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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第4章 ~交錯する理想と現実~

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5話「古に眠りし記憶」

悪戯ニ生マレシ生命ノ紛イ物…


ソコニ注ギ込マレシ生命ノ神秘…


ソレハ美シクモ儚イ…


泡沫うたかたノ輝キ。

~五日目~


深層世界 意識領域・第4層



「Code-θシータ」……


その文字のあとに現れる景色。


それは意識領域3層でグリーンが言っていた古代人が繁栄していた光景。


そこに一際高貴な服装を身に着けた人物が大衆の前に立ち、なにやら演説をしているようだ。


その男の目は、緑色に輝いている…



「諸君、これが死をも克服した生命、いや神の第一号となる!!」



そう言って男は、ある者を演説台に招く。



「彼の名はイデリス、彼は“あの兄弟”が生み出した指輪によって超常的な力を手にした!」



そう、男に招かれた者はイデリスだった。


彼はレヴァリィ世界で人型の特級テロス、だがこの時代では人としての容姿を持っていた。


イデリスは自身の能力で懐から取り出した死にかけた小動物を再び動けるまでにした。


その光景を目の当たりにした大衆は声を上げて歓喜する。



そして場面が暗転し、先ほどの緑色の瞳をした男が自身の目の前にあるものを持ってくる。


それはこの時代に多く存在している機械に似ているが、どこか自分たちのような有機的な部分を感じる。



「これは我々と機械、双方を取り入れた存在…」



そう、機械生命体であった。



「グリーンさん…」



自身が問う。



「なんだ不満か?…これは貴様たちも望んだ…死すら存在しない“もの”だぞ。」



再び、場面が暗転する。



そこにはグリーンが次々と機械生命体を生み出していく光景があった。


それぞれ姿形は違えど、みな古代人の繁栄のため忠実に行動していく。


そんな中、ハイドは一人の機械生命体と交流を深める。



「あー、違う違う、ここはこうやって…っと…ほらね?」


「申シ訳ゴザイマセン、ハイド様。」


「R-07。言っただろ?敬語はやめろって。」



ハイドはR-07と呼んだ機械生命体とともに自身の部屋にある小道具の修理を行っていた。



「私タチニソウ命ジルノハアナタクライヨ。」


「命じてなんかないって、お願いしてるんだ。それに…その方が俺がやりやすいんだよ…」



その姿を見てR-07はハイドを見つめる。



「不思議…何故、同ジ種族デハナク私ヲ…愛ヲ知ラナイ私ヲ…愛シテイルト言ッタノカ…」


「それは俺もだからだ。…俺も愛を知らないからさ。」



場面が暗転する。


次に見えた光景は大きな建造物が倒壊していた。


周囲の人々は避難を行う。


そんな中でハイドは倒壊した建造物によって大きく舞った砂埃の中を駆けまわる。



「R-07!!どこだ!返事しろ!!」



自身の負傷など気にせずに足を引きずりながら周囲を見渡す。



「はっ…!…R-07!!」



ハイドがR-07を見つける。


しかし、すでに身体の大半を瓦礫の下敷きとなったR-07はハイドの声掛けにもほとんど応じない。



「待ってろ!今この瓦礫を退けるから!」


「ダ…メ……ココハ…危ナイカラ…避難シテ…」


「お前を連れたらな!…くそっ…!(どうしてだ!?なんで他の連中はR-07を助けなかったんだ!!)」



ハイドが瓦礫を退かそうと試みる。


しかし、R-07は理解していた。


ハイドの力では瓦礫を退かせないことも、他の大衆が自身を助ける素ぶりすら見せなかったのを。



「ハイド…ヤッパリ…アナタハ不思議ナ人…私タチハアナタ達ノ…道具トシテ…グリーン様ガ…オ創リニナラレタノヨ…」


「くそっ!…動かない!!」



R-07は瓦礫を退かそうと試みているハイドの真上にある崩れかけの建造物が倒壊しそうであることに気が付く。



「ヤット…理解デキタ気ガスル…愛トハ何カヲ。」



R-07が自身の腕を伸ばしハイドを掴む。



「お、おい!離せR-07!!」






私ニハ涙ハ出ナイケド…


ハイド、アナタトモウ会エナイコトヲ考エルト…


何故ダカ、苦シイ。


マタ、イツモノヨウニ…


アナタノ隣ニ居タイ。


ケド、私ハ機械生命体。


愛ノ本質ハワカラナイ…






R-07はそのまま腕をさらに伸ばしていきハイドを自身から離していく。



「イツカ…アナタヲ本当ニ愛シテクレル人ガ…アナタノ心ヲ満タシマスヨウニ…」


「R-07!!!」



建造物が倒壊する。


それによりR-07は下敷きとなり残ったのはハイドを掴んでいた腕のみとなった。



意識が遠のく……






「今のは…」



目を覚ましたハイドはこれまで以上に動揺した様子だった。



「どうだ?今の気分は。」



グリーンがハイドに声をかける。


ハイドの様子を見たグリーンはハイドに尋ねる。



「なるほど…その様子だと…意識領域、第4層…この階層なら貴様の”Code”はより深みをましたようだな…」


「俺の見た夢を知っているのか…?」


「クックッ…貴様の夢など知るものか。

ただ…貴様も気付いている頃だろうが…」



ハイドは息をのむ。



「それはただの夢ではない…貴様のかつての記憶だ。」


「…。」


「ほう?…さほど驚かない様子を見ると予想はしていたようだな。」



ハイドはグリーンから目を逸らす。


しかし、グリーンが言ったことは当たっていた。


ハイドは深層世界に入ってからこれまで以上に多くの”Code”を見てきた。


全てうろ覚えだが、ハイドにはそれがただの夢ではないことは少しずつ頭のどこかで理解できていたのだ。


ただひとつ、理解できてなかったのは…




その記憶をなぜ自分は断片的に見ることができているのかということだ。




これまでレヴァリィ世界でマルコたちと平和に暮らしていた頃も夢は見ていた。

だが、それはいつも同じ”Code-ω”と表示される夢だけであった。


それがいつしか、異なる”Code”の夢を見ることになっていった。



そもそもこの夢の内容が事実であれば、自分は古代人ということになる。


しかし、古代人はグリーンが言ったように1万年も昔の存在。



その間、自分はどのようにしていたのか?


この記憶はどうやって自分の頭に映し出されるのか?



ハイドにはまだまだ疑問に思うことがあった。


それを見透かしたかのようにグリーンが口を開く。



「答えは貴様自身が知っている…」


「何を…言ってるんだ…?」


「先ほども言ったはずだ、俺様は貴様の記憶に用があると。」



グリーンは再びハイドに殺意を放つ。


しかし、ハイドはそんなグリーンに対し笑みを浮かべる。



「深層世界に入って…お前からいろんなことを得た…」



すると周囲の世界が次々と変形していく。


それは3層でグリーンが行ったものとは異なり、空間が歪んでいく。



「この階層は俺の世界だ!」



ハイドはそう言うとグリーンの足元の床を一瞬にして無にする。


グリーンはその現象にいち早く気が付き、床が無くなる前にその場から距離をとる。



「チッ!思い上がるなよ!?小僧!!」



グリーンは周囲の空間が歪む前に回避し、ハイドに向かっていく。



今の階層による深層世界の主はハイド。


そして4層では3層と異なり、世界の知覚のみならず物理現象まで操作が可能となる。


もはやグリーンに勝ち目などはない。



しかし…



「なっ…!?」



ハイドが自身の世界の異変に気が付く。


先ほどまでは自分の意思でグリーンの周囲にある空間を歪めていたが…



「なんで…」



ハイドは自身の制御下に置いていない空間にまで歪みが生じていくのを目にする。


それだけじゃない、思いどおりに世界を構築できるはずが、ハイドの意思とは関係なく次々と世界が変化していく。


レヴァリィ世界、現実世界、それぞれの世界が入り混じっていく。


それ見たグリーンはこうなることを予想していたかのようにハイドに言い放つ。



「俺様からいろんなことを得ただと…?…知恵が足りんな…小僧。」



グリーンはハイドの隙をついて強烈な攻撃を当てる。



「うっ…!」


「深層世界…たしかに夢のような世界だが…この世界にはひとつ欠点がある。」



グリーンはそう言うと目の前に武器を出現させる。



「それは階層が深くなるたびに…世界が不安定化することだ…!」


「その力は…!?」



ハイドはグリーンが出現させた武器を見て驚く。


今の階層ではハイドが支配下においているにもかかわらず、グリーンは自身の意思で武器を生み出した。



心魂の憧憬シールか!」


「貴様が世界を不安定化させたおかげでこちらもある程度、自由なことができる…感謝する…。」



階層が深くなれば、その分、世界の構築における自由度は広がる。


しかし、それはあらゆる世界のことわりをも崩壊させる可能性を秘めている…


予てより、古代人は内在せし指輪エンシャイエンを用いる際は第3層までの階層までしか潜らないと決めていたのだ。


それ以上深く潜れば、構築する世界は不安定と化し、自由故の崩壊が始まってしまうからだ。



「(これ以上世界をいじれば、この階層自体が壊れる…!)」



ハイドは深層世界での可能性と危険性を同時に知ることとなった。


だが…



グリーンあいつができたなら俺にもできるはずだ…!!



そう心に決心しながらハイドは自身の腕を見る。


すると腕には見覚えのある腕輪が出現する。



「!!…それは…」


「言っただろ…?…俺の世界だって…」



そう、ハイドはグリーンと同様のやり方で自身の腕に真理の神秘ダブマを出現させたのだ!!



深層世界や階層について…


かつて存在していた古代人について…


10の秘宝とパラフィシカーについて…


自身の奥底に眠る記憶、”Code”について…



ここで多くの真相を見てきた。



ハイドはこの世界に入るまでの目的を達成するため…



グリーンとリベルを見つけ、自身との関係、そして…この先に待つ未来のために…



「解き明かして見せるさ…世界の真理をよ。」



真理の覇者、再び…!

読んでいただきありがとうございました。

真実を知ったハイドは再び真理の覇者として、世界を知る者に立ち向かう…


次回6話をお楽しみに!

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