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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第5章 ~古き終焉と新たな創生~

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9話「覇者と申し子」

己に宿した肉体も、魂も、全て…


この人生ものがたりのために。

~??日目~


深層世界 無意識領域



「Code-γガンマ」……


その文字のあとに現れる景色。


そこには上空に広がる星々を眺める二人の少年の姿があった。



「お前はこの先、叶えたい夢があんのか?」


「んー…俺は…みんなが幸せな世界がいい!」


「幸せか…お前らしいな!」


「過去にみんなケンカばっかりしてたから、もっと笑顔で夢いっぱいの世界がいいかなーって!」



弟はリベルに無邪気な笑顔を見せる。






二人は平行に走り、互いの様子を伺いながら自身の攻撃を繰り出そうと試みる。


ハイドは水流を鞭のように形状変化させ攻撃に転じる。


対するリベルは先ほどハイドの岩の弾丸を防いだ2体のテロスを従え、ハイドに攻撃を行う。




ハイドの攻撃はリベルが従えたテロスをまとめて拘束し、そのまま床に叩きつけ戦闘不能に追い込む。


しかし…



「ッ…!!」


「その位置からでも躱すか…!」



テロスに気を取られた一瞬の隙、そして2体のテロスが壁となったことによって、リベルの攻撃の瞬間を目視することができなかったハイド。


そんな中でリベルは圧縮したテロスを弾丸のように放ったのだ。



本来であれば、この時点で勝負は決していただろう。



だが、目の前にいるのは真理の覇者と化した古代人の生まれ変わり。



ハイドは2点からなる負の要素をこれまで自身が培ってきた実戦経験と身に着けた圧倒的センスでカバーした。



「(今の攻撃はやばかった…あっちもかなり秘宝の力をうまく転用してくる!)」


「安心すんなって…!」



リベルはすぐにハイドに攻撃を行う。


しかし、いくら深層世界でシミュレーションしたとはいえ、それはあくまで秘宝の力。



自身の戦闘能力自体は古城跡あのときと変わらない…!



「遅い!」


「!?」



ハイドはリベルの攻撃を受け止め、態勢を自身に有利な位置に整えすぐにリベルに反撃の蹴りを繰り出す。



「っ…!」



リベルは顔に蹴りを受ける。


しかし、悪魔の申し子の表情は諦めてはいなかった…!



「うっ…!(テロスの時間差による変形…!)」



リベルは先ほど打ち出した圧縮したテロスを時間差で変形させ、ハイドの背後を襲う。


ハイドも予想もしていない攻撃に横腹を負傷する。



「んまぁ、これでお相子だな。」


「…。」



ハイドはリベルの無駄な会話に付き合う素振りを見せず殺気を放つ。



「(戦闘経験値ではこっちに分がある、けどこの空間じゃあいつはテロスを生み放題…地の利はあっちに分がある…)」



ハイドは次の先手を自らのものにするためこれまでの戦闘を分析する。



「おいおい、無視すんなって~また、見たいわけ?あの光景を。」


「あの…光景…?」



ハイドの返しに笑みを浮かべるリベル。



「え、もしかしてもう忘れた??あはっやばっ!

おっかしいな~お前が大事にそうにしてた人を変えたつもりだったんだけどなー」


「お前…」


「名前はなんだったけなー…あーミニー…シヤ…とかいう聖騎士団のやつと…マー…えーっと…あーなんだっけ、マル…マルコおじさん…だっけか~?」


「てめぇ!!」



怒るハイドはリベルの挑発に乗り走り出す。


それを誘っていたかのような表情を浮かべるリベル。



「そう怒んなって…ガキか?」



リベルは目の前に手をかざすと、2体のテロスが現れる。



「そん…な…!」



ハイドはそのテロスを見たすぐに気が付いた。



「ミニーシヤさん!マルコおじさん!」


「幻覚じゃないよ、こいつらの魂を見つけるのは骨が折れたよ…んまぁ死んでも会えたんだから俺に感謝しろよな~」


「リベル!!!」


「あーあーうっせ~」



リベルはあしらうようにハイドの叫びに被せるように言い放ち、テロスをハイドに向かわせる。


ハイドに向かう2体のテロスはかつて古城跡で見たミニーシヤとマルコのテロスと同じ姿をしていた。


あの時と違い、身体は万全。


だが、身体は動かなかった。



「うっ!!」


「あはっ!あれ?前にも見たような光景なんだけど!」



それはハイドがテロスと化したミニーシヤとマルコに一方的に襲われる光景だ。




リベルはハイドがテロスに襲われる最中、深層世界に入ってから見た自身の記憶、Codeを思い出す。






Code-εイプシロン


そこではハイドが兄を見習い、内在せし指輪エンシャイエンを完成させた光景。



Code-ηイータ


そこでは己が完成させた秘宝、超越せし指輪アポクリプシを利用して次々とパラフィシカーを増やしていき、自身にも触れた対象に欲の影響を与え変異させる力を身に着けた。



この力こそ…今のリベルが所持する秘宝…


進化の意慾エクセレクシだ。



Code-ιイオタ


そこではハイドとR-07の仲睦まじい姿を見て、弟に対し幸福感を感じると同時に喪失感を抱く自分。






地べたに手をつくハイド、そしてそれを見下ろすテロスと化したミニーシヤとマルコ。


その背後まで近づいたリベルはハイドに呆れて発言する。



「またお得意の正義感か?それが一体何の役に…うがっ…!?」



突如、リベルの首を絞めたのはテロスと化したミニーシヤだ。



「なん…だと…!?(なぜだ、まだ制御できる時間は残っていたはず…!)」



リベルは掌から圧縮したテロスを弾丸にしてハイドに放つ。


しかし、



「くっ…そ…!!」



なんとその攻撃を防いだのはテロスと化したマルコだ。



「おっ…前…!何を…した…!!」


「ここで俺の大事な人をテロスにしたのは失敗だったな、リベル!」



ハイドは右拳に真理の神秘ダブマで取得した情報を混ぜ合わせていく。


炎と水を螺旋状に回転させながら空気の膜で閉じ込め、それを拳に纏う。




お前が変異を与えるのはあくまでその人たちの“肉体”だ。


ここ深層世界に存在しているのは魂、お前はその魂を経由して肉体を変異させることでテロスを出現させている。


肉体が魂から成るならその逆もありえるだろ。


魂は肉体から成る…!!




それを聞いたリベルが青ざめる。



「まっ…さか…!!」


「ここにいるのはお前が従える怪物じゃない…俺の大切な仲間たちだ!!!」



ハイドは拳をリベルに振るう。


炎と水の螺旋状攻撃がリベルの腹に直撃する。


炎の攻撃力、水の瞬発力、それを空気による膜で閉じることで威力を衝撃として外部に逃さず、全ての威力をリベルの体内に与える。


今のハイドが繰り出せる最高火力の一撃だ。



「うぐはぁっ!!」



激しく血を吐くリベル。


本来周囲に衝撃として走るエネルギーも全て体内に押し込まれている影響で体中から血が噴き出す。




ありがとう。


ミニーシヤさん、マルコおじさん…


こんな場所でも俺を助けようとしてくれた!!


二人の命を救えなかった、ボロフさん、サムエルさん、ロクアさん…他にも散っていった命がある…


だけど!!


みんなの魂は俺のここにある!!


それを穢すことはいかなるやつだろうと許さない!!




「お前は!ここで!!ケリをつける!!」






Code-λラムダ


そこでは世界の構造が歪み崩壊が始まる中、グリーンが自身と弟が完成させた秘宝を奪い世界の支配を開始し、パラフィシカーの集団を率いた自身が止めに向かう光景。



Code-οオミクロン


そこではグリーンから取り返した超越せし指輪アポクリプシを機械生命体に封印するように頼む自身の姿。



Code-ρロー


そこでは止まらず崩壊し続ける世界を見て、ついに弟の行動に怒りが抑えきれなくなった自分がパラフィシカーを率いて反逆を行う光景。


その光景はまさに地獄絵図だった。


市民の被害もいとわないパラフィシカーのあらゆる攻撃が街を、これまで築き上げてきた文明を壊していく。






「てめぇの…!!その…!!正義感が…!!!世界を壊すんだよ…!!!!」


「!!」



ハイドはリベルの異変に気が付き、攻撃の手を止めた。


激しく血を吐くリベルは自身の両手を首に当てる。


すると、次々と自身の肉体がボコボコと膨らみ形を変えていく。



「これは!?(自分を進化の意慾エクセレクシで…)」



ハイドは距離を取りながら肉体を変異させていくリベルに向けて再び攻撃を行おうと試みる。


肉体を膨張させながら巨大化していくリベル。


その姿は人の形を留めずもはや肉塊も同然の姿をしていた。



「くっ!(どこまで大きくなる気だ!?)」



巨大な肉塊となったリベルはいまだ膨張し続け、ハイドを取り込もうとしている。


ハイドは前方に空気による壁を張りなんとか次の一撃を放つ動作を試みる。



「(たとえ体積が大きくなっても核はあるはず!)」



ハイドは先ほどと同様に真理の神秘ダブマを使用し、情報の複合を開始する。



先ほどよりも威力を全体に伝わるように、


速く、鋭く、重たい一撃を放つために…!



岩の硬さ、水の柔軟さ、そして空気による衝撃範囲を固定することで、ハイドは肉塊と化したリベルに打撃を叩き込む。



「ギキャァアア!!!!!」



激しい声をあげるリベル。


もやは人が発する声ではなく、テロスが放ったかのような雄たけび。


ハイドの放った一撃は巨大なリベルの肉塊を岩による硬く重たい攻撃が水による鋭利さをもって肉体を突き刺し、空気による伝播性を以てしてリベルの全身を襲う。



リベルの肉体がはじけ飛ぶ。


膨れ上がったリベルの肉塊は内側からの衝撃に耐えきれなかったように飛散した。


周囲に肉片が散らばり、ハイドは肉塊のおおもとが残る場所を見る。



「これで…」


「…終わりだと思ったか?」


「!!」






その声にハイドは驚愕する。


目の前に残る肉片が徐々に形を変えていき、人の成りを形作る。



「あの肉塊はこれを完成させるための囮…ってことか。」



ハイドは冷や汗をたらしながら言い放つ。


今目の前にいるリベルは屈強な肉体、漆黒の翼に鋭利な爪と牙を生やした姿をしていた。



その姿は…



まさしく悪魔。



指を動かしながら新たな肉体の動作を確認するリベル。



「うん、いいね…俺の欲通りだ。」


「はっ…これがお前の望んだ姿か?」



リベルの禍々しい覇気に冷や汗を浮かべながらもハイドは問う。


その問いにリベルは長い舌を出し自身の顔についた僅かな肉片を取りながら答える。



「お前の攻撃を受けて確信したよ。

お前は古城跡あのときよりはるかに成長した、この短時間でな。」



リベルは静かに足に力を込めていく。


その動作を見逃さなかったハイドもまた静かに力を込める。



「経験でお前に劣る俺がとった選択…それは成長じゃない。」



リベルはハイドに殺意と狂気の籠った眼差しで見つめる。



「“進化”だ、俺は人としてさらなる段階ステージに成り上がることでお前を凌駕した。」


「(来る…!!)」


「さぁ、第2ラウンド…開始だ…!!」



運命の闘いは次のステージへ…!

読んでいただきありがとうございました。


ハイドとリベルの戦いは加速され、真理の覇者は覇者たらしめる存在へ、悪魔の申し子は悪魔のごとき存在へと昇華する。


次回10話をお楽しみに!

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