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アラフォーおっさんのSF無双記~最強コロニーとロボットをもらったので自分と美少女クローンだけの楽園を築く~  作者: 白銀天城


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水星の乱、決着

 水星軍とライトオブグローリーの戦闘を見ている。ソファーに寝転び、シオンに膝枕してもらう。リリーは俺の横で寝ながらクッキー食っていた。


「さーて、どっちが勝つかな」


「どっちもがんばれー」


「水星軍が勝たないと、観光できないわよ?」


「うえー、それはやだ。がんばれ水星軍!」


 水星軍はレッドフェニックスに乗るヴィクターと、コスモクラフト・マーキュリーのプロトタイプに乗るエイデン。ライトオブグローリーは、トレイターに乗るアデルがエースだろう。引き続き通信映像を傍受してモニターに出していく。


『落ちろアデル! その野望とともに!』


 フェニックスの足に鉤爪のようなビームクローが出現した。翼からのビームで威嚇しながら、キックで致命傷を狙う動きが実に鳥っぽい。

 だがトレイターは巨体の割に素早い。適度に距離を離しながら、ビームの連射で近づけさせないように動く。


『消えろヴィクター。新国家に貴様のような軟弱な王は不要だ』


 トレイターがビームで牽制すると、背後から部下がやってきて弾幕を形成する。


『アデル少将を援護しろ!』


『消えろ、水星の主権は我々のものだ!』


『ちいっ、水星を守るためだ、死は覚悟してもらうぞ』


 トレイターの隙をついてザコを落としていく。その間にトレイターが逃げ、追い詰めようとするとザコが群がる。以下繰り返し。つまらん。


「長くなりそうだな。もっとスーパーロボットのぶつかり合いが見たいんだよ」


「なんか飽きちゃいますね」


「ノイジー、ライトオブグローリーの後方の戦艦いくつか落とせ。バレないように頼むぞ」


「了解。ホーミングレーザー砲起動。距離3万キロ。発射」


 きれいな光の群れが飛ぶ。超長距離からの狙撃など予測できないのか、戦艦6個が爆炎にまみれて消えていった。周辺の機体もしっかりお掃除完了。


『後方に敵だと!? ええい何をやっている! さっさと迎え撃て!』


『敵影なし! 長距離からの狙撃と思われます!』


『おのれ水星軍、まだ隠し玉があるのか!』


 敵陣大混乱である。これでかなりの数が減った。戦いが膠着状態だと見ている方はつまらんのだ。もっと派手にやりあってくれ。


『どうやら我々に味方する何者かがいるようだな。このチャンス、ありがたくいただこう』


『僕も加勢します!』


 こうしてヴィクターとエイデン対アデルの戦いが本格化した。


『貴様らを葬れば、水星軍は終わりだ。消えるがいい!』


『やらせはせんさ。我々は民の命を背負っているのだ!』


 トレイターのビームの列が飛ぶ。レッドフェニックスは隙間を抜けるようにしてかわし、反撃のビームガンを撃つ。だがトレイターのビーム湾曲フィールドによって、わずかに塗装を焦がす程度にとどまった。


『無駄だ無駄だ。そんな消えそうな火で何ができる』


『ならば直接浴びせるのみだ』


 不死鳥が翻り、一気に距離を詰める。ビームソード二刀流で斬りかかるが、トレイターの大型ビームソード2本が阻む。鍔迫り合いは一瞬。トレイターの右足からビームソードが飛び出し、避けきれなかったフェニックスの右肩を深くえぐる。


『落ちろ不死鳥!』


『ただではやられん!』


 赤い機体が大きくのけぞり、縦に回転して足のビームクローを叩き込む。トレイターの緑のボディに傷がつき、蹴られた左手首が爆散した。


『ぬう! おのれヴィクター!』


 お互いに腕一本が使い物にならなくなった。だがそれ以外のパーツは生きている。再び距離を取ると、次はマーキュリーがビームライフルを構えた。フルチャージした一撃は、トレイターの足に当たって爆発。今度は装甲をふっ飛ばした。


『いける、僕が落とす!』


『その前に貴様が落ちろ!』


 ここからビームの雨を降らせるトレイターと、的確に狙撃しながら逃げ回るマーキュリーの撃ち合いになる。


「いいぞいいぞ、盛り上がってきた」


「やれやれー、さっさとおとせー」


「勝った方が水星の覇者ですわね」


 ようやく楽しく見られる展開である。ロボットのガチバトルをリアルで見られるというのは、こんなにも面白いものか。煌めくビーム、飛び散る火花、腕や足がぶっ壊れても動く機体。いやあ熱いね。


「さてどう攻略するのかな」


「鳥と青いやつは、直撃したら終わりですねえ」


「トレイターはバリアがありますから、倒すには相応の火力が必要ですわ」


「だがお互いエネルギーを消耗している。ここからどう動くかで決まるぜ」


 マーキュリーがチャージショットを撃つたびに、少しずつだがトレイターが削られていく。逆にトレイターのビーム連射は当たらない。機動力だけの問題じゃないなこれは。


『ええい、なぜ当たらん!』


『僕にも見える。あなたの意思が。暗い邪気が。そこだ!』


 トレイターの両肩にあるビーム装置が破壊された。これで手数が減る。


「なんかポエミーな言い回しですねえ」


「特殊脳波を検知。空間把握能力の拡張および、他者の思念の流れを読み取っているようです。つまり超能力ですね」


「うーわ、ますます主人公だな。ずるくね? あいつだけ死なねえかな」


 嫌だねえ持って生まれた才能ってやつは。あらゆるガチャ大成功かよ。あいつどっかで敵対してくれないかな。この手で殺したい。


『アデルさえ仕留めれば終わりだ!』


 トレイターの背中からミサイルが飛び出し、爆風で視界を遮断する。その隙に大砲をチャージし、そのままレッドフェニックスに突っ込む。近距離で撃つつもりか。


『させるか!』


 マーキュリーが横からライフルを連射する。しかしフルチャージしないとダメージは薄い。無視してレッドフェニックスに肉薄していく。


『やらせない!』


 ビームソードを抜き放ち、マーキュリーがトップスピードで進む。だが死を覚悟した部下たちに阻まれ、ヴィクターのいる場所までは届かない。


『この距離なら外さんぞ!』


 接近したトレイターの胴体から、2本の隠し腕が伸びてワイヤーで不死鳥を絡め取る。ビームで焼き切る時間はない。大砲が胴体を捉えた。


『終わりだヴィクター!』


『それはどうかな!』


 腰のグレネードを掴んだ不死鳥の腕が大砲に突っ込まれた。そこで両者止まる。


『撃ちたければ撃ってみろ。貴様も死ぬぞ』


『正気か!』


『私は正気さ。これでも水星を背負う身でね。勝ち筋は見逃さん』


 マーキュリーのビームが一閃。トレイターの背中を通り過ぎていった。そして大砲が大爆発を起こす。


『なんだとお!?』


『よくやった、エイデン。やはり君は優秀な戦士だ』


 ワイヤーを焼き切り振りほどいたレッドフェニックスは、そのまま翼のエネルギーをチャージしだす。トレイターはもうボロボロで動けないようだ。


『なぜだ、いったい何が起きた!』


『私の役目はお前を数秒止めることだった。あとはエイデンがフルチャージした一撃を撃ち込むだけだ』


『大砲とバックパックだけを狙ったというのか。だが直撃すれば貴様も巻き込まれるはずだ!』


『ああそうだ。だから貴様の機体に直撃させるのではなく、大砲とバックパックのみ破壊できるギリギリまで近づけて、貫通させたんだ。彼にはそれができる』


『ありえん! この距離で、失敗すれば貴様も巻き添えになるというのに!』


 不死鳥が羽ばたき、そのエネルギーすべてが放出される。トレイターは動くこともできず、バリアも剥がれ、ただその光に飲み込まれることしかできない。


『これが信頼だ。殺すことでしか生きられない貴様には理解できまい。さらばだ、アデル・ガルシア』


『ありえん! 私の国家が……こんなことでえええぇぇ!!』


 今日一番の大爆発を起こして、トレイターはその野望とともに散った。


『やりましたね!』


『ああ、水星の勝利だ』


 水星軍は、ライトオブグローリーに投降を呼びかけた。応じたものは捕虜として扱い、最後まで戦いを選んだものは殲滅する。こうして水星の乱は終結となった。


「ふぅ……見応えあったな」


「射撃の参考になりましたわ」


「マーキュリーの射撃やばいよね。あれ参考にできる?」


「どうかしら……あれは技術より直感が大切な気がするのだけれど」


「超能力は反則だからな、あのレベルは求めないよ」


 全員大満足である。この世界のエース同士の戦いは参考になる。ああいうレベルを想定しておかなければいけないわけだ。それはそれとして、アデルの最後の瞬間も録画してあるので、あとで素材にしよう。


「じゃあ後はのーんびりしてたら水星も入れるようになりますかね?」


「だろうな。それまで動画作ったりして過ごすか」


「うえー、不健康だ」


「そして不健全だぞ」


「たまには運動もしましょうね。私も一緒にやりますから」


 こうして水星の港が再開するまで、俺達はのんびり休日を過ごすことになった。ぶっちゃけいつも休日だけどな。

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