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アラフォーおっさんのSF無双記~最強コロニーとロボットをもらったので自分と美少女クローンだけの楽園を築く~  作者: 白銀天城


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VSウィルダネス

 地球連合の秘密部隊であるブラックブラッド隊と、コロニー同盟のコスモクラフト隊の戦闘を見ていこう。小惑星が散りばめられた空間で、そろそろ本命の巨大ロボットウィルダネスが出てくるはずだ。


「いいぞいいぞ、どっちもがんばれ」


「ここからどうなるのか楽しみです」


 別の索敵特化型がガトリング弾をばらまきながら、敵機体に接近する。牽制して味方が戦いやすくしているのだろう。だがそこに輸送船から巨大な手が伸び、3号機を殴りつけた。


『なんだとっ!?』


『出やがったか』


 輸送船の中央ハッチが開き、巨体が姿を現す。全長50mを超える超大型機動兵器ウィルダネスだ。真っ白な装甲が不気味に光り、両腕と指先のレーザー砲が赤い光で宇宙を染める。つま先のバルカンも地味にうざそうだ。


『いいぞ! 地球連合のハエどもを叩き潰してしまえ!』


『了解。殲滅する!』


 露骨に声色がいいコロニー連合のみなさま。ウィルダネスがいれば勝てると思っているのだろう。さてどうなることやら。


「ノイジーあれのデータ出せるか?」


「ウィルダネス、装甲厚はコスモクラフトの5倍、レーザー砲の出力は既製品のビームガンの3倍。ウイルス散布装置は核ミサイルに換装可能ですが、今は大型ミサイルに変わっていますね。用意できなかったのでしょう。宇宙空間ではキャタピラも意味がありません。ロボット形態が妥当ですね」


 巨体が信じられない速度でブラックブラッド隊に突進する。二刀流高機動型が回避するが、ウィルダネスのレーザー砲がつきまとう。パンチで小惑星にクレーターを作っているし、捕まったらアウトだな。


『ちっ、馬鹿力め! 回避に専念しろ!』


『オレが狙撃する。やつを足止めしろ』


『できりゃやってるさ!』


『こちらブラッド2。足止めくらいしてやる。一斉射撃だ!』


 黒い中距離爆撃型がミサイルもロケットランチャーもすべて撃ちまくる。だがウィルダネスが両腕でガードして直進していく。


『避けろブラッド1!』


『今だ! ミサイル発射!!』


 ウィルダネスの背中の大型ミサイルが発射される。ブラッド2は隙を晒さず右に避けるが、ミサイルは背後の小惑星に直撃した。その爆風はブラッド2の機体を完全に飲み込んでいく。


『しまっ……ぐあああああ!!』


『ブラッド2! くそっ、ブラッド1、なんとかデカブツを斬れ! ザコはオレとブラッド4でやる!』


 ガトリングとミサイルポッドで撹乱しながら、スナイパーがコスモクラフトを撃墜していく。だがブラッド1のビームセイバーが、ウィルダネスの腕半分までしか斬り裂けず止まる。カウンターで片腕を破壊させられてしまい、機動力も落ちているようだ。ブラックブラッド隊が不利だな。


『ちくしょう……出力低下。これ以上は危険だ!』


『沈め! 地球連合の兵器で沈んでいけ! 薄汚い連合の犬よ!』


『コスモクラフト処理完了。そっちを援護する!』


 ブラッド3が牽制に回り始めるが、ウィルダネスは突如として飛行形態に変形して突進する。ブラッド3はとっさのことに反応できず、そのままぶつかってしまう。


『なんだって!? うわああああ!?』


 飛行形態の先端が突き刺さったまま、ブラッド3の機体は小惑星に衝突して爆発した。ウィルダネスは無傷のまま再びロボット形態へと変わる。


「面白い。なかなか大胆な戦法じゃないか。俺は好きだぜ」


「実際に戦うとなると、ああいう思い切った相手は危険ですね。ハヤテ様もお気をつけて」


『ならば敵の輸送船だけでも破壊する!』


 スナイパーが輸送船に攻撃を浴びせる。だが焦りすぎだ。撃沈できていないし、スナイパーは場所を特定されれば意味がない。


『ブラッド4、焦るな。焦れば終わるぞ』


『そこかあああ!』


 飛行形態でスナイパーにすっ飛んでいく。今日一番のスピードだ。おそらくスナイパー側は瞬時に移動などできない。カメラを切り替えると、やはり止まったまま撃ち続けている。輸送船はおおまかに当たりをつけてビーム砲を連射している。


『ちっ、やらせんよ!』


 ブラッド1が残った片腕で輸送船を切り裂いていくが、船は気にせずスナイパーに射撃しながら突き進んでいく。


『振り返りはしません。地獄でお会いしましょう』


『それでいい。たとえこの船が落ちても、ウィルダネスは目的の惑星まで単独航行が可能なはずだ』


 玉砕覚悟かよ。自分の命がなくなったら全部終わりだろうに。俺には理解できん発想だねえ。


『捉えたぞ!』


『ここまでか……逃げろブラッド1。ブラッド5が回収に来ている。さらばだ』


 レーザーの雨によりスナイパー機は消し飛んだ。同時に輸送船が爆発し始める。入れ替わるようにブラックブラッド隊の宇宙船がやってきた。


『ブラッド1、今換装パーツを届けます』


『オレはいい。逃げてこの状況を伝えろ』


『できません。どのみち追いつかれます。我々はここで勝つしかありません。受け取って!』


『させんぞ! ここで諸共消してくれるわ!!』


 右腕の換装を外し、大型ビームソードへと付け替える。だが同時にウィルダネスの集中攻撃を受けて宇宙船が沈む。


『すまないみんな。せめて仇は取る!!』


 こうしてすぐ取り付けられるのが、バトルフレームのいいところだろう。骨が一緒で装甲や武器だけ変えるシステムだから、地球産であればすぐに付け替えできる。


「そろそろクライマックスだな」


「緊迫していて息が詰まりますね」


 ブラッド1が高機動を活かして飛び回りながら、確実に距離を詰めていく。大きく光るビームソードは、当たれば無傷とはいかない。相手もそれをわかっているのか、射撃武器すべてを使って近寄らせないように立ち回る。


『消えろ! 地球にはびこる害虫どもめ!』


『侵略者が何をぬかす!』


 ブラッド1の機体がウィルダネスの左腕を切断した。


『装甲を突破しただと!?』


『いける、ここで殺す』


『ぬかせ! 近接戦ができないと思ったか!』


 腕からビームソードを出して鍔迫り合いを始める。パワーではウィルダネスに分があるようだ。だが撹乱しつつ細かくダメージを与えていくブラッド1の技量が光る。


『ここで沈むわけにはいかぬ! こうなれば!』


『これで……終わりだ!!』


 ブラッド1のビームソードが胴体に深々と突き刺さるが、コクピットを外れたらしい。ウィルダネスからパイロットが脱出し、ブラッド1は機体に抱きしめられる形となった。


「動きが妙だったな。意図的に攻撃を受けた?」


「正解でしょう。ウィルダネスから異常な熱量を検知。残り1発の大型ミサイルとともに自爆するようです」


『動けない! これは!?』


『ふふふ……続きは地獄でやるがいい』


『しまった……くっそおおぉぉ!!』


 大爆発を起こして両方の機体が宇宙の塵となった。小惑星帯に巨大な花火が上がる。ウィルダネスのパイロットだけが脱出したようだが、帰る場所などないだろうに、これからどうする気だ?


「ブラックブラッド隊の生命反応なし。勝負は引き分けでしょうか。いえ、これはコロニー連合の勝ちですね。私としたことが、見逃していたようです。ウィルダネスは2機あります」


「なんですって?」


「最初から二段構えだったようです。少し離れた中域を単独航行中」


「そっちに拾ってもらう計算か。そうはいかないぜ。パラドクスで出る」


 格納庫に転移してパラドクスに乗り込む。この行動も慣れたもんだな。


「ハヤテ様、どうかお気をつけて」


「問題ないさ。行ってくる」


 シオンの声に見送られて発進。まずウィルダネスのパイロットだったやつを、しっかりビームで焼いておく。


『なんだ貴様!? ぐがは!?』


「これでよし。ノイジー、マップにもう1機を出してくれ」


「了解です。敵は飛行モードで高速移動中。すぐ追いつけるでしょう」


 数分後、本当にあっさり追いつけた。ステルスモードは解除してある。敵の前方に回り込み、堂々と立ちはだかってみた。


『何者だ? 地球連合の新型か!』


 もちろん通信に応じる気はない。手からビームを出して、翼の片方を撃ち抜いた。だがほんの少し反応されたせいで、中心に直撃はしなかった。ベテランか。


『チッ、回避できなかったか! 誰だか知らんがここで落とす!』


 ロボット形態になると、はっきりとウィルダネスであることがわかる。カラーリングも全く一緒だ。だが背中のミサイルがなんとも妙な形だ。こっちがウイルス兵器っぽいな。


『速い……なんて機動力だ』


 敵の攻撃は全部回避可能だ。やはりスペックの差は大きいらしい。


「スペックの差だけで負けるがいい。俺という素人にな」


「かっこいいのか悪いのか、AIには判断つきかねますね」


「私にもわかりません」


 不評らしい。別にかっこつけたいわけじゃない。なんとなく敵をコケにしたいだけである。まあそれがもうアレと言われればそうだね。


『ぬうん!』


 でっかいビームソードが振り下ろされる。なんとなくそいつを掴んで握り潰す。


「パワーもこちらが上だな」


『化け物め……当たればいい。これでどうだ!』


 敵は距離を取り、腕からガトリングとショットガンを出し、猛スピードでこちらに来る。腰からミサイルも出ているし、ビームも出っぱなしだ。結構武装が豊富だな。


「それじゃあこういうのはどうだ?」


 敵の太いビームに乗り、サーフィンのように滑っていく。そのまま顔面に膝蹴りを入れた。派手に散らばる頭部の部品が、ロボット戦の面白さを引き立ててくれる。


『ぬがあぁ! ありえん! 今何をした!?』


「さあてなんだろうねえ! 俺もなんとなく雰囲気でやってんだよこれが!」


 直進してボディブローを入れる。パラドクスのボディは銃弾ごときじゃ傷つかない。そのまま強引に拳の連打で装甲を砕いていく。


『馬鹿な! ウィルダネスの装甲を貫くだと!?』


 回し蹴りで小惑星に埋め込み、ビームを練り上げて拳にして飛ばす。


「ビームナックルだ! 今なら10連無料!!」


 おまけを入れて11発のビームナックルが直撃していく。光と爆発の中に巨体が隠れて消えゆくのだった。


『こんなところで……こんなところでわけのわからんやつに! うおおおぉ!!』


 宇宙に大輪の花が咲く。一際大きい爆発によって、この戦いはフィナーレとなった。やはり特殊機体でもパラドクスの性能には追いつけないらしいな。


「お見事です、ハヤテ様!」


「完全に生命反応なし。これで宿泊予定のリゾートは守られましたね」


「よし、パラドクス帰還する」


 多少のトラブルがあっても、パラドクスと楽園があれば乗り越えられると証明された。いいぞ、俺の人生がようやくまともになってきた。この調子で金をためてリゾートへ行こう。そう強く誓った。

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