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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第3章 ~7大国決戦~

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17話「戦場に響く想い」

幾千もの戦場をく、


信念のために、


大国のために、


永遠とわに続く忠誠を尽くす…


永帝の名のもとに。

~五日目~


16:25 クヴィディタス大国・古城跡付近



馬を走らせるハイドとミニーシヤ。

その二人はかつて自分たちがクヴィディタス帝国軍の者たちと戦った場を通る。



「ここは…たしか…」



ハイドは静かに自身が身に着けた超越せし指輪アポクリプシに触れている。

ここで戦ったときのことを思い出していくハイド。


テロスの群れ、聖騎士団と流浪人、そしてクヴィディタス帝国軍の三つ巴の戦いが繰り広げられ、互いに一歩も退かない状況の中、ゴーレム型の特級テロスが現れたことで一気に状況は変わった。


アローラの決死の作戦で特級テロスの討伐に乗り出すも、ハイドとアンドリューは反撃を食らい、古城内部まで殴り飛ばされるが、そこでハイドは10の秘宝のひとつ、超越せし指輪アポクリプシを見つけ、それを身に着けたことで現実世界で目を覚ますことになったのだ。


そう、この場はハイドにとって、とても重要な場所だったのだ。



「ハイドくん、先を急ご。」



ミニーシヤがハイドに声をかける。


それを聞いたハイドが馬を走らせようとするが…



「流浪人か…。」



背後の声に気が付いたハイドはすぐに振り向く。



「!!」



するとすでに目の前に剣先が自身の眼を射抜こうとしていた。


寸前のところでハイドは身体を大きく捻り、攻撃を避ける。

いきなり避けたことで馬から落ちるハイド。


ハイドが見上げた先には、クヴィディタス帝国軍の将軍、ヴォルフガングがいた。



「まずい…!!」



ヴォルフガングの出現にこれまで以上に焦りの表情を浮かべるミニーシヤがハイドのもとへ向かう。



「少佐、今だ。」



するとミニーシヤの前に素早い動きで奇襲をかける人物。



「(この人…できる…!)」



奇襲をかけられたとはいえ、リヴィディン大国とインビディア大国の精鋭である聖騎士団のミニーシヤが防戦に立ち回るほどの相手、彼の名はファビアン少佐。

少佐でありながら個の戦闘能力は非常に高く、過去の戦いでもクヴィディタス大国に大きな貢献をもたらした人物だ。


ミニーシヤは背後を複数の兵で囲まれ、逃げ場を塞がれる。



「少佐、背後は俺らが!」



そうファビアン少佐に言い放った人物の名はアルノ軍曹だ。

ファビアン少佐の部下で、単独での戦闘に秀でているファビアン少佐を補佐するべく、ミニーシヤの背後を複数の兵で囲んでいく。



「(まずい…!これじゃハイドくんが!!)」



ミニーシヤがもう片方の手に二本目の剣を持つ。


ミニーシヤの方を向くハイド。



「ミニーシヤさん!」


「お前、真理の神秘ダブマの所有者か。」


「だったらなんだよ…!」



ヴォルフガングが剣を抜く。



「これまでに、俺の部下がいろいろと世話になったな…」



ヴォルフガングは自身の部下であるハインリヒ軍曹、コンスタンティン少佐、ディートヘルム大佐を思い出す。


ハインリヒ軍曹はハイドが初めてクヴィディタス大国を出た際に、コンスタンティン少佐はここ古城跡付近での三つ巴の戦いでクヴィディタス帝国軍を指揮していた人物だ。


彼らから真理の神秘ダブマの所有者である銀髪の青年の話を聞いていたヴォルフガングは目の前の者をハイドであると認識する。



「お前をリベル殿はご所望だ。…来てもらおうか。」



ハイドは真理の神秘ダブマの力を開放する。



「断る…俺には助けなきゃならない人がいるんだ…!」






~五日目~


16:30 アロガンティア大国・大国中央付近



「ふぅ……やっぱり強い…!」



そこでヴォルフガングと戦っているのはハイドと同じく流浪人のメンバーであるエヴァだった。

すでに戦闘が開始されてから20分が経過しても、いまだ互いに余力を残した状態であったが、徐々に体力的に追い詰められてきているエヴァ。


一方のヴォルフガングはいまだ、息一つ乱れていない。



「(あの女、的確にこちらの急所を攻撃してくるな…パラフィシカーの能力か…)」



ヴォルフガングは再びエヴァに攻撃を仕掛ける。


その攻撃を難なく避けるエヴァ。


すぐにヴォルフガングの脇に強烈な蹴りをお見舞いするエヴァだが、ヴォルフガングは自身の態勢をずらし、腕で防ぐ。



「(心拍、筋肉の緊張、集中力ともに変化なし…!…どんなメンタルしてんの、将軍って…!)」



エヴァの能力は”情報透視”


自身が目視した物体の持つ情報を透視することが可能な能力だ。

それは対象の体内の様子、精神的な心情、そして本人が隠し持つ武器などの装備、さらにはパラフィシカーとしての能力までもがエヴァに全て知れ渡る。

そして、能力の使用時は視野が300°にまで拡大され、かつ数百メートル先のものまで視認可能である。


エヴァは自身の能力によって、すでにヴォルフガングの能力を理解していた。


本来ならば、現実世界にいるソフィアを介して他の流浪人のメンバーに情報を共有できるのだが、ソフィアと連絡がとれない状況により、エヴァは自身の能力を最大限に利用することができなかったのだ。



エヴァの攻撃を防いだヴォルフガングはすぐに態勢を戻し、エヴァの背後から反撃を行う。


しかし、能力によって視野が広がったエヴァに死角はほとんど存在しない。



「ほう、この攻撃も避けきるか。」



間違いない。


あの女の能力は俺の肉体の情報取得…


さらに能力発動中は視野が広がり、"死角がほとんど"存在しないというわけか…




だが…




”死角がない"わけではない…!






ヴォルフガングは剣で地面を抉り、エヴァに向けて土煙をを起こす。


そして背後からエヴァに向かって剣が襲い掛かる。


しかし、それを目視せずに避けていくエヴァ。



「(今さら目くらまし…?…攻め方が雑になった…!?)」


「そこだ!」



ヴォルフガングがエヴァの背後に強烈な打撃を仕掛ける。



「くっ…!!」



避けることができなかったエヴァはそのまま攻撃を食らい吐血する。



「見つけたぞ…貴様の”死角”を…!」



300°の視野を誇るエヴァでも残り60°の位置は視認することが不可能。

それをこの短時間で見切ったヴォルフガングはエヴァの死角を見つけたのだった。






~五日目~


16:30 リヴィディン大国・西部旧市街地



「はぁ……はぁ……」


「もう終わりか?…流浪人…。」



あたりに残る炎、そこに立つ二人の影。


それは疲弊したアンドリューと服装こそボロボロだが、いまだ余力を残したヴォルフガングだった。



「(くそっ…!思った以上に強い…!これじゃリアムたちの所へいけねぇ!!)」






~五日目~


16:30 クヴィディタス大国・古城跡付近



ハイドが真理の神秘ダブマの力で炎の人形と岩で構成された人形を生み出し、ヴォルフガングに差し向けるも、周囲の瓦礫などを上手く利用し次々と戦闘不能にしていく。


その他にもすでに物質の情報として真理の神秘ダブマに取り込んだ土、炎、空気を利用して様々な攻撃を取るが、戦闘経験値の差でハイドを上回るヴォルフガングには全て難なく対応されていく。



「なら…!!」



ハイドは空気の弾丸を放つ。


攻撃が見えないことから不覚をとれると考えたハイドはその隙にヴォルフガングに接近する。



しかし…



「いい戦略だ。」



ヴォルフガングは自身の身体から分身を生成する。


分身は空気の弾丸の方向で本体の壁となり、本体はハイドの攻撃に対応する。



「なっ!?」



咄嗟の反応で攻撃を防いだハイドだったが、それでも壁まで吹き飛ばされる。



「(ちゃんと防いだのにこの重さ…!!…このままじゃ…!)」



空気の弾丸を受けた分身も一発受けただけで、空気の弾丸の場所を把握し残りの攻撃を剣で防いでいく。



「(こいつの能力はおそらく分身……だけど何体まで出せるんだ!?)」



ヴォルフガングの能力は”分身”


自身と同等の戦闘力、容姿を持つ分身を最大3体まで生成することができる。

また、本体と分身の情報は能力発動時であれば常時、共有が可能であり、本体は自身の任意でいつでも分身と入れ替えることが可能。


つまり、今この状況下でもヴォルフガングはアロガンティア大国にいるエヴァの状況、リヴィディン大国にいるアンドリューの状況を把握した状態でハイドと戦闘を行っているのだ。



真理の神秘ダブマの能力もこれが限界か。」



ヴォルフガングがハイドのもとへ歩を進める。

分身の方もこちらへ向かってきている。




考えろ!…考えるんだ!


これほどの強力な能力…


何か穴となる弱点があるはずだ…!





ハイドは自身に危機が迫る中、考え続ける。



この状況の打開策を。



するとこれまでの過去の記憶からハイドは思い出す。






「君は……未来が見えるのかい?」



それは初めて聖騎士団のみんなと出会った際にボロフさんに言われたこと…






「この青年は未来を視た……いや、過去に戻ったのか。」



それはクヴィディタス大国でジャック王にテロスにされそうになった際にディートヘルム大佐が放った一言…






「(もしかして…!!)」



ハイドは決心した表情で剣を自身の首に当てる。



「!?」



その様子を見たヴォルフガングは動揺する。


ハイドは自身の首を斬る。



「こいつ…!まさか…!」



ハイドの意識が遠のく…











「いい………略………だ。」



ヴォルフガングは自身の身体から分身を生成する。



「はっ!」



ハイドは目を覚ますと自分はヴォルフガングに向かって走っていた。




「(そうだ!ここで、こいつは俺に反撃してくる!)」



ハイドはヴォルフガングの攻撃を避ける。



「やるな。」



そのままハイドはヴォルフガングに接近戦で攻める。


しかし、すぐに反撃を食らいハイドはヴォルフガングの剣で腕を斬りつけられる。



「うぐっ!!」


「その年にしてはなかなかやるな。…だが…これが限界だ。」



ハイドは自身の腕を抑えながら立ち上がる。



「いや…!まだだ!!」



ハイドは自身の剣を胸に突き刺す。



「なんだと!?」



再び意識が遠のくハイド。











「いい………略………だ。」



ヴォルフガングは自身の身体から分身を生成する。



ハイドは目を覚まし、再びすぐに攻撃を行っていく。


そのハイドの目には先ほどとは異なり、真っすぐな意思のこもった視線をヴォルフガングに向ける。




過去だ…!



過去に戻って…!



今置かれたこの状況を打開できるまで…!



何度でも!!



俺は戻り、こいつを倒す糸口を見つける!!!































「どういうことだ…!?」



ヴォルフガングは目の前の青年に異様な焦りを見せる。


それは自分より強いわけでも驚異的な力の片鱗を見せているわけでもない…


それなのにも関わらず、ヴォルフガングは目の前の青年がつい数秒前までに見せた表情とは異なる表情をしていることに違和感を感じ始める。


その青年の表情は幾度も死線を潜り抜け、何度も自身よりも格上の敵と相対し、それでも[[rb:今日 > こんにち]]に至るまで生き延びてきた者のつらだった。



「まさか…”見た”のか?…この光景を…?」



ヴォルフガングはハイドと戦闘を行う以前から部下であるディートヘルム大佐からハイドの能力を危険性を知らされていた。



それは未来視あるいは過去に戻ることのできる能力…であると。


本人が無自覚な様子からジャック王は当時そこまでハイドに対して危険を感じていなかったが、未来もしくは過去を制する力を持つパラフィシカーなどヴォルフガングには前例のないものだった。


どちらにせよ、危険性があることに変わりはない。


そのため、ハイドは殺害せず生きたままクヴィディタス大国に連行するのが最も危険が少ないとされていたのだった。



ヴォルフガングは空気の弾丸を防いだ分身と共にハイドに攻撃を行う。



「右。」


「!?」



ヴォルフガングの攻撃を的確に言い当て、避けるハイド。



「次、斜め左脇。」


「こいつ…!!」



その後も次々と攻撃を避けていくハイドに対し、ヴォルフガングはハイドが過去ですでにこの状況を経験していると理解する。



「やはり…!(過去で経験していたか…!!)」



しかし、ヴォルフガングは笑みを浮かべ、ハイドに次々と攻撃を仕掛けていく。




だが、お前は全ての過去を経験しているわけではない…!


だから今もこの俺を倒せていないのだろう?


どこまでの過去を経験したのかは知らんが、お前がまだ見ていない状況にまで俺は攻撃を続けるのみ…!!



「うっ…!!」



徐々にヴォルフガングの攻撃を的確に避けることができなくなるハイド。


それは疲労の影響もあるが、すでにハイドは過去で見てきた状況を乗り越え、まだ過去で経験していない状況にまで進んでいた。



だが…



ハイドはこの80に及ぶ過去跳躍を繰り返し、自身の能力とヴォルフガングの能力の欠点に気が付いていた。



自身の能力の欠点…


それは過去に戻ると戻った際の時間分だけ能力の使用ができなくなるという点だ。



ハイドは先ほどの戦いまで時を戻るのに3分間の時を過去に戻した。

つまり、今から3分間は能力の使用が不可能ということだ。



そしてヴォルフガングの能力の欠点…


それは分身が解除されると分身が負った疲労や傷が本体に全て蓄積されること、本体と分身を入れ替えると数秒の間は入れ替えることができなくなるという点だ。



ハイドはヴォルフガングがまだ分身を生成することが可能だと踏んでいる。

しかし、それを行わないのは状況的にそれが不可能であるからと戦いの中で理解しつつあった。



「(まさか……他の場所で分身が誰かと戦っているのか?)」



分身と共に左右からハイドを攻撃していくヴォルフガング。


ハイドは一か八か、自身の残りの体力をほとんど消費し、大規模な攻撃に賭ける。




「(この一撃に賭ける!!!)」



周囲の空気が収縮し、古城跡の半分以上が破壊されるほどの衝撃波を放つハイド。


ハイドからは鼻血と目からも出血を伴っている。



「ふん…強力な攻撃だが…」



ヴォルフガングは本体を別の分身に移つそうと試みる。






~五日目~


16:33 アロガンティア大国・大国中央付近



吐血したエヴァにトドメを指そうとするヴォルフガング。


それをエヴァは誘っていたかのようにヴォルフガングが剣を振り下ろすタイミングで後方にバク転し、両足でヴォルフガングの首を絞め技で拘束する。



「くっ…!」



自身の首とエヴァの脚に腕を挟むことで何とか拘束を緩めるも、不意を突かれた攻撃にヴォルフガングは焦りを見せる。



「(このままでは…!じきに意識が…!!)」


「(これで…!本体は…!!)」






~五日目~


16:33 リヴィディン大国・西部旧市街地



「終わりだ、流浪人。」



膝をつくアンドリューの首に目掛けて剣を振り下ろすヴォルフガング。

しかし、アンドリューは相打ち覚悟でヴォルフガングに渾身の炎を纏った攻撃をヴォルフガングに向ける。


自身の首に襲い掛かる剣を手で握りながらアンドリューは自身の拳をヴォルフガングに命中させる。



「ゴフッ…!!」


「タダで俺の首はやらねぇよ!!!」






~五日目~


16:33 クヴィディタス大国・古城跡付近



「これで………どうだ…!?」



秘宝の力と自身の慣れない能力を使いすぎた影響で血を吐くハイド。


そんなハイドの目の前には…



「え…?」



衝撃波によって負傷したヴォルフガングではなく、顔に大きな火傷を負い吐血するヴォルフガングの姿があった。



「くっ…あの流浪人め…」


「(あの炎で焼けたような肌……まさか!?)」



ハイドの目に希望の光が灯る。



自分だけじゃない…


他の場所で自分と同じく命を燃やす者の存在に気が付く…



「アンドリューさん…!!」



仲間の熱き力…今届く…!!

読んでいただきありがとうございました。

ついにクヴィディタス帝国軍の将軍ヴォルフガングがハイドや流浪人たちと相まみえましたね!

分身を生み出す圧倒的な力を持つヴォルフガングに過去跳躍を繰り返し、ようやくヴォルフガングの弱点に気が付いたハイド。

さらにヴォルフガングの負傷から遠い地で同じく奮闘する仲間の存在に気が付いたハイドは…


次回18話をお楽しみに!

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