表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイド  作者: じょじょ
ハイド 最終章 ~天地神焉記~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/98

22話「隠されし神話」

天地に安寧を、


神を砕きし英雄の裏で語られるのは、


隠されし覇者の物語。

17:00 レヴァリィ世界

インビディア大国・都市内部



「ッ…」


「起きたか…」


「ルーク…さん…?」



目を覚ますレタ。


レタの目の前には自身の手当てを行うルークの姿があった。



「みんなは…!?」



レタが飛び起きる。


自分の記憶ではグリーンとの戦いの最中、気を失っていたからだ。



「これは…」



飛び起きたレタは周囲の様子を見渡す。


そこには傷こそ負っているものの、共にグリーンと対峙した者たちが仲間の手当てや救助を行っていた。



「レタ~!」


「アイヨ?よかった無事だっ…う、うわ…!?」



レタが目を覚ましたことに気が付いたアイヨがレタに抱き着く。



「みてみて!お空元に戻ったー!」



アイヨが上空を指さす。


そこには先ほどまでと異なり空の歪みが消失していた。


レタはそこでグリーンが倒されたことを理解したのだ。



「終わったみたいだ…」



ルークがとある方向の上空を見上げながらレタに声をかける。


その方向はまさに英雄が自身の物語を終えた地、リヴィディン大国だ。



ルークがこれまで出会ったヘーロスやアドルフたちを脳裏に思い浮かべる。


そしてルークはかつてアロガンティア大国で流浪人の一人であるエヴァとの約束を思い出す。






「この戦いや…今の状況が落ち着いたらインビディア大国に行って、自分の想いを彼女にちゃんと伝えて。」






それを聞いたルークは後方で仲睦まじく抱き合うレタとアイヨを見て静かに笑みを浮かべる。



「ありがとう…流浪人…。」



ルークがレタ達のもとへ向かう。


一方、その頃同じく一命を取りとめていた聖騎士団のスードは壊れた瓦礫から仲間の証となる聖騎士団の紋章を手に取る。



「ロイフさん…」



スードは第二部隊の隊長でありグリーンとの戦いで命を落としたロイフの折れた剣を手に持ち、付近の瓦礫に腰を下ろす。



「スード隊長…!」



そこにスードを呼ぶ声が。



「テギィくんか?」


「すみません、コッチにはもう…」



二人は目を覚ましてすぐに自分たち以外の生存者を探していた。


ルークやアセティア大国の兵、アランもその一人だ。


だが、同じく聖騎士団の一員であった者たちの姿はすでに二人を除いてどこにもいなかったのだ。



テギィはスードの横に座り、スードの手にある紋章とロイフの剣に視線を移す。



「それは…」


「僕もこれだけしか見つけられなかったよ。」



スードはテギィに紋章とロイフの剣を渡す。



「君が持っている方が適任だよ。」


「スード隊長…」


「…僕らだけになっちゃったね。」



スードは小さな声で呟いた。


テギィは自身な薄れゆく意識の中で見た記憶を思い出す。






「ここは…もう限界だ…!逃げるぞミミちゃん…!」


「負傷した皆さんを置いてはいけないです…!せめて…!テギィさんだけでも…!!」



それはグリーンにより炎を纏った瓦礫の雨で民家が崩壊しかける中、自身の手当てを死んでも行おうとするミミ、そしてその覚悟を理解しギリギリまでミミと自分を崩れる天井から守るシャルケルだった。



テギィは二人の仲間によって命を救われていたのだった。



自身が完全に意識を取り戻した頃にはすでに戦いは終わり、目の前には潰れた民家、そして周囲には炎の海と化した都市が目に映っていた。






テギィは渡された紋章を握りしめ、スードの肩に手を置く。



「でも…!生き残ったじゃないですか!

俺たちは世界に平和を実現すべく聖なる称号を受けし兵士ですよ!

この戦いが終わったことをインビディア大国や他の大国に伝える義務が俺達にはあります!」



テギィは立ち上がりスードに手を差し伸べる。


自分だけが何の戦果も残せず、生き残ってしまった。


そう心から悔やむテギィだったが、それが命を燃やし続けた仲間たちの侮辱になると理解する。



テギィの発言を聞いたスードはテギィの手を取り立ち上がる。



「そうだね、帰ろう。インビディア大国へ。」






17:00 レヴァリィ世界

クヴィディタス大国・都市内部



同時刻、クヴィディタス大国のとある都市ではクヴィディタス帝国軍の兵士とともに機械兵の群れを打倒したクリスティーナ大佐が市民の救助を行っていた。



「動ける兵士は市民の救助を最優先にお願いします!」



クリスティーナ大佐は自身の負傷したケガをとある兵士を手当てしてもらいながら他の兵士に指示を送る。



「まさか…あなたが生きていたなんて…助けてくれてありがとう、ブリュンヒルデ少佐。」



クリスティーナ大佐のケガを手当てしていたのは7大国決戦でイラ大国にいたブリュンヒルデ少佐だった。


ブリュンヒルデ少佐は7大国決戦でイラ大国が滅亡する直前でアンゼルム国衛隊長やジークリット軍曹によって大国から逃げ延びていた。



「問題ない大佐、私は…本来あそこで部下たちと共に死する運命だった人間です。」


「けど…みんながあなたを生かした。そしてあなたが今まで生きてきた意味はあった…」


「だと…いいですが…」


「見て、少佐。あなたのおかげでここにいる民や私たちは救われたのよ。」



そこには救助される民がクリスティーナ大佐やブリュンヒルデ少佐に礼をする姿が。


それを見たブリュンヒルデ少佐は目をそらしながら小さく嘆く。



「争いなんて…すべきじゃなかった…」



それを聞いたクリスティーナ大佐が自分の手に握られた剣を見つめる。



「それはほとんどの人がそうよ。

私たちだけじゃない、他国の者だって最初は争いなんて望んでいないはず。

それでも人は自分の欲に負けてしまう…だから私たちは助け合わないといけない…そう思うの。」



クリスティーナ大佐は同じ大国の仲間やこれまで出会ってきた他国の者を脳裏に浮かべる。



「(まぁ…将軍は違うかもしれないけど…)」



自身の上司であり、信頼における将軍であったヴァレンティーンを思い浮かべながら、彼だけは先の発言にはそぐわない人間だと内心苦笑いをうかべるクリスティーナ。



「その通りよ。」



クリスティーナ大佐の発言に共感する人物。


それはアロガンティア大国の王女、ジェシカ王女だった。



ブリュンヒルデ少佐はクヴィディタス大国に機械兵が襲撃するのを目の当たりにして隣国であるアロガンティア大国のジェシカ王女に助けを求めていたのだ。


そしてその甲斐あってクリスティーナ大佐やクヴィディタス帝国軍の兵士は全滅せずに機械兵を倒すことに成功したのだ。



「これまで他国の領地を奪うべく、秘宝をその手にすべく行ってきた争いも終わりよ。

私たちは今までに起きたこの事実を次の世代へと伝えていかなければならないわ。」



ジェシカ王女のもとにアロガンティア大国の兵が集まる。


そしてジェシカ王女が膝をつくとそれに続いて後ろの兵も膝をつく。



「今日はその争いを断つ第一歩としましょう。

クリスティーナ大佐、あなたを今よりクヴィディタス大国の統治者として聞きます。

私たちアロガンティア大国は平和を築くため参りました。

どうか、あなた方に、そして世界に平和をもたらせるよう共に同盟関係になりませんか?」



それを聞いたクリスティーナが笑みを浮かべながら口にする。



「もちろん、よろこんで。

共に平和を築きましょう。」






17:00 現実世界

アウトエリア:地区Ⅲ



「ヘーロス…」



グリーンとの戦いに決着をつけ、リヴィディン大国で息を引き取るのを現実世界で確認するソフィアたち。



現実世界のヘーロスは安心したような穏やかな表情を浮かべながら目を閉じている。


そんなヘーロスの身体をそっと抱きしめるソフィア。



「お疲れ、英雄ヒーロー。」



ソフィアに続いてリアム、ダニーがヘーロスに寄り添う。


大きな声をあげながら泣くリアム、目を閉じ涙をこぼしながらもヘーロスの手をしっかり握るダニー。


そんな三人を見つめるレオンハルト。



「ありがとうヘーロス、おかげで世界は救われた…。」



モニターに映るレヴァリィ世界、そして現実世界の周囲の様子を見ながら口にするレオンハルト。






現実世界、レヴァリィ世界、二つの世界に降臨したグリーン・ウィザースプーンを倒した英雄ヘーロス・ベルモンテ。



英雄の物語は二つの世界を支配する神を倒したことで幕を降ろした。



世界の危機は英雄によって救われた。



文字通りヘーロス・ベルモンテは世界を救った”英雄”となったのだ。






だが、






天地神焉記の終着点は…






「ハイド…」






二人の兄弟に回帰する。











~十四日目~


深層世界・無意識領域



「深層世界か…ここで私を倒そうと?」



ラグナロクは周囲の様子を見て自身が深層世界にいることを理解する。



「お前には興味がないんだがな…ハイド。」



ラグナロクがハイドに言い放つ。


現実世界でヘーロスによりハイドと共に深層世界に引き込まれたラグナロクは不服な表情でハイドを睨めつける。



「俺だってお前なんかに興味はない…」



そんなラグナロクを前にハイドは深層世界に入ったことを確認すると目つきが変わる。



「終わらせるぞ、兄弟ゲンカをよ。」






「ほう…まだこの身体を…リベルに執着するか。」


「お前こそ、肉体を手にした途端ヘーロスさんと対峙しようなんて[[rb:他人 > ひと]]のこと言えるタチか?」



ハイドの発言に僅かに表情が歪むラグナロク。



「…いいだろう、まずはお前を完膚無きまでに打ち砕いてやる。

楽しみはその後に取っておくとしよう。」



ラグナロクがハイドを敵と認識し構える。



「知ってるか?楽しみは取っておきにしすぎると廃るって。」


「口の減らない…ガキが。」



ラグナロクはハイドに急接近する。



「!!」



咄嗟にハイドはラグナロクの攻撃から距離を取ろうとする。


しかし、死角から足に巻き付いてきたのはラグナロクが放った触手だ。



「(まずい…!)」



ラグナロクのもとへ引き寄せられるハイド。


だがハイドは自身の真理の神秘ダブマを開放する。


真理の神秘ダブマから空気の情報を取り出し、ラグナロクの目の前に空気の層を形成する。


それによりラグナロクの攻撃はハイドの手前で防がれる。



だが、ラグナロクは不敵な笑みを浮かべる。



「それで防いだつもりか?」


「!!」



ハイドを囲むようにラグナロクの触手が襲い掛かる。



「私の掌ばかりに気を取られすぎだな。」


「チッ…!」



腕から血を流すハイド。


なんとか触手の攻撃を切り抜けたハイドだが、腕に傷を負う。

傷を負ったハイドを見てラグナロクは脳裏にかつて自身と相対したヘーロスの祖先、ブラック・ベルモンテ、そして先刻現実世界で拳を交えたヘーロスとの戦いを振り返る。



「やはりお前は取るに足らんな…」






1万年前…



あの男、ブラック・ベルモンテはこの私に立ちはだかった。



彼はその圧倒的な戦闘能力でこの私を、死という概念のない私に恐怖を植えつけた。



初めてだった。



私が他の者に惹かれ、高揚したのは。



これが元来生物が持つ生や死による感情なのだと理解した。



あの時は敗北こそした私だが、叶うのなら私があの時受けた感情をもう一度味わいたい。




だが、それは…






「…お前ではない。」



ラグナロクがハイドに殺気をこぼす。



「ここにはベルモンテはいない…かつてと同じ結果にはならんぞ。」



ラグナロクが自身の周囲に触手を展開する。


しかし、そんなラグナロクの瞳からは血の涙が垂れていた。



深層に刻まれる運命

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ