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アラフォーおっさんのSF無双記~最強コロニーとロボットをもらったので自分と美少女クローンだけの楽園を築く~  作者: 白銀天城


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完成!シオン専用機

 時刻は昼。窓辺に腰掛け宇宙を眺める。星の光と銀河の闇がとても美しい。ゆっくり移動するコロニーに合わせて景色も変わっていく。これだけでもここにいる価値がある。俺はゆったりと紅茶を飲みながら、ただその風景を眺めるだけだ。それだけがどれだけ贅沢かを理解すると、よりいっそう気分がいい。


「お茶のおかわりはいかがですか?」


 シオンがポットと自分のカップを持ってやってきた。さりげなく、よりそうように俺の横に座り、紅茶を足してくれる。


「ありがとう。宇宙はきれいだよな……静かで、広くて」


「はい、とても素晴らしい景色です」


 しばし無言のまま窓の外を見る。なんとなく言っておきたいことができた。


「俺はこういう穏やかな時間が好きだ。世の中には黙っていると気まずくなるやつがいるが、俺は静かな時間を一緒に過ごせるほうがいい。落ち着いて、ゆったりと流れる時間を楽しめるといいな」


「私もです。ハヤテ様といると毎日が楽しくて、とてもリラックスして生活できます。これからもそうありたいですわ」


「そうか、そうだといいな」


 会話が途切れ、苦痛ではない沈黙が続く。ここからは水星がよく見える。雄大でスケールのでかい風景だ。しばし見入る。楽しい静寂を破ったのは、ノイジーからの連絡だった。


「シオンの専用機が完成しました。いつでも格納庫へどうぞ」


「おお、ついにできたか!」


「楽しみです!」


 早速格納庫へ行くと、パラドクスと並んで新しい機体がある。


「これが……私の専用機……」


 大きさは同じくらいか。女性型を思わせるフォルムで、白と紫に近い青のカラーリングに、鮮やかな水色の部分を添えてメリハリを付けている。貴族のドレスを思わせるようなスカート状の装甲と、髪の毛にあたる部分が黒のロングヘアーにみえなくもないという、絶妙なデザインである。ちゃんと金色のティアラっぽい装飾もある。まさにシオンの専用機だ。


「とても美しいですわ!」


「気品があってかわいげもある。いいじゃないか。最高の専用機だ」


 みんなで考えた通りの完成品だ。やはり科学力というか、このコロニーの異常さが浮き彫りになるな。まあシオンが喜んでいるのでよし。俺もパラドクスに乗り込み、シオンのサポートに回ろう。


「そういや名前どうする?」


「あっ、考えていませんでした」


 俺も考えていない。ネーミングセンスとか期待しないで欲しいところだが、ここで適当になるのも違うよな。専用機に乗り込んだシオンと、通信越しに相談する。相手の顔はしっかり見えているので、見ながら考えよう。


「シオンの特徴とか長所とかを考えよう」


「クローンである点、才能に溢れている点などスペックの高さは計測済みです」


「お嬢様みたいな気品とか、見た目の美しさとか、優しさ、料理なんかもできる器用さ、よく気配りができて、かわいいところもあって……」


「あの、ハヤテ様、なんだか恥ずかしいです……」


 シオンの顔が赤くなっている。照れ方がかわいいけれど、かわいそうだしやめてあげよう。シオンを困らせたいわけじゃないさ。清純できれいなところがぱっと思い浮かぶんだ。


「悪い悪い。それじゃあちゃんと考えよう」


 話し合った結果、ピュアセレナーデに決定。一緒に宇宙へ飛び出した。


「よし、まずはゆっくり動いてみよう」


「はい、ゆっくりゆっくり……」


 才能に溢れたシオンは、すぐにコツを掴んで自由に飛び回る。とても無邪気にはしゃいでいて、子供のような笑顔がかわいらしい。


「次は射撃練習です。専用のライフルを使ってみましょう」


 ノイジーがチュートリアルをやってくれる。俺のときも色々教えてくれたし、スムーズに進むのでありがたい。


「パラドクスと同じくビーム・マニアクス・システム搭載により、無限にビームが撃てます。エネルギーを集中させ、高火力での連射が可能です」


 ライフルを構え、近くのデブリに向けて放つ。ほとんどチャージもせず、ただ撃つだけで貫通して宇宙の彼方まで飛んでいく。連射しても衰えは見せない。


「威力の調節や実弾の発射も可能です。当然ですが実弾は限りがあるのでご注意を」


「わかったわノイジー」


「両腕に隠し武器として、超振動高周波ブレードを装備しておきました。敵に近づかれたらお使いください」


 遠距離も近距離もできるようになっているらしい。あらゆる危険から守れるのは大変素晴らしいことだ。シオンに傷などついてはいけないからな。


「しばらく一緒に飛ぶか」


「はい! お供します!」


 2人で仲良く宇宙の闇を切り裂き飛び回る。邪魔なものをビームで破壊する練習もしながら飛んでいると、ノイジーから通信が来る。


「近辺に宇宙海賊の戦艦を発見。試運転と金策を兼ねて討伐を進言します」


「乗った。慎重に行くぞシオン」


「はい! 初めての実戦……少しだけ緊張しますわ」


「俺がサポートするから大丈夫だ。離れた位置から撃っているだけでもいいしな」


 緊張をほぐしつつ向かうと、そこそこの大きさの宇宙艦だ。主砲と副砲が少し。年季の入っていそうな見た目で、塗装が剥げたりしている。


「ノイジー、本当に海賊船だな? 民間船を撃つのは避けたい」


「内部ハッキング完了。確実に海賊船です。トップは指名手配もされています。カメラで顔も確認済みです」


「ナイスだ。いつもながら仕事が早いね」


 ステルスモードを解除して戦闘準備。ビームフィールドで通信も記録も遮断しておく。さてシオンのライフルで戦闘開始を告げよう。


「いきます。当たって!」


 高出力ライフルの一撃は敵戦艦の胴体に直撃。爆発とともに艦が揺れている。


「いいぞ、うまいじゃないか」


「ありがとうございます。敵艦から反応多数。敵が来ます!」


 バトルフレームがわらわらと飛び出してくる。セイバーとアーチャータイプだな。試運転にはちょうどいい。遊んでやる。


『撃たれた!? どっからだ!』


『敵襲! BF乗りは全員発進!』


 敵の通信を傍受していると、慌てつつも戦闘に出るつもりらしい。なら戦艦は狙わずに雑魚狩りして経験にしよう。


『散開しろ! 固まるとやられるぞ!』


「逃がしません!」


 射撃はどんどん正確になっていく。的確にコクピットを貫き、宇宙に爆炎が咲き乱れる。


「他の機能はどうかしら?」


「クリスタルビットを試しましょう。6機のビットを展開できます」


「こうかしら? ビット展開!」


 水色の水晶のような物体が、シオン機から分離した。長細い見た目かと思えば、花のように開いて飛び回っている。


「まあ、とてもきれいですわ」


「それぞれが射撃とバリアで援護できます。複雑な操作が煩わしいなら、こちらで操作しますので、気軽にお使いください」


 それぞれのビームの威力も大したものだ。宇宙のゴミを一撃で爆砕できる。連射もきくし、飛び回るから多角的に撃ち続けられるのも素晴らしい。


『うごああ!』


『どっ、どこから撃ってぎゃあああ!』


「いい感じだな。バリアってのは?」


「ビームバリアを展開して、ピュアセレナーデ本機を守ります。展開開始」


 1機が丸くバリアを張って前に出る。3機集まると三角の壁を作り出している。4機なら四角いバリアだ。バリアを張りながら、ビームも連射できるらしい。


「オートで守りますので、安全性も抜群です」


「シオンが乗るんだ、徹底的に安全にいこう」


「ありがとうございます。これなら一緒に戦えますね」


 敵から少し距離を取り、ビットの射撃でボロクズに変えていく。シオンに迫る敵は俺がビームセイバーで斬りながら距離を詰める。遠近の役割分担が自然とできていた。このまま精度を上げよう。


『ちくしょう! どこの連中だ!』


『誰だっていい! ここで死んだら金塊はなしだぞ!』


「金塊?」


『見たことのない機体……水星の連中か? 独り占めはさせねえぞ!』


「ノイジー、金塊について検索しておけ」


「了解」


 どうやら何か目的があって動いていたらしい。面白そうだ。次の目的が欲しかったところだしな。楽しいイベントだといいんだが。


『スナイパーを潰せ!』


「おおっと、それは禁止だ。ビームハリケーン!」


 両手からビームの渦を出して、高速回転させながら敵に撃つ。左右の回転を逆にすることで、ぶつかった敵をミキサーのように粉々にしていく。


「ハヤテ様に頼ってばかりはいられません。いきます!」


 シオンは狙いを絞らせないように飛び回り、動きながらでも射撃を決めている。単純なスピード差もあってか、敵は翻弄されつつ沈んでいく。


『ちょろちょろ飛びやがって! 落ちな!』


「ランチャーモード!」


 ライフルから撃ち出されたビームが、1機をかすめる。その瞬間大爆発を起こした。当たるか一定距離で爆発するビームランチャーらしい。あのライフル便利だな。


『どわあああ!』


『クソ、火力が違いすぎる!』


「ビット、お願い!」


 ビットとライフルのコンボで敵の手足を落とし、動けなくなったものから撃ち抜かれて消えていく。才能とは恐ろしいもんだな。しばらく見ていると、セイバータイプのバトルフレームが突っ込んでいくのが見えた。なかなか速い。高機動タイプだな。隊長機らしくツノがある。両手にビームソードが握られていた。


「がんばれよ、シオン」


 危なくなれば止めるつもりだが、シオンがどこまでやれるのか見てみたくなった。隊長機相手でも冷静に距離を維持して撃ち続ける。だが機動力特化なのか、それとも経験からか、不規則な動きが相手では狙いが定まらないようだ。


「まだやれそうか?」


「いけます。マニュアルは頭に入っています……今私ができることで、勝ちます!」


 ライフルから撃ち出される高出力ビームは、隊長機の背後にいたビットに当たる。ビームの膜のようなものが現れ、着弾したはずのビームを反射した。


『なんだってえ!?』


 隊長機の左腕をふっ飛ばした。間髪入れずに連射してビットを経由した変則起動でダメージを与えていく。クリスタルビットにはビームエネルギーを吸収・反射できる機能があるようだ。


『こんな、こんなバカな!』


「さようなら。ファイナルアタック!」


 ライフルにビットが集い、共鳴してエネルギーを増幅していく。膨大なエネルギーの塊が輝き、星空に放たれる。それはまるで花が咲き、美しく輝くようだ。


『くっそおおおお!!』


 敵機体が丸ごと飲み込まれ、背後にいた戦艦すらもボディの大半を消し飛ばす。

 こうしてシオンの初陣は華々しい勝利で終わった。

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