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アラフォーおっさんのSF無双記~最強コロニーとロボットをもらったので自分と美少女クローンだけの楽園を築く~  作者: 白銀天城


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楽園の日々と新たな目的

 リリー誕生から数日。彼女の体に無理をさせないため、ごろごろだらだらして過ごしていた。でかいクッションに座ってアニメを見たりゲームをしたり。空調が快適で油断すると寝そうになる。素晴らしい環境だ。


「ふっふっふー、今度こそ1位だー」


「甘いな。トップってのは狙われるもんだぜ」


 2人で寝転がってレースゲームしている。リリーはゲーム好きらしく、俺の相手もできてちょうどいい。


「ぬわー! なんでさー!」


「お前は赤コウラの使い方が甘いんだよ」


「絶対それだけじゃないですって!」


「あとショートカット狙いすぎ。堅実に立ち回る場面を見逃しているのだよ」


「むうぅ……経験の差ってやつですか」


「そういうこと。慣れりゃうまくなるさ」


 実際センスはある。俺も練習しないと追い抜かれるかもな。悔しそうなリリーがおもしろかわいいので、なるべく勝ち逃げしていたい。


「違うゲームしましょ、協力するやつ」


「いいだろう。どうせ暇だしな」


 なんか忘れている気がするが、まあ別にたいしたことじゃないだろう。こうして楽園で楽しく暮らすのがメインだし、そこさえ間違わなければいいのだ。


「よーし、じゃあ協力するとして、敵ぶっ飛ばすやつと、協力して道を乗り越えていくやつどっちがいい?」


「ぶっとばすやつ!」


 こうしてさらに数日経過。ゲームの疲れを温泉で癒やし、背中を流し合ったりして親交を深める。


「言い忘れたが、他のやつに肌を見せたりしないように」


「わかってますよー」


「ハヤテ様以外とこんなことはしませんわ」


「ならいい。はしたないから注意だそ」


 一応言っておくのが大事だと思っている。過保護だと思われそうだが、思う人間がここに存在しなければセーフだと思う。


「お背中流し、ごしごし、わー、パパの背中おっきいー」


「やめい、まだそんな歳じゃない……歳か? いや、でもまだ……」


「流しきれない疑問が湧きましたねえ」


 大きな疑問を水に流し、俺達はゆったりと湯に浸かる。体から疲れが消えていくのがわかる。効能もちゃんとしているので、俺たちの健康はしっかり保たれる。のぼせないうちに上がって体を拭くと、リリーがよくわからんことを言い出した。


「お風呂上がり飲み物選手権ー! わーわー」


「風呂上がりに騒ぐな」


「好きな飲物を好きにプレゼンするという企画です」


「それはわかるわよ」


「漫画なら巻頭カラーでやるくらいの企画ですよー」


「だとしたら打ち切りだぞ」


 この妙なテンションに付き合ってやるべきだろうか。とりあえず様子を見るとしよう。すると後手に回ったことが明らかとなる。


「わたしのターンドロー! コーヒー牛乳!」


「これは止まりませんわね」


「冷たさ、甘さ、コクの絶妙なブレンド! 牛乳が苦手でも飲めるし健康になった気がしなくもない! ただの牛乳でもいちご牛乳でもない、だからいい!」


 結構語るやん。いいだろう、俺も乗ってやる。


「なら俺はこのコーラでいくか」


「はいきましたコーラ。絶対来ると思ってましたよー。でもコーラには欠点がある! 炭酸が強いから一気飲みできない! ほてった体を冷ますには、勢いが足りないんですよ!」


「だろうな。だがこいつは微炭酸だ。ほどよい刺激と冷たさを味わえる」


「ぐぬぬ、ですが飲み干すのは難しいのでは?」


 その反論は読んでいたぞ。ここで一気に詰めていこう。


「そこがお前の敗因だ。一気飲みの必要はあるのか? 飲みきってしまい、それでも体は温かい。はたして喉は完全に潤うのか? ついつい二本目に手が伸びてしまうかもしれない。そうならば腹を壊すかもしれんなあ」


「炭酸が……ストッパーになってくれている……だと……」


 リリーの表情が驚愕に染まる。


「半分も飲めばひとまず満足する。そこからちびちびやるのもいいぞ」


「むむむ、でもまだ負けたわけじゃないですし! シオン、シオンはどっち!」


「ほう、第三者の意見を聞くか。いいだろう」


「ええっ、え、そうですね、あの、どちらもおいしいですよね」


 ちょっと困ってる気がする。こういう困惑気味のシオンは、珍しくてかわいいので様子見だ。するとリリーが助け舟を出す。


「わかるよシオン、コーヒー牛乳は戦いの道具じゃないんだ」


「もとからそうよ」


「そうだな。争いは地球とコロニーで十分だ」


「うわー、うまいこと言おうとしてるー」


「リリーうっさい」


「ハヤテ様、争いと言えば、水星はよろしいのですか?」


「水星? 水星になんかあったっけ?」


 シオンの言うことがよくわからない。ここ数日の記憶をがんばって辿ると、なんかそんな話があった気もしなくはない気配だ。


「水星で……なんか見つかって……なんかあるんだったような」


「うーわ忘れてた。教えてよシオン」


「私のせいにしないの。忘れてるなんて思わないじゃない」


「部屋に戻るぞ。ノイジー、状況説明」


「了解。部屋のホログラムを準備しておきます」


 完全にどうでもよくなって忘れていた水星の状況を調べよう。

 3人でベッドに寝転がり、ノイジーの解説を聞く。もちろん飲み物付き。


「地球とコロニーは引き続き水星に協力を要請。水星側は当然ですが属国になることを拒否。これにより水星各地の金山を巡る小競り合いが数回起きています」


「結局戦ってんのかい。勝敗は?」


「現時点では水星側の勝利です。それをよしとしないコロニー同盟軍の過激派集団ライトオブグローリーが新たな部隊を結成。コロニーの自立と水星を地球から守るために必要な戦いであるとし、義によって開戦すると声明を出しています」


 ハゲたヒゲのおっさんの放送が出てきた。まあ要するに、水星に打撃を与え、コロニー同盟軍の力を見せつけること。金塊を手に入れ、財政面でも地球連合への発言権を高めること。水星を属国にすることなんかが目的だろう。


「どうせ裏があるんだろ?」


「正解です。実際は金塊を使い、水星を資源基地として支配下に置き、新コロニー同盟を樹立し、同盟軍上層部すら排除した純粋な過激派国家を作ること。金塊を核に、地球連合軍の重要拠点を奇襲する大規模計画が進んでいます」


「どうして内部分裂してんだよ」


「人間ってどうしようもないですねえ」


 みんな呆れ気味である。それほど金塊というのは人を魅了してしまうのだろうか。ノイジーの情報収集力により、どんどんアホな事実が判明していく。


「首謀者はアデル・ガルシア。元コロニー同盟軍のエースパイロットで、月近辺の資源争いで活躍した中堅将校です。過去の戦争で家族や故郷のコロニーを失った者を扇動して組織化。同盟軍では、味方すら犠牲にして地球人殲滅を優先する過激思想で、同盟軍上層部の穏健派から嫌われています。プロパガンダを巧みに使い、過激派の支持を集め続けていますね。年齢は40代後半、外見は厳つい髭面の軍人で、搭乗機は重装甲火力型の特殊コスモクラフト、トレイター」


 鈍く緑色に輝く巨大コスモクラフトの映像が出る。バトルフレームのビームガンに耐える特殊装甲らしく、平然と撃ち返している。ビームは目玉、肩、腹、手足などから出ている。背中に大砲。腰にミサイルポッド。大型ブースターで機動力もある。


「ベテランパイロットか。腕は立つようだな」


「本格的な開戦は5日後。それまでに武装解除すれば、水星はコロニー同盟軍に吸収されるでしょう。地球連合はそれを阻止すべく、水星に協力を要請しています」


「つまり、観光するのは無理め?」


「危ないだろうな」


 戦地にぶち込むような真似はしたくない。過激派なんて街に爆撃かましてもおかしくないしな。


「そもそも不可能ですね。戦争に備え、港はすべて封鎖されています。敵軍の潜入を恐れてのことと推測します」


「水星観光が……結構楽しみだったんだが……」


 地味にショックである。だって別の星とか行ってみたいじゃん。シンプルに気になるのよ。楽しみを邪魔されたうえ、その理由がクソで腹が立つ。


「なんか面白い方法で潰すか。こいつらが水星にちょっかいかける限り、港は封鎖なんだろ?」


「その可能性が高いと推測します」


「よし、ライトオブグローリーとやらがどこから武器を調達しているか調べろ。嫌われ者の軍人が、新国家作るほど武装を回してもらえるとは思えん。裏で手に入れてくれていれば、そいつらを潰して成り代わる」


「なりかわる? なにをするつもりなんですか?」


「アデルをネットミームにする」


 水星観光を台無しにした罪を償ってもらおうか。

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