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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 最終章 ~天地神焉記~

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25話「新たな時代に」

17:10 現実世界

アウトエリア:地区Ⅲ



「ハイド…」



上空の深層世界へと続く穴が閉じていく。


それを見つめるヴァイオレット。


ヴァイオレットはハイドが本当に行ってしまったのだと理解する。



そんなヴァイオレットを優しく抱きしめるリアム。



「さぁ帰ろう、ヴァイオレットちゃん。」



立ち上がるヴァイオレット。


そのときだった。



「…オ前タチヲ……生キテ…返ス…ワケニハ…」


「!!」



ダニーがその声に反応しヴァイオレットたちのもとへ走り出す。



ヴァイオレットの背後には…



「二人とも!!走るんだ!」


「コイツは!?」



ヴァイオレットとリアムに迫るのはR-01だった…!



「(まだ生きていたのか…!!)」



銃を構えるダニー。


ダニーを追い越してヴァイオレットたちの前に立つレオンハルト。



R-01はイヴリンの攻撃で瓦礫の下敷きにされた。


だが、なんとか破壊されずに生き延びたR-01は自身の壊れかけの身体を引っ張ってでもダニーたちのもとへ現れた。



「(体力の限界か…!)」



壊れかけといえど、体力の消耗により”極限化”を使用できないレオンハルト、そして負傷しているダニーを前にしてもR-01は自身一人でここにいる者たちを道ずれにすることはできると踏んでいた。



「グリーン様ガ潰エテモ…!オ前タチ人間ノ世界ハコノ私ガ…!」



自身の腕を変形させ攻撃を試みるR-01。




だが…



「ッ!!何ダ…ト…」



突如、はるか遠方から複数の槍がR-01の身体を貫く。



槍はR-01を貫いた後、すぐに消滅し、そこには小さな小石が複数落ちていた。



それを見たレオンハルトは驚愕する。



「この攻撃は…!?」










「言っただろ~…?君を死へ誘うのは僕だけだって…」






はるか遠方で断絶の籠ディアスタスケージを手に持ちながら口にするのは…



「ウォルター…!」



レオンハルトは槍が飛んできた方向を見る。


思いがけない者からの攻撃でレオンハルト、そしてダニーたちは驚愕する。



「あんな攻撃を前にしたら死んだと思うよね~…」



ウォルターはレヴァリィ世界でレオンハルトと共に対峙したグリーンとの戦いを思い返す。




王都を覆うほどの大きな隕石からレオンハルトを守るべくウォルターは自身の秘宝である断絶の籠ディアスタスケージを使用してレオンハルトを逃がした。


その直後に隕石は王都に直撃し王都は完全に更地と化した。




「けど僕は嘘をつくのが得意でね~…

死神は死すらも欺けるから”死神”と呼ばれるのさ~…」



ウォルターは隕石が王都にぶつかる直前に上空にある深層世界へと続く穴を見つめていた。


そして深層世界に続く穴へと向かえば、ここ現実世界へと降り立つことも理解していたウォルター。


ウォルターは断絶の籠ディアスタスケージを用いて深層世界へと避難することで隕石の攻撃から逃れていたのだ。




R-01が倒されたことを理解するとウォルターは崩壊したビルの屋上から立ち上がる。



「まぁ…僕はこの世界をゆ~っくり楽しませてもらうよ~…」



ウォルターはレオンハルトたちがいる方向とは真逆の方向へと歩き出す。





レオンハルトはウォルターの存在に気が付き、少し笑みを浮かべる。



「…アイツ…いいところだけ持っていきやがって。」



R-01の機能が停止するのを見届けるダニー。


ダニーはヴァイオレットとリアムを見つめ戦いが終わったことを表情で伝える。



ヴァイオレットは空を見上げながら口にする。



「ありがとう…ハイド。」





















現実世界、レヴァリィ世界、双方の世界に大きな傷跡を残した天地神焉記。



その被害は人類史にこれまでにないほどの影響を及ぼした。



現実世界での生存者はわずか数万人程度。



レヴァリィ世界でも人口の7割が死亡した。



僅か1日にして世界は崩壊した。



人々は言った。



”これは自然災害ではなく人為的な被害がもたらした世界の終焉である”と。



人々は言った。



”天から舞い降りた神が世界を終焉へといざなった”と。



人々は言った。



”神の怒りをその身に受け、世界の終焉を止めた救世主がいた”と。





天地神焉記、それは神々に挑んだ英雄の物語。



その記録には一人の英雄により世界は救われたとされている。



だが、



ある者は知っている。



物語の裏側で世界を救ったもう一人の人物を。



ある者は知っている。



他者を尊ぶことを決めた組織による犠牲が今の世界を形作っていることを。



世界は終焉を迎え、今新たな歴史を刻もうとしていることを。











25話「新たな時代に」






「おーい、ヴァイオレットー」



崩壊したセントラルエリアを廃墟と化したビルのベランダから眺めるヴァイオレット。


そんな彼女に声をかけたのはソフィアだ。



「ちょっとこれ持ち上げるの手伝って〜!」


「俺がやる。」



ソフィアが必死に持ち上げようとしている機材を軽々と一人で運ぶレオンハルト。



「さっすが〜!レオンハルトは頼もしいね〜!

はやくも私たちと溶け込めてるし〜!」


「…そんなことは…ない。」



少し顔を赤らめながら荷物を運びに部屋を出るレオンハルト。


ヴァイオレットがソフィアのもとに向かう。



「ソフィアさん、あまりからかっちゃダメですよ…」


「からかってなんかないよー!」



ソフィアは一人で機材を運ぶレオンハルトを見て、何やら懐かしい表情を浮かべる。



「あの一人で全部やっちゃおうとするとこ…どっかの誰かさんに似てると思ってさー…」



そう言ってソフィアはレオンハルトの背中とへーロスを重ねる。


それを理解したヴァイオレットはお気に入りのキャンディーを口に咥える。



「たしかに…そうですね…。」


「ソフィア、イヴリンとリアムを知らないか?」



そんな思いにふける二人に声をかけるダニー。


かつての仲間の幻影がダニーの声によってかき消されてしまい、ソフィアは少し不服そうな表情を見せる。



「もう!ちょっとくらいボサっとさせてよ!二人のことなんか…」


「二人ならさっき別の部屋に向かうのを見ましたよ。」



ヴァイオレットがダニーに伝える。


三人はイヴリンとリアムがいる部屋へと向かう。


すると、そこにはイヴリンがリアムと仲睦まじく会話している様子が映っていた。



「イヴリンさん〜それほんと〜!?」


「うん、多分。リアムのその体質はかなり珍しいし。」



二人の様子を見て、ダニーが一目散にリアムのもとへ詰め寄る。



「おい、リアム。誰がイヴリンと会話していいと言った。」


「だ、だってイヴリンさんが〜!」


「彼女はな、あの戦いからまだ完治してないんだ。そんな状況で俺抜きで勝手な真似をするとはな…」



ダニーがリアムの大きな頬を摘みながら淡々と口にする。


そんなダニーの発言にさらに畳み掛けるかのようにソフィアもリアムに詰め寄る。



「そうそう!てか、こんなとこでまたお菓子食べてんの〜!?

これ以上太ったら歩けなくなっちゃうでしょ!このおデブ〜!」


「ソフィアさん…!!言い過ぎ…!!」



リアムのお腹を揺らしながら罵倒するソフィアに声を荒げて注意するヴァイオレット。


イヴリンもヴァイオレットに加勢するかのようにダニーを止める。



「ダニー、私からリアムに話しかけたんだけど。

それともあんたは私がリアムと二人で話しちゃ都合が悪いわけ?」


「そ、それは…」


「み、みんな今日は朝から復興の作業をしてるんだから休憩くらいしてもいいじゃん…」



ヴァイオレットがダニーとソフィアを落ち着かせながら口にする。


ソフィアは腕を組みながらそっぽを向く。



「エヴァと違って私は甘やかさないからねー!」


「う、うわぁ〜!」



ソフィアはリアムの頭をもみくちゃにして部屋を出ていく。


それに続いてダニーもイヴリンに注意されたことで顔を赤らめ部屋を出る。



「はぁ…疲れたー…」



ヴァイオレットはやっと落ち着いたと言わんばかりにリアムの隣に座り、自身の身体をリアムに預ける。



「…フカフカ…」


「ヴァイオレットちゃんまでハイドと同じこと言うなんてぇ〜」


「……。」



それを聞いたヴァイオレットがハイドとの出会い、そしてこれまでハイドと過ごした記憶を思い返す。



「…だって…そうなんだもん…。」



ヴァイオレットはリアムの柔らかくて大きな腕に顔をうずくめながら小さな声で口にする。


まるで溢れる涙を隠すように。











「それじゃ行ってきます。」


「気をつけるんだよ、レタ君。」



インビディア大国の王都正門で荷物を背負うのはレタだ。


そんなレタに声かけるのは聖騎士団の生き残りであるスードだ。



「アイヨにも言ってよー!」



レタの横から姿を表すアイヨ。


アイヨの頭を優しく撫でながらスードはレタに言ったセリフをもう一度アイヨに言う。



「大国の復興は問題ないから、二人を頼んだルーク。」


「あぁ、わかっている。」



スードは自身の後ろで準備を整えるルークに声をかける。


ルークはある女性から荷物を受け取る。



「ちゃんと二人のこと気にかけてあげてね。」


「わかって…います。」


「もう!…敬語はやめてって何回も言ったよ?」


「申し訳……すまない、キャシィ…。」



ルークは自身の想いを伝え、それを理解してくれたキャシィと静かにキスをして、レタとアイヨのもとへ向かう。



「まさかレタ君があんなことを言うなんて…」



スードの横で口にするテギィ。


テギィは大国の復興に力を注いでいた際のレタの発言を思い返す。






俺、アイヨとこの世界を冒険したいんです!






「本来なら世界が崩壊しかけたばかりでそんなことって言うところだけど…」


「はい、レタ君の目的は…」



レタがこの世界を冒険する理由、


それは…






もっといろんな人に会って聞きたいんです。その人の物語を。






それは、"ある青年"が夢に抱いたことを叶えるため。



「ハイド、見ていてね。」



ルークと合流したレタはアイヨと手を繋ぎ、王都を出る。






空に空いた穴が閉じた時に理解した。



きみが世界を救ったのだと。



俺は知っているよ。



流浪人だけじゃない。



この世界を、そして向こう側の世界を救ったのはハイド、きみなんだって。






レタは空を見上げながら呟く。



「ありがとう、ハイド。」































「…というのが”天地神焉記”、今から80年以上前に起きた話だよ。」



「え~これほんとのお話~?」



「あぁ、もちろんだとも。なにせおじいちゃんもこの物語を経験しているからねぇ。」



「そーなのー!?」



「前に話したこの世界を救ったある青年と出会った少年がいただろう?…それがおじいちゃんだよ。」



「もしかしておじーちゃんのその不思議な力はその影の英雄さんからもらったの??」



「まさか、この力は生まれつきだよ。」



「へ~…不思議な話もあるんだね~」



「そうだねぇ…」



「ねー!”レタおじーちゃん!”今度はぼくのお話きいてよ!」



「あぁ、いいとも。どんなお話か楽しみだよ。」





「ハイド」 完。

今まで読んでいただきありがとうございました!


1章から追いかけて読んでくれた方、少し面白そうだなと思って立ち寄ってくれた方、皆様に感謝です!!

おかげで最後まで書き続けることができました。


しばらくは小説の投稿はする予定はありませんが、イラストの方は依頼し続けていこうかなと思っています!

また、「ハイド」本編の番外編などは不定期ですが作ろうかなとも思っています。


その時はぜひ立ち寄っていただけたら嬉しいです!



ご愛読ありがとうございました。

何か感想があればコメント・メッセージでいただけたら嬉しいです。

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