15/51
9
人目を避け裏路地経由で帰途につくナラクの前に、毎度の見慣れた憲兵らが立ちふさがる。といっても彼らから何かされるわけでもなく、お前を常に見張っているぞという、いつものおさだまりの示威行動だ。
こんな狭い場所で振り回すにはいかにも不都合そうな槍を、粋がって突き立ててみせる二人組の憲兵。ただこちらから連中の顔つきを品定めしてやれば、どうだろう。
案の定、脂汗を滲ませながら仏頂面を決め込み、終止無言に徹するというあんばいだ。
人間とはかくも弱く、そういう生き方しかできない存在なのだと、ナラクは厭というほど思い知らされてきた。
ただ、ナラクはちょっとした閃きを得た。二人組の間を我が物顔で通り過ぎてやるついでに、ふとこんな伝言を残していくことにした。
「――町の治安を守る貴様らに相応しい仕事を紹介してやろう。なに、この我が命じるわけではない。芸術王の意向に沿ったものであるなら、貴様らも自主的に行動するしかなかろう?」




