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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 最終章 ~天地神焉記~

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5話「天地神焉記」

天は裂け、


地は轟き、


神が降臨し世界を歪めていく、


いずくんぞ終に導くのか、


しるしとして刻まれる。

日は昇り、街にはこれから始まる今日という一日を送るべく、


車を走らせ、


歩道を歩き、


目的地へと向かう人々の姿で賑わっている。



「うわぁっ!…危っねぇな…」



突如前の車が急停止したことで自身もブレーキを踏まざる得ない状況となったとある会社員。



「おい、あんた!急に止まって何しやが…」


「お前さん、あれが…なんだかわかるか?」






学校に向かおうとする青年の前に友人が立ち止まっている。



「ん?おーい、どしたー?」


「あれ…」


「…は…?」






青年たちは空を見上げる。


あたりの住民も次々と車から窓を開けてまでして一斉に空を見上げる。






「これは…」




「一体…」




「何なんだよ…」











20XX年 11月24日

午前8:00


セントラルエリア上空にて、突如大きな亀裂音と共に半径約8メートル程の空間に謎の大穴が開く。



後にこの日を世界は”天地神焉記”と呼び、歴史に消えることのない大きな物語として人々に記憶される。






5話「天地神焉記」



~十四日目~


8:00 レヴァリィ世界

アロガンティア大国・平原地帯



「空が…」


「これは…」



レヴァリィ世界でアローラたちと同じくして平原地帯で空の亀裂を目にするヴィルヘルムとヴィクトール。



「(ウィルフォード様が?…いや、これは明らかに…)」



ヴィクトールはT.Z.E.Lツェルの最終計画であるラグナロク計画よりも先に何者かがこのような事態を招いたと考えた。



「まさか…」


「総督…?」



ヴィルヘルムがヴィクトールの僅かな表情の変化に気が付く。



「急ぐぞ…!将軍!」



馬の速度を上げるヴィクトール。



ヴィクトールは理解したのだ、この空に亀裂を生んだ者の正体が…!




目覚めた、ラグナロクが…!!




一方その頃、アローラたちもまた王都へと直行していた。



「あの空の原因はわからないが…」


「あぁ、まずはジョージ王だ。」



馬の速度を上げるアローラたち。


王都の隣町に入り、そのまま王都の方向へ向かう。



しかし…



「ここから先は通しませんよ。」


「!!」



突如アローラたちの前に立ちはだかったのはミカエルだった。



「アローラ!そのまま行くんだ!」



ミカエルが現れたことで自身の秘宝、暴虐の縄エレフィリアロープを展開しようとするレオンハルト。


レオンハルトの臨戦態勢を見てミカエルも攻撃態勢に入る。



だが、



「!?」



ミカエルがレオンハルトに狙いを定めようとしたその瞬間、左右からミカエルを襲う二人の影が…!



「お前の相手は!」


「私たちです。」



ミカエルを襲った影の正体はリアムとアドルフだった。


二人の攻撃を自身の能力で回避するミカエル。



「流浪人…!」


「アローラさん!ここは僕たちが引き受けるよ!」



リアムがアローラたちに手を振る。


それを見たアローラも手を振り、先を急ぐ。


アローラの方を向くリアムに攻撃を行おうと試みるミカエル。



「うわっ!」



その攻撃をリアムはなんとか自身の能力で避け、アドルフのもとまで移動する。


ミカエルは自身の攻撃を避けたリアムの能力を分析した。



「なるほど…高速移動ですか…(私と同じ系統の能力か…)」



アドルフはミカエルに警戒しながらリアムの横に立つ。



「リアム、気を抜かないように。

かなりの手練れです。」


「わ、わかってるよぉ…!」






~十四日目~


8:00 現実世界

セントラルエリア



「ヘーロス!」


「わかっている…!」



ビルとビルの間を飛び越えながら走り続けるヘーロス。


ソフィアの連絡が入る直前に空の亀裂を目にしたことで、ヘーロスはその地点へと急行する。


だが、そんなヘーロスに目掛けて高速で近づいてくる存在がいた。



「!!」



いち早く気が付いたヘーロスは空中で態勢を変え、その存在の攻撃を躱す。



「今ノヲ避ケルカ…」


「お前…」


「オット…!ヨソ見ハヨクナイゼ~!」



背後に現れた者による攻撃でヘーロスが隣のビルまで吹き飛ばされる。


ヘーロスはビルの窓にナイフを投げ、窓ガラスを割りビル内部に傷一つなく受け身を取る。



「機械生命体か…!」


「コイツ…今ノ攻撃ヲ…」


「ヤハリ、ウィルフォードノ言ッテイタ通リダネ…!」


「ブラック・ベルモンテ様ノ子孫ダ、気ヲ抜クナ。」



空中に浮かびながらビル内のヘーロスを見つめる機械生命体たち。


ヘーロスのもとに現れたのは機械生命体のR-01、R-04、R-05の三人だった。



「ダケドR-01、サスガニコノ数ハ…無理デショ。」



そうR-04が言うとヘーロスがいるビルが大きく揺れ出す。



「これは…」



すると天井を突き破ってヘーロスのもとに迫る機械兵たちが…!



次々とミサイルのように突撃する機械兵を軽快に避けるヘーロス。



機械兵の突撃でビルが倒壊していく。


ビルから脱出したヘーロス。


しかし、そんなヘーロスに向かってR-05が攻撃を仕掛ける。



ヘーロスは周囲に散らばったビルの瓦礫を足場にしてR-05の攻撃を避けながら地面に着地する。



「うわぁぁぁ!」


「た、助けて…!」



ヘーロスが降り立つとビルの倒壊で腰を抜かした青年たちが。



「お前たち、離れてろ…!」



そんな青年たちに向かってレーザービームを放つR-01。



「チッ…!」



間一髪、ヘーロスが二人の青年を抱えR-01の攻撃を回避する。



だが、






【政府に反逆行為を犯す者を徹底的に殲滅せよ。】






その声を聞いた青年たちがヘーロスにしがみつく。



「なに…!?」


「そうか、数ヵ月前に起きた惨状を君は知らなかったようだね。」


「ブラッドフォード…!?」



先ほどの声の主はブラッドフォード卿だったのだ。



数ヵ月前に起きたアポカリプス計画、それにより全世界にいる約6割を占めるサイバーインプラントを施した者たちは政府、いやT.Z.E.Lの支配下となっている。



だが、その惨状をヘーロスは目にしていなかった…!!




君がレヴァリィ世界で封印されていたのは、こちらにとっては…好都合だった…


今の状況が叶ったのも君がアポカリプス計画を目にしていなかったことによるものだからね。




ブラッドフォードが合図すると機械生命たちがヘーロスにしがみついた青年たちごとレーザービームで攻撃を行う。



「持ちつ持たれつといこう、機械生命体。」


「シュレディンガー、ウィルフォードハドコダ?」


「ウィルフォード殿はあそこへ向かった。」



そう言ってブラッドフォードは上空にある大穴を指さす。



「我々の計画の前に起きたが、問題はない。

私たちはこの男をウィルフォード殿の準備が整うまで止める。それが彼の指示だ。」



ブラッドフォードが見つめる場所にはヘーロスが依然と立っていた。


ヘーロスの服には自分のではない者の血が付着していた。



ヘーロスの瞳が紅く染まる。



「探す手間が省けた…

お前らはここで終わらせる。」



殺気を全開に放つヘーロスに機械生命体ですら震撼する。



「(コレハ…)」


「これが恐怖ってやつだ、機械生命体。」



ヘーロスがナイフを手に取り構える。






~十四日目~


8:00 現実世界

ストレンジャー拠点内部



「まずい、ヘーロスから連絡が…!」


「何がどうなってんだ、ソフィア!

街中とんでもないことに…」



街では人々が混乱に陥いっているだけでなく、次々と人を襲う者がいた。



「嘘…これって…」


「ありえねぇだろ…!

レヴァリィ世界にしかいない存在だぞ!?」



人々を襲っている存在の正体、それはテロスだったのだ。



「リアムは…!」


「アドルフと連絡してたから…レヴァリィ世界に…」


「くっ…!(エヴァ、俺はどうすれば…!)」



外の異常な状況にアンドリューはレヴァリィ世界にも何か異常が起きていると考える。



だが、俺はここでソフィアたちを…



ヘーロスに頼まれたことを思い出しアンドリューは葛藤する。


だが、そんな中で状況はさらにアンドリューたちを追い詰める。



「アンドリュー、私のことはいいよ…!

まずはヘーロスを…」



すると拠点の天井が破壊される。



「いやはや、こんなにも手間がかかると思いもしなかったよ…ヒッヒッ…」


「ここか、ストレンジャーの拠点は…」


「お前ら…!!」



崩壊した天井の先にはローレンとヴィヴィアンが立っていた。


そしてアンドリューはヴィヴィアンが引きずる人影を見て声を荒げる。



「ダニー…!…お前…!」


「手こずったぞ、なかなか口を割らないものだからな。」


「うっ…アンドリュー…逃げるんだ…」



おそらく拷問にあったのだろう。


ダニーはすでに体中ボロボロの状態でヴィヴィアンに引きずられていた。


ローレンはアンドリューたちを見下ろしながら口を開く。




ヒッヒッ…彼を責めないでやってくれ。


なにせ九日間にも及ぶ我々の拷問に耐え抜き、こちらも記憶投影装置を使用せざるを得ない状態でもなお、抗い続けたのだから。




「てめぇ!」



アンドリューが飛び出しローレンに攻撃を行おうと試みるが、横にいるヴィヴィアンの蹴りがアンドリューに直撃する。



「ぐはっ…!」


「アンドリュー!」



地面に打ち付けられるアンドリューのもとにソフィアが駆け寄る。



「あの装置はかなり脳に負担がかかるからね、ヒッヒッ…精神が壊れていないのが不思議だよ。」



ローレンがアンドリューを見下ろしながら言い放つ。


それを聞いたアンドリューが口から垂れた血を拭きながら立ち上がる。



「ソフィア、悪ぃ…俺は…」


「いいよ、行ってきな。」



アンドリューの気持ちを汲んだソフィアは笑顔でアンドリューを見つめる。




これまで自分たちを守るためにアンドリューをここに留めていた。



けど、その間にも仲間たちは命を落としていった。



オルガやエヴァまで。



自分がこんなにも無力感を味わっているんだ、アンドリューはもっと感じているはず…



ここで彼を許さなきゃ私は明日の自分を許せない…!!




ソフィアの笑顔を見たアンドリューは同じく笑顔で返す。


互いの覚悟を理解できたのだ。



「…サンキューな!ソフィア!」


「うん…!…また、あれば…明日で…!」



飛び出すアンドリュー。



ストレンジャー拠点の屋上でローレンとヴィヴィアンと対峙するアンドリュー。


それを崩壊した天井から見上げるソフィア。



「…何言ってんだよ…明日は絶対来るに決まってんだろ…!!」



アンドリューが自身の拳を鳴らす。



「ここは俺がやります、ローレンさん。」


「あぁ、頼んだよヴィヴィアン君。」



そう言うとローレンはソフィアの方を見て、拠点内部に入る。



「(来た…!)」



ソフィアはローレンが降りてくるのを確認するとボタンを押す。


すると崩壊した天井が鉄状のバリケードによって閉じられる。



「ヒッヒッ…私をはめたつもりかな?」


「ちょっと違うかな~…

お前がアンドリューの戦いの邪魔にならないように…ってとこかな…!」


「ヒッヒッヒヒッ…!!

…彼、死ぬよ…?」


「死ぬ…?

…はなからこっちは死ぬ気でいつもお前らに挑んでだよ…政府のゴミが…!!」



ソフィアが机に置いてある銃をローレンに向かって撃つ。






~十四日目~


深層世界・無意識領域



「さぁ、世界の物語を見届けようじゃないか。」



ラグナロクが無意識領域のひび割れた空間から現実世界を見下ろしながら静かに言い放つ。



「グリーンと言ったな、お前はどうするつもりだ。」


「今の俺様は魂の状態だ。

深層世界、現実世界、レヴァリィ世界の境界が崩れた今、この状態でも[[rb:現実世界 > あそこ]]で認知はされるが…やはり肉体だな。」


「なるほど、では好きにするがいい。

私は先に…この世界を楽しませてもらおう…!」



そう言うとラグナロクは先に現実世界へと降り立つ。











「なんだ?」



「空から…人が…!」



「おいおい…誰か…!」




空中でラグナロクが両手を広げ、風を浴びる。




「あぁ、やはり…世界というものは…」




ラグナロクは地上にいる住民を見下ろす。


その表情は自身にとって新たなものを見せてくれるこの世界全てに向けての笑みそのものだ。




「素晴らしいな。」




ラグナロクの背後から大量のテロスが解き放たれる。


深層世界から飛び出してきたのだ。


テロスは四方に飛び出し街の至る上空から地上に降り注ぐ。




「え…?」



「なにあれ…」




言葉を失う人々。


そんな中で次々とテロスが上空から降り注ぐ。


ビルや道路の車に激突していく。



まるで質量爆弾だ。



巻き込まれた人々は何が起きたのかすらも理解ができないだろう。



地上に降り立つラグナロク。



「随分と増えたな…」



周囲の逃げ惑う人々を見てラグナロクは徐々に表情を歪ませる。



「目障りだ。」



ラグナロクの身体から触手が次々と出現し周囲の人々を惨殺し始める。



世界というこの上なくラグナロクにとって至高のものにあたりの人間は必要ないと判断したのだ。



「あの頃よりも…脆いな…」



テロスに襲われる人々、ラグナロクに惨殺される人々、世界は混沌と殺戮の波に呑まれ始める…






「……ド………イド………ハ…イド………」



自分を呼ぶ声がする……




どこかで似たようなことが……




「アンドリューさん!?」



ハイドは目を開ける。


だが、そこにはアンドリューの姿はなく、目の前には…



「ごめんね、私はその人じゃないよ。」


「あぁ…イヴか。」



ハイドの目に前にいたのはイヴとアダムだった。


ハイドはイヴとアダムの様子を見て、表情を変える。



「二人とも…!」



イヴは片腕を失っており、アダムはあばらから血を流していたからだった。



「あぁ、問題ないよ…」


「こっちもね、君も随分な怪我じゃないか。」



イヴはハイドの様態を気にかけた。


リベルとの戦いでハイドは腕も脚も再起できなくなるほどの怪我を負った。


意識はあるものの、この状態では戦いに戻ることはおろか立つこともできないだろう。



「あぁ、俺の全てをリベルあいつにぶつけた。だけど…」


「別の何かが来たんだよね。」


「あぁ。」



ハイドはリベルがラグナロクに憑依されたことを思い出す。



「俺の力不足だ…何もできなかった。」



自分の無力感に打ちひしがれるハイド。


そんなハイドの表情を見たアダムが口を開く。



「俺もだ…俺がいたから…グリーンが…」



アダムはハイドに自身のあばら骨を使ってグリーンがもう一人のグリーンを生み出したことを打ち明けた。


そしてラグナロクとグリーンが深層世界と現実世界の境界に穴を空けたことも。


ハイドは状況を聞いて、アダムの肩に手を置く。



「アダムありがとう…教えてくれて…!」



ハイドはアダムを責めるわけでもなく、アダムに事情を伝えてくれたことに感謝した。


そんなハイドの対応にアダムは救われた。



「こっちのセリフだよ…ハイド…」


「…でも、その状態でどうする気?」



イヴがハイドの状態を指さし尋ねる。


なんとか上半身は起こしているが、今のハイドの様態じゃ立つことができないことは誰が見ても一目瞭然だった。



「あ…えぇ…っと…」



ハイドは今頃気が付いたかのような反応をする。


それを見たイヴはやれやれといった様子でため息をつきながらハイドの肩に手を当てながらこう言った。



「まだやるべきことがあるんでしょ?

それなら私たちの身体を使って。」


「!?…何を言って…」


「俺たちは他の生物と組成が違う、でもそれは君も同じ。」



アダムがイヴの手に自身の手を重ねる。



「少し時間は掛かるけど…

私たちは君を必ず送り届けると誓うよ。」


「それが俺たちの”役割”だ。」



アダムとイヴの言葉を聞いたハイドは言葉を失う。


何度も敗北し続け、目の前の敵を止めることもままならなかった自分に賭けようとするこの二人の姿にハイドは困惑を覚えた。



「そんなことしたら…二人の肉体は…」


「問題ないさ、君の傷ついた部分を修復するだけだ。」


「私たちの肉体が消失するなんてことはないよ。」



それでも無事でいられるはずがない。



ハイドはそう感じた。



自分の肉体が量子といういまだ謎の存在で構成されているのは理解している。



二人の肉体もそれと同等でなおかつこの深層世界なら肉体の再修正なら可能だろう。



しかし、いくら量子といえど肉体を形作っているのには変わりない。



二人の肉体をすり減らす、それは二人の肉体が消失しないにしても必ず何かしらの異常が出てくるはずだ。




だが、



俺にはやらないといけないことがある。



みんなに約束したんだ、必ず帰ってくるって。



こんな状況にまでさせたのは、



俺がリベルを倒せなかったから、



俺が力不足だったから、



俺が無知でいたから、




俺が…




秘宝を作製したのが始まりだ。




「…始めたことはちゃんと…終わらせなきゃだよな…」


「あぁ、だが君が始めたから続いたものもある。」


「え…?」


「俺たちの物語さ。」



アダムはそう言うとイヴに合図し、ハイドの肉体を修復するべく行動に出た。



ハイドの全身が光り輝く。






~十四日目~


8:00 現実世界

セントラルエリア



「なにこれ…」



車を走らすイヴリンの助手席で街中を見渡すヴァイオレット。



二日前にシュレディンガーエンタープライズ研究施設でイヴと接触したことで、レヴァリィ世界にエヴァを向かわせることに成功したヴァイオレットたち。


だが、突如イヴリンを裏切った|H.U.N.T.E.Rハンターの仲間たちに研究施設ごと破壊される。


それによりエヴァは研究施設と共に命を落とすことになった。


このままストレンジャーの拠点に戻るのはリスクが大きいとしてイヴリンはこの二日間、追手のH.U.N.T.E.Rを退けていた。



「T.Z.E.Lの仕業よ。」



外を見つめるヴァイオレットに答えるイヴリン。


その表情は後悔と怒りが混じっていた。



「T.Z.E.Lがこれを…?」


「すでに人口の6割はやつらの支配下、仲間のH.U.N.T.E.Rもサイバーインプラントを施した者が私たちを襲ってきていた。」



街中ではアポカリプスウイルスに侵された人々が無差別に住民を襲ったり、街を破壊している。


だが、街を破壊し尽くしているのはそれだけじゃなかった。



「…!!…掴まって!」



何かに気が付いたイヴリンは車の速度を上げる。



「嘘でしょ…あれは…」



ヴァイオレットが後ろを見るとそこにはテロスの群れが。



「何よ!あれ…!」



イヴリンは車のスピードをさらに上げ、街中を暴れるテロスの群れを掻い潜っていく。



「あれはテロス…レヴァリィ世界にしか…存在しないはず…!」


「はぁ?…レヴァリィ世界…!?

…もしかしてダニーの言ってた…」



すると車のボンネットに乗りかかるテロス。


テロスは高速で動く車を見て本能的に襲ってきたのだ。



「チッ…!…邪魔!」



イヴリンは車を大きく揺さぶってテロスを薙ぎ払おうと試みる。


振り落とされたテロスは車に轢かれフロントガラスにテロスの肉片が飛び散る。



「うっ…!(前が見えない…!)」


「イ、イヴリンさん、右…!」



ヴァイオレットがハンドルを無理に動かし障害物を避ける。


だが、テロスの血肉の匂いに誘われて3級テロスの群れがイヴリンの車に群がる。



「嘘でしょ…!?」


「イヴリンさん、その路地に入って…!」



イヴリンはヴァイオレットの指示に従い路地に入りテロスを路地にはめるが、それでもまだ車を追ってくるテロスの群れが。



「道がわかってんならあんたが運転しな…!」


「え、でも…うち、運転免許持ってな…」


「いいから!…ゲームとかでよくやってんでしょ…!?…その要領…!」



そう言うとイヴリンはハンドルをヴァイオレットに渡し、サイドウインドウに上半身を外に出し、テロスに向かって射撃する。



「わ…!え、あ…わわ…!」



ハンドルの操作が上手くできず蛇行しながら前に突き進むヴァイオレット。



「ちょっ…ちょっと…!…ヴァイオレット!真面目にやって!」


「だって…!うち運転できないもん…!!」


「(こんなときダニーなら必ず命中させるのに…)」



イヴリンは狙いが定めづらい状況の中、なんとかテロスの群れを撃ち落としていく。


だが、イヴリン達にさらなる追撃が迫る。



「イヴリンさん…!避けて…!」


「!!」



前方からヴァイオレットたちを襲ったのはT.Z.E.Lの支配下となっているH.U.N.T.E.Rの追手たちだった。


イヴリンはサイドウインドウに手をかけ、車から全身ごと出して狭い路地に並ぶ壁を伝いながらH.U.N.T.E.Rの追手が発砲した銃弾をなんとか避ける。



「こんなときに…!」



イヴリンはすぐに半身を車内に戻し、前方の車に発砲する。


車が横転したことで、その場を通過するヴァイオレットたち。



「今すぐストレンジャーの拠点に向かうよ…!」


「え、でも…昨日まではリスクがって…」


「もうそんなことを言っている余裕はなくなった…

さっきの襲撃でわかった…世界がもうじき終わる…!」



イヴリンは銃をリロードしながら目の前に群がるテロスを見る。






「今日からお前のパートナーになるダニー・バーキンだ、よろしくな。」


「イヴリン…イヴリン・Cセント・ウィザースプーン。」




最初はあんたのことなんか気にも留めてなかった。



でも、少しづつあんたと任務をこなしていくうちにわかってきたことがある。




「イヴリン、どうした。」


「別に。」


「……いいか、敵を狙うときはまず自分の呼吸を整えろ、そうしたらマシになる。」




私の手についた怪我を見てすぐにあいつは察した。



だから銃のコツを私に教えてくれた。



その時あいつの目を見てわかった。



私と同じで自分自身を騙し続けている。



仲間と寄り添うことでかつての自分を否定しようとしているんだと思った。






本音を隠し一族に縛られ続ける私、



本音を隠しかつての仲間に未練を持ち続けるダニー、






ひとりは責任を求めた結果。


ひとりは正義を求めた結果。



自分を追い詰めた結果が今の私たちを形成している。



けど、わかってはいる。



どちらも同じ、家族を捨てきれなかったんだ。



呪うべき家族を、敬うべき家族を…




「…それでも…私は…ダニーが………きだ。」


「え…?」



それを聞いたヴァイオレットが少し驚いたような表情を浮かべる。


イヴリンは銃を構え、前方のテロスに向けて発砲する。






~十四日目~


8:00 現実世界

セントラルエリア



「素晴らしい…」



空いた空間の穴を見上げながらウィルフォードは意気揚々とした表情を浮かべる。


手を広げ、これまでにないほど最高潮に達した今の気持ちに身を任せる。



「今日、我々は神に最も近い…真人類にんげんとなる…!!」



終焉の物語が幕を開く…!

読んでいただきありがとうございました。

いよいよ最終章、本格始動です。


まだまだ話は続きますが、物語の展開としては佳境となっていきます!

読者の皆さん、ぜひお楽しみください!


次回6話をお楽しみに!

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