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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第5章 ~古き終焉と新たな創生~

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8話「創られし者」

ともに志した夢も、記憶も、全ては…


この瞬間ときのために。

~??日目~


深層世界 無意識領域



「Code-δデルタ」……


その文字のあとに現れる景色。


周囲には様々な今までに見たこともないような金属や装置が並んでいる。


その中心にいるのは自身の兄の姿だ。



「いいか、ハイド。

俺たちは今日からここで成し遂げるんだ。

二人で協力していこうな。」


「けど、さすがに俺たちの夢は…」


「何言ってんのさ!できる!俺たち二人ならな!」


「うん…!」



場面が暗転する。


次に見えたのは互いで協力し合いながら作業に取り掛かる姿だった。



「ハイド!悪いけどそこの装置持ってきてくれないか?」


「わかった兄さん!」


「悪いな、そっちの方は進展あったか?」


「いやー今のところ何も…けど何か惜しいいんだよね。」


「これが終わったらお前のも見てやるよ、ちょっと待ってな。」


「え、いいって兄さん…!そっちもまだ完成できてないでしょ?」


「言ったろ?二人で協力するって。いいから少し待っとけよ。」


「…ありがとう兄さん。」



場面が暗転する。


次に見えたのは数年が経過した二人の姿だ。



これまでと変わらない部屋で兄は金色の指輪を手に取る。


それはこれまでにもよく見たことのある形状をしていた。



「よし…」


「これが…」


「あぁ、俺の望んだ世界を作ってくれる…超越せし指輪アポクリプシだ。」



そういうと兄は超越せし指輪アポクリプシをハイドに見せる。



「すごい!ついに完成したんだね!」


「長い道のりだったけど、これで俺たちはさらにより優れた者として、未来を切り開けるはず!」



兄は笑顔でそう言って、ハイドの手に超越せし指輪アポクリプシを置く。



「次はお前だ、お前の理想も実現させていこう!」


「うん!」



兄とハイドの表情は明るい未来のために笑顔を見せる。






「Code-βベータ」……


その文字のあとに現れる景色。


そこには先ほどの記憶とは異なり二人は少年の姿をしていた。



「兄さん!これ以上外にいると冷えるよー」


「ハイド!見てみろよ!」



兄はハイドにそう言うと上空に広がる星々を指さす。



「綺麗だよなー」


「ほんとだー…」



二人は目を輝かせながら星を見つめる。



「俺はさ、この星の数のように俺たちの未来を輝かせたいんだ!」


「未来…を?」


「あぁ!未来が明るければ幸せに俺たちは繁栄を続けていけるんだよ!」


「兄さんはよく未来って言葉を使うね!」


「俺の好きな言葉だ!」



兄はハイドに無邪気な笑みを見せる。



意識が遠のく……



「そういうことか…」



ハイドは目を開けそうつぶやいた。



「かつての…記憶を見たんだね。」


「…うん、そしてわかったんだ。」


「何を?」



イヴが問う。


ハイドはこれまでのCodeを思い出す。






Code-ωオメガ


そこでは高度な文明を持った世界が崩壊していく光景が見えた。



Code-χカイ


そこでは自分が瀕死の兄に向かってある発言をしていた。



“お前は俺の…”と。



Code-υウプシロン


そこでは兄がまるで生きた金属のような不気味なものを宿し自分に襲い掛かっていた。



Code-σシグマ


そこではパラフィシカーが街中の人間を襲う中、ヘーロスに似た男が自分を救ってくれた。



Code-πパイ


そこではあるものを機械生命体に託し、電子情報として封印するよう頼む自分。



今思うとあれは内在せし指輪エンシャイエンだった。



Code-ξクサイ


そこでは世界は禍々しく歪み崩壊が近づき戦争が起こる中、自分が超越せし指輪アポクリプシをはめる姿。



Code-κカッパ


そこではとある人物を失い悲しみに暮れる自分、そして兄に忠告されながらも内在せし指輪エンシャイエンを使用し、世界を歪めてしまった自分。



あの記憶で亡くなったのは、R-07だ。



Code-θシータ


そこではグリーンが生み出した機械生命体R-07と恋をしてから失うまでの経緯。



Code-ζゼータ


そこでは内在せし指輪エンシャイエンの可能性と危険性について兄と話す自分。



Code-δデルタ


そこでは今より優れた人間が繁栄する未来に向けて超越せし指輪アポクリプシを完成させた兄との会話。



そして…



Code-βベータ


そこでは少年時代、未来に憧れを抱く兄との会話だ。






「これは二人の兄弟の生涯、そして…古代人の作り上げた文明が崩壊するまでの…記憶だ。」


「……。」



イヴはハイドの発言に表情を変えず聞く。



「今まで見ていくたびに過去の記憶を見ていたんだ…だから気が付かなかった…」


「何を…?」



ハイドはイヴの問いに少し間を置きながら答える。



「お前だったんだな…兄さんの生まれ変わりは……リベル…!!」



そう言ってハイドは振り向く。



そこにはリベルがこちらを向いていた。



「…こんなとこまで来るとか…マジかよ…ハイド。」



リベルもハイドをかつての自身の記憶に見えるハイドと重ねる。



「お前もなんだろ?

リベル、この深層世界にきて記憶を見たのは俺だけじゃないはずだ。」


「…違う…記憶なんかじゃない…あれは…お告げだ。」


「…イヴ、ここは俺らだけにさせてくれ。

お前は自分の目的に向かうんだ。」



ハイドはそうイヴに言う。


イヴはうなづきその場を後にする。



俯いた状態のリベルが口を開く。



「…俺は…ハイド、お前とは違う…ここに来るまで何にも覚えてないお前とはな…!」



リベルの目つきが鋭くなる。


周囲の空間が先ほどまではまるで宇宙空間のような闇に包まれていたのに対し、徐々に形を形成していく。


その空間はどことも表現できない不思議な空間だった。



来たことあると言えば、そんな気がする…


だが、知らない場所と言えば、そんな気もする…



「近い将来、お前は世界を崩壊させる…そう…未来は決まっているんだよ…!!」



殺気を放つリベル。



「お前が何を見たのか知らないが、かつて俺たちは同じ屋根の下で苦楽を共にした兄弟だった…!!」



ハイドもまた臨戦態勢をとる。



「それは未来で待つ光景だ!!」


「いや、過去にあった事実だ。」



二人はともに走り出す。






リベルは自身の掌から小石のようなものをハイドに向かって投げつける。



それを見たハイドは異変に気が付きその小石を避ける。


するとその小石が突如、形を変え周囲に炸裂する。



「!?」



リベルの攻撃の正体を理解できないハイド。


しかし炸裂した小石をよく見ると…



「テロス…!!」


「ここじゃ秘宝の力を使えるのは知ってるな?お前がこの階層に来るまで時間はあった。だから…」



リベルはさらに両手を合わせる。


手の中にあるものが徐々に膨らみ続ける。



「成長してんのはお前だけじゃないんだよ。」



リベルの手の内にある複数のテロスがハイドに向かって大きく炸裂する。



触れた生物の欲に従い変異を強制させる進化の意慾エクセレクシ


リベルはハイドより早くこの階層、無意識領域に辿り着いた。



無意識領域は意識領域と比べて時間の概念が曖昧だ。


ハイドが第1層や第2層で過ごしている間もリベルは長い時間を無意識領域にいた。


故にリベルが進化の意慾エクセレクシの力を極めるには充分な時間があった。



「くっ!!」



大きく後退するハイド。


ハイドの腕に真理の神秘ダブマが現れる。


それに気が付いたハイドも秘宝の力を開放する。



しかし…



「はい、残念~」


「!!」



背後にいたテロスの攻撃を受けるハイド。


あらかじめ配置していたのだ。


テロスの攻撃を受けたハイドだが、すぐに態勢を立て直し真理の神秘ダブマから炎の情報を取り出しテロスを焼き尽くす。



「(どうやってテロスたちを…!?)」



生物に触れることで進化の意慾エクセレクシの能力は発動する。


だが、周囲には人間など存在していない。


いるのは自分とリベルそしてこの場を離れたイヴだけだ。


可能性を考慮してもこの空間にいるとすればアダムと名乗る青年とグリーンくらいだろう。


ハイドはリベルの攻撃手段を考える。



「どうやってテロスを…って考えてる?」



ハイドの心を見透かしたように問うリベル。




秘宝の力を何度も試した。


そこで俺はある程度、俺の欲を反映させて生物を変異させることができるようになったのさ。短時間なら操ることもできるよ~?


かなり苦労したけどね~




無意識領域は量子の世界、魂の混在する空間。


生物の魂が空間内に知覚できずとも存在している無意識領域で、リベルは自身の秘宝によって自在にテロスを発生させることが可能となった。


自らの欲を反映させる形で知覚することのできない魂に肉体を持たせ物理的な攻撃手段に転用。


そして生物の魂はこの空間の至る箇所にある。



つまり、



この無意識領域フィールドリベルやつにとって欲の宝庫!!



「お前、死者までも弄ぶきか…!!」


「あはっ、そう声を荒げるなって、耳が痛くなる。」



リベルはそう言うと自身の左右に2級相当のテロスを4体出現させる。


どれも異形ながらに筋肉質で戦闘に特化した姿をしている。



「さぁーて、5体1だな。

逃げるなら今のうちだぞ。」



ハイドは4体のテロスの異質な雰囲気を感じ取り、真理の神秘ダブマの力を使って左手に岩、右手に炎を出現させる。



「お前こそ、いいんだな?それが最期の遺言で。」






再び二人は動き出す。


リベルの前方に2体、後方に2体のテロスがリベルを囲むように走り出しハイドに向かう。


ハイドは右腕の炎を圧縮させつつ、左腕の岩を弾丸上にしてリベルに放つ。



「(岩を陽動、本命は炎か…わかりやすいな…)」



岩の弾丸からリベルを守る前方のテロス。


岩の弾丸が落ち着いた瞬間にリベルの後方にいたテロスがハイドに向かう。



襲い掛かるテロスをハイドは右腕に圧縮した炎で攻撃する。


1体のテロスがもう1体のテロスを盾に使い、炎の攻撃から身を守る。



「まだだ!」



ハイドは右腕に力を込める。


すると圧縮した炎が全方位に槍状となって拡散される。


それにより炎の攻撃を防いだテロスも炎の槍によって倒される。



しかし…



「やっぱわかりやすっ」



ハイドの横にまで接近していたリベルが先ほど岩の弾丸を防いでいたテロスと共にハイドを攻撃する。


先ほどの炎の槍を展開したことで迫りくるリベルたちに気が付くのが遅れたのだ。



攻撃を受けたハイドも反撃を行おうと試みるも、2体のテロスが連携して畳み掛ける。


それにより、防戦一方となるハイド。



「くっそ…!」


「さぁて…」



2体のテロスの攻撃を見ながらリベルもハイドに向かう。



周囲の情報を取得し自在に操作できる真理の神秘ダブマの力。


リベルは古城跡でのハイドとヴォルフガングの戦いを知っている。


そこでハイドが発動したのは岩、炎、空気の情報。


いまだ空気の情報を使用していないことから、奥の手あるいは反撃のきっかけとして使用すると考えるリベル。



ハイドの真理の神秘ダブマに細心の注意を払いつつ、リベルは新たなテロスを投入する。



「!!」


「こいつはさっきのより強力だよ。」



1級相当の実力を持つテロスがハイドに向かう。


炎を使用してきたハイドに対し、リベルは自身の欲を反映させてこちらも炎を放出するテロスを生み出す。


ハイドの炎をテロスの能力で打ち消し、岩はテロス自身の肉体で対処する。



「(これで2つの情報は封じた…さぁ使ってこい…!)」



テロスに放った僅かな隙を見て、リベル自身がハイドに直接攻撃を行う。


深層世界という意識下での世界故か自身の未来跳躍は使用できなかった。


だが、それはハイドあちらも同様に過去跳躍の能力も使用できないということ。



死んで時間を戻る芸当はできない。


それはつまり、進化の意慾エクセレクシの対象になることを意味した。



「!?」



だが、



リベルは知らなかった。



真理の覇者が上の階層でどんな経験をしてきたのか。



「っ…!」



意識領域・第4層、そこでハイドが経験したのは自身の身体に眠る記憶を読み取っただけではない。


グリーン・ウィザースプーン、彼との闘いでハイドは新たに水の情報を会得していた。



「んだよ…これが狙いね。」


「少し早かったか…」



ハイドの目の前には身体を貫かれたテロス、そして肩を負傷したリベルの姿があった。


ハイドは反撃のきっかけになるとしてリベルに唯一知られていない、情報である水を用いた。


水を圧縮して水圧カッターのように発射しテロスとリベルの射線上を射抜いたのだ。



咄嗟に動きを止めたリベルは自身の急所ではなく肩を負傷するにとどまったが、数歩進んでいたら間違いなく勝負はついていただろう。



リベルは確信した。



「(間違いない…こいつ…)」



ハイドの確たる意思を持つ瞳を見ながらリベルはこう続けた。



「(迷いがない…!!)」



古城跡での戦闘…


そこでハイドと対峙した頃とは別人のように精神が鍛え上げられている。


そう感じるリベル。



何がハイドあいつをそこまで成長させたのか?



答えはハイドのみぞ知る。



深層世界に入ってからハイドは多くのことを経験してきた。


意識領域・第1層では最愛の者との別れを告げ、自分の後悔に区切りをつけた。


意識領域・第2層では己の理想をその身で感じたことで、自分の真の想いを理解した。


意識領域・第3層では理想ではなく世界の歴史に目を向け、自分の中にある常識を覆した。


意識領域・第4層では己の内に眠る古の記憶を対峙し、過去の自分を理解した。



そして、意識領域・第5層ではイヴと出会ったことで、宿る魂は過去の己でも自分の存在にケリをつけ、答えを示した。




それが今、悪魔の申し子の前にいる真理の覇者ハイドなのだ。



「んまぁ、次はお前のまぐれは通じねぇけど。」



リベルは先ほどハイドを襲わせた1級テロスの亡骸を変形させ、負傷した肩の止血を行う。


ハイドはリベルの煽りに静かに怒る。


リベルはそんなハイドをさらに挑発するかのように言う。



「続けるぞ、言ったよな?文句があるなら拳で語ろうって。」



悪魔の宣誓…!!

読んでいただきありがとうございました。


多忙により更新が大幅に遅れてしまいました…

少しでも僕の作品を読みたいと思ってくれていた読者の皆様に申し訳ありません…!!

ということで今回は第5章の残りの9~12話分全てを投稿していく予定です!


ハイドとリベル、因縁の戦いはどのような決着へと向かうのか…


次回9話をお楽しみに!

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