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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 最終章 ~天地神焉記~

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14話「神罰と救済」

罰を受ける者、


救いを求める者、


それはどちらも等しく神の掌に躍る人形。

~十四日目~


10:15 レヴァリィ世界

インビディア大国・王都内部



「王、大変です…!」


「あぁ、見えているよ。」



インビディア大国の王都。


そこでジョセフ王が見たもの、それは遥か彼方先で大きな爆炎が立ち込める様子だった。



「あの方角はアロガンティア大国の王都…(みんな…)」






~十四日目~


10:15 レヴァリィ世界

アセティア大国・とある地区



「急ぐんだ!」



多くの兵と共に馬車を走らせるのは今は亡きジリアンの王の側近であり、王の弟キリアンの親友であるアランだ。


すると馬車の積み荷のひとつが箱に変わる。



「ッ…!」



突如、箱から出現するアローラたち。



「無事か?」



アローラに声をかけるアラン。



「ここは…」


「アセティア大国だ、”死神”の保険がこんな形で…」


「まさか…」



先ほどウォルターによって断絶の籠ディアスタスケージで取り込まれ、ここアセティア大国に転送されたのだと理解するルーク。



「あの人が私たちを助けてくれたのー?」



アイヨがレタに問いかける。


それを聞いたアローラが小さくうなづく。



「ウォルターのやつ…」


「彼がここに来た際、アロガンティア大国で最悪の事態が起きた場合に備えて、あらかじめ俺たちの所持品を彼の能力下に。」



そうアローラたちに説明するアラン。


ウォルターはアランたちの所持品を自身の能力”認識誤認”によって箱に誤認できるようにあらかじめ細工しておいたのだ。


万が一、戦いから退く可能性が出た場合に備えて。



そしてその備えは奇しくも…






「一体…ここは…」


「私たちさっきまで王都で…」



「皆さん、落ち着いてください!」



「あ、あなたは…!?」


「アセティア大国の…」


「キリアン殿!?」






他者の命を救う最善の備えとなった…!



アセティア大国の王都では多くのアロガンティア大国の民が次々と箱から姿を現す。


それを予測していたかのようにキリアンは兵と共に民の手当てや避難所へと誘導していた。




「まさか…あの”死神”と言われたウォルターに命を救われるなんてな。」


「皮肉にもアイツの持つ秘宝がこの状況で最も命を救える可能性があるものだった。

全てではないにしても多くの命があいつによって救われた。」



アローラとルークはウォルターの行動に苦笑いを浮かべながらもこの現状に安堵した。


アランは積み荷に座るルークの肩に手を置き、こう口にする。



「”死神”だけじゃない、お前だってある一人の命を救った。その選択が多くの命を救う結果に繋がったんだ。」



アランはかつて7大国決戦で負傷した自分をキリアンのもとに預けたルークのことを思い浮かべていた。


そんなアランの一言、それは孤独にも平和を願い、一人で平和の実現のため行動し続けたルークが最も欲しかった言葉だった。


ルークの表情が緩む。



「…あぁ、そうだな。」



ある兵のその言葉が天使を救済したのだ。



アランは再び隊の先頭に戻ると数名の兵にアローラたちの手当てをするように指示した。



「これから俺たちはインビディア大国に向かう。

それまで五人は身体を休めておくんだ。」


「あぁ、すまない。」



アローラたちはアロガンティア大国の方向を見つめながら身体を休めた。






~十四日目~


10:30 レヴァリィ世界

アロガンティア大国・王都跡地



「そこの貴様…会うのは二度目だな。」



グリーンがウォルターに向かって言い放つ。


それを聞いたウォルターが反応する。



「悪いけど…記憶にないな~…

もしかして神って人の顔覚えるのが苦手なのかい~…?」



ウォルターの挑発を聞き、グリーンが笑みを浮かべる。



「クックッ…いいだろう、思い出させてやる…」



グリーンがレオンハルトを差し置いてウォルターの懐に接近する。


その速さに反応できないウォルター。


グリーンはウォルターの胸目掛けて突きを繰り出す。



しかし、その攻撃は寸前のところでレオンハルトの暴虐の縄エレフィリアロープによって防がれる。



「ほう…その能力…」



グリーンの攻撃をレオンハルトが防いだ隙にウォルターが蹴りを繰り出す。


グリーンは蹴りの攻撃を受けながらも一切表情を変えずにいた。



しかし吹き飛ばされるグリーンの背後に配置された断絶の籠ディアスタスケージから姿を現すウォルター。


ウォルターはグリーンに追撃を行う。


民家を破壊し吹き飛ばされるグリーン。



「(ただ速い…ってわけじゃないな…素の身体能力だけなら僕らの方が上…)」



ウォルターは先ほど自身に接近したグリーンの行動が単純な身体能力によるものではないと理解した。



「何か種がありそうだね~…」



すると破壊された民家から傷一つないグリーンが姿を現す。



「クックッ…その能力、懐かしいな…」



グリーンはウォルターとレオンハルトの秘宝の力を見て笑みを浮かべていた。


10の秘宝はかつての古代人が有していたパラフィシカーとしての能力。


それを再びこの目で見られたことからグリーンの脳裏にはかつて自身と闘った超越者パラフィシカーたちを思い出していた。



「R-01め…余計なことを…」


「何を言ってやがる…?」



グリーンの発言に疑問を問いかけるレオンハルト。


グリーンはレオンハルトの方を向いて答えた。



「この世界を生きるお前たちには関係のないことだ。

クックッ…だが…神の名を冠するだけはある…」



グリーンが宙に飛び上がる。


それを見たウォルターがレオンハルトに目で合図する。


グリーンに攻撃を仕掛ける前、ウォルターとの会話を思い出すレオンハルト。






「僕らじゃあいつには勝てない、けど時間を稼ぐことはできるはずさ~…」


「何の?」


「世界が崩壊するまでのだよ。」






その会話を思い出し、レオンハルトはグリーンに向かって口にする。



「関係ない?

この世界の神を名乗るならお前もこの世界の住人だろ?」



レオンハルトは少しでも時間を稼ぐべくグリーンを挑発し続ける。



「自分の素性も説明せず僕たちから距離をとるなんてね~…

随分と自己中心的な神様だね~…」



ウォルターがさらに挑発を重ねる。


だが、グリーンはそんな二人の発言に少し表情を曇らせるも、すぐに笑みを浮かべ答えた。



「神に詮索は不要だ。

だが…そこまで知りたいのなら教えてやる。」



グリーンは宙に浮かびながらウォルターたちを指さす。




俺様の能力ちから、それは”願いの具現化”


俺様が願った事象はこの世界に形として現れる…


そしてその[[rb:能力 > ちから]]はお前たちがよく知る”10の秘宝”のひとつに似たものがあったずだ。




「!!」


心魂の憧憬シール…」



驚愕するレオンハルト、グリーンの能力と似た能力を持つ秘宝を口するウォルター。


ウォルターは以前に流浪人の一人であるエヴァからとあることを聞いていた。






「前に…古城跡でウォルターの仲間と戦った時…」


「仲間?…あ~…もしかしてクリストファーのことかい~…?」



それはエヴァが死する前にアロガンティア大国の西部都市でウォルターと交えた会話だった。


エヴァはウォルターに7大国決戦で自身が交えたアズラエルのことを話した。



「アドルフさんも別の何かが憑依してるって言ってたけど、あいつは少し様子が変だった…

まるで肉体は本人でも魂は別の何かに…」


「あ~…たしかに僕がハイドと出会った空間でもそんな感じだったね~…」


「あいつは古城を元通りにした。

おそらくあれは心魂の憧憬シールの力…」


「クリストファーが秘宝の力を手に入れたって~…?」


「それしか考えられない、だって私の能力で情報が映されなかったから。」


「へぇ~…

まぁ~…もう死んじゃったならいくら考えても無駄だと思うけど~…」






ウォルターは上空にいるグリーンを見て何かに気が付く。



「マジか…」



ウォルターに緊張が走る。




流浪人の言っていたアズラエルクリストファーに憑依していた人物…


その人物は心魂の憧憬シールの能力を使用した…


深層世界で僕が手にかけたアズラエルクリストファーもまた別人に憑依していた。


そして今目の前にいるこいつも心魂の憧憬シールと似た力を使っている!!



つまり…






「そうか…君はあの時の…(この男と流浪人、そして僕が殺めた男は同一人物…!)」











「これが神の力だ。」











「なっ!?」



レオンハルトが上空を見る。


そこには王都を覆うほど大きな隕石が落下しようとしていた。



「こんなの…」



絶望するレオンハルト。


いくら王都から逃れてもここまで巨大な隕石、落下の衝撃で恐らく逃げ延びることは不可能だと悟る。



膝を着くレオンハルト。



隕石は徐々にこちらに迫ってきており、炎を纏い王都が炎の輝きに包み込まれる。



そんなレオンハルトの前にウォルターが立つ。



「僕らは橋渡しさ~…」


「!?」



レオンハルトを振り向くウォルター。


そんなウォルターはいつものように余裕の笑みを浮かべているが、それが繕った笑みだとレオンハルトは理解していた。


だが、それでもウォルターは諦めていなかった。



「あの流浪人エヴァは僕らに託した…

それはこの日のためだったに違いない…」


「何を言って…」


「君は”それ”を届けること、そして僕は君を送り届けるのが役目…」


「おい…待て…」


「だから頼むよ~…?

君が死ねば、この世界は滅んじゃうからね~…」


「ウォルター!!」



ウォルターは断絶の籠ディアスタスケージを開きレオンハルトを取り込む。


取り込む最中、ウォルターはレオンハルトに向かってこう言う。



「君を死へ誘うのは僕だけなんだから…」






隕石が王都に着弾する。


王都は隕石により押しつぶされ、周囲に隕石による衝撃と爆風が吹き上がる。


それは各大国にまで響き渡り、王都に着弾した隕石による被害はアロガンティア大国の領地の約6割を巻き込んだ。






~十四日目~


10:30 レヴァリィ世界

アロガンティア大国・西部都市



西部都市にまで届く隕石の衝撃。


王宮の窓から王都の方向を見つめるジェシカ王女。



「王女、この衝撃は…!!」



衛兵がジェシカ王女のもとに向かう。



「皆さん…」



ジェシカ王女は王都に向かった者たちのことを案じ続ける。






~十四日目~


深層世界・無意識領域



「あれからどのくらい経ったかな…」


「わからない…ここじゃ時間は無意味なものだし。」


「でも…」



身体中ボロボロの状態のアダムとイヴ。


その二人が見つめる先には…






「ありがとう、二人とも…

この時間は無駄にさせないよ!!」



万全の肉体を取り戻したハイドの姿が。






~十四日目~


10:20 現実世界

セントラルエリア



ウィルフォードの頭上から攻撃を仕掛けるヘーロス。


しかし、その攻撃はラグナロクによって防がれてしまう。



「まずはお前からだと…言ったはずだ、ブラック・ベルモンテ!!」


「悪いが、人違いだ。」



二人は互いに距離を取り合う。


ウィルフォードはラグナロクの背後に立ち、笑みを浮かべる。



「間に合ったようでよかったですよ。」


「時間とは鬱陶しいものだ、止めることも戻ることも敵わんとはな。」


「ですが、その時間があなたと彼を再び引き合わせた。」



ウィルフォードはヘーロスを見つめる。


それを聞いたラグナロクはかつて自身と相まみえた古代人の一人、ブラック・ベルモンテと目の前にいるヘーロスを重ね合わせる。



「人違い…か…

だが、忘れもしない…その眼、その異常なまでの身体能力、それは”[[rb:ブラック > やつ]]”の血だ。」


「どうやら俺の先祖と何かあったようだが…」



ヘーロスが再び構える。



「生憎、過去は振り返らない主義だ。」



ヘーロスの攻撃とラグナロクの攻撃がぶつかり合う。


両者互いの拳をぶつける。



「では、私も目の前のことに楽しむとしよう!!」



ラグナロクが凄まじい勢いでヘーロスに触れようとする。


それを見たヘーロスは何かを察し、ラグナロクの掌が自身に触れないように避ける。


距離をとったヘーロスはすぐにラグナロクの背後に移動し、蹴りを繰り出す。



だが、ヘーロスの攻撃を受けたラグナロクの腕から大量の棘が発生する。



「!?」



棘の一部がヘーロスの脚に突き刺さる。


しかし、ヘーロスは棘をナイフで切断し、すぐに拳でラグナロクに反撃する。



強烈なヘーロスの攻撃によってラグナロクはビルに衝突する。


倒壊するビルから涼しい顔をしながら飛び出すラグナロク。


ラグナロクは自身の背中から大量の触手を放つ。



リベルの肉体ではなく、ラグナロク本来の一部だ。


ヘーロスは迫りくる触手を全てナイフと自身の身体能力で捌いていく。



「(ただの触手じゃねぇ…ナノテックインプラント…?いやもっと何か特異な存在だ…)」



ラグナロクは肉体や魂を超越した超常体。


故に肉体は有していない。


そのため肉体や魂が存在するこの世界ではラグナロクは攻撃する手段がない。


だからこそリベルの肉体と魂に寄生することで現実世界に影響を及ぼしていた。



そしてラグナロクが放つ触手はリベルというこの世に存在する生命の上に放たれることで、形という存在を保ちながら攻撃に転用できる。


だが、本来存在はしていても形という概念がないラグナロクの触手は不完全という形で世界に影響を及ぼす。



「これは…!?」



ラグナロクの触手は存在しており、同時に存在していない。


その本来はあり得ない相反する現象が重なり合った状態なのだ。



存在していることで攻撃を防がれるのであれば存在しなかったことに。


存在しなかったことで攻撃が通用しないのであれば存在していることに。



よってラグナロクの攻撃はいかなる者であろうと防御することができないのだ。



ラグナロクの攻撃はヘーロスの身体を徐々に蝕んでいく。



「(まずい…このままじゃ…!!)」



ラグナロクが放つ触手の攻撃はヘーロスの防御をすり抜け、ヘーロスの肉体に触れると同時に存在を露わにすることで、ヘーロスの身体は触手の攻撃によって傷を負い始める。



ヘーロスに攻撃が有効であると理解したラグナロクは触手の形状をより攻撃的な形状へと変化させ攻撃を続ける。



「チッ…!」



触手の攻撃は防ぐこともこちらが触れることもできない。


ただこちらの行為を全て無視して攻撃される。



このままでは状況が不利になり続けると理解したヘーロスは触手の攻撃を受けながらもラグナロクに接近し攻撃を行う。



「!?」



しかし、ヘーロスの攻撃はラグナロクに当たる直前で空を切る。



「以前にはなかった能力ちからだ、素晴らしいものだろう?」



ヘーロスの背後に突如として現れるラグナロクは自身の掌をヘーロスの腹部に触れる。



「!!」



これまで警戒し続けていたラグナロクの手が触れたことでヘーロスは即座に自身の腹部をナイフで抉り取る。


ヘーロスの腹部から血が噴き出る。


ラグナロクはヘーロスに自身の触手による攻撃を行う。


触手は伸び続け、あたりの建造物を破壊しながらヘーロスを拘束したままセントラルエリアの端まで突き飛ばす。



「自身の肉体を切り取ってまで攻撃を回避したのはいいが、それは致命傷だ。」



今のラグナロクはリベルの肉体を有している。


そしてその肉体はレヴァリィ世界の状態のものだ。


つまり、今のラグナロクには自身の超常体本来の特性である存在の有無による攻撃以外にリベルの肉体に宿った10の秘宝である進化の意慾エクセレクシとリベル本来のパラフィシカーとしての能力である未来跳躍を使用できた。



触れることも防ぐことも不可能な変幻自在の触手、


掌に触れれば変異を強制されテロスと化す絶大な攻撃手段、


そして未来に飛ぶことによる完全な攻撃回避、



それを併せ持つのが今のラグナロクだ。



セントラルエリアの端まで突き飛ばされ重傷を負うヘーロス。



すでに腹部を切り取ったことによる出血で意識も混濁し始めた。


身体の至る部分にも傷を負い、片足はラグナロクの肉体変異による棘の防御で激しく動かすことは不可能。



まさに満身創痍といった状態。



「クソッ…」



ヘーロスは痛みに耐えながら身体を起こす。


だが、頭上にはラグナロクの無数の触手が降り注ぐ。






そんな危機的な状況の中、突如ヘーロスを抱え触手の攻撃を回避する者が…



「危っな~!!」


「お前は…!ソフィアか…!?」



ヘーロスの窮地を救ったのはソフィアだったのだ。


ソフィアはダニーとイヴリン、ヴァイオレットを乗せた小型の滞空ホバークラフトでヘーロスを救ったのだった。


ヘーロスはダニーの存在に気が付き目を合わせる。



「ダニー…」


「ヘーロスさん…久しぶりです…」



ヘーロスはダニーの様子を見て、この場にいないアンドリューの状況を察した。


ダニーの心情を察したヘーロスが目をそらしながら口にする。



「お互い…いい仲間に救われたな。」


「それって私とアンドリューのことだよね!?

けど、今は褒められてもちょっと嬉しくないかも…!!」



ソフィアがホバークラフトを操縦しながらヘーロス達に声をかける。


背後にはすでにセントラルエリアの街の大半を破壊し尽くしながらこちらに追いかけるラグナロクの触手が迫っていたのだ。


イヴリンは銃による発砲で触手に銃弾を命中させるが、触手は怯むことなくこちらに迫りくる。



「あの触手に攻撃は通じない、ここは距離を取れソフィア!」


「距離を取るって、もうヘーロスを救助した場所から600mは離れてるよ!?

どこまで追っかけてくるわけ!?」


「とりあえず、セントラルエリアからは出よう。」



ダニーの助言からソフィアはスクーターの速度を上げてセントラルエリアから出る。


触手はセントラルエリアを出るとヘーロスたちを追ってこなくなる。



なんとか逃げおおせたヘーロスを察したラグナロク。



「逃げ切ったか。(私の触手も最大範囲はこの程度ということか…)」


「いいんですか?」


「構わん、逃げてもいづれまた出会うことになる。」



ラグナロクはウィルフォードと共にヘーロスが逃げた方向へと歩き出す。






~十四日目~


10:50 現実世界

イーストエリア上空



ラグナロクの攻撃から逃げ切ることに成功した様子を見て少し安堵した表情を見せたソフィアはヴァイオレットにヘーロスを手当てをするように指示する。


自身の傷を手当てするヴァイオレットを見てヘーロスは口を開く。



「悪い…ハイドのもとへ向かうと言ったにも関わらず…」


「大丈夫です…今レヴァリィ世界にはリアムとアドルフさんが…」



ヴァイオレットはホバークラフト内の奥で眠るリアムを見る。


リアムとアドルフの状況を理解したヘーロス。



「ハイドのことは二人が絶対に現実世界ここに送り届けるさ、ヘーロスは目の前のことに集中!」



ソフィアがイヴリンとダニーに操縦を任せてヘーロスのもとにやって来る。



「まずはその傷を癒すこと!そしたらあいつらぶっ倒して世界救うよ!

休むのはそれ終わってから!ね?」



ヘーロスの肩を叩きながら混乱の中、一人で戦い続けたヘーロスを勇気づけるソフィア。


ヘーロスもソフィアの発言で笑みを浮かべる。



「あぁ、わかっている。」






~十四日目~


10:30 レヴァリィ世界

インビディア大国・都市内部



「ふぅ…これで最後か。」



インビディア大国の都市で機械兵にトドメを指すロイフ。


あたりには無数の機械兵の残骸が残されていた。



「ロイフさん、大丈夫ですか?」



ロイフのもとにやってきたのは聖騎士団第四部隊の隊長スードだ。


スードの部隊も機械兵を全て倒すことに成功し、ロイフたち第二部隊と合流した。



すでに数時間の間、機械兵と相手をしていたこともあり、疲弊している聖騎士団だったが、なんとかインビディア大国を守り切ったのだった。


そんな聖騎士団のもとにアドルフとリアムが現れる。



「流浪人!?」


「やはり…賭けでしたがこうなりましたか。」


「アドルフさん…!これどーゆーこと!?」



アドルフと共にいたリアムは聖騎士団と同様に状況が理解できていないようだった。



アドルフの能力”事象置換”は自身が触れた物同士あるいは自身と入れ替える。


そして触れてマーキングした物はどんなに距離が離れていようと、どんなに時間が経っていようと能力を発動できた。



かつてイラ大国に連れ去られたハイドを救出しようと試みたロクア。


そんなロクアと出会ったことから始まり、アドルフはアローラを含めた第一部隊の者たちと面識があった。


アドルフはイラ大国でロクアと出会った際にもしもの時のため、自身の能力を適応できるようロクアの装備する武器にマーキングしていたのだ。



そんなロクアはクヴィディタス大国でヴィルヘルムと戦い、命を落とした。


ヴィルヘルムは己の使命を最後まで全うしたロクアとサムエルを称え、戦地に彼らの武器を立てた。



そして、彼らの想いを背負うべくその場を通りかかったスードは彼らの武器を自身に装備した。



「それで今ここにあなた達が…」



スードがアドルフに尋ねる。


アドルフは状況を理解したスードに向かってうなづく。






その頃、アドルフたちが先ほどまでいたはずのアロガンティア大国、王都隣町にはロクアの武器が佇んでいた。






「数時間後、ここに増援が来ます。

それまで私たちは万全の態勢を整えましょう。」



アドルフはアロガンティア大国での戦いの前にアセティア大国でウォルターから最悪の事態に対する備えを伝えられていた。


そしてここインビディア大国に来る直前、アロガンティア大国の王都で起きた激しい爆音から、アドルフはウォルターがその最悪の事態を予想した備えを実行したと考えた。



つまり、アドルフは王都に向かったアローラたちはウォルターによってアセティア大国に送られ、ここインビディア大国に向かっているのだと理解していたのだ。



ロイフがアドルフの発言に疑問を口にする。



「増援…?まさか…他の大国が手を貸してくれたというのか?」


「すでに状況はインビディア大国だけの被害ではない、7大国…いや、この世界に危険が迫っているんです。」


「一体、世界で何が起きているんですか!?」



スードが口にする。


それに対しアドルフは冷静に答えた。



「世界の終焉が近づいている…

だが、それを止められる可能性が少しでもあるなら私はそれに命を懸ける覚悟はできている。」


「その可能性って?」


ハイドかれの帰りを待つこと。」



アドルフは今回の事態とハイドが全くの無関係ではないと考えていた。


ハイドが深層世界に入ってからわずか数日でこの世界だけでなく、現実世界にまでテロス機械兵が混在としたまさしく世界の終焉と呼ぶにふさわしい事態が起きている。



深層世界で何があったのかは知らない。



少なくともハイドが今回の事態を招いたとも考えにくい。


だが、深層世界に向かったハイドがこの事態の原因を知っているのは間違いないとアドルフは考えた。




だからこそ、アドルフは決心した。


大事な仲間であり、自分たちに帰ってくると約束したハイドを待つことを。



「リアム、私たちも準備をしましょう…終焉を終わらせるべく。」



覇者の帰りを待つ者たち…

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