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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 最終章 ~天地神焉記~

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6話「燃え盛る友情」

拳を握りしめて、


銃を手に持ち、


闇を穿て。


再び燃える友情に焼かれるは、


お前自身だ。

「熱っ!」


「おい、気を付けろアンドリュー。」


「悪ぃダニー。」



ダニーから水に浸した布を渡されるアンドリュー。


車の修理中に誤ってエンジン部分を触ったことで火傷する。



幼い頃の些細な思い出だ。



俺たちは物心つく頃から一緒だ。



どんなに辛いことがあっても、


どんなにいがみ合っても、



俺たちは親友であり、家族であり、




そして、自分自身だ。






~十四日目~


8:40 現実世界

ストレンジャー拠点屋上部



「ダニーを離せ。」



ヴィヴィアンに向かってそう言い放つアンドリュー。


ダニーはなんとか意識は保てているものの、数日間の拷問だけでなく常人であれば精神が崩壊するほどの危険性がある記憶投影装置を使われたことで、まともに抵抗する力も残っていない。


アンドリューの言葉にヴィヴィアンが反応する。



「ストレンジャー…お前たちはなぜ、これほどまでに闇に抗う。」



ダニーから手を離すヴィヴィアン。


ヴィヴィアンが少しづつアンドリューと距離を詰める。



「…!!(コイツ…!隙がまるでねぇ…)」



ただこちらに向かってくるだけでもアンドリューはヴィヴィアンの戦闘技術のレベルを察した。


肉弾戦を得意とするアンドリューは拳を構える。


それを見たヴィヴィアンも拳に力を込めながら歩く。





二人の間に緊張が走る。





先に拳を振るったのはアンドリューだ。


アンドリューの拳がヴィヴィアンの胸元に迫る。



しかし、



「!?」


「軽い。」



アンドリューの拳にびくともしないヴィヴィアンはアンドリューが反応することができないほどの速さで腹に2発のパンチを繰り出した。



「グボァア!!」



そのまま蹴りも入れアンドリューを吹き飛ばすヴィヴィアン。



「…今の蹴りを受けて内臓に損傷がないか…いい肉体の磨き方だ。」


「生憎、生半可な…鍛え方は…してないもんでな…!」



吐血しながらもなんとか立ち上がるアンドリュー。


ヴィヴィアンはスーツのネクタイを緩めながら殺気を放つ。



「次はもっと強いぞ。」


「!!」



前方にいたヴィヴィアンが次の瞬間、自身の目の前まで接近していた。


アンドリューはなんとか最初の攻撃を避けることに成功し、反撃に転じる。



「おらぁ!」


「なんだ、いい拳を出すじゃないか。」



アンドリューの拳を受け止めながら余裕の笑みを浮かべるヴィヴィアン。


拳にさらに力を込め、ヴィヴィアンの態勢を崩そうと試みるアンドリュー。


だが、ヴィヴィアンは拳を受け止めたまま、片手でアンドリューを持ち上げ床に叩きつける。



「がぁあ!」



床に亀裂が生じるほどの威力でアンドリューがまたもや吐血する。


だが、アンドリューの目は諦めてはいなかった。



「痛いのは慣れてんだよ!!」


「!?」



ヴィヴィアンに足払いして、態勢が崩れた隙にアンドリューは立ち上がりヴィヴィアンの胸に再び攻撃を繰り出す。



「今度のは効いたぞ…」



ヴィヴィアンがアンドリューの拳を払い、態勢を立て直す。


それを阻止すべくアンドリューが追撃を行おうとするが…



「グッ…!」



ヴィヴィアンが突如姿勢を低くし、アンドリューの顎を蹴り上げる。


すかさず足でアンドリューの全身に連撃を行う。


倒れたアンドリューに向けてヴィヴィアンは拳銃を向ける。



「お前がストレンジャーでなかったら|H.U.N.T.E.Rハンターに向かえたい人材だ…だが…これで…っ!?」


「ダニー!」



ヴィヴィアンの死角からタックルを行うダニー。



「アンドリュー!伏せろ!」


「クッ!」



ダニーはタックルをしながら背後に拳銃を向け発砲する。


すると拠点の屋上に配備していた機材が爆破し、その衝撃でダニーとヴィヴィアンは拠点の建物から落下する。



「ダニー!!」



落下したダニー達を見て、アンドリューはすぐに地上に向かう。






~十四日目~


8:40 現実世界

ストレンジャー拠点内部



「突然撃ってくるとは…危ない…危ない…」


「チッ…!(やっぱ、不意打ちなんて通じないよね)」



ソフィアは銃を発砲したが、その銃弾はローレンに届く前に止められてしまった。


ローレンの身体から放出された液体金属、以前アドルフからの報告にあったウィリアムの体内に施された技術、ナノテックインプラントだ。



「でも、その技術は制御が困難なんでしょ?」


「ヒッヒッ…いかにも、しかし私はウィリアム君と違い、肉体の損傷レベルは激しくないのでね。」



ローレンは徐々に体外へと液体金属を広げていく。


サイバーバグを引き起こしていたウィリアムと異なり、ローレンの肉体はこれといった異常は見られない。


身体異常が特にない状態でのナノテックインプラントの活動限界を知らないソフィアはこの状況では自分が不利であることを理解していた。



「(でも、必ず打開策はある…!)」






自分では戦力にならないのは知っている…!


けど、今この技術を解明できれば、この先ヘーロスや他の仲間たちが窮地に陥っても必ず有用な情報になる…!


強くなくても勝つことはできる…!!


私にしかできないことをするんだ…!!





「ほう…?…一目散に逃げるとは…」




ソフィアは銃持ちながら部屋を出た。


ローレンは余裕の笑みを浮かべながら部屋を液体金属で破壊しながらソフィアを追う。






~十四日目~


8:55 現実世界

ストレンジャー拠点周辺



「うっ…」



目を開けるダニー。

ヴィヴィアンとの落下中にワイヤーを周囲の建造物に括りつけ、着地の衝撃を和らげたのだ。


その技術はかつてストレンジャーとして生活を送っていたダニーがアドルフから伝授してもらった鋼線術だ。



「アドルフさんのおかげか…」


「それはどうかな。」


「!!」



気が付くと目の前にはヴィヴィアンが。


肩を脱臼こそしてはいるものの、それ以外にこれといった大きな負傷が見当たらないことを見てダニーは理解した。



「強化系バイオインプラントか。」


「あぁ、生まれた時からな。」



ダニーとヴィヴィアンは互いを見つめながら相手の動きを伺う。




ダニーが銃をヴィヴィアンに向ける。


しかし、それを即座に振り払い、銃弾は端の建造物に当たる。


すぐにヴィヴィアンがダニーに攻撃を行う。


だが、アンドリューとの攻防を観察していたダニーはヴィヴィアンの攻撃のタイミングを予測し攻撃をなんとか回避する。



「お前もだ、ダニー…お前のその状況把握能力には目を見張るものがある。だが…」


「ぐはぁっ…!」



すぐに自身のタイミングを意図的にずらしダニーの予測とは異なる動きでフェイントを行いダニーを翻弄するヴィヴィアン。



「お前にはあの男と違って力が欠けている。」



そう言ってダニーを見下ろすヴィヴィアン。

脱臼した肩を直しながら足でダニーを踏みつける。



「うぐっ…!」


「このままお前の頭を粉砕するのもいいが、そろそろだろう。」


「ダニー!!」



すると屋上から地上に降りてきたアンドリューの姿が。


それを見たヴィヴィアンはダニーから足を離す。



「この世界はじきに崩壊する。本当の強者だけが残る世界へと。

闇が待つその世界でお前たちに宿るその炎がどこまで耐えられるのか見せてもらおう。」



ダニーのもとにアンドリューが駆けつけ、二人はヴィヴィアンを見る。



「拳で真っ向勝負…とは言わん。

お前たちの本気を俺に見せろ、こちらも好きにやらせてもらおう。」



ヴィヴィアンはローレンとの通信機を破壊する。


それを見たアンドリューは不審に思うが、同時に感じ取った。



この目の前の男は俺たちに敬意を称してくれているのだと。




この戦いで負けても勝っても恨みっこ無し、




純粋な決闘をこの男は望んでいるのだと…!




アンドリューは息を整え、拳に力を込める。


ダニーは銃を構え、相手の動きに集中する。


ヴィヴィアンは拳銃を片手に持ち、二人から目を離さない。




ヴィヴィアンは目の前にいる二人の挑戦者チャレンジャーに自身のこれまで培ってきた戦闘技術、闘気、経験全てを以てして迎え撃つ。


アンドリューとダニーは目の前にいる一人の王者チャンピオンに自身のこれまで磨いてきた戦闘技術、闘気、経験全てを以てして全力でぶつける。




ダニーが発砲する。


それと同時にアンドリューが動き出す。


アイコンタクトも合図もなく互いを信じたことで数秒のずれもない完璧なタイミングで二人は動き出した。



それに対抗すべくヴィヴィアンは拳でダニーの銃弾を弾き、迫りくるアンドリューに拳銃を向ける。



それでもアンドリューは迷うことなくヴィヴィアンに向かって走りだす。



ヴィヴィアンが発砲した銃弾はアンドリューに届く前に弾かれる。



ダニーが的確に自身の銃によって打ち落としているのだ。




それに気が付いたヴィヴィアンはすぐに行動を変える。


迫りくるアンドリューからダニーへと狙いを定めるために。



「(やはりそう来るか…!)」



アンドリューがヴィヴィアンを追いかける。


しかし、体力的にすでに消耗しているアンドリューよりも速くヴィヴィアンがダニーに接近する。


ヴィヴィアンは自身のスーツの上着を脱ぎ、目くらましとしてダニーに向けて投げる。



「!!」



視界が遮られ、動きが止まるダニー。


そこにすかさずヴィヴィアンがダニーの拳銃を蹴り飛ばし、接近戦に持ち込む。



なんとかヴィヴィアンの攻撃を回避するも徐々に追い詰められていくダニー。


そこにアンドリューが向かうが、それに気が付いたヴィヴィアンはアンドリューに向けて先ほどの上着を被せ、怯んだ隙に自身のネクタイを外しアンドリューの首を拘束し縛る。



「クソッ…!」



ダニーがヴィヴィアンに蹴りを入れるがいともたやすく受け止められ、首を縛られたアンドリューをぶつけられる。


バランスを崩すダニーにヴィヴィアンは発砲する。


肩を撃ち抜かれるダニーだが、拘束を解いたアンドリューがヴィヴィアンの顔に飛び蹴りをお見舞いしたことで次の銃弾はダニーの頬をかすめるにとどまる。



ダニーはすぐに自身の拳銃を拾いヴィヴィアンに発砲する。


しかし、強化系バイオインプラントを施したヴィヴィアンには拳銃程度の銃弾では致命傷にならず、ヴィヴィアンがこちらに向かってくる。


それをアンドリューが肉弾戦で引き留める。



「こっちだ、アンドリュー!」



ダニーがアンドリューに合図する。


そこにはストレンジャー拠点の地下に通じる入り口で、シェルターが閉じようとしていた。


アンドリューは先ほどダニーが発砲した銃弾でヴィヴィアンの身体を貫通していない箇所に強烈な一撃を加える。



「ッ…!」



僅かだが動きが怯んだヴィヴィアンにもう一撃加え、ダニーの方へ向かう。


だが、ヴィヴィアンも自身の拳銃でシェルターの操作盤に向けて発砲し、シェルターが閉まるのを早める。


身体の半分を床に滑らせたアンドリューだが、シェルターに挟まり身動きが取れなくなってしまう中でダニーが内側から引っ張ることで難を逃れる。


そのままシェルターが閉まり、二人は地下へと向かう。



「おい!どうすんだ、地下に行っても奴がソフィアの方に向かったら…」


「ヴィヴィアンは必ず俺たちを追ってくるはずだ…」



ダニーは拳銃に弾を込めながら息を整える。


アンドリューも折れた指をもとの位置に矯正させながら息を整える。



「作戦はあるんだよな?」


「あぁ…だが、タイミングを誤れば俺たちの負けだ。」


「…それでもいいんじゃねぇか…?」



アンドリューが地下に向かうエレベーター内で座り出す。


それ見たダニーは少し間を空けた後に口を開く。



「…お前にしては随分と素直だな。」


「ははっ…あいつは俺たちの実力を尊重したうえで戦ってんだ、組織とか関係なくな。

俺たちがストレンジャーここ以外で認めてもらったことがあるか?」


「…。」


「それに…俺はもう…いいんだよ…」



涙を流すアンドリュー。


それを見たダニーは察したのだ。



「まさか…」


「あぁ、エヴァが死んだんだ…」


「…!!…そんな…」


「別にお前のせいじゃねぇ…あいつは自分の役目を最期までやり抜いたんだ。」


「アンドリュー…」


「エヴァのやつ、俺にお前と仲直りしろだなんて…」



それを聞いたダニーも静かに涙する。



「立つんだ、アンドリュー。」


「ダニー…」



手を指し伸べるダニー。


それを見上げるアンドリュー。



「いつも俺たちが先陣を切るようでエヴァに先を越される…いつもあいつに心配をかけさせていたのは俺たち二人だ。

今回くらいは安心して俺たちの背中を見てもらえるようにしよう。」


「……あぁ…!!」



ダニーの手を取るアンドリュー。



「結末がどうなろうと文句なし…ってことでいいよな?」


「あぁ、だが今回は俺も前に出るぞ、いつまでもお前の後片づけばかりも飽きてきたことだしな。」



ダニーがアンドリューの隣に立ちながら言い放つ。



「ははっ、隣は任せたぞダニー!」


「フッ、そっちもな。」



エヴァ、ありがとう。


俺とアンドリューを繋げてくれて。


いつもお前には世話になりすぎている。


不甲斐ない親友で悪い…


だが、今回は違う…



俺の隣にはお前が愛した男が立っているぞ。






エレベーターが地下に到着する。


扉が開き地下にはヴィヴィアンがすでに立っていた。



ストレンジャー拠点に向かう道中ダニーの記憶を読み取ったことでストレンジャー拠点の細かな地形も理解していたヴィヴィアンはエレベーターよりもはやく地下で待ち構えていたのだ。



「いい表情になったな。」



ヴィヴィアンが二人の姿を見て言う。


ヴィヴィアンの目の前には負傷した状態でありながらも互いを信頼した二人の男が立っていた。



「さぁ、来い…!アンドリュー・アダモフスキー、ダニー・バーキン…!!

闇に抗ってみろ!」



アンドリューとダニーは同時にヴィヴィアンに向かって走り出す。


二人は同時に接近戦でヴィヴィアンと対峙する。


二人の攻撃を上手く受け止め応戦するヴィヴィアン。



「(互いが互いの隙に攻撃を畳み掛けてくる…防御が間に合わん…!)」




アンドリューとダニー二人の攻撃に徐々に防御が間に合わなくなり攻撃を受け始めるヴィヴィアン。


だが、かつて総合格闘技の王者でもあるヴィヴィアンは自身の培ってきた経験と技術でその攻防をカバーし続けていた。



「(コイツ…!まだ…!)」


「(俺たちを相手取れるとは…!)」



ダニーの拳を受け流し、背後のアンドリューにダニーの攻撃をぶつけるヴィヴィアン。


すぐさまダニーが拳銃を取り出し、至近距離での発砲をヴィヴィアンに浴びせる。


それによりヴィヴィアンの右耳が撃ち抜かれるが、ヴィヴィアンは構わずダニーのみぞおち付近に攻撃を行う。



「ぐはぁっ…!」



すると吐血だけでなく、鼻からも血を流し崩れるようにその場で倒れ込むダニー。



「(これは…発勁…!?)」



ダニーは自身の受けた攻撃が単なる打撃でなく、体内損傷に有効な拳法「発勁」であると理解した。


ヴィヴィアンはすぐにダニーを蹴り飛ばして距離を離し、自身の拳銃を用いて先ほど背後で倒れたアンドリューに向けて発砲を続ける。


アンドリューは一発分腹部に銃弾を受けるが、すぐに鉄柱に身を潜めヴィヴィアンの銃撃から身を守る。


ヴィヴィアンはアンドリューに依然発砲をし続けながらダニーに近づく。



「効くだろ?それはかつて中国と言われる国が保持していた拳法だ。」


「クソッ…!」



内蔵の損傷で思うように身体が動かないダニーは目の前まで接近してきたヴィヴィアンに銃を向けて発砲する。


しかし、意図も容易く銃を取り上げられ、宙に捨てられる。


そのまま銃を額につけられるダニー。



「…!!」


「さぁ、正義の番人よ、裁かれる覚悟はいいか?」



引き金に指をかけるヴィヴィアン。



だが、ダニーは笑みをうかべていた。



「…お前こそ、覚悟はできてるな?」


「なに…?」



すると背後からヴィヴィアンを撃ち抜く三発の銃弾。



「がはっ…!」



至近距離での発砲だったためかバイオインプラントを施したヴィヴィアンでも身体を貫通し負傷する。


銃撃を行ったのはアンドリューだった。


先ほどダニーの銃を取り上げて宙に舞っていたところをアンドリューがキャッチしヴィヴィアンに不意打ちを行ったのだ。



「…ッ!…いい連携だ…!」



だが、ヴィヴィアンは撃ちぬかれた喉の傷を押さえながらダニーに再度を発勁による攻撃を行い、さらにアンドリューに向かって攻撃を仕掛ける。



「ダニー!」


「親友より自分の心配をしたらどうだ!」



ヴィヴィアンの重い一撃がアンドリューの顎に直撃する。


意識が飛びかけるアンドリュー。


だが、アンドリューは自身の唇を噛みしめ意識を取り戻しヴィヴィアンに猛攻による反撃を行う。



「うらぁああ!!!!」


「グッ!」



すさまじいラッシュによりガードの姿勢をとることしかできなくなるヴィヴィアン。



「(こいつ、ただがむしゃらに攻撃しているのではない…!

俺の負傷箇所に正確に攻撃を…!)」



ヴィヴィアンがこの戦闘で負った銃弾による負傷のみに狙い定めて攻撃を行うアンドリュー。


ヴィヴィアンはアンドリューの拳を受け流しカウンターの要領で回し蹴りを繰り出す。


それにより怯むアンドリュー。



しかし…



「!!」



僅か、


ほんの僅か一瞬、アンドリューの目線が自分から自身の背後へと移った。


それによりヴィヴィアンは背後にダニーが迫っていると即座に理解した。


銃を抜き、背後に迫るダニーに向けて発砲するヴィヴィアン。



ダニーの左目に銃弾が直撃し、頭が後方に傾きかけるがそれでもダニーはヴィヴィアンに向かって走り続けた。



銃を持つヴィヴィアンの腕と自身の腕を鋼線で巻き付け、絞め技でヴィヴィアンを拘束するダニー。



「今だ!!アンドリュー!!」



ダニーの掛け声とともにアンドリューが銃をダニーに向ける。


それを見たヴィヴィアンがダニーの方を見て、懐に手榴弾が隠されていることを知る。



「お前…!まさか…!!」











地下へ向かうエレベーター内でヴィヴィアン打倒の作戦を話し合うアンドリューとダニー。



ヴィヴィアンやつは強化系バイオインプランを施している。それも生まれた頃からだと言っていた。

強化系は体内の骨を鋼鉄に匹敵するほどの強度にする、それを骨が一番幼い頃にしていた。身体強度はサイバーインプラントを施した人間以上だろう。



だろうな…どうりで俺の拳がビクともしないわけだ。



だが、対処法はある。



!!…それは…



ヴィヴィアンやつでもゼロ距離での爆破じゃ木っ端みじんだ。



ダニーがアンドリューに手榴弾を見せる。


どちらかがヴィヴィアンの動きを封じ手榴弾を起動させる。


相打ち覚悟の決死の作戦。



この戦いが始まった時点で決まっていたのだ。



二人のうち、どちらかが命を燃やせねばならないことは。



何か…他に方法はねぇのかよ…!!



結末がどうなろうと…文句なしってお前が言っただろ?

相手は俺たちより格上だ、覚悟を決めるぞ。











「ッ…!!」



拳銃を握りながら汗を滲ませるアンドリュー。



「やれ!アンドリュー!お前ならできる!!!撃つんだ!!!」


「わ、わかってる…!」



わかっている…


でも…



「クソッ…!」



アンドリューの手が震える。


それは疲労によるものが原因ではない、


アンドリューの身体はすでに理解していた。




親友は殺せないと。



「うっ…!」



ヴィヴィアンが自身の拳に巻き付いた鋼線を無理やり引き千切りダニーの拘束を解く。


指が数本切断されたものの、拘束を解いたことでヴィヴィアンがダニーの懐から手榴弾を取り上げる。



「友情ゆえの脆さがお前たちを弱くしたな…!」


「それはどうかな…!」


「なに…!?」



アンドリューがヴィヴィアンにしがみつく。



「アンドリュー!」


「互いに…自分を犠牲にすることは慣れっこだ…けど親友を、家族を自分で見捨てることはできねぇ!!」



ヴィヴィアンの持つ手榴弾のピンに指をかけるアンドリュー。



「お前…!」



ヴィヴィアンが抵抗しようとするも指が切断された影響で力の強いアンドリューの拘束を振りほどくことができない。



「おい、アンドリュー…」



ダニーがアンドリューを見る。


アンドリューもまたダニーを見る。




二人は互いに涙を流す。



奮えた声をこらえ笑顔で叫ぶアンドリュー。



「ダニー!!先にエヴァと向こうで待ってるぜ!!

せっかく二人きりの時間ができたんだ、当分はこっちに来るんじゃねぇぞ!!!」


「やめろ、アンドリュー…!!」



手榴弾のピンを引き抜くアンドリュー。






わかってるさ、


俺たちは物心つく頃から一緒だ。


どんなに辛いことがあっても、


どんなにいがみ合っても、


俺たちは親友であり、家族であり、


そして、自分自身だ。


自分のことは自分が一番よくわかってる。


俺がダニーおまえを殺せないように、


ダニーおまえが俺を殺せないことも、


わかってるさ。


だから、自分で覚悟を決めたぜ。



ダニーおまえを守るために。






手榴弾が爆破する。


大きな爆炎にアンドリューとヴィヴィアンが包み込まれる。



「クソ…バカ野郎…!」



涙しその場で泣き崩れるダニー。


自身の銃を拾い、その場から立ち上がるダニー。


エレベーターの方へと向かう。



「…結末がどうなろうと…文句なしでいいよな…ヴィヴィアン。」



ダニーの背後には全身黒こげの状態でほとんど屍のような状態になりながらもダニーを襲おうとするヴィヴィアンの姿があった。


ダニーは振り向き、ヴィヴィアンの頭部に目掛けて発砲する。


その銃弾はヴィヴィアンの頭部を貫通する。



「あ、ぁ…二人とも……いい挑戦者チャレンジャーだ…った……ぞ…」



そう言い息絶えるヴィヴィアン。


それを聞いたダニーは少し安堵した表情を浮かべ、その場でへたり込む。


ダニーもすでにかなりの重傷を負っている。



ダニーは徐々に意識が薄れていく。



「クソ……はやく…ソフィアのもとに…」



そう言い残しその場で意識を失うダニー。



燃える友情は果てしなく…

読んでいただきありがとうございました。

アンドリューとダニー、二人の友情の”熱さ”と強敵ヴィヴィアンとの戦いいかがでしょうか。

現実世界では各地で混沌が巻き起こっていますが、レヴァリィ世界でも状況は最悪の事態へと進展していきます…!


次回7話をお楽しみに!

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