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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第3章 ~7大国決戦~

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24話「反撃の狼煙」

戦場に木霊こだまする流浪の声…


狼煙とともに集い、


終幕へと導く…


反撃の嵐、止むことを知れず。

~五日目~


18:00 クヴィディタス大国・古城跡



アンドリューの合図でアドルフが自身のもとにヘーロス、アンドリュー、エヴァ、リアムの四人を集結させる。


その五人の姿を見たハイドは…



「みんな…」



アンドリューが片手に炎を纏う。



「下がってな、ハイド!!」



エヴァが自身の髪を再び結びなおす。



「さぁ、ちゃちゃっと終わらせるよー!」



リアムが屈伸運動で脚を伸ばす。



「そしたらみんなでご飯だね!」



アドルフがメガネを上げながら自身の短刀を抜く。



「はぁ…君たちのテンションにはついていけない…」



ヘーロスがナイフを構える。



「俺が先導する、片づけるぞ。」



五人は同時に竜型の特級テロスに向かう。




竜型の特級テロスは口から古城まるごとを覆うほどの大きさをほこる火炎弾を放つ。


その攻撃をヘーロスが自身の能力で火炎弾ごと歪めていく。



「行け!」



ヘーロスの合図で四人が竜型の特級テロスに攻撃を行う。




特級テロスが四人に自身の尾を振り下ろす。


アドルフが能力で先頭にいるアンドリューと入れ替わり、鋼線で尾を縛りながら短刀で攻撃を仕掛ける。


その隙にアンドリュー、エヴァ、リアムの三人がテロスの身体を伝いながら真っすぐ特級テロスの背中に向かう。



「お先に失礼~!」


「リアム!お前!」



リアムが自身の能力でアンドリューとエヴァを抜かし、いち早く特級テロスの左翼に辿り着く。



「大きなドラゴンさん!たまには地上からの景色も悪くないよー!」



リアムが剣で特級テロスの翼に攻撃を行う。


続けてリアムに追いついたアンドリューが勢いをつけながら左翼を炎で焼き尽くす。



「グッ…!小癪こしゃくナッ!!」



アンドリューの攻撃によって苦しむ特級テロス。


左翼にいるアンドリューとリアムの方へ振り向き、火炎弾を放とうとすると…



「やっほー、振り向いてくれてありがとね!」



そう言ってエヴァが特級テロスの弱点のひとつである目玉に攻撃を行う。



「グァアア!!!」



急所を攻撃され、怯んだことで滞空のバランスを崩す特級テロス。


すぐに態勢を整えようと試みる特級テロスだが、彼の目の前には見えた者は…



「堕ちろ。」



ヘーロスが空間を破壊してその衝撃を特級テロスに打ち込む。


その勢いで上空からまるで小さな隕石が降ってきたような勢いで落ちる特級テロス。



「うっ!!すっ…すごい…!!」



あたりの瓦礫を消し飛ばすほどの衝撃が響く中でハイドは周囲の瓦礫に身を隠しなんとか衝撃を凌ぐ。


激しく舞う土煙中から、五人が姿を現わす。



「ハイドくん、無事ですか?」


「アドルフさん!」


「ハイドー!」


「リアム!よかった!…無事で…!!」



ハイドはリアムとアロガンティア大国で別行動をしてからようやく安否が確認できたことに安堵した。



だが…



土煙から大きく這い上がる特級テロス。



「グッ…ヤルデハナイカ…久方ブリダ…ココマデノ傷ヲ負ッタノハ…!!」


「ヘーロスさんの攻撃でまだ生きているなんて…!」


「やはり、あの鱗を攻略しないと息の根までは止められないようですね。」



エヴァとアドルフが考察する。


するとヘーロスが皆の前に出る。



「俺がこいつをる。お前らは、他の相手をしろ。」


「何言ってんすか!それに他って…」



アンドリューがそう言い終える前に瓦礫からグリーンが姿を現わす。



「危うく死ぬところだったな」


「あれは!?…アロガンティア特務機関の…」


「いえ、身体はそうですが”別の何か”が憑依している状態です、かなり危険な人物ですよ。」



そうアドルフがエヴァに伝える。



「それだけじゃないみたい…」



そう言うリアムが向く方向には…



「派手にやってくれているみたいだな。」



強力なエネルギーを全身に纏いながら空から舞い降りたヴィクトール総督がこの戦場に参戦した…!






「特級テロス、アロガンティア特務機関に…流浪人か。」



ヴィクトール総督が静かに言い放つ。



「いい混沌だ…」


「!!」



アドルフはすぐにヴィクトールの殺気に気付き先手を打つ。


ヴィクトールの真横にある瓦礫がアドルフと入れ替わり、奇襲をかける。


だが、その攻撃を避けもせず自身から溢れ出るエネルギーのオーラで防ぐヴィクトール。



「エネルギー…ですか。」


「そのとおり。」



アドルフとヴィクトールの戦いが始まるとすぐに空に異変が生じる。



「空が!」


「おいおい、なんだこれは…」



リアムとアンドリューが空の異変に視線を向ける中、ヘーロスは已然と自身の目の前にいる特級テロスてきから目を離さない。



「エヴァ、奴の情報を教えろ。」


「あいつは強力な火炎弾を放てるだけでなく、狭い範囲なら天候を操れるみたいです。加えて、あっちの総督は…」


「エネルギー操作…といったところか。」



ヘーロスの問いにエヴァはうなづく。



「ヘーロスさん!」



すると新たな者の気配にいち早く気が付いたハイドがヘーロスを呼ぶ。


そこには聖騎士団のロクアとサムエルを倒したヴィルヘルム将軍が立っていた。



「なんだ…これは…」



ヴィルヘルムはハイドを追っていたものの、ロクアとサムエルが自身の命を投げうってまで囮となったことで、追跡を免れたのだ。


ようやく追いついた先には自身の持つ情報では理解しがたい状況に陥っていた。



それもそのはず、クヴィディタス大国の人間とはいえ、ヴィルヘルムはジャック王が存命の頃に受けた任務、アロガンティア大国の王都にてジョージ王との同盟に関しての謁見を遂行していたからだ。


故にその間にジャック王はテロスと化し、大国は実質リベルとヴィクトールとジューバル王の支配下にあり、7大国を巻き込む大きな戦いが繰り広げられていたことを知らなかったのだ。



だが、さすがは大国の将軍の地位に立つ者、すぐに状況を大方把握し、まずは当初の目的であるハイドに狙いを定める。


それを察したヘーロスは自身の背後にいるリアムとアンドリュー、エヴァに命じる。



「リアム、アンドリュー!お前らは将軍と、エヴァはあのアロガンティア特務機関の相手だ!…ハイドを死守しろ!」


「了解!!!」



三人はすぐに行動に取り掛かる。



天候の変化がさらに激しくなり、雨から嵐へと変わっていく…



「天候ハ我ノ支配下ダ!!…人間風情ガ…我ニ牙ヲ向クカ!!!」



ヘーロスは自身のナイフについた血を拭き取りながら、そこに映る特級テロスに殺意を向ける。



「俺を…ただの人間だと思ってそこに立つな。」



ヘーロスの背後に大きな落雷が落ちる。



その雷光がヘーロスを照らし出す。



その男の目は真紅に染まっている。






特級テロスがヘーロスに向けて巨大な火炎弾を放つ。



しかし、その火炎弾を打ち消すように落雷がヘーロスの前に降りる。



「思わねぇさ!!」



そこにヘーロスですら予想もしなかった人物が目の前にいた…



「お前の前に立てるのは、俺だけだろ…!!」


「お前は…!!…ヴァレンティーン!!」






~五日目~


18:00 アセティア大国・王都外部周辺



「将軍、行っちゃった…」



アセティア大国で空を見上げながら佇むのは、ヴァレンティーンと同じくクヴィディタス大国に仕える者、クリスティーナ大佐だった。


彼女は目の前にある三人の殲越十二戦士の亡骸を見ながら、数刻前のヴァレンティーンの戦いを思い出す。




毒を身体から出し攻撃に用いる相手なら、電気を自身に流し痛覚を麻痺させ無効化


異常な聴覚でどんなに速い攻撃でも見切る相手なら、空気を裂く雷撃によって聴覚を無理やり破壊


風を操ることで空中を動き回る相手なら、電荷の力で自身に引き寄せてから思う存分に攻撃




まさに”雷帝”




クリスティーナ大佐は遠方の雨雲に目をやりながら王都で被害を受けたアセティア大国の民の救助に向かう。






~五日目~


18:30 クヴィディタス大国・古城跡



目の前のヴァレンティーンの存在に驚くヘーロス。



「お前、なんのつもりだ。」


「お前の相手は俺だ、そこのデカブツじゃねぇ…!」



ヴァレンティーンが全身から雷を放出する。


ヘーロスはヴァレンティーンの意図を理解し、横に立つ。




ヴァレンティーンは決してヘーロスの味方になったわけではない…


自身が認めた好敵手との再戦のためには…


ただ、目の前の特級テロスしょうがいが邪魔なだけだった…


英雄と雷帝は各々の目的のために動く…!!




「俺より遅ぇお前が着いてこれんのか?」


「俺にれられねぇお前が言うな。」



狼煙は打ちあがる…

読んでいただきありがとうございました。


かつて7大国を脅かした最強のテロスン前に立つは”流浪人”…!!

他者を尊び、世界を平和へと導く者たちの力に圧倒される竜型の特級テロス。


だが、戦場はさらなる混沌へと向かい続ける…


次回25話をお楽しみに!

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