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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第1章 ~第一次リヴィディン大国侵攻~
7/98

7話「殲越十二戦士」

殲滅を約束せし十二の越者。


我らが通る後には死体の山のみ。

「何をそんなに睨んでおるのだ?我を誰だと思っている。」



ジャック王は囚われた身で殺意のこもった目つきでこちらを睨み付けるハイドに問いかけた。



「あんたが……この国の……クヴィディタス大国の王か?」


「いかにも。貴様は我の欲している秘宝を身につけているのだ。それを渡せ。」



ハイドは自身の右腕に付いた腕輪を見た。

そう、この腕輪からこのような事態に発展していったのだ。


なぜ、クヴィディタス大国はこの腕輪を求めるのか?


そこまでして強力な力を持った代物なのだろうか?


ハイドはジリアン王から聞いたジャック王のとった最悪の行為、テロスを生み出したことを脳裏に焼き付けならジャック王にこう尋ねた。



「……いいぜ。けど、あんたの持つ秘宝と交換だ。」


「なに!?貴様…なぜ我の秘宝を知っている…!?」


「アセティア大国の王に聞いた。それでお前はこの世界にいるテロスを生み出したんだろ!!」



ジャック王はハイドの発言に驚きはするもすぐに平静を取り戻した。



「ジリアン王め……。ペラペラと言いおって…。テロスはたしかに我の秘宝が生み出した副産物だ。だが…この世にいるテロス全てが我が生み出したわけではない。代々、我の持つ秘宝、進化の意慾エクセレクシの餌食になったものはテロスと化したのだ。」


「!!!」



進化の意慾エクセレクシ”、10の秘宝のうちクヴィディタス大国で所持されている秘宝。

所有者は触れた生物の変異を強制的に促進させる効果を持つ。

変異には対象の生物の欲が反映され、より強大な生物や、逆に弱小な生物にまで幅広く変化する。

異形な存在を意図的にかつ複数生み出すことができるため、秘宝のなかでも「世界の法則を壊す力」の1つとされている。



「そして変異には対象の欲が反映される。私があのような怪物にしたのではない、彼らが望んだ結果だ。」


「…!!クズやろうが!!」



ジャック王と話している間にクヴィディタス帝国軍の大佐が集まってきた。

ハイドは先ほど、ジャック王が言っていた戦争の件で招集されたのだろうと察した。



「どの大国の王も大差ないだろう。さて、こちらも時間がないのでな。そろそろ秘宝をいただくぞ。」



ジャック王はそう言って、ハイドに触れた。するとハイドの身体に異変が起こる。



「うっ……!!」


「さて、君の欲はどのような形となるのかな…。」



ハイドの肉体がどんどんと異形のものと化していく。そしてついにハイドは意識を失った。











「ジリアン王め……。ペラペラと言いおって…。テロスはたしかに我の秘宝が生み出した副産物だ。だが…この世にいるテロス全てが我が生み出したわけではない。代々、我の持つ秘宝、進化の意慾エクセレクシの餌食になったものはテロスと化したのだ。」


「!!?」



ハイドは気が付くとまた見たことのある光景を見ていた。数分前の会話に。

そしてこれはハイドにとって初めてのことではなかった。



「(リヴィディン大国の時と同じ…!まただ…!!戻っている!?)」


「そして変異には対象の欲が反映される。私が…」


「お前があのような怪物にしたもではない、彼らが望んだ結果だ。だろ?」


「!!!」



ハイドはジャック王の発言にかぶせるようにして自らが次の台詞を言った。

ハイドには一度聞いた内容、ジャック王はなぜ、自分の言いたいことが先に言えたのか分からず、驚いた。


そしてハイドとジャック王の会話の一部始終を見ていた一人の大佐が口を開く。



「この青年は未来を視た……いや、過去に戻ったのか。」



そう放った男の名前はディートヘルム大佐だ。

クヴィディタス帝国軍の5人の大佐の1人で、ハイドの能力を推察した。



「ほう…。それは興味深いな。では我が貴様をテロスとしようとした光景も体験したということか?」


「そこまでは…。ですがこの青年の能力は危険です。安易に殺すのは不用心かと。」



ジャック王はディートヘルム大佐の忠告を受け、ハイド殺害を止めた。

そして秘宝のみを得るために拷問室でハイドの腕を切除するようディートヘルム大佐に命令した。



その頃、クヴィディタス大国の王都にクヴィディタス帝国軍の隊服とは異なる二人組が歩いていた。


黒いマントを着ていて、一人はモヒカン頭に無数の傷が顔に付いている厳つい風貌、もう一人は長髪に落ち着いた雰囲気漂わせる真逆な風貌をしている。



「ここがクヴィディタス大国の王都か?」


「ああ。私が調べたところによると、この国に私たちの目標となる青年がいるらしい。そいつを殺せば私たちの任務は完了だ。……ん?どこに行く、エルトロ。」



長髪の男性はモヒカン頭の男をエルトロと言った。



「あぁ?こんな小綺麗な街にいると頭がどうにかなっちまいそうなんだよ!俺は別の場所を探す。テオバルト、お前はこの街の奴らから情報でも聞いておけ!」



エルトロは長髪の男性をテオバルトと言った。



「こっちこそ、お前と同行はごめんだ。」



二人は正反対の方向へと歩きだした。



一方、ディートヘルム大佐はジャック王の指示のもと、部下であるカロライナ中佐とともに拷問室に向かった。

ディートヘルム大佐がハイドに向かってこう放つ。



「ここで、お前の腕を切らせてもらう。なに、死にはしない。それで過去に戻られても困るしな。」



その言葉にハイドは動揺する。


自身の死を悟るハイド。


そこでハイドはこれまでの記憶を振り返った。




親のいない自分を育て上げてくれたマルコとの思い出…


自分を守ってくれるアローラたち聖騎士団のメンバーや流浪人の人たち…



マルコおじさんは無事だろうか…?


本当にこれでいいのだろうか…?


助けられているばかりの自分のままで…




いや、自分にはまだやるべきことがある…!



「カロライナ中佐、こいつを」


「うおぉぉ!!」



ハイドは決心し声を上げてディートヘルム大佐に襲いかかる。

だが、すぐさまカロライナ中佐に取り押さえられる。



「大佐、お怪我は?」


「問題ない。お前、今自分で命を絶とうとしたな…。この私の剣を使って…!やはり、お前の持つ能力は危険だ。両足もいただくぞ。」



ディートヘルム大佐はハイドを連れ、拷問室に入ろうとした。そのときだった。



「大佐!待ってください。俺に考えがあります!」



ディートヘルム大佐に声を掛けた男は、同じ階級にいるラインハルト大佐だった。

そして、ラインハルト大佐はハイドを自分の前に立たせてこう言う。



「この青年はまだ17歳の子供です。そんな子供をこのような目に遭わせるのは間違っています。それにこの青年の能力は我々にとっても有益なものになるでしょう。私に任せてくださいませんか?もし、何かあったら責任は全て私が取ります。」



ラインハルトは大佐のなかでも指折りの実力者だった。

それもクヴィディタス大国が建国されて以来、初の最年少で大佐に上り詰めた人物でもあった。



「いいだろう、だが用心しろそいつは危険だ。」



民からの信頼も厚いラインハルトの訴えにディートヘルム大佐は渋々承諾し、その場をカロライナ中佐と共に後にしたのだった。


その後、ラインハルトはハイドの肩に手を当て、耳元でこう言った。



「今から君を助ける。だけど、そのためには他の者を欺く必要があるんだ、それまでおとなしくしていてくれよ?」


「えっ!?どういうことですか……?」


「まあ、簡単に言えば偽装工作さ。」


「。でも、どうやって……それにあなたはなんで…。」



ハイドを落ち着かせるように笑顔で答えるラインハルト。



「それはこれから考えるよ。まずはここから抜け出すことが先決だよ。」



場面変わり、ハイドをウォルターにさらわれたアローラ達はアセティア大国でハイドを取り戻すべくアドルフと話し合っていた。


あの地下施設での騒動でジリアン王は逃げおおせたものの、呆気なくリアム達に捕らえられた。

今後はジリアン王の弟であるキリアンが王の勤めを担うと決断したのだった。


アローラはハイドを救うためにリアムとロクアを連れ、クヴィディタス大国に急行した。

また、アドルフはアローラの部下である聖騎士団の第一部隊メンバーをアローラ達のもとへ向かわせるためにグラ大国に向かうことを決めた。



「(無事でいてくれ……!ハイドくん…!!)」


「アローラさん!僕のパラフィシカーとしての能力は”高速移動”です!僕だけならクヴィディタス大国の領地に夕暮れまでに辿りつけます!!」


「なら先に行ってくれ!俺たちは後で追いかける!」



リアムの持つ能力は”高速移動”

自身を最大音速までの速度で移動が可能な能力だ。

それにより、リアムは地下施設でのアローラを助けたり、逃げたジリアン王を捕まえていた。


リアムはアローラたちのために逐一、自分の痕跡を残しつつクヴィディタス大国に能力を駆使して向かったのだ。



3日前…


ハイドがラインハルト大佐と出会った時点からさらに時は3日前に遡る……



リヴィディン大国の王都にて、ハインリヒ軍曹が招き入れた2級テロスの群れを倒し終えたへーロスは王都の復興作業を兵たちと協力しながら取り組んでいた。


そこにグラ大国からアローラの命で聖騎士団第一部隊メンバー、サムエルが王都に到着した。

サムエルはロクアが大国にたどり着いていないことからアローラの予測が正しかったことを悟り、王宮に向かいジャクソン王にグラ大国でのことを伝える。



「そうか。だが今、彼はインビディア大国にいてな。すぐに向かわせることができないのだ。」


「そ、そんな…。ですが、今は一刻を要す時なのです!ハイドくんもクヴィディタス大国の者に…。」


「その点は問題ない。先ほど俺の仲間が救助したと連絡が入った。このままアセティア大国に向かうみたいだ。それより…」



へーロスは王都の外にいる2級テロスを差し向けた者がハイドを狙うクヴィディタス大国の者だと確信していた。

そして休戦状態の両国に亀裂を生むような事態を招いた今回の一件。

へーロスはクヴィディタス大国がリヴィディン大国と戦争を始める予兆なのではないかと考えていた。


ジャクソン王もへーロスの考えと同意見であり、ジャクソン王はただちに大国全域に兵を派遣し、警備体制を強化した。

そしてグラ大国の王女であるジュディ王女を救う手がかりになる人物を急いで向かわせるためとサムエルに約束し、サムエルはグラ大国に帰還する。



時刻戻り、アセティア大国でアローラ達とアドルフは、ハイド救出とグラ大国に向かう役目をそれぞれ担い行動を起こしている中、グラ大国ではアローラがハイドを探しに向かってから何の連絡もないまま4日が経とうとしていた。



「隊長は…ハイド君は無事かな…」


「大丈夫さ、隊長がいる。連絡が来ないのは隊長が忘れてしまっているだけだろう。」



王宮の外から見える景色を見ながら考えるミニーシヤとボロフ。

すると王宮に1頭の馬がこちらにかけてくるのを目撃する。


馬に乗っていた人物はリヴィディン大国からグラ大国に帰還したサムエルだ。



「サムエル!それでジャクソン王は?」


「あぁ、それなんだが…」



そこにアドルフが王宮にやってくる。



「聖騎士団の者ですか?」


「あなたは一体…?」



アドルフはこれまでの経緯をミニーシヤに伝えた。

それを聞いたミニーシヤ達は急いでアローラ達の向かうクヴィディタス大国に向かい、アドルフは直前にへーロスから連絡があったクヴィディタス大国とリヴィディン大国の戦争に備えてグラ大国を守護することを決めた。



クヴィディタス大国の王都のとある拷問室でラインハルトに頼まれて、偽装の手伝いをしているハイド。



「ハイドくん、君はクヴィディタス大国のはずれにある小村出身だよね?」


「は、はい…。どうして今それを……?」


「実は俺もそこの出身なんだ。マルコさんは無事だよ、俺の所属に今はいる。」


「ほ、ほんとですか!?よ、よかった~!」



ハイドはラインハルトから聞いたマルコの安否に安堵する。

そしてラインハルトは拷問室にいくつかの偽装工作を完了させた。


ラインハルトはハイドに王都から出る場所を伝え、ハイドにあるものを渡した。



「こ、これは…?」



ラインハルトがハイドに渡したものは秘宝の副産物の一種である、”神秘の欠片”だった。

それは緑色に輝く希少価値のある結晶で、結晶内にある物質の情報を僅かながらに引き出すことができるとラインハルトはハイドに説明した。



「本来は武器の装備品に組み込んで使用するんだけど、そのままでも使用はできるよ。」


「は、はぁ…。(よくわからない…)」


「その欠片の情報は目くらましになる強い光が秘められている。君の助けになるといいんだが…。」


「いえ!助かります!ありがとうございます、ラインハルトさん!」



ハイドはラインハルトにお礼を言い、王都を出た。

ラインハルトは拷問のすえに青年の持つ秘宝が暴走し、青年に逃亡したと王宮にてジャック王に伝え、ハイドが逃げた方向とは別方向に逃げたと報告した。


そしてラインハルト大佐はディートヘルム大佐に伝えたように責任を取るためにハイド追跡を自身が担うと提案した。

しかし、その報告を不審に思ったディートヘルム大佐はこう言い放った。



「いや、ここは私の部下を追跡に向かわせよう。」


「…。…ですが、先ほども言ったように俺が責任を取ると…。」


「ラインハルト大佐…。先ほど、王宮内でクヴィディタス帝国軍の将軍殿が招集した。そこで、ヴァレンティーン将軍の軍が今回の”リヴィディン大国侵攻”の作戦を担うことが決定した。つまり、お前もその作戦に参加する必要がある。」


「!!」



クヴィディタス帝国軍には最高責任者の総督の下に3人の将軍が軍を束ねている。

各将軍の軍には大佐、中佐など階級を持った兵がそれぞれ配属されており、ラインハルトは今回の”リヴィディン大国侵攻”と呼ばれる作戦を担うヴァレンティーン将軍の軍の大佐であった。


これ以上、作戦に参加する軍を他の任務に割くわけにはいかないとしてディートヘルム大佐の部下がハイド追跡に向かうことが決定してしまう。

これに関してはいくら大佐とはいえ、ラインハルト大佐も従うほかなかった。


そしてディートヘルム大佐の指令のもと、コンスタンティン少佐率いる部隊がハイド追跡を開始する。



「例の青年か…。ハインリヒ軍曹に命じたやつがまたもや脱走とは。それより、ハインリヒ軍曹はどこにいる?」



コンスタンティン少佐が兵に尋ねる。



「それが…ヴァレンティーン将軍の命で今回の”リヴィディン大国侵攻”の作戦に特別に参加したとのことです。」


「そうか…。まぁ、上からの命令だ、仕方ない。(ハインリヒ軍曹から聞くにイラ大国はあの青年殺害のために”殲越十二戦士”を出動させている……急がねば……)」



コンスタンティン少佐は部隊を編成させ街を出る。



「まずは拷問室を調査するぞ。」




コンスタンティン少佐がハイドに少しずつ迫る中、ハイドは王都から出ることに成功し、クヴィディタス大国の広大な山岳地帯を歩いていた。

いくらクヴィディタス大国出身のハイドといっても、7大国で最も広大な領地を所有するクヴィディタス大国の全ての土地勘を持っているわけではない。



「やべぇ……。迷った……。(ラインハルトさんに逃がしてもらったのはいいんだけど、これはこれで……)」



すると、後方から誰かが近づいてくる足音が聞こえてくる。

ハイドが警戒しながらその方向を見るとそこには1人の男がいた。



「(なんだ、この男は?見たところ一般人じゃないみたいだけど……。もしかしてクヴィディタス帝国軍の追手か!?)」


「おい、お前がハイドってやつか?」



男がハイドに問う。

自身の名前を知っていることからただ者ではないと感じるハイド。



「…あんた…誰だよ。」


「俺の名はエルトロ。殲越十二戦士の1人だ!」



エルトロは黒いマント脱ぎ、親指を自身の向け言い放った。



「殲…なんて?」


「おいおい!知らねぇのかよ!まぁ…いいか…。つまり、俺はお前を…殺しにきた。」



一瞬にしてエルトロの目つきが変わった。



ハイド「!!!」



ハイドは身構える間もなく、エルトロの攻撃をもろに受ける。

これまでにないほどの一撃、ハイドは数メートルも吹き飛ばされる。


全身の力が入らない、それだけじゃない血も吐き、意識も朦朧としてきた。


たった一撃受けただけでハイドの肉体が限界を迎えていた。


それでも、ハイドは立ち上がった。

そしてアローラからもらった聖騎士団の剣を抜きこう放った。



「か…かかって……こいよ…!!!」


「威勢がいいなぁ!!そういうのは…嫌いじゃねぇ!」



再びエルトロが襲いかかる。

ハイドはなんとか剣でエルトロの打撃を防ぐ。


しかし、突如ハイドの持つ剣が爆破を起こす。

その衝撃で吹き飛ぶハイド。


なんとか体勢を整え、エルトロから目を離さず剣を構える。

傷ついた剣が少しずつだが、再生していく。

これも秘宝の副産物の1つである聖装備の力。


しかし、ハイドは防いだ攻撃がなぜ爆発するのか疑問に思った。

するとそれに答えるかのようにエルトロが口を開く。



「驚いたろ?これが俺のパラフィシカーとしての能力、俺は触れたものや自分自身を爆発させられる!!」


「(これが……パラフィシカーってやつか…!)」



ハイドの目を見てエルトロが笑みを浮かべる。



「いいねぇ!次行くぞ!!!」



エルトロはハイドに猛攻撃を仕掛ける。

ハイドは剣でエルトロの攻撃を防ぐので手一杯だ。


一撃でも食らえば致命傷となる攻撃、ハイドはこれまでのアローラとの訓練を思い出す。




「いいかい、ハイドくん、敵の攻撃を避けるには相手の癖を見抜くんだ。そして相手の隙に反撃を打ち込むんだ。」




ハイドはエルトロの攻撃パターンを見る。


右、右、左、右、右、左……


ハイドはエルトロの攻撃が右での打撃が連撃となっていることを見抜く。



「(威力は左の方が強いが左から右に移行する際に僅かに隙がある…!!!)」



ハイドはエルトロが左から右の拳に移行する直前で姿勢を低くし、エルトロの次の攻撃を避けた。


しかし……



「それで避けたつもりかぁ?」



エルトロは横に避けたハイドに強烈な蹴りをお見舞いする。


ハイドは避けきれず吐血する。

しかし、蹴り飛ばされたハイドも諦めてはいなかった。


ハイドは蹴り飛ばされた直後に握っていた結晶をエルトロに向かって投げる。

そう、それはラインハルトにもらった神秘の欠片だった。



「!!」



大きな閃光がエルトロの目の前で発生する。

それにエルトロは視界が光に遮られハイド見失う。だが、ハイドはこれで終わらなかった…!


エルトロがハイドを舐めてあえて能力を用いないで攻撃を仕掛けていた。


ハイドは反撃のチャンスと感じ、エルトロに向かって走り、アドルフの発言を思い出す……




「戦闘の熟練者は攻撃に転じる際は自分の気配・感情を操作するのです。その方が相手の不意をつけやすい。」




ハイドは自分の持つ感情である恐怖、怒りを全て捨て、殺意のみ残しエルトロに脇に強烈な攻撃を与える。


その一撃は卓越した戦闘能力を持つエルトロですら焦りを感じるほどの一撃だった。

しかし、エルトロは笑みを浮かべこう放つ。



「もっと楽しませろよ?ガキ!!!」



先ほどよりもさらに速い攻撃がハイドを襲う。

ハイドはそれをかわすことができず、直撃を受ける。


今度は先程よりも威力が高い、ハイドは再び吹っ飛び壁に激突する。


ハイドは今度こそ立てなくなる。


もうダメだと諦めかけたその時、ある人物がハイドの前に降り立つ。



「おい!こいつはへーロスさんの大事な仲間だぞ!」



その人物を見たエルトロが驚愕した。



「貴様…!流浪人か!!」



逆立った赤髪に筋肉質な体型のその男は自分の名をアンドリュー・アダモフスキーと名乗った。


男は続けてこう放った。



「こいつは、俺ら流浪人の仲間だ!こいつを殺したいならまず俺と戦ってからにしてもらおうか!!」



新たな流浪人…!

読んでいただきありがとうございました。


投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。

ここ最近続く猛暑により体調を少し崩してしまいました。

読者の皆様も体調管理にはお気をつけてください!

それでは次回もお楽しみに!

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