4話「秘宝の真実」
古き意識の波…
そこにあるのは偽りか真実か。
それは理を蹴った者にしかわからない。
~五日目~
深層世界 意識領域・第3層
パラフィシカー…
それはレヴァリィ世界に一定数存在する特異な能力を持つ者の総称。
彼らと通常の人間との差はその特異な力を持つか否か。
それ以外にこれといった差異は見られない。
故に長年、彼らの詳細は解明されていなかった。
解明しようと試みる者すらいなかったのだ。
しかし、彼らにはある共通点が例外的な人物を除いて存在した。
それはパラフィシカーとして特異な力を獲得する条件だ。
「パラフィシカーは生命の危機に瀕した際に初めて能力が発現する。
…ラファエル…いや、ウォルター・ヴァレンタインを除いてな。」
そうグリーンは言い放つ。
「ウォルターが…?」
「パラフィシカーと人間の大きな差は脳の構造だ…彼は生まれながらにして脳が覚醒状態にあったのだろうな…」
グリーンは自身の素体である肉体、クリストファーの記憶を辿りながらそう答える。
「でも、それが10の秘宝と何の関係があるんだよ…!」
ハイドの発言を聞いてグリーンが静かにハイドの方を向く。
「鈍いな…あの時とは大違いだ。」
そう言うとグリーンは周囲の世界をまたもや変形させていく。
新たに構築された世界は先ほどの古代人とグリーンが言った超高度な文明の街が崩壊している世界だった。
そこでは、特異な力を持つ者たちが周囲の建造物や民衆を無差別に襲っている。
「(これは…!?…似た光景を俺は夢で…)」
ハイドは自身が見る”Code”で今起きている光景を見ていたのだ。
もしかして…
あれは夢なんかじゃなくて、過去に起きたこと…
誰かの記憶なのか…?
「貴様はパラフィシカーと秘宝が何の関係があると言ったな…?」
「!!」
するとハイドは驚くべき光景を目にする。
「馬鹿な男だ…なぜ秘宝が所有者を選ぶと思っている…」
ハイドが見た先にはレヴァリィ世界で見た現象…
人々が次々と異形の姿となり街を破壊する姿、
全身から縄のようなものが生え、周囲の全てを残酷にも破壊し続ける者、
掌からあらゆるものを格納し、自在に武器や兵器を出現させている者、
全て、ハイドがこれまでに目にしてきた10の秘宝の能力を持つパラフィシカーがそこにはいたのだ。
「秘宝と呼ばれている“あれ”はかつてこの時代に生きていたパラフィシカーだ。」
「!!」
ハイドはグリーンから突き付けられた衝撃的な事実に驚きを隠せないでいた。
「じ、じゃ!…なんで今は秘宝として人じゃなく物として存在してんだよ!」
「そんな理由、俺様が知るわけないだろう…
“奴ら”の考えていることなんざ理解したくもないからな。」
「奴ら?」
「話は終わりだ。
俺様はハイド、貴様の記憶に用がある。」
グリーンがハイドの方に歩み寄る。
ハイドはそれを抵抗する。
「来るな!俺はここに答えを求めに来たんだ!!…お前の都合のいいようになってたまるか!!」
「…貴様…。」
俺らはお前の道具じゃない、お前の都合のいいようになってたまるか。
グリーンはかつてある人物に言われたことを思い出す。
「やはり…貴様はあのとき…1万年前に殺しておくべきだったようだな…」
「…それができてないから今の俺がいるんだろ?」
ハイドの目つきが変わる。
それは先ほどまでの事実を知り驚愕した時とは違う。
ハイドはグリーンをここで倒すべき対象と認識した。
「クックックッ…!!…知ったようなことを抜かすなよ?小僧!!
お前の二度目の人生は誰が与えたと思っている!?…俺様がいなければ貴様はあそこで古に埋もれた遺物も同然よ!!」
グリーンがハイドを接近する。
ハイドは応戦しようと試みるが突如、目の前の視界が変化する。
「(あいつの仕業か!!)」
「今の階層は俺様が支配している!!
貴様がいくら足掻こうと詮無きこと…!」
ハイドの見る視界にはグリーンは映っていない。
しかし、確実に目の前にはグリーンが存在し、自分に攻撃を仕掛けている。
ハイドは防戦一方の状態を強いられる。
「(どうにかしてこの状況を打開しないと!!)」
ハイドは考える。
グリーンがここまで自身に与えてきた情報をもとに。
ここは深層世界と呼ばれる自身の夢の中。
今、この階層ではあいつが世界を支配している…
けど、ここに来る前の階層では…
ハイドはグリーンに今の階層に連れてこられる前のことを振り返る。
そこではハイドがマルコやカニスと共に過ごしたいと願ったレヴァリィ世界…
そこではハイドが争いごともなく平和な生活を過ごしたいと願った現実世界…
そう、この階層に来るまでは自身が深層世界を支配できていた。
では、なぜ今はグリーンの支配下に置かれているのか?
悪いが、もう少し降りてもらうぞ…ハイド。
「(そうだ!!)」
ハイドは思い出した。
この階層に来る直前、自身が感じた違和感。
それは、内在せし指輪が自身とグリーンの双方とも所持していたことだった…!
先ほどグリーンが言った秘宝とパラフィシカーとの関係、
そして古代人のとある人物が作製した物に超越せし指輪と内在せし指輪があったこと。
これらの情報から10の秘宝で人工的に作られたものは超越せし指輪と[内在せし指輪の2種。
そして、今自分がいるこの世界はその2種のうち内在せし指輪によって入ることができる意識による夢の世界、深層世界。
「(これだ…!)」
ハイドは自身で答えを見つける。
グリーンの猛攻により、とうとう膝を着くハイド。
「タダでは殺さんぞ、死ぬ前に貴様の記憶を見せろ。」
「くっ…!」
「かつての記憶を失い、今となってはその肉体も空っぽの道具に過ぎんな。」
「お前はどうなんだよ…他人の身体を使ってそんなに楽しいか?」
「クックッ…よく喋るな…だがこれで………グハッ…!」
「!?」
突如、グリーンが吐血し苦しみだす。
その状況にハイドですらも困惑を隠しきれないが、ハイドは今この時こそが好機だと判断する!!
「(クソッ…もうか…!)」
グリーンの隙をついてハイドがグリーンの腕を掴む。
「(!!…力が入らん…!)」
抵抗力が弱まったグリーンを見たハイドは自身が先ほど決心した行動に出る。
ここは内在せし指輪が作る世界…!
ここでさらに深い階層に潜るには深層世界で内在せし指輪を再び身に着けること…!
そして…!!
「!!…貴様!」
ハイドは自身の指にはめていた内在せし指輪を取り出し、グリーンの指にはめる。
「もうひとつ“降りて”もらうぜ!…グリーン!!」
相手を自身の深層世界に引き込むには自身が身に着けた内在せし指輪を相手にはめること!
ハイドの内在せし指輪をはめたグリーンはそのまま昏倒する。
それを見たハイドはすぐにグリーンにはめた内在せし指輪を取り外し、自身の指に再度はめる。
答えを求めし者が向かう先…
読んでいただきありがとうございました。
次々と明らかとなる事実を前にハイドは何を求めるのか…
次回5話をお楽しみに!




