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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第5章 ~古き終焉と新たな創生~

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5話「大国の夜明け」

全知を以って世界を統べ、


全能を以って世界を動かす。


沈む日に別れを告げ、


昇る日に祈りを捧げよ。


新たな時代、新たな創世記を前にした者は、


それを成した者を神と呼ぶ。

~十一日目~


4:30 アロガンティア大国・西部都市:街道付近



特級テロスの出現で西部都市壊滅のカウントダウンが迫る中、そんな窮地に死神と言われた男が姿を現した。



「…準備はできているんだろうな。」


「もちろん、案外大変だったんだよ~…?こっちも。」


「始めろ。」



エヴァが自分たちの方へ駆けるのを見つけたスードは声を上げる。



「エヴァちゃん!ここはダメだ!

いったん退くんだ!」


「!!」


「しまった!!」



スードの真上にまで迫った特級テロスを見てエヴァは足を止める。



「今だ!ラファエル!!」



ルークが声を上げると、スードの真上にまで迫っていたスライム型の特級テロスが爆散した。



爆発は連鎖的に次々と特級テロスの内部から生じ始めた。



「これは…」


特級テロスこいつがここまで来る前にあらかじめ周囲の建物を爆弾に認識させてたのさ~…」



ウォルターはエヴァたちのもとに現われ、爆散していく特級テロスを見つめる。


するとルークがバーバラとウォルターに声をかける。



「アリエル、ラファエル、俺たちは今すぐに王女のもとへ向かうぞ。」


「えぇ。」


「僕は遠慮させてもらうよ~…」


「お前に断る権利があると思うのか?…お前を見つけたのは」


「まぁまぁ二人とも落ち着いて…!」



エヴァが二人の間に割って入る。



「特級テロスは倒しても、まだ敵兵もテロスもこっちに向かってきてるんだよ?」


「…俺とアリエルは先に王女のもとへ向かってる。」



ルークはそう言うとバーバラと共に馬を使い、先を急ぐ。


ウォルターはそれを見届けるとエヴァを見つめ何かを考えていた。



「な、なに?」


「んー…何だったけなーと思ってね~…

あー…!そうだった~…ハイドから伝言をもらってたんだった~…」


「!?」



その発言に驚愕するエヴァ。



「ハイドくんが!?

詳しく聞かせて!今ハイド君はどこにいるの?」


「どこって…」



するとどこからともなく水のレーザーのようなものがウォルターたちを襲う。



「あれは…!!」



攻撃の主は先ほど爆散したはずの特級テロスの一部だった。


すると次々と爆散したスライム型の特級テロスの一部が独立して動き始める。



「うわっ…マズったな~…さっきより厄介なことになったね~…」


「呑気なこと言わないで!」


「そんなこと言われても僕の能力と[[rb:特級テロス > こいつ]]とじゃ相性が悪すぎるよ~…」



囲まれる三人。


周囲にはスライム型の特級テロスが攻撃を行おうとしている。



爆破も物理的な攻撃も通用しない…


まさに万事休す、かに思えたが…



突如、スライム型の特級テロスが電気のようなもので痺れ、飛散した。



「これは…」



ウォルターが見上げた先には…



「大佐の帰りが遅ぇと思ったらまさか、こんなことになってるなんてな!」


「雷帝…」



西部都市に現れたのはヴァレンティーンだった。


ヴァレンティーンは周囲の特級テロスを破壊してエヴァたちのもとへ向かう。



「久しぶりだね、雷帝~…。」


「おいマジかよ…死神じゃねぇか…!」



二人は互いを見つめ合い、殺気を放っていく。



「君と殺し合いたいところだけど…今はちょっと我慢かな~」



先に殺気を解いたのはウォルターだ。


エヴァは二人の様子を見て、ほっと一息ついた後スードに話しかける。



「スードさん、先にバーバラたちのもとへお願いします!」


「エヴァちゃん、君は…」


「私は後からそっちに行きますから!」



スードはヴァレンティーンとウォルターに警戒しながらバーバラたちの方向、礼拝堂へ急ぐ。



スードがエヴァたちから離れた後、あたりには次々と敵兵やテロスが街を破壊していく。


さらに先ほど飛散させた特級テロスが集まっていき、先ほどの巨大な特級テロスへと戻りかけていた。



「大佐を見つけたいとこだが…今はそれどころじゃねぇか。」



ヴァレンティーンは両足に電撃を放出し、空に浮かぶ。



特級テロスあいつを殺るには俺の能力が適してる。

他はお前らでなんとかしろ。」



そう言うとヴァレンティーンは特級テロスに向かった。



「はぁ…せっかく生き返ったから死にたくないんだけどな~…」


「じゃ早く片付けるよ!」



ウォルターとエヴァも周囲の敵兵やテロスに向かう。






~十一日目~


4:50 アロガンティア大国・西部都市:礼拝堂近辺



「王女、ここは限界です!」


「このままでは民が…!」



礼拝堂の入り口の扉を押さえながらジェシカ王女に自分たちの限界を訴える兵たち。


ジェシカ王女はしばらく悩んだ。


そして行動に出た。



「…私が出るわ。」


「で、ですがそれではあなたのお命が!」


「彼らの目的は私…すでに都市に特級テロスが侵入したならなおさら、他の者を相手にしている時間はないはず…」



ジェシカ王女は自ら扉を開ける。



「王、ジェシカ王女が現れました。」


「やっとか。」



ミカエルの報告でジョージ王は他の兵を別の場所に向かうよう指示し、ジェシカ王女のもとに向かう。




「お前の最期の役目だ。

その命、民のためここに置いてもらおう。」



ジョージ王は剣を抜く。



「ジョージ、私たちは互いに平和を望んで王位に就いたはず…なのに…なぜ…」


「こんな小さな世界の平和なんぞに何の意味がある…?」


「…?…何を言って…」


「どうせ、お前は死ぬ。

その前に教えてやる、俺が知った世界の真相を。」



そう言ってジョージ王は話を続けた。




この世界は本当の世界ではない、


現実はここより広大で俺たちの知らない文明、技術で溢れている。


現実世界で一定の人間が架空の世界に繋げられ、幻の世界に住まい、一生を終える…


それがこの世界の真実だ。


俺はヴィクトール総督からそれを聞いて心底絶望したよ…


この世界には未来はない、王になろうと、世界を支配しても…神にはなれない。


このままでは俺らは掌の上で躍らせれているだけなのさ、神を名乗る紛い者によってな。




「!?」



衝撃の事実に返す言葉が出ないジェシカ王女。






~十一日目~


5:10 アロガンティア大国・西部都市:街道付近



敵兵の攻撃を巧みにかわして次々と敵を撃破していくエヴァ。



「くっ…キリがない…!」



断絶の籠ディアスタスケージから出現させた武器で大勢の敵やテロスを串刺しにしていくウォルター。



「そろそろ終わってほしいんだけどな~…」



しかし、二人で相手取るには敵の数が圧倒的であり、苦戦を強いられていた。


このままではいずれ消耗戦となり、二人とも敵兵にやられる。



そんなときだった。



「!?」



エヴァに迫る敵兵が突如、背後から投げられた剣に突き刺される。


その剣はエヴァにも見たことのある武器だった。



「これは…聖装備の…」



すると家屋から声が聞こえてくる。



「流浪人さん、大丈夫ですか!」



その声の主は聖騎士団第二部隊のテギィだった。



「聖騎士団…」



テギィの後ろから他の第二部隊の者が現れる。



「隊長が見たら歓喜しそうな光景だな…」


「あぁ、違いねぇ。」


「…いくぞ、お前ら。」



シャルケル、ネルコフ、そしてロイフが剣を抜く。


四人はエヴァの前に降り立ち、次々と敵を打ち倒していく。



「第二部隊の人たち生きてたんだ…!」



エヴァがこれまで消息不明だった第二部隊のメンバーが生きていたことに安堵する。



「おらぁ!」


「くらえ…!」


「ありがとうございます…!第二部隊みなさん!」



エヴァがロイフたちに感謝を述べる。



「礼はまだ早い、これからだ…増援は…!」



ロイフはそう言うと仲間たちに合図する。


すると仲間は各方向にばらけ、敵を引き付ける。



「傭兵!今だ!!」



すると街道の中心にレオンハルトが降り立つ…!!



レオンハルトはすぐさま暴虐の縄エレフィリアロープを開放し、全方位の端に集めた敵兵を全て攻撃する。


そしてエヴァはこちらに向かってくる二人の影を目撃する。



「あれは…!!」


「ロイフさん、作戦成功しました!」


「レタくん、アイヨちゃんと避難してろと言ったはずだぞ。」



エヴァはリアムからパラフィシカーではないものの、特殊な生い立ちにより、特異な能力を持つ子供がいることを聞いていた。



「君たちがレタ君とアイヨちゃん…?」


「わたしアイヨだよー!お姉さんはー?」


「私はエヴァだよ、エヴァ・クリコフ。」



アイヨは目を輝かせ、エヴァに抱き着いたり気になることを次々と質問している。


それを呆れながら見つめるレタ。



そこにレオンハルトがやってくる。



「この場にいるジョージ王の兵は大方倒した。」


「すまない、傭兵。」



ロイフが感謝を述べる。



「礼はこっちの方だ、危険な作戦に顧みず承諾してくれた。感謝する。」


「おやおや~?誰かと思ったら僕の心臓を握りつぶしてくれた鬼神じゃないか~…」


「…!!」



その声を聞いたレオンハルトはすぐさま殺気立ち、振り向く。



「お前…なぜだ…」


「神様が僕はまだ死ぬなってさ~…」



ウォルターは笑みをうかべながらレオンハルトの問いに答える。



「そうか。」


「ん?…あれ?…なんか逆上したりしないの?」


「お前の生死には正直興味ない。」



レオンハルトは殺気を解き、ウォルターに背を向ける。



「お~い~、つれないな~…死闘を繰り広げた仲だろ~?

なんかもっとこうさ…じゃまた殺してやる的なのないわけ~?」


「ない。」


「えー…」



レオンハルトの無慈悲な返しにさすがのウォルターも呆れる。



「それより…そろそろあっちも勝負がつく頃だな。」



レオンハルトがそう言った目線の先にはヴァレンティーンと特級テロスが激しい闘いしている最中だった。



「やっぱ効いてんなぁ!」



ヴァレンティーンは自身の雷撃を特級テロスに何度も打ち込む。


特級テロスも自身の液状から作り出したレーザーを放つが、それを裂くようにヴァレンティーンは雷撃を放ち、その威力はそのまま特級テロスに直撃していく。


ヴァレンティーンの攻撃を食らったことで、動きが鈍くなっただけでなく、少しづつだが、肉体が崩壊していく特級テロス。



「(電撃で痺れるのは当然として、まさか肉体にも影響があるのは想定外だぜ…!)」



電気分解、


液体に電気を流すことで、その液体を分解する現象。



ヴァレンティーンは無意識に理解していた。



この生物に自分の雷撃を打ち込めば、身体が徐々に崩壊していき、次第には消滅するだろうと。



そのためにヴァレンティーンは先ほどの攻撃時より、全身の雷の出力を上げ始める。



「“やつ”と闘う前の慣らし運転にはちょうどいい相手だな…!!」



ヴァレンティーンは自身が誇る最大出力の雷撃を特級テロスに撃つ。


その速度は音速をも超え、周囲に衝撃波が走る。



「うっ…!…なんて出力!!」


「全員、物陰に隠れろ!」



エヴァやロイフたちはヴァレンティーンの放った攻撃の余波から身を防ぐために物陰に隠れる。


そんな中でウォルターとレオンハルトの二人だけがヴァレンティーンと特級テロスの戦いを見届ける。



特級テロスはヴァレンティーンの攻撃を受け、徐々に肉体が消失していく。



「んまぁ、こんなもんかな。」



自身の親指を舐めながら消失していく特級テロスを見下ろすヴァレンティーン。






~十一日目~


5:10 アロガンティア大国・西部都市:礼拝堂付近



「特級テロスが倒された…のか。」


「王、どうされますか?」



ジョージ王は目の前の瀕死のジェシカ王女を見下ろしながら発言する。



「ミカエル、西部都市を出るぞ。早急にだ。」


「承知しまし…ッ…!!」



ミカエルが返事をするよりも早く左右から何者かが攻撃を行う。


その攻撃をミカエルは咄嗟に防ぐ。



「まさか…あなたも“そちら側”ですか…ウリエル。」


「お前だけだ、そっち側に立っているのは。」



ミカエルに攻撃を行ったのはルークとバーバラだ。



「王女…!」


「チッ…!もうここまで…!(馬で駆けたか…)」



ジョージ王はすぐにその場を去ろうと試みるが…



「なっ!?」


「行かさないですよ。」



背後から剣を投げジョージ王の行く手を阻むのはスードだ。



「王…!」


「お前の相手は私たちだ!」



バーバラはミカエルに向かって携帯型射出装置を放ち、拘束を試みる。


しかし、ミカエルはすぐに能力でバーバラの背後を取り反撃を行う。


だが、その攻撃をルークが自身の剣に内蔵された神秘の欠片にある水の情報で攻撃を防ぐ。



「君たちでは私を倒すことはできないですよ。」


「倒す必要はない。」


「私たちはお前たちをこの都市に留まらせればいい。」



ミカエルは殺気を放ちながら構える。




日が昇り始める。




「ミ、ミカエル…!…こっちに来るんだ!」



ジョージ王の握った剣がスードによって叩き落される。



「夜明けだ、王。」



山から登る日が西部都市を照らし、スードを照らす。


日が聖装備に当たり、神々しく輝く。


そのまばゆい光にジョージ王は思わず手で遮る。





目の前にいる自身の命を取ろうとする者、


その姿はジョージが最も焦がれた存在…



神に見えた。



それが少しでも脳裏に浮かんだ瞬間、ジョージ王は怒り始める。



「紛い者如きが!俺の!命を奪えると思うなぁ!!!」



夜明けに振り下ろされる幕…

読んでいただきありがとうございました。

アロガンティア大国に集結していくそれぞれの陣営。

本編ではあまり語られていませんが、かつてヴァレンティーンとウォルターは拳を交えた過去があります。

結末は双方の陣営から制止される形で終わりましたが、戦いが続いていたらどちらが勝利していたか…


それは読者のみなさまのご想像にお任せします!


次回6話をお楽しみに!

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