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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第3章 ~7大国決戦~

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14話「戦舞う者たち」

闇をも切り裂くいかづち


空を裂き、


地を駆け、


お前のもとへ降り立つ…


雷帝の如く。

~五日目~


16:10 イラ大国・南部都市



街に響く風の音……そんな静寂の中、あたりに鋼線で貼り付けにされているイラ国衛兵団の者たち。



「ア、アンゼルム国衛隊長…!!…カルメラ国衛隊長が……それに兵もすでに150名失っています…!!…この男たった一人に…!!」



怯えた様子でアンゼルム国衛隊長に報告するイラ国衛兵団の兵。



その背後に迫る男が一人…



「これが……”漆黒の卓越者”……流浪人アドルフ……!」



アンゼルム国衛隊長の目の前には自身に立ちはだかる兵を一人残らず倒していくアドルフの姿が見えた。



アドルフがイラ大国に侵入して14時間が経過…



その間、アドルフは迫りくる敵を倒し続け、すでにイラ大国の街が4つも壊滅的被害を受けていた。


そこにクヴィディタス帝国軍のアレクサンダー中佐とブリュンヒルデ少佐、ジークリット軍曹が現れる。



彼らは今回のクヴィディタス大国とイラ大国の同盟に関係なく、イラ大国にクヴィディタス大国から派遣されていた者たちであった。



「アンゼルム殿、我々も助力します。」


「アレクサンダー中佐…」



アンゼルム国衛隊長はすでに戦意喪失しかけていた。


それは以前、イラ大国に流浪人がハイドを助けた際に見せた実力の片鱗を見たことで、自分たちとはすでに次元の異なる実力者であることをアンゼルム国衛隊長は薄々気が付いていたのだ。


しかし、イラ大国は戦闘能力で序列が決められる大国、王であるジューバル王ですらその例外ではない。

自身の実力で大国のトップに成りあがった者のプライドの高さは計り知れない。

アンゼルム国衛隊長はすでに自分たちイラ大国の者と流浪人とでは大きな力の差があることを王に助言できなかったのだ。



「君たちはクヴィディタス大国の人間だ。ここから出て、自国に戻るんだ。そしてこの者の報告を」


「必要ありません。」



アンゼルム国衛隊長の発言に被せるようにしてアレクサンダー中佐が答えた。



「我々は今回の件に限らず、イラ大国との親交を深めるために派遣されています。その責務、最期まで果たしましょう。」



そういったアレクサンダー中佐の目には自分と同じく戦意を喪失した表情を浮かべていた。

それを理解したアンゼルム国衛隊長は直ちに兵を集結させ、陣を組む。



「……君は本当に大国に忠実な人間だな。」



アンゼルム国衛隊長らの前に先ほど陣を組んでいた前衛の兵を切り裂いた後のアドルフが現れる。


それを見たアレクサンダー中佐は冷や汗を滲ませながらアドルフに問う。



「流浪人、貴様…この大国を滅ぼす気か…?」



その問いに対してアドルフは遠くの方を見つめて答える。


その方向はアローラとラインハルト大佐が決死の行動により”あの男”が復活した方向であった。



「……彼が…還ってきました…。」



すると巨大な轟音と衝撃が響き渡る。



「!?」



それに驚愕するアンゼルム国衛隊長たち。



その衝撃と音はイラ大国からかなり遠方で発生したものだと理解できた。


しかし、それでもこの場にいるだけでも空間が切り裂かれているような感覚を味わうアンゼルム国衛隊長たち。



「今のは…一体……」



するとアドルフは鋼線を用いて周囲の家に放ち、あたりの民家を細切れにする。



「私も自分の責務を全うするとしましょう…。」



殺気を放つアドルフにアンゼルム国衛隊長たちは街にいる全兵に攻撃を命じる。




~五日目~


16:10 クヴィディタス大国・南東下街



クヴィディタス大国内部に入り、南東の街に向かうハイドとミニーシヤ。

すると、巨大な轟音と衝撃が響き渡る。



「な…なに!?この衝撃は…!」


「これは…」



ハイドたちの周囲の民家や木々や粉々に砕かれる。

それを見たハイドは衝撃によって破壊されたのではなく、空間の崩壊によって周囲の物体が粉々に破壊されたのだと理解した。



息がしずらい…



気温が高いわけでもないのに、遠方の景色がぼやけて見える…



その不可解な現象を見て、ハイドは現実世界にいた頃にアドルフから聞いたことを思い出す。





「アドルフさんやアンドリューさんはレヴァリィ世界で特殊な能力を使えるんですよね?それってヘーロスさんもですか?」


「えぇ。ですが、彼の能力は私たちの能力と比べてはるかに異次元ですよ。」




ハイドはそのことと今自分が見ている現象は無関係ではないと察したのだ。



「これは…もしかして、ヘーロスさんの…」



ハイドのこぼした発言を聞いたミニーシヤは馬を落ち着かせながら疑問に思う。



「(あの流浪人が…!…でもだとしたら一体、誰が…?)」



その疑問の先にある答えが今の二人が救出しようと考えている”リヴィディンの守護者”であると知ることはない…




~五日目~


16:10 インビディア大国・王都正門入り口



各大国にてクヴィディタス大国とイラ大国の同盟軍が進軍してから25分が経過後…


インビディア大国の王都正門入り口付近ですでに多くのクヴィディタス帝国軍を打ち倒している五人の影があった。


それは聖騎士団の第四部隊の者たちであった。



・第四部隊隊長:スード


・第四部隊メンバー:フィス


・第四部隊メンバー:サルカ


・第四部隊メンバー:ナーサル


・第四部隊メンバー:トルケ



「ふぅ…。」



スードが自身の剣を鞘に納める。

そのスードの背後には30を超えるクヴィディタス帝国軍の兵の山があった。

すると王都内部から同じ部隊のメンバーであるサルカとナーサルが現れる。



「隊長!、王都内部にいる”女性”の民は無事避難させました!」


「なに女性限定で報告してんだよ。」



ナーサルがサルカの発言に対して頭を引っ叩く。



「サルカ、ナーサル、住民の避難誘導ありがとう。おかげで僕たちも戦闘に集中できたよ。」



スードは他のメンバーであるフィスとトルケも集めて次の防衛線について指示をし始める。


しかし、そこの作戦を伝えている最中にスードは殺気をすぐに感じ取る。



「みんな…剣を抜いてくれ。」


「隊長?」


「どうしたんですか?」



スードは自身の感覚を研ぎ澄ませ、周囲の様子を伺う。




何かが襲ってくる…




そう直感で感じたスードは目を閉じ、自身の感覚をさらに研ぎ澄ましていく。



「トルケさん!!」



すぐに何かを感じたスードはトルケを引っ張り、見えない攻撃を剣で防ぐ。



「な!?」


「隊長、これは…!」


「……斬撃だ…。」



スードはトルケを襲おうとした見えない斬撃を防いだのだ。



「ほう、俺の能力を初見で防がれたのはこれで二度目だな…。」



スードたちは声のする方向を見る。


そこにはイラ大国パラフィシカーの集団である殲越十二戦士の一人、グラディスがいた。


しかし、他の兵はおらず、グラディスのみが王都の正門に向かっていたのだ。

それを見たサルカは笑みを浮かべながらグラディスにこう言い放つ。



「へっ!!お前一人なら俺らの隊長が」


「いや、ここは五人全員でいくよ。」



サルカの発言に口を挟むスード。



「隊長!、相手は一人ですよ?ここは戦力を分散させて俺らは他の街に…」


「相手は殲越十二戦士だ。僕一人じゃ勝てない…頼む、みんなの力を貸してくれ。」



スードはサルカ達にそう言っている間もグラディスから目を離さないでいた。

それほどの実力を持つ者だと仲間たちも理解したのだ。



「了解です。」


「聖騎士団にもここまで剣の腕が立つ者がいたとはな…。……面白い…。」



グラディスも自身の刀を抜き、スードたちに向かう。




~五日目~


16:10 アセティア大国・王都付近



「はぁ…はぁ…」


「アラン殿…もう我々は…」



アセティア大国の兵とキリアンの親友であり、側近でもあるアランはすでに満身創痍の状態であった。


そこにクヴィディタス帝国軍がやってくる。



「まさか、ここまで兵を減らされるなんてね。」


「あぁ~たしかにぃ~」


「僕らが動くまでもなかった…」



そう言う三人は殲越十二戦士であるヴェイラ、ニコラウス、アレクシスであった。



ヴェイラ 能力:風操作


アレクシス 能力:異常聴覚


ニコラウス 能力:毒分泌



三人はクヴィディタス帝国軍とともにアセティア大国に進軍をしていたのだ。


すでに王都の外部に張られた防衛線も壊され、他の街も破壊しつくされているアセティア大国。


アランも聖騎士団の隊長格に匹敵するほどの実力を誇る人物であったが、圧倒的な数の兵力には敵わなかった。



「ここの死にぞこないは俺がぁ毒殺していいかなぁ~?」


「おい、待て。」



そこに現れたのはヴァレンティーンとクリスティーナ大佐であった。



「この軍は俺のだぞ、てめぇらの独断で動いてんじゃねぇ。」


「……クヴィディタス大国の将軍…。」


「あ゛?なんか文句あんのかよ、そこのあま…」


「…別に…。」



ヴァレンティーンがヴェイラに殺気の籠った視線を送る。

それを見たクリスティーナ大佐が怯えながら少しヴァレンティーンと距離を取りながら心の内でこう呟いていた。



「(将軍~…!…いつもと雰囲気が違いすぎます~…!!!)」



ヴァレンティーンはヴィクトール総督とジューバル王によって一方的なクヴィディタス大国とイラ大国の同盟に対し憤りを感じていたのだ。

それだけじゃない、ヴァレンティーンは今、目の前にいる殲越十二戦士のひとりであるヴェイラとは過去に戦闘を行っていたことがあったのだ。

そんな敵が自分と同じ軍と共にアセティア大国を蹴散らし、同じ空気を吸っていることに吐き気をもよおすヴァレンティーン。



「あの時、俺に向かってきた他の二人は生きてんのか?」


「…一人はインビディア大国に…もう一人は…知らない…。」


「あの”レオンハルト”とかいうガキはよかったぜ。お前ら臆病者ザコとは違ってな。」


「あ、あの…しょ、将軍?」



クリスティーナ大佐が仲裁に入ろうとしたその時、



「!?」



遠方で僅かだが轟音と衝撃が走るのを目にするヴァレンティーン達。



「あれは…(あの方向…クヴィディタス大国側?でも音がここアセティア大国まで届くということは…)」



クヴィディタス大国とアセティア大国はレヴァリィ世界でも北端と南端に位置する大国。


故に、そこから目視可能なほどの衝撃と耳に届く轟音…


それは規格外の規模を誇る”何か”が起きたという証拠に他ならなかった。



「なんだ今の…」



アレクシスや他の殲越十二戦士がクヴィディタス大国側に異変を感じているなか、一人だけ笑みを浮かべる人物がいた。



「(ヘーロスやつ]]だ……!!)」



ヴァレンティーンは全身に稲妻を発生させる。

その様子を見て、殲越十二戦士たちがヴァレンティーンの方を向く。



「貴様…何の真似だ。」



アレクシスがヴァレンティーンに尋ねる。


するとヴァレンティーンはこう発言する。



「…用を思い出した…。大佐、クヴィディタス大国に帰還するぞ。」


「い、今ですか!?」


「あぁ…!もちろん!てか、大佐も薄々感づいてんだろ?」



すると殲越十二戦士たちがヴァレンティーンの行く手を塞ぐ。



「おいぃ~待ちなってぇ~」


「まだ、王を討ち取っていない…ここを帰還させるわけにはいかない。」



その発言を聞いて待っていたと言わんばかりに笑みを浮かべるヴァレンティーン。



「…そうか…!!…俺もまだ済んでない用があったぜ…!」



そしてさらに稲妻の出力を上げながら、殺気を放ちつつ殲越十二戦士たちに向かってこう言い放つ。



殲越十二戦士テメェらの命に用がな……!!!」


「なに!?」



それは偶然か、必然か、


再びこの世界の地に着いた英雄おとこと同様に雷帝が殲越十二戦士に牙をむく……!!!



英雄に呼応する雷帝の響き…

読んでいただきありがとうございました。

ヘーロスが復活を遂げた中、他の戦地でも動きが見え始めてきました。

これから苛烈を極めていく7大国決戦の行方はいかに!?


次回15話をお楽しみに!

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