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旅をはじめていつかのその日。そのあと

「やっぱり駄目だ……」


 ヴァンがうめき、開いていた魔術書を閉じてテーブルの上にのせた。


「お疲れ様」


 くすくすと笑いながらヴァンの髪をいじる。結局ヴァンが魔術書を読んでいる間ずっと触ってしまっていた。

 嫌がってるようには見えないし、何よりこの絹糸のようにさらさらな髪はさわり心地が良いので止める事が出来なかった。


「残念、だった、ね」


 ヴァンと向かい合って座るリシャが言う。

 髪を触るのに夢中になっていたから気づかなかったが、どうやらリシャもずっとヴァンを見ていたようだ。

 ……そんな中魔術書に集中できたということは、ヴァンもこんな状況に慣れてきたということだろう。良い事だ。


「ん、まぁ、仕方ない。大人しくギルドのランクを上げて、お金をためて、二人と一緒に入学するさ」


 ヴァンが言いながら首を左右に動かす。おかげでもう少しで編みあがったはずの三つ編みがほどけてしまった。


「あ、もう。もうちょっとだったのに」

「人の、髪で、遊ぶな」


 さらに首を動かし、骨をバキバキと鳴らすヴァン。……バキバキ?


「すごい、音、だね」

「ん? あぁ、どうも同じ姿勢でいるのが苦手らしくてな。しかも久しぶりに本を読んだから肩が凝った」


 そんなに長い時間読んでいたわけではないと思うのだが、確かにヴァンはじっとしているのが苦手だ。以前フランと三人で旅をしていた時図書館に行く機会があったのだが、あの時もじっと座ってはいなかった気がする。


「それ、なら、わたしが、マッサージ、してあげる」

「出来るのか?」

「う、ん。けっこう、上手って、ほめられたこと、ある、よ?」

「……そっか。じゃあ、お願いしようかな」

 

 自分の中で本能が叫ぶ。ゆけ、と。


「なら、私もヴァンのマ」

「お前は駄目だ」


 しかし言い終わる前にヴァンに遮られてしまった。


「ど、どうして!?」

「どうしてって……お前、マッサージといいながら変なところ触る気だろ?」


 あっさりばれてしまっている。


「だ、だって、最近ヴァンあまり触らせてくれないじゃない!!」

「そこは否定しろよ!?」

「ヴァン、ベッドの上で、うつ伏せ、になって?」


 そんな自分たちのやり取りを無視するようにリシャがヴァンの手を取った。最近リシャも少しずつ変わってきている気がする。主に容赦の無い方向で。良い事だ。

 しかし、今はそんな場合ではない。椅子から立ち上がってリシャにつれられるヴァンを追いかける。が、「お前は駄目だ」とさらに釘を刺されてしまった。

 これはどうやら本当に触らせてくれなさそうだ。志方がないので椅子をひっぱってベッドと壁の隙間に押し込み、それに座る。

 ヴァンが呆れの表情で、リシャは苦笑しながらこちらを見てくるがここは譲る気はない。


「……まぁ、いいか」


 ため息をついて可憐な美少女がベッドにうつ伏せになる。アリアは思わずその上に覆いかぶさろうと思ったが、多分怒られるのでやめておくことにした。


「じゃあ、乗る、ね。重かったり、痛かったりしたら、言って?」

「ん……分かった」


 両手の甲を枕にするヴァンの腰に、リシャが自分のお尻を乗せた。もうその光景だけでアリアは鼻から赤い情熱が吹き出そうだ。

 上に乗る少女が両手を乗られる少女の背中、その少し上あたりに乗せ指で押し始める。


「ん、ふ」

「ど、う? 痛く、ない?」

「あ、あぁ、いたくは、ん、ない。それ、ふ、どころかきもちい、いい、くらいだな」

「良かった。じゃあ、肩、から、背中、全体を、するから、ね?」

「ん……」


 ヴァンの言葉に安心したのか、リシャの攻めが激しくなった。もとい、マッサージが強めになった。


「んっ、ふっ、あ、そこ……んっ、いいところに、んっ」

「んっ、んっ、きもち、いい? ヴァン、んっ」

「あっん、ふぁ、いい……リシャ、んっ、うま、いっ、な。あふっ」

「えへへ……いっぱい、きもち、よく、なって、ね」

「んぁ、はふぁ、ふあー……あっ、ぅんっ、あぁ、ん……」


 よほど気持ちいいのか、それともそれほど体がマッサージを欲しがっていたのか、ヴァンが頬を上気させて目をとろんと蕩けさせている。

 対するリシャも小さな笑みと額に雫を浮かばせつつ、少しだけ乱れた息で体を上下させていた。


「…………ごくっ」


 思わず生唾を飲み下す。ただのマッサージであるはずなのに、これほどまで淫靡にみえるとは一体どういうことなのだろうか。

 これは我慢できそうに無い。


「ヴァ、ヴァン? 私も足のマッサージしてあげましょうか?」

「ふぁ? んぁ、ぁ、し?」

「そ、そう。ほら、ずっと歩いたり走ったりしてるから、足も疲れてるでしょ?」

「ぁん、そりゃ、んぁ、足も、ふぁ、ちょっと疲れて、んふ、るけど」

「そうよねそうよね! 足もマッサージしたらきっともっと気持ちいいわよ!」

「もっと? あっ、じゃ、んあ、お、ねがい、ひぁ、する、っ、よ」


 その言葉を待っていた。心の中で喜びの舞を形象(イメージ)しつつ、椅子から立ち上がってベッドに乗る。

 さすがに三人が乗れば狭いだろうが、一人は寝そべり、二人はそれの上に乗るのだから問題は無い。

 リシャと並ぶようにヴァンのつま先辺りで座る。黒のドレススカートがめくられていて、太ももも少し見えていた。普段は真っ白な肌も少し上気していて、熱くなっているのか軽く汗ばんでいる。それがまたなんとも色っぽい。

 されているマッサージがよほど気持ちいいのだろう。時折、つま先でベッドのシーツを軽く引っ張っている。


「ごく……」


 どれだけ飲み下しても生唾が止まらない。自分が荒い息になっているのを自覚しつつ、両足の脹脛を手のひらで包んだ。

 しっとりとした弾力にほんわかな温かみ、何より汗ばんで滑らかになっている手触り。


「……舐めたい……」

「んっ、アリ、ア? はぁん……なん、だって?」

「え!? い、いえ! にゃんっ、んんっ! なんでもっ、にゃいわっ!!」


 危ない危ない。内心で自分を叱咤する。怪しまれる前にマッサージを開始しなければ。

 軽く脹脛を揉む。それに反応するかのように(かかと)が沈み、つま先がシーツを伸ばした。

 そのまま何度ももみ上げ感触を楽しむ。それに合わせて幾度か震える細い足。


「あぁ……」


 思わず吐息が漏れた。もっと色んな所を触りたい。

 しかし、ここで欲望に支配されてはヴァンが怒ってしばらく触らせてくれないかもしれない。たっぷり堪能するために我慢しなくては。


「んっ、はぅ……リシャぁ、アリアぁ……きもちいぃ……」


 無理に決まっていた。


「はぁはぁ、ヴァ、ヴァン、きもちいい?」


 脹脛を撫でるように揉み上げていき、徐々に上へ上へと上っていく。


「んぁ、はぁ、ん、アリアも、んっ、上手、ぁ、だな……」

「もっと、きもち、よく、なって、ね。んっ、んっ」

「はぁはぁ……あぁ……ヴァン……」

「は、ん、ぁっ、そこぉ」

「こ、ここ? ここがいいのね?」

「んんっ、そ、ぅ、そこ、ぉ」

「ヴァン、ここ、は? きもち、いい?」

「ぁ、んっ、リシャ、ぁ、そこも、ぉ、ぃい」


 ※マッサージ中です。


「じゃあ、ここ、は、どう?」

「ああっ、んんっ、はふぅ」

「ヴァンっ、ヴァンっ、ここはっ?」

「ふぁ、ぁぁ、ん、あふぅ」


 ※マッサージ中です。


「ふふ、ヴァン、きもち、よさそう……」

「んぁ、ぁあっ、そ、こはぁ、い、いたっ、いっ」

「だいじょうぶ、だよ。ヴァン。ここは、ね、少し、したら、きもちよく、なれる、から」

「はぁっ……はぁっ……」


 ※マッサージ中です。


「ぁっ、アリアっ、そこ、ふとももっ、そこはい、っ、ぅあ!? く、ぁぁっ、リシャぁっ、いた、いたいっ」

「ふふふ……だいじょぉぶ……すぐ気持ちよくなれるよ……」

「だっ、て、いた、い……っ!? うぁっ、ああうっ、な、ん、これっ、あぁうっ」

「ほら……気持ちよくなってきた、でしょ……?」

「んぁあっ、り、しゃぁ、そこ、もう、だ、んぁ!? ア、アリア、上にっ、んふっ、きすぎ……! だ、め、だぁんっ、って、ば! ふぁぁ!? リ、リシャぁ、そこはっ、もうっ、やめっ、くふぅ、はぁっ」

「ぶぱっ!!!」


 ※マッサージ中です。そろそろオチです。


「だめだよ。ヴァンにはもっと……気持ちよくなって欲しいもん……」

「あく、ぁっ、ぅあぁぁっ、あはっ、はははっ、あはははははっ! ちょ、ちょっと、リシャ! そこだめだって! もうくすぐっ、た、あはははははっ!!」

「ふふふっ、ほらほらぁ、きもちよくなったでしょー?」

「ちょ、ちがっ、絶対ちがっ、リシャ分かってやっ、あはははっ、あははははは! て、ていうか、なんかキャラち、はははははっ! かっはっ、あははははは! えほっえほっ、あは、えほっ、あははは! けほっ、も、もうやめ、くるし、あははははははっ!」

「ふふふふふっ!」

「あはは、はっ? あはっ? な、あははっ、なんか生温かいものがっ、あはははっ、ま、リシャまってっ、あはははっ! あし、あしにっ!」

「? 足? って、きゃあっ!? アリア、だ、だいじょうぶ!?」

「ははっ、ははは……はっ、はっ、リ、リシャ? はぁ……はぁ……アリアがどう、ってうお!? なんじゃこりゃあっ、はぁ、はぁ、んっ、俺の、足が、真っ赤に!?」

「こ、これ、もしかして、アリア、の……」

「……はぁ、はぁ、鼻血……だな……ふぅ……」


 呆れるヴァンと驚くリシャの視線の先には、ヴァンの下半身を自らの鼻血で染め上げ、満足気な表情で痙攣するアリアの姿があった。


読んでいただきありがとうございます。

旅をはじめていつかのその日。前後そのあと、いかがだったでしょうか?

はい、仰りたいことは分かります。何故前編よりおまけであるはずのそのあとのほうが文字数多いかっつーはなしですね。…なんででしょう。


ま、まぁ、いいじゃないですか。この作品自体おまけみたいなもんですし!(いっちゃった!)

ぶっちゃけるといきなりスランプです。普段なら書き始めればさくさくいけるんですが、何故かこの作品の話を書こうとしたら筆が進まず…。

もしかしたら全く別の作品をもう一つあげるかもしれません。同時進行だなんて多分死にます。


…まぁ先のことなんてわかりませんって!HAHAHA!

あ、あとこの作品は不定期更新となってますので。ごめんなさい。てへ☆(死


で、ではでは!

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