかCかWか悩みますねぇ…」

どうでもいいだろと言いかけたが口を紡ぐ。

途中から変えると言い始めて手続きするの俺だろうし、じっくり考えてもらおう。

もう汗は引いているが、水を飲む。


「うーんWにします。AWカンパニーで」


「そうか。どうでもいいがなんでW?」


「Aと並べた時見栄えが良くて、ロゴも映えそういいからです」


「…まあ確かに綺麗だな。ロゴも映えるし」

時々合理的だよなこいつ。


「じゃAWカンパニーという事で。①会社名決定」

次、②創設の費用だが、資本金・定款・登記、相談費、事務所の初期費用、備品…昨日した俺の概算だと200万位だ。今後正式に見積もり取るけど、率直に払えるか?」


「え、200万でいいんですか?余裕です」

拍子抜けした様子。口を力無く開けた。


「え…大金だぞ。そんなあっさり」

「知らない競馬男に300万貸した女ですよ?有栖川さんの借金より安いじゃないですか」


「その、麻痺させてごめんな」

女子大生の金銭感覚をバグらせてしまった件

新宿のやり手ホストになろうかしら。


「どんな謝罪なんですかそれ…」


「あくまで概算と見ておいてくれ。多分想定してない費用がまだまだ出てくるとは思う。その辺は都度相談する」


「大丈夫です、ありがとうございます」

すでに500万も手元から無くなりそうなのに呆気からんとしてるのはどういう感情なんだろうな。


「次に、③の店舗だが設置させてくれないか」


「店舗って何ですか?オフィス?」


「オフィスは一般客となる対応をあまりその場でやらないけど、店舗だとその場でお客さんともやり取りするイメージだな」


「ほうほう、店舗の方がよくて設置した方が良いと?」


「店舗は構えた方がいいと思う。信頼関係を重んじるなら対面に限る。小さくてもいいからこの辺で探そう。あとホームページも大切だ。SNSと絡ませて若年層中心に集客するぞ」


「確かに…大事かもですね。ネットやメールだけでもいいですが、お願い事は顔見てした方が良いって人も多いですし」


「ここは最悪胡桃沢の家をオフィス代わりでも良いんだが」


「私が嫌です」

「だろうな。だから借りよう。でもなるべく安いとこがいいな。」

「大体どのくらいですか?三茶付近だと」

「10坪くらいだったら賃料月20万くらいであると思うんだが」

「10坪ってどのくらいですか?」

「大体、胡桃沢の部屋くらいじゃないかな。まあパソコンとテーブル、カウンターくらいだろうし十分だよ」

「そっか、そんな大きくはないですね。でも自分だけの事務所ってなんかワクワクしますね!」


目をキラキラさせ始めた。自分だけじゃなくて俺も使うんだが。事務所も散らかしそうだな。警戒しておこう。


「次回、店舗の内見をしよう。俺が探しておくから」

「おお!頼れますね。ありがとうございます。なんだか今日の有栖川さん、大人です。」


ブラック起業の環境に潰されたが元々仕事自体は嫌いではない。明確な目標に向かって推進するのはむしろ好きな方だ。

「ただの汗だく半袖短パン無職借金300万男じゃないからな」

「うわそうでした。一瞬騙されかけました。

 詐欺師じゃないですか」


「勝手に引っかかって詐欺師呼ばわりするな」


「そこの246通りを歩いて郵便局曲がったら世田谷警察署ありますよ」


「自首させようとするな。詐欺はした事ないし、俺は意外と嘘はつかない」


「そうなんですかーでも最初ウインズであった時、思いっきり普通の人のフリしてましたよ?」


「ぐはっ…」


ふふふと胡桃沢。


「当たり前ですよね。初めて会う人にそんな事を伝える必要はないし言われた方も困りますから」


「すまん。見栄張った」

だって初めて会った年下の女子に借金300万あって電気ケトルで沸かしたお湯で身体を拭いてます。なんて言えるわけないだろ。


「じゃあ最後の④スケジュール感ですが、どんな感じですかね?」


「ああ。まあ目先で急ぐ話じゃないしそもそも胡桃沢はまだ大学生だからな。宅建も10月に受けるわけだし。店舗も手続きの完了も1月開始で動こうと思う。1月なら胡桃沢も冬休みに入るしな。まあ卒業旅行とかあるだろうから、実質的には4月からかもしれないが、稼働は1月から目標でどうだろう。」


「そうですね…実は卒論もありますし…就活がなくなったのは大きいですが、宅建の勉強も考えると年末まではそんなにまだ動けません」


「了解。まだ7月だもんな。俺はバイトしながら企業に必要な事調べたり、構想練っとくわ」


「ざっくりですね。色々と。まあ徐々に決めてけばいいか。」


「ああ…ただ、すまん借金返済は1月からというか会社始まってからでいいか?」


「勿論です。というか払えないでしょ?その代わり色々本気でやってくださいね」


「勿論」


時刻は16時を過ぎたくらいだ。

正直事務手続きが不安でならないんだが、そこは大人の俺の見せ場だし時間もあるから何とかして見せる。方向性は決まったし、暫くは下準備だな。


「出るか。あ、そうだ…」


「なんですか?」


「この後本屋で宅建の教材買おう。奢ってやる」


「嘘ですよね?人から借りた金で奢るって言ってます?」


「あってるぞ。俺は以外と嘘つかないって言ったろ」


「マジだった…じゃあ本当にお金借りた人に奢ろうとしてる支離滅裂人間だった…!別に私お金いっぱいあるからいいですよ?」

「いや、そういう問題じゃない。俺が薦めたいんだから俺に買わせてくれ」

「…なんですかそれ」

口元が緩んだ。何回か押し問答したが結果的にじゃあ買ってください。と胡桃沢が折れた。


ミスドを出て俺は7万しか無いのに、結局2万程カッコつけて胡桃沢に教材を買い与えた。

流石の胡桃沢も頭を下げてまあ、頑張りますと言ってた。


一旦凌げたけど、まだまだ暫くもやし炒めだな。

帰りに買って帰ろう。でもなんだろう。今までと違い悪い気はしなかった。

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