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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 最終章 ~天地神焉記~

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16話「亡霊」

失われしものは還りを待たない。


還りを待つのは取り残された記憶だけ。

人には限界がある。



それは人が生物として設計されたその日から決められている。



神を越えぬよう、超常の者に匹敵しうる力を持たぬように。



限界を超えるという行為は己の”魂”を燃料に制限された”肉体”の力を引き出すことである。



しかし、それは同時に自身の破滅を招く危険性がある。



時に解き放った肉体は魂を喰らい尽くし暴走する。



だからこそ、人は魂の制御可能な範疇でしか肉体を動かすことができないよう設計されている。






…はずだった。






~十四日目~


14:55 現実世界

アウトエリア



自身のナイフを磨くヘーロス。


すで数時間前にラグナロクに受けた傷口は塞がりかけていた。



「ホント、君の身体はどうなってんの…」



ソフィアがヘーロスのもとにやってくると液体が内蔵された注射型のカプセルを渡す。



「はい、これ1日1回投与ね。

一時的にだけど身体の疲労と痛みを和らげてくれるから。」



ヘーロスはソフィアから受け取った薬を脚に3本まとめて投与する。



「ちよっとー!!話聞いてた!?

3本なんか投与したら中毒死するよ!!」


「奴らを倒さねぇと明日なんてないんだぞ、問題ない。」


「もう…!(3日分なんて渡さなきゃよかった…!)」


「それより…あいつらはどうだ…?」



ヘーロスがソフィアに尋ねる。



「あー、ハイドとリアムのこと?

残念だけどリアムはヘーロスが言った作戦には参加できないかも。

さっき軽く診断したら脳は損傷してるし、身体の2割が感電してたから。」



リアムはレヴァリィ世界と現実世界、双方の仲介とレヴァリィ世界の活動を同時並行で行ったことで、身体にも脳にも負荷が大きくとても話ができる状態ではなかったのだ。



「まぁ命に別条はないよ。

奇跡的に脳の損傷は軽いものだったし、身体の感電もリアムの脂肪のおかげで大事には至らなかったみたいだから。」


「…ハイドは…」


「あっちでヴァイオレットと話してるよ。」


「そうか、じゃ…」



ヘーロスが立ち上がりハイドのもとへ向かおうとするが…



「ちょ、ちょっと…!何やってんの!」


「ハイドに作戦を…」


「久しぶりにヴァイオレットと会ったんだからもう少し二人だけにしてあげなって!!」


「…?…何故だ…?」


「何故だ…?じゃないわバカ!

ヘーロスもあるでしょ!あーゆー二人の関係!」


「……エリックと…」


「違う!違う!兄弟のじゃなくて交際関係ってこと!」


「……。」


「あっ…!」



そこにダニーとイヴリンがやってくる。



「ソフィア、失礼だぞ。」


「ハイドが作戦について聞きたいって言ってるよ。」



イヴリンがそう言うとハイドとヴァイオレットが部屋に入ってくる。



「ヘーロスさん…」



ハイドの表情はヘーロスが以前に見た頃とはまるで別人のようにたくましくなっていた。



「よし、改めて作戦を伝える。」






15:00 現実世界

アウトエリア・地区Ⅰ



上空を見つめるラグナロク。


その姿を後ろで眺めるウィルフォードが口にする。



ヘーロスかれが本当に来ると?」


「あぁ…かつて…ブラックあのおとこもそうだった。」



ラグナロクはかつて古代人であるヘーロスの先祖ブラック・ベルモンテとの戦いを思い返す。



「…あなた相手にあれほど窮地に陥ったのにですか…?」



そう嘆くウィルフォードを前に上空を見て微笑むラグナロク。



「噂をすればだ…」



ラグナロクが見上げるはるか上空。


そこではソフィアが操縦する滞空ホバークラフトの扉を開けるヘーロスがいた。



「ヘーロス!準備はいい!?」



ソフィアがヘーロスに伝える。



「あぁ。」



ヘーロスは深呼吸した後、後ろにいるハイドの方を振り向き、ハイドの肩に拳を当てる。



「後は頼んだぞ…ハイド。」



そう言ってヘーロスは上空1000m付近から地上に向かって飛び降りる。


降下するヘーロスを見ながらハイドが答える。



「任せてください…!ヘーロスさん…!!」


「ソフィア、帰りの燃料は考えるな、目標地点に急げ!」


「言われなくても!」



ソフィアがダニーの指示で滞空ホバークラフトの速度を上げる。


ホバークラフト内で戦闘準備に取り掛かるダニーとイヴリン。






上空を生身の状態で下降し続けるヘーロス。



ヘーロスは最も速く降下できるよう空気抵抗の少ない垂直状態で地上へと向かう。



その姿を地上から確認するラグナロクとウィルフォード。



「…!!(まさか、防具やパラシュートもない状態で上空から!?)」


「いいぞ…来てみろ…ヘーロス・ベルモンテ…!!」



ラグナロクは自身の背中から無数の触手を解き放つ。


触手は次々とヘーロス目掛けて上空へと凄まじい勢いで向かっていく。



ラグナロクの触手を目視するヘーロス。


ヘーロスは目を閉じ、ここに来る際にハイド達に伝えた作戦の内容を思い返す。











「まず作戦はこうだ、俺が奴らと交戦している間にお前らでアウトエリア中枢にある中核装置を破壊してくれ。」


「ヘーロスさん、中核装置というのは一体…」


「アウトエリアは生きた機械都市だ。

中核装置はそのアウトエリアに存在する機械全てを制御している装置のことだ。

アウトエリアの心臓と言ってもいい。」


「それを破壊することで何になるの?」


「言っただろ、中核装置はアウトエリアの”機械全てを制御”していると。」


「…!!もしかして!!」


「あぁ、俺たちの社会で普段目にするサイバーインプラント、あれはアウトエリアの技術によるものだ。」


「つまり…中核装置を破壊することは…」


「サイバーインプラント施術者全ての機能を停止することができる…?」



ヴァイオレットの発言で皆が一斉にソフィアの左腕についたサイバーインプラントの義手を目にする。



「え!ってことは世界を救うためには私も犠牲になれってこと!?」


「ソフィアは例外だ。」


「なんで??」


「お前はサイバーインプラント内にあるアポカリプスウイルスをワクチンによって除去している。

厳密には中核装置と繋がっているのはそのウイルスだ。」


「よかったぁ~…」


「なるほど、つまり中核装置を破壊さえすれば全人類の6割を犠牲に残りの4割を救える…ということですね。」



ダニーが冷静に今回の作戦の主旨を理解する。



「あぁ、大きな犠牲だ。

だが、彼らを犠牲にしなければより生存者は減る一方だ。」


「でもさヘーロス、君いったいいつから私よりそんな機械に詳しくなったわけ??」


「これはアドルフがクリスから授かったデータによる情報だ。」


「クリスって…ウィザースプーン一族の?

やっぱT.Z.E.Lツェルっていろんなこと知ってるね~」


「今は関心してる場合じゃないですって、ソフィアさん…!」


「とにかく、アウトエリアに着いたら俺を地区Ⅰで降ろしてくれ、奴らはそこにいるはずだ。

ダニー、お前はハイドとそこにいるお前の相棒と協力してソフィアとヴァイオレットが中核装置を破壊するまで守り抜くんだ。」


「守り抜く…とは一体誰からですか?」


「機械生命体…からでしょ。」



イヴリンが口にする。


ヘーロスが少し間を空けながら続ける。



「あぁ、セントラルエリアでの戦闘で一体仕留めそこなった奴がいる。

おそらくお前たちを待ち構えているに違いない。」


「任せてください、守り抜きます。」


「それとハイド。」



ヘーロスがハイドの耳元で何かを伝える。


それを聞いたハイドの表情がより緊張感のある表情へと変化する。



「わかりました、ヘーロスさん…!」



皆がいる中でヘーロスがハイドにのみ何かを伝えた。


だが、その場にいる者全員がそれについて詮索はしなかった。


ハイドにしかできないこと、


皆がそう理解した。


ダニーは作戦を理解しつつも自身が抱く懸念をヘーロスに言う。



「作戦については理解しました。

ですが向かうのは敵地、実際には俺たちが想定している以上のことが待ち受けている可能性が高いと思います。」


「あぁ、たしかに予想外の状況になる可能性の方が高い。

けどな、これはアドルフが考案した作戦だ。

必ず俺たちを勝利へと導いてくれる。」











そのことを胸に抱きながらヘーロスはナイフを取り出す。



「必ず…やり遂げる…!!」



ヘーロスは迫りくる触手を空中で回避しながらラグナロクのいる地上に向かう。



いくらヘーロスといえど上空1000mから地上へ降りるのは無謀。


だが、地上にいるラグナロクは自身を見つけ次第、攻撃を仕掛けると予想したヘーロスはラグナロクの触手を足場にしつつ徐々に降下していく。



「なるほど…私の攻撃は想定済みというわけだな。」



ラグナロクがウィルフォードに合図する。


するとラグナロクの周囲に数十人単位の人間が現れる。



「…!!(あれは…)」



ラグナロクのもとに現れた人間を見たヘーロスはアポカリプスウイルスによってウィルフォードの支配下に置かれた人間だと理解した。



その人間達に触れるラグナロク。


ラグナロクに触れられた人間はテロスとなり、ラグナロクの触手とともにヘーロスに襲い掛かる。



「チッ…!」



ヘーロスはテロスを屠りながら触手の攻撃を回避し続ける。


ヘーロスが徐々にラグナロクのいる地上に迫る。



「(先の戦いより私の攻撃に対応しているな…)」



ラグナロクは自身の攻撃とテロスによる襲撃をものともしないヘーロスを見て、彼の適応力の高さに驚愕する。



ラグナロクが内で思う頃にはすでに自身の頭上付近にまで接近しているヘーロス。


ヘーロスの攻撃がラグナロクに迫る。


しかし、ラグナロクの攻撃を身を挺して守ったのはウィルフォードだった。



「邪魔だ、ウィルフォード。」


「酷いね…もう私に飽きたのかい?」



ウィルフォードはヘーロスに胸をナイフで貫かれながらも涼しい顔をしてヘーロスを挑発する。


するとラグナロクがウィルフォードごと自身の触手をヘーロスに襲わせる。


ヘーロスはナイフから手を離し距離をとる。



「(ウィルフォードごと俺に攻撃を…)」



触手によって身体中穴だらけになったウィルフォードもすぐに再生する。


ウィルフォードが自身の胸に刺さったヘーロスのナイフを抜き取る。



「やはり…一筋縄じゃいかないね…」


「当然だ、これでやられてもらっては困る。」



ラグナロクがウィルフォードからヘーロスのナイフを受け取るとラグナロクはそれをヘーロスに向けて投げる。



ナイフを受け取るヘーロス。



「地の利はお前らにある、もう油断はしない。」



ヘーロスがナイフを逆手に持ち構える。


ラグナロクとヘーロスが再び動き出す。



「油断はしない…ね…」



その様子を見るウィルフォード。


ウィルフォードはヘーロスのセリフを口にすると不敵な笑みを浮かべる。



「さて…ヘーロス・ベルモンテ…君の考えうる想定は一体どの程度かな…?」






15:00 現実世界

アウトエリア・中枢箇所



「そろそろだ、みんな準備はいい?」



ソフィアがハイド達に呼びかける。


ソフィアの後ろには覚悟の決まったハイド達がいた。



「はい…!」


「あぁ、問題ない。」


「行くよ、最後の戦いだよ。」



ソフィアは滞空ホバークラフトを着陸させると速やかにハイド達を下ろす。



ソフィアとヴァイオレットもホバークラフトを降りてあらかじめヘーロスに伝えられた中核装置の場所へと走る。


しかし、その方向には機械生命体のR-01が待ち構えていた。



「やっぱり…」


「いたね…!ダニー!」



R-01の背後から銃撃を行うダニー。


その銃撃を回避しR-01がソフィアのもとに走る。


だが、ハイドが両者の間に割り込みR-01の攻撃からソフィアたちを防ぐ。



「ここは俺たちがやります!」


「任せたよ!ハイド!」


「悪イガ…ハイド様…ココヲ通スワケニハイカナイ。」


「…!!」



ソフィアたちの目の前に立ちはだかるもう二つの人影。


それは機械生命体のR-02、R-03だった。



「人間ガコノエリアニマデ足ヲ運ブトハ、身ノ程ヲ知レ…!!」


「ハハッ!今日ハイツニナク怒ッテルナR-02!」



二人の機械生命体の攻撃がソフィアとヴァイオレットを襲う。


だが、その攻撃はイヴリンのナノテックインプラントによって難を逃れる。



「行って!!」



ハイド達と機械生命体は互いに距離を取る。



「まさか…他にも機械生命体が…」


「想定外だが…やるしかない…二人とも行くぞ。」



ダニーが銃をリロードし、ハイドとイヴリンに声をかけ走る。


その後に続くハイドとイヴリン。






15:05 現実世界

アウトエリア・地区Ⅰ



場面戻り、ヘーロスとラグナロク二人による激しい闘いがアウトエリアを巻き込んでいく。


ラグナロクの掌に細心の注意を払いつつ触手による攻撃を回避し続けるヘーロス。



「避けてばかりで私を倒せるのか!?」



ラグナロクはさらに触手を展開しヘーロスの逃げ場を徐々に塞いでいく。



アウトエリアに存在する建造物を上手く利用して巧みに攻撃を回避するヘーロスの背後からウィルフォードが攻撃を繰り出す。


すぐにヘーロスが攻撃を受け止め反撃を行うも、ウィルフォードが受けた攻撃はたちまち再生していく。



「チッ…」


「(あくまで私とは一定の距離を取り、優先対象はラグナロクということか…

やはり戦闘においては彼の方があらゆる面において秀でている…)」



回避に徹するヘーロスを見るウィルフォードが内で呟く。



「(だが、君は知らない…私たちには君を倒すためのカードがまだ残っていることを…!!)」



依然ラグナロクの触手攻撃を避けながら戦況を慎重に分析するヘーロス。



「!!」



そんなヘーロスの背後をとる一人の影。



ウィルフォードの位置は把握していた。


ラグナロクやウィルフォードとは異なる人物による介入であると理解したヘーロスは殺意をもってして背後の者に攻撃を仕掛けようと試みる。






「は…?」






ここはアウトエリア。


敵地であることを理解していたヘーロスは作戦が思い通りに運ぶとは思っていなかった。



自身の想定を超えることが起きてもおかしくはないと。



そう心に決めてラグナロクたちとの戦いに挑んだ。




だが、






「やぁ、兄さん。」






有り得ない。




ヘーロスの身体に殺意が消え去り、赤き瞳が元に戻る。



ヘーロスは理解できなかったのではない、



目の前に起きた現象に対し、






理解することを拒絶した。






かつて世界最強の殺し屋として恐れられ、



今から2年前に起きた事件”テミスの悪夢”から人々を救ったことで”英雄”の異名を授かりし男の脳内に蘇るは…




最愛の家族と過ごした日々…






目の前にいた人物を見て涙を流すヘーロス。


そこにはヘーロス自身の手で殺めたはずの…



「エリック…」


「おいおい、戦闘中に殺意を解くのは愚行だぞ?」



目の前にいた人物、エリックは自身に接近し強烈な攻撃を仕掛ける。



「グハァッ…!!」



激しく吐血し、周囲の建造物を破壊しながら飛ばされるヘーロス。






16話「亡霊」



15:10 現実世界

アウトエリア・地区Ⅱ



ヘーロスが飛ばされた先にはREVERIEに繋がれた者たちが眠るカプセルが周囲に置かれていた。



「ここは…」



REVERIEが存在しているのはアウトエリアの地区Ⅱ、地区Ⅲ、地区Ⅴの3箇所だ。


ヘーロスは地区Ⅰから殴り飛ばされここまで飛ばされたのだと理解する。


そこにエリックが現れる。



「本気で攻撃したが…まぁ生きてるだろうな…」


「…誰だ…お前…」



ヘーロスがエリックを見て問う。



「クックッ…忘れたの?俺を殺したのは兄さんな…」


「ふざけるな!!」



ヘーロスが激しく声を荒げる。



「エリックは…俺たち兄弟は…殺意を持つと瞳が赤く変化する…

だがお前は!!違う!!てめぇは誰だ!!!」



ヘーロスの瞳が再び赤く染まる。


怒るヘーロスを見て笑みを浮かべるエリックの姿をした人物の瞳は緑色に染まっていた。



「クックッ…いい顔だ…」



エリックの姿をした人物がそう言うとそこにウィルフォードが到着する。



「いかがですか、グリーン様。」


「グリーン…だと…!?」



ウィルフォードの発言を聞いて驚愕するヘーロス。



「あぁ、やはり古代人の血を強く持つだけはある、ベルモンテの血は。」


「お前…!…エリックの身体を…!」


「そう怒るな、ベルモンテ。

たまたま魂のない肉体がお前の弟だったにすぎん。

むしろ光栄に思え、戦いでしか真価を活かせんお前らの肉体を神である俺様の魂によって世界を統べることができることを。」



それを聞いたヘーロスが怒りエリックの肉体に憑依したグリーンに襲い掛かる。


グリーンはヘーロスの攻撃を受け止める。



「今のお前に!もう一度この身体を殺す覚悟があるのか!?」



グリーンがヘーロスの攻撃を跳ね除けると周囲に無数の瓦礫がヘーロスに襲い掛かる。



「これは…!?」



ハイドが現実世界に帰還した時、ヘーロスはハイドからグリーンはレヴァリィ世界に存在する[[rb:心魂の憧憬 > シール]]そのものであり、秘宝の能力を使用できることを伝えていた。



「(願いの具現化か!!)」



瓦礫による攻撃を受けるヘーロス。


すぐにヘーロスの目の前にまで接近したグリーンが肉弾戦でヘーロスを追い詰める。


瓦礫による攻撃、そしていまだ相手がエリックの肉体であることに動揺するヘーロスは防御が間に合わず、攻撃を受け続ける。



ラグナロクやウィルフォードと異なり、自身と同様に異次元の身体能力を持つエリックの肉体から繰り出される攻撃は確実にヘーロスにダメージを与えていた。



その光景を見つめるウィルフォード。



「これでヘーロス・ベルモンテは…」



勝利を確信したウィルフォード。


だが、ウィルフォードの後方にいるREVERIEに繋がれた一人の人物が動き出す。



「??」



REVERIEに繋がれた人物は自身に繋がれたチューブを外す。



「(どいうことだ!?)」



これまでREVERIEに繋がれた者が自力で目覚めた前例はない。






しかし、可能性はあった。






超越せし指輪アポクリプシ


それは指にはめた者を”覚醒”させる。


過去にこの秘宝を使用してハイドはレヴァリィ世界から現実世界へと目覚めることに成功している。


そして今レヴァリィ世界でその秘宝を手にしているのは…




"鬼神"レオンハルトだ。






「ヘーロス・ベルモンテ…!!!」


「!!」



目覚めた瞬間に周囲の状況を見たレオンハルトがヘーロスを呼ぶ。



声を上げる人物を見て驚愕するヘーロス。


だが、ヘーロスはすぐに状況を理解し、グリーンの攻撃にカウンターを行う。



僅かにグリーンが自身との間に距離が開いた隙にヘーロスはその人物のもとに走り出す。



「あれは…!!(まずい…!!)」



グリーンはヘーロスを呼ぶ人物の指についた超越せし指輪アポクリプシを見て顔が青ざめる。



「ウィルフォード!!そのレオンハルトおとこを殺せ!!」



グリーンの指示でウィルフォードが行動に移す。


だがヘーロスはナイフをウィルフォードに投げつける。



「なっ!?」



背後からの攻撃でウィルフォードは為す術もなくナイフが身体に突き刺さり、そのままナイフの投げた方向にある建造物に衝突する。



カプセルから出たレオンハルトは現実世界で初めて目覚めたことで思うように足が動かなかった。


だが、レオンハルトはレヴァリィ世界でウォルターから言われた発言を思い返す。






「僕らは橋渡しさ~…」




「君は”それ”を届けること、そして僕は君を送り届けるのが役目…」




「だから頼むよ~…?

君が死ねば、この世界は滅んじゃうからね~…」






レオンハルトが足に力を込め立ち上がる。



「(お前が役目を果たしたんだ、俺だって…!!!)」



そんなレオンハルトの頭上でこの様子を見つめるラグナロク。



「何やら面白い状況じゃないか…」



ラグナロクの触手がレオンハルトを襲う。


レオンハルトの片腕に触手が突き刺さる。


腕に走る激痛をこらえて歯を食いしばるレオンハルト。



「(元々レヴァリィ世界あっちじゃ左腕それは無ぇよ!!!)」



突き刺さった腕を引き千切りながらレオンハルトがヘーロスのもとに向かう。


それを見るグリーンがラグナロクに声をかける。



「ラグナロク!奴らを止めろ!!」



それを聞いたラグナロクは上空で腕を組みながら笑う。



「何を恐れる、貴様は神とやらなのだろう?」


「ッ!状況が理解できないのか…!!」



あえてヘーロスたちの邪魔をするのを中断するラグナロク。


グリーンは依然ヘーロスに超越せし指輪アポクリプシが渡るのを阻止すべく走る。



「クソッ!(間に合わない…!!)」



レオンハルトが自身の指から超越せし指輪アポクリプシを抜き取りヘーロスに向けて投げる。



それを受け取るヘーロスが超越せし指輪アポクリプシを指にはめる。


すると光がヘーロスを包み込む。



「チッ!!」






古代人グリーン・ウィザースプーンは理解している。



”覚醒”とは己の内なる力を引き出すことであると。



かつて古代人が繁栄した時代で、自身を含めパラフィシカーとなった者は例外なく、


超越せし指輪アポクリプシを使用していたことを…!!



レヴァリィ世界での覚醒は現実へと目を覚ますこと、


だが、現実での覚醒は所有者に能力ちからを授けること…






ヘーロスの姿を見てその場で倒れながらも力強く口にするレオンハルト。



「届けたぞ……英雄…!!」



光が徐々に消え、ヘーロスの姿が露わとなる。



「あぁ、届いたぞ。」



目の前にいるグリーンを見つめるヘーロス。



「行くぞ、亡霊…」



神を砕きし英雄、ここに降誕…!

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