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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 最終章 ~天地神焉記~

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17話「神々の宴」

名も無き日よりいずる超常の禍殃かおう


天地を語りし神の世界、


理を忘れし不滅の化身、


それに臨むは世界を背負いし英雄の悪魔。

15:15 現実世界

アウトエリア・地区Ⅱ



超越せし指輪アポクリプシを身に着けたことで能力を会得したヘーロス・ベルモンテ。



グリーンのもとにラグナロクとウィルフォードが集う。


先ほどと異なり新たな力を獲得したヘーロスを見るラグナロク。



「その能力ちからレヴァリィ世界あっちで所持していたものだろう。」



ラグナロクは自身の肉体であるリベルの記憶からヘーロスの能力が空間支配だと理解する。


また、ウィルフォードもヴィクトールからの報告でヘーロスの驚異的な能力を理解していた。



「その能力ちから…今ここで見せてもらおう…」


「…言われなくても。」






「!!!」




ラグナロクたち三人が同時にヘーロスの動きに反応する。




ヘーロスは自身の掌にある空間を一気に収縮する。



周囲の空間が一気に歪み始める。



ラグナロクは上空へ、グリーンとウィルフォードはそれぞれ左右へと後退しヘーロスから距離をとる。



「(凄まじい空間圧縮だ…)」


「(来たな…これがヴィクトールの言っていた殲越十二戦士を壊滅に追い込んだ…)」











虚殲きょせん











ヘーロスが放った虚殲が地区Ⅱ全域を巻き込む。



かつてレヴァリィ世界で殲越十二戦士に放った出力30%の虚殲、


その倍以上の出力を以てしてヘーロスは戦いの狼煙を上げる。




アウトエリア・地区Ⅱに存在する空間全てを巻き込んだ神々の宴が始まる…!!






15:15 現実世界

アウトエリア・地区Ⅱ跡地



触れた箇所の空間を消滅させる虚殲。


虚殲は発動時、強力な引力が発生し周囲の物体を吸い寄せる。


さらに時間差で炸裂することで飲み込んだ空間を吐き出すように衝撃を放ち高範囲に被害をもたらす。



虚殲の消滅効果はあくまで炸裂前の時にのみ起こるものだが、



出力60%以上の虚殲は炸裂前の時点ですでにアウトエリアの地区Ⅱ全域を飲み込み、




地区Ⅱが消滅する。




消滅した空間が大きいことで周囲の空間が元に戻ろうと歪み始める。


上空で虚殲の攻撃を回避するラグナロク。


そんなラグナロクは空間ごと消失させるヘーロスの虚殲を見て笑みを浮かべる。



「いいぞ…!!こんな世界は初めて見る…!!!」



そんなラグナロクのはるか上空から襲い掛かるヘーロス。


ラグナロクはヘーロスの攻撃を防ぐ。


しかし、攻撃と同時に空間にも打撃を加えるヘーロスの攻撃はラグナロクの防御を無効化する。



「グッ…!!」



ヘーロスの打撃の威力を直接受けるラグナロク。


だが、ラグナロクは態勢を変えヘーロスの拳を受け流す。



拳を受け流されたことでヘーロスが地上に着地する。



そんなヘーロスの頭上からラグナロクによる無数の触手が襲い掛かる。


ヘーロスはラグナロクの触手による攻撃は自身の能力による空間湾曲でも防げないと察し、触手の攻撃を回避する。


すると無数の触手の中からヘーロスに迫りくるグリーン。



ヘーロスはグリーンの拳を受け止める。



「…!!」


「どうだ?俺様の願いは貴様に触れることを許したぞ?」



グリーンがエリックの肉体から放つ肉弾戦でヘーロスと拳を交える。


その周囲からラグナロクの触手が襲い掛かる。



ヘーロスはグリーンから距離を取り、ラグナロクの触手による攻撃を空間を叩き割ることで存在ごと破壊する。


その威力は周囲に大きな亀裂音を響かせながら衝撃を生む。



だが、その様子を見たラグナロクとグリーンは依然と表情を崩さない。


そこにウィルフォードが現れる。


すでに原形を留めていないほどの損傷を追っているウィルフォードだが瞬く間に再生し元通りになる。



「この能力ちから…まるで惑星でも相手にしているかのようだ…」


「まさか…いきなりこの地区ごと消滅させるとは思いもよらなかったぞ…」


「だが3対1には変わりない。」



存在を支配するラグナロクの攻撃、今では自身に匹敵する身体能力を持つグリーン、そして不死のウィルフォード。


すでに人としての理を捨てた者たちを前にヘーロスは出し惜しみなく自身の力をぶつける。



先の攻防はまだ序の口…


敵の出方を伺うための前菜…



ヘーロスが放つ殺気にラグナロクたちが戦慄する。



「さぁ、終わらせるぞ。」


「クックッ…人間風情が…」


「人間風情…?…ここに人間やめてない奴がいると思ってんのか?」


「(来る…!!)」



ウィルフォードが気が付いたその時、


すでにヘーロスはグリーンの目の前に接近していた。



ヘーロスとグリーンの拳がぶつかり合う。


その凄まじい衝撃の余波によりウィルフォードの半身が粉々になる。



ヘーロスとグリーンの激しい攻防が繰り広げられる。


グリーンは自身の掌から周囲の地面が抉れるほどの衝撃波を放つ。


その衝撃波を受け地区Ⅲの建造物まで吹き飛ばされるヘーロス。



建造物の壁を破壊しながらラグナロクの触手がヘーロスに襲い掛かる。



ヘーロスは周囲の空間を破壊し触手を退ける。


その背後に迫るのはグリーン。


グリーンの存在に気が付いたヘーロス。


ヘーロスは目の前の空間に指を置き、水平に線を描くようになぞる。



「!?」



するとなぞった部分の空間に亀裂が生じる。


ヘーロスは亀裂の走った空間に手を置き、力を込める。


空間がまるでガラスのように割れ、破壊された空間の残骸がグリーンに襲い掛かる。


グリーンの身体に空間の破片が斬り刻むように飛んでいき、グリーンの肉体を傷つける。



「クッ!!(ただの切断じゃない…空間ごとこの身体の肉を斬ったのか…!!)」



ヘーロスがグリーンに接近する。



「お返しだ。」



グリーンの腹部に強烈な一撃を加えるヘーロス。


その威力はグリーンを貫通しその直線状にあるビル群を破壊する。


グリーンはヘーロスの攻撃によって地区Ⅰの方向にまで殴り飛ばされる。


だが、ヘーロスの周囲に再びラグナロクの触手と共にウィルフォードが襲い掛かる。



ウィルフォードの攻撃を空間湾曲によって逸らすヘーロス。



「お前の攻撃は無意味だ。」


「あぁ、だが不死身の私に敗北はないよ。」



ウィルフォードごと巻き込むようにラグナロクの触手がヘーロスを襲う。


だが、ヘーロスは自身の周囲に無数の黒い球のようなものを放つ。



「ッ!!(これは…!!)」



ヘーロスは出力を5%未満に抑えた超小型の虚殲を無数に放った。


超小型の虚殲はラグナロクの触手や空間に触れた箇所を消滅させていく。



ヘーロスは虚殲を操作しウィルフォードにも数発ぶつけていく。


そして自身の蹴りを加えウィルフォードを遠方へと蹴り飛ばす。



そんなヘーロスに向かうラグナロク。


ラグナロクはヘーロスがウィルフォードに攻撃したことで空間湾曲が解除されたタイミングを見計らって、ヘーロスに攻撃を行う。



「!!」



ラグナロクの掌がヘーロスに触れる直前でヘーロスが態勢を変えて攻撃を防ぐ。


すぐにラグナロクに攻撃を行おうと試みるが、未来跳躍の能力によって姿を消すラグナロク。


そして再び付近に現れヘーロスに攻撃を仕掛けるラグナロク。



自身の触手による攻撃と併用して上手くヘーロスの空間湾曲が発動していない隙に攻撃を行う。


未来跳躍による回避によって縦横無尽に建造物内であらゆる方向からヘーロスに攻撃を繰り出していくラグナロク。




「チッ…!(このままじゃ消耗させられるだけだな…)」



ヘーロスは建造物ごと破壊するために建造物の床に手を当てる。


空間の衝撃のみを床に伝え、建造物が崩壊していく。


ラグナロクが動きを止める。


その隙にヘーロスがラグナロクに接近し、ラグナロクの周囲にある空間を破壊するほどの打撃を繰り出す。



「グハァッ!!」



ラグナロクが激しく吐血し建造物の下敷きとなる。



ヘーロスが崩壊する建造物を隣の建造物から見下ろしながら掌に力を込める。



「最大出力…!!」



ヘーロスは自身が放つ最大出力の虚殲をラグナロクのいる箇所に向けて放とうとする。



しかし、



「!!」



ヘーロスの死角から攻撃を仕掛けるグリーン。


グリーンの肉体は傷は負っているもののヘーロスが想定していたものよりも傷が浅かった。



虚殱の発動を遮られさらに不意をつかれたことでグリーンの拳がヘーロスに直撃する。


だが、息切れひとつ起こさずにヘーロスは態勢を立て直す。



すると遠方から凄まじい速さでヘーロスに向かう液体。


その攻撃はヘーロスの腕を貫き背後の建造物をも貫通する。



「これは…(ナノテック、ウィルフォードか…!)」



自身の腕を射抜いた液体の正体をウィルフォードの放ったナノテックであると理解するヘーロス。


ナノテックはすぐにヘーロスを包むように展開され、ヘーロスの視界を遮る。


その間にヘーロスに向かうグリーン。



ヘーロスは再びグリーンが自身の空間湾曲を無効化した攻撃を仕掛けるつもりだと察し、目の前の空間を破壊しグリーンに攻撃を繰り出す。


空間を破壊した攻撃がグリーンに迫る。



だが、



「なに…!?」


「ようやく想像できたぞ…貴様の…対抗策が!!」



グリーンは空間が破壊された攻撃を受けても平然としていた。




グリーンが願ったものはヘーロスの空間支配能力による耐性だった。




だが、空間を支配する力など当事者以外は理解することすら不可能であろう。


だから待った…




「俺様の願いとしてイメージできるレベルまで…!」



ヘーロスはグリーンに攻撃を行ったことで空間湾曲を解除していた。


周囲のナノテックがヘーロスを拘束する。



「!!」



グリーンの拳周辺の空間が歪み始める。


そして拳をへーロスの胸に直撃させる。


その攻撃はへーロスに直撃したと同時に先ほどのへーロスのような空間の破壊を生んだ。



グリーンは空間支配による耐性を得たことで、へーロスが使用する空間の破壊を不完全ながらも模倣することに成功したのだ。



「ウッ…!!!」



殴り飛ばされるヘーロスだったが…




グリーンの前方には数メートルほど離れた地点で血を流しつつも赤い瞳でこちらを見るヘーロスが立っていた。



「クックッ…咄嗟に重心を移動させて急所をずらしたか…」


「(エリックの身体を上手く利用しやがる…能力も厄介だが、俺に付いてこれるあの身体の方が…)」



グリーンのもとにウィルフォードが来る。


崩壊した建造物からも依然と余裕の笑みを見せるラグナロクが現れる。



「ようやく温まってきた頃だ…」



リベルの身体を動かしながら言い放つラグナロクに視線を移しながらヘーロスが口にする。



「その油断が命取りだぞ。」


「抜かせ、お前もまだ全力ではないだろ?」



いまだヘーロスは自身の実力を出し切っていないことを指摘するラグナロク。



「わかっている、お前の全力ではこの地区はおろか、アウトエリアこのばしょすらも巻き込みかねない。

だが、そんな浅い覚悟で世界とやらを守れると思っているのか?」



それを聞いたヘーロスはラグナロクの問いに答えるかのように全身の力を抜き始める。



ラグナロクは自身の両腕に触手を纏う。



グリーンは自身の首を鳴らしながら構える。



ウィルフォードは自身の身体中にナノテックインプラントを展開する。






15:30 現実世界

アウトエリア・地区Ⅲ



地区Ⅲに響く静寂…


風が四人の間を吹き抜ける。






四人の周囲の空間が渦を巻きだしパキパキと亀裂が走る。


その瞬間に四人が動き始める。



ラグナロクとグリーン、ウィルフォードは同時にヘーロスを攻撃し始める。



空間は壊れ、激しい轟音と共に四人の影が高速で動く。



ラグナロクは自身の触手を纏い、グリーンは自身の能力でヘーロスの空間湾曲を無効化し攻撃を繰り出す。


二人の周囲には空間崩壊による激しい衝撃が巻き起こるが、ウィルフォードがナノテックで防ぎつつ、ウィルフォード自身は肉弾戦でヘーロスに攻撃を行う。



激しい攻防が絶え間なく続いていく。



ウィルフォードの攻撃をヘーロスは空間湾曲で防ぐ。



「お前の攻撃は無意味と言ったはずだ。」



それを聞いて笑みを浮かべるウィルフォード。




ヘーロスが空間湾曲を使用したということは本人が攻撃ではなく防御の姿勢を取っているということ。


それはつまり、


無防備ということ。




グリーンの攻撃を受けるヘーロス。


さらにラグナロクの触手を纏った攻撃が迫る。



ヘーロスは攻撃を避けるが、ラグナロクの触手が突如鋭利な刃物のように伸びる。



「!!」



間合いが伸びたことで刃物状と化したラグナロクの触手がヘーロスの右耳を切断する。


だが、怯むことなくヘーロスは周囲の空間をさらに破壊する。



「ッ!!!(まさかこの男…!!)」


「クックッ…世界を救うと言った貴様がまさか…こんな強行に出るとはな!!!」



アウトエリア・地区Ⅲの空間全域が崩壊し始める。




その光景はまるで世界の終焉…




空間の崩壊により大地は重力を無視し宙に浮かび始める。


さらに空間の崩壊に伴い、空いた空間の穴からは小惑星レベルの引力が発生していた。


すでにウィルフォードのナノテックでは防ぐことも不可能なレベルの空間崩壊…



ラグナロクたちは空間崩壊による自身の身を守ることは捨て、目の前のヘーロスおとこにのみ狙いを定める。



「(この男を殺さねば…新時代もクソもない…!!)」


「マズいな…このままいくと次元すら崩壊しかねんな…」


「お前が終わるか、この空間が完全に崩壊するか、なるほど…やはりお前は私に新たな世界を見せてくれるな!!!」



焦りを見せ始めるウィルフォード、自身の想定を超えた現象に驚愕するグリーン、そして魂や肉体すら本来持ちえないラグナロクは初めて自身が感じる感情に酔いしれていた。



それに対するヘーロスは、



まるでこの世界を統べる…


王の如く、


神の如く、


そして…



内なる悪魔を解き放ったかのような、


笑みを浮かべていた。




「!!…ラグナロク!!」



その表情をみたグリーンが何かを察し、ラグナロクに声かける。



「!!」



突如ラグナロクの身体が千切れる。



「これは…!!(極小の虚殱か!!)」



ヘーロスはラグナロクの周囲にほぼ視認不可能な虚殱を無数に放っていた。


虚殱により引き千切れた身体をラグナロクは触手で固定しつつ、リベルの持つ進化の意慾エクセレクシの肉体変異で修復を試みる。



だが、そんな行為を許すヘーロスではなかった。



ヘーロスの強烈な一撃がラグナロクに直撃する。


ラグナロクが吹き飛んだ軌道上の空間が破壊され、さらに地区Ⅲの空間崩壊が加速する。



ラグナロクは空いた空間の穴へと吸い込まれる。



「!!」



ヘーロスは空いた空間の箇所に手を当てると空間の穴は閉じ始める。


ラグナロクを破壊された空間の穴に閉じ込めたのだ。



グリーンがヘーロスのもとへ接近し攻撃を加える。


グリーンの拳を受け血を流すヘーロスだが、そんな攻撃をものともせずグリーンに反撃を仕掛ける。



「(コイツ…!!)」



グリーンは自身の能力により魂の状態でも存在が可能な唯一の男…


故に理解したのだ。


ヘーロスの内なる魂が凄まじい勢いで肉体に燃やされていることに…




人間は魂を燃やすことで制限された肉体の力を引き出すことができる。




まさに今、ヘーロスは己の魂を燃やし自分の限界を超えているのだった…!!




空間支配への耐性を獲得したグリーンだが、全力を出したへーロスの攻撃にななす術もなくダメージ受ける。


ヘーロスがグリーンに反撃を行ったと同時にウィルフォードがヘーロスにナノテックによる攻撃を仕掛ける。


それによりヘーロスの胸をナノテックが貫く。



だがそんな攻撃すら今のヘーロスは止まらない…!!




「言っただろ…テメェの攻撃は無意味だって…」


「なっ!?」



ヘーロスは掌に発生させた虚殱を潰すように掌を合わせる。


すると凄まじい速度で虚殱が前方へと炸裂する。



それはまるで空間を消失させるビームのようにウィルフォードを襲う。



ウィルフォードの半身が消失する。


さすがのウィルフォードも焦りを見せるも、ウィルフォードは再生を行おうと試みる。



「私はッ!!不死身だ!!!」



ヘーロスがウィルフォードの懐にまで接近する。


ヘーロスの掌には先ほどの戦いで放っていたような大きさとは明らかに異なる出力を誇る虚殲が握られていた。



「なら耐えてみろ。」


「うがぁッ!!!!」



ウィルフォードの削られた半身の断面から直接、虚殲を体内へと入れるヘーロス。


激しく苦しみだすウィルフォード。


徐々に身体からヒビのようなものが生じ、ウィルフォードの肉体がまるで内側から押しつぶされるようにして歪みはじめる。



虚殲が体内で炸裂しウィルフォードの体内に宿るナノテックを全て消滅させたのだ。



ウィルフォードがいた場所には肉塊となった残骸が漂っていた。



それを見たグリーンが冷や汗を滲ませながら口にする。



「クックッ…化け物が…!!」


「当たり前だ、テメェらが相手してんのは殺しだけに生きた悪魔だぞ。」



神々の宴に残るは悪魔の痕跡…

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