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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第3章 ~7大国決戦~

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10話「進軍」

大地に鳴り響く軍勢の歩み、


それは崩壊を目にするまで、


とどまることを知らず。

~五日目~


アロガンティア大国・王都付近



拠点の破壊に成功したハイドはレオンハルトと共に王都側へ向かう道中に馬を走らせるミニーシヤ達と合流を果たす。



「(レオンハルト!なんでハイドくんと…!?)」


「ハイド!ボロフさんは?」



ロクアがハイドに尋ねる。


ハイドはボロフに言われたことを思い返す…





約束…して…ほしい………私が…死んだ…のは……作戦での…ヘマだと…





それは仲間を思ってのことだが、ハイドにはボロフがそんな死に様ではないことを知っている。


ハイドを[[rb:俯 > うつむ]]きながら言葉を詰まらせつつ答える。



「ボロフさんは………クヴィディタス帝国軍の…兵に…」


「……。」



ハイドの発言に対し無言で見つめるレオンハルト。


するとロクアがハイドに問う。



「……どこにいる。」


「え?」


「ボロフさんを殺したやつは今どこにいるんだ!」



それは仲間でもあるボロフを殺され怒るロクアの姿だった。

サムエルも静かに怒り、握った手からは血が流れている。



「み、みんな落ち着いて…!」


「ミニーシヤさん!これを落ち着けって言うのか!?」


「あぁ。これは黙って見過ごすわけにはいかないぞ、ミニーシヤ…。」



ハイドはボロフの言ったことを理解した。


怒り狂うロクアとサムエルを見て、ハイドはボロフの約束を破ってでも事実を伝えたことを後悔した。

するとレオンハルトがハイド達の口を挟むように言い放つ。



「そいつを殺したやつはここの青年が倒している。

あの拠点を指揮していた大佐も俺が殺した。」



それを聞いて落ち着きを取り戻すロクア。

しかし、その表情は自身が抱いた怒りをどこにぶつけていいのかわからない…といった様子だった。



「あんたらの仲間は命をしてでも任務を遂行したんだ、あんたちも今は嘆くときじゃないだろ。」



レオンハルトの一言で平静を取り戻す二人。

ミニーシヤは改めてハイドとレオンハルトに王宮にいたリヴィディン大国のスパイであるアレクシア少佐の事情を話し、クヴィディタス大国へ向かうために馬を走らせる。



「ありがとうございます。レオンハルトさん。」



道中にハイドはレオンハルトに礼を述べる。



「感謝はお前らの隊長にでも言うんだな。」



レオンハルトは数か月前の出来事である第一次リヴィディン大国侵攻の際になんとか二人で協力し特級テロスを打ち倒した時のアローラに言われたことを思い出す。






「済まない、助かったよ。」


「礼はいい…。早く去らないとクヴィディタス帝国軍の増援が来るぞ。」



周辺に特級テロスの岩でできた身体が散らばっている。

そんな中、アローラはレオンハルトの発言に少し間を空けてから答えた。



「俺はあいつらをリヴィディン大国まで無事に帰さないとならない……」


「お前、クヴィディタスの捕虜にでもなる気か?いずれ処刑されるのがオチだぞ。」


「あぁ。わかってる。」



アローラはレオンハルトに自身の聖装備でできた剣を渡す。



「頼む、これに賭けて俺の仲間に危害が及ばないように守ってくれないか?」


「何の真似だ?俺は傭兵で」


「だからさ。」



アローラは自身の剣を部下であるミニーシヤ達を守ることの報酬としてレオンハルトに渡した。


レオンハルトはアローラの頼みを聞き入れ、ミニーシヤ達にクヴィディタス帝国軍の追手が迫らないように自らを餌にアロガンティア大国に滞在していたのだ。


しかし、そんな自身の力を貸してもらうべく、アローラあのおとこの仲間は集った。


その聖騎士団の想いを知り、アローラとの約束、仲間への護衛を果たすためにレオンハルトは自ら力になることを誓ったのだった。


レオンハルトはアローラの剣をハイドに渡す。



「これは…?」


「お前が助けてやるんだ…。お前に後を託したボロフなかまのためにも。」



レオンハルトもボロフと同様にハイドに自身の気持ちを託したのだ。



「ん?」



しばらくしてハイドはアロガンティア大国の野原を馬で駆ける中、自身の持ち物にこれまでなかったものがあることに気が付く。



「(こんな箱、俺持ってたっけ?)」


「離れろ!ハイド!」



レオンハルトはすぐに異変に気が付き、ハイドからその箱を遠ざける。


箱が勝手に開きそこから出現したのは…



「やぁ~…また会ったね~…」


「ウォルター!」



ハイドが知らずに持っていた箱から出現したのはプセマ村で分かれたはずのウォルターだった。


ウォルターは自身の持つ秘宝、断絶の籠ディアスタスケージはレヴァリィ世界に存在する”箱”から収納したものを出すことが可能な能力を有する。


ウォルターは自身を秘宝に収納し、ハイドの箱から出るタイミングを見計らっていたのだ…!


ウォルターは箱から出てすぐにミニーシヤ達が反応するよりも速くレオンハルトに攻撃を仕掛ける。


レオンハルトも自身の秘宝の能力でウォルターの攻撃を防ぐ。



「やっぱり~…君が…あの”鬼神”だね~…」


「”死神”…ウォルター…!!」



レオンハルトはすぐにウォルターに反撃を試みる。


しかし、それを待っていたと言わんばかりにウォルターは断絶の籠ディアスタスケージを開く。



「くっ…!」


「レオンハルトさん…!」



身体がみるみるうちに断絶の籠ディアスタスケージに吸い込まれていくレオンハルト。

それを見たハイドがレオンハルトを助けるべく手を伸ばそうとするが…



「ハイド!お前は自分の役目を果たすんだ。」



ハイドを制止したレオンハルトはそのまま断絶の籠ディアスタスケージに吸い込まれていく。

ウォルターはハイドを見つめながら普段見せるあの不気味な笑みを浮かべた。



「ウォルター!何の真似だ!」


「言ったでしょ…?…僕の目的は……」



ウォルターは自身ごと断絶の籠ディアスタスケージの中に入り込む。



「強者と戦いたいって…」



そのまま断絶の籠ディアスタスケージごと消えてしまうウォルター。


どうやら所有者を収納すると自動的に秘宝も消失し、所有者の元に戻るようだ。



「ハイド無事か!?」



ロクアたちがハイドのもとへ駆け寄る。



「俺は平気です…!けど、レオンハルトさんが!」


「秘宝の能力で移動されたならどこに移動したかわからないな…」


「……仕方ないわ。私たちは私たちのできることをしましょ!」



ミニーシヤたちは再び馬を走らせ野原を駆ける。




~五日目~


アロガンティア大国・王都内部



ヴィルヘルムは王宮のとある部屋に入り、意識を失っているコルドゥラ中佐とアレクシア少佐の遺体を見つめる。

窓が割れた痕跡とそこに残る僅かな足跡を確認するヴィルヘルム。



「聖騎士団か…。」




~五日目~


アロガンティア大国・西部王都付近



同時刻、フォート率いる第二部隊とレタはジョージ王のいる王都からクヴィディタス大国とアロガンティア大国の同盟破棄の件について知らせを持ってきたリアムと合流を果たす。



「なるほど…じゃこちらも”ジェシカ王女”と対談してみる他ないか…」


「それは困難だぞ、ロイフ」



ロイフとフォートが話し合う。

今、第二部隊がいる西部王都ではアロガンティア大国もう一人の統治者であるジェシカ王女がいる。


ロイフは第一部隊がジョージ王のいる王都で潜伏し情報を集めているなら、こちらも西部都市で情報を集めるのが先決すべきではなかと考えていた。

だが、フォートの言う通り、王都は厳重な警備に守られており、ジェシカ王女と接触することもままならない。


するとリアムが提案をする。



「じゃ僕が行きますよ!僕の能力なら潜入も離脱もみなさんよりは簡単なはずです!」



リアムは自身の”高速移動”の能力で王都にある王宮に潜入することを提案する。

第二部隊はその提案を呑むことにし、それぞれ行動に出る。



作戦は以下の通り。


・王宮内部にリアムが潜入し、ジェシカ王女と接触。


・アロガンティア大国とクヴィディタス大国同盟を破棄すべく、リヴィディン大国との同盟を提示する。



重大な部分をリアムに任せてしまうことをフォートは謝罪しつつ、第二部隊は各地配置に着く。


王宮離脱時にリアムをサポートできるように王宮付近にロイフ、テギィを、レタとアイヨの護衛兼王都の外部からの敵兵駆除のためにフォートを、そして王都中央付近にネルコフとシャルケルを配備させた。




アロガンティア大国・王都正門付近



「そろそろリアムくんが王宮に入れるころだな!」


「リアム、大丈夫かなー…」


「あの子かわいい顔してるよね!」


「今はそーゆこと言ってる場合じゃないんだって…!」



自身の肩に寄り添うアイヨに注意するレタ。




アロガンティア大国・王都中央付近



「はぁ…ミニーシヤちゃん…」


「あんたまだ諦めきれてないの?…去年にフラれて、数ヵ月前にも想い伝えてフラれてるんですよ?」



ため息をつくネルコフに呆れた様子で言い返すシャルケル。




アロガンティア大国・王宮付近



「テギィ、様子は?」


「今のところ異常なしです。リアム君が王宮内部への侵入成功しました。」




王宮への潜入が成功したリアムは内部の兵が気が付く前にジェシカ王女がいる王室に向かう。



「(ここかな…?)」



王室の扉を開け、周囲の様子を伺うリアム。

中には誰もいなかった。


ジェシカ王女は王宮の外なのか?


それとも別の部屋か?



リアムが思考を巡らせている中で、背後から攻撃を繰り出される。



「うっ…!」



頭を攻撃されたことで視界が朦朧とするリアム。



「(まずい…!)」



ぼやける中で目に映った襲撃者の姿は仮面をつけた人物であった。

リアムはすぐにアロガンティア特務機関の者であると察し、能力を使ってその場から離脱を試みる。


しかし…



「えっ…」



アロガンティア特務機関の者からロープのようなものがリアムに射出され、リアムを引き寄せる。

そのまま、リアムは頭を何度も拳で攻撃をされる。


倒れるリアムに向かって短剣を抜くアロガンティア特務機関の者。




アロガンティア大国・王都正門付近



リアムの帰りを心配するレタ、そして近くにある空き家となった民家の庭で砂いじりをするアイヨ。

下にいる二人の行動にちゃんと目を配りつつも王都の外壁の上から周囲の状況も確認しているフォート。



「(おかしい…なぜ門兵がこんなに少ないんだ?)」



フォートは王都正門を見張る兵の数に疑問を抱いていた。



王女が住まう街であるにも関わらず、兵が数名ほどしかあの場にいない。



ほんの少しの違和感だが、フォートはそれがどうにも気になっていた。



「気になりますか?兵の数が…。」



気配もなくフォートの背後に近づき、問いかける男。


フォートは反射的にすぐ背後の敵に攻撃を行う。


振り向いた時には男は一定の距離をとっていた。

その男がつける仮面には切り傷が付いていた。



「ほう…。完全に”移動した”つもりでいましたが…やはり化け物ですね…。」


「アロガンティア特務機関か。」


「御名答…。」



男はフォートに一礼し、自身の名を名乗る。



「ミカエル…以後お見知りおきを…。」


「フンっ!…いいだろう!

相手になってやる!!」


「目的はあなたではありませんが…あなたがその気だというなら…」



フォートはすぐにこのミカエルと名乗る人物がレタやアイヨを狙ってることに気が付く。



「察しがいい…。ですが懐がガラ空きですよ。」



一瞬の隙にフォートの目の前まで接近するミカエル。

フォートが反応するよりも速くミカエルの短剣がフォートの首に突き刺さる。



「これで…………なに…!?」


「捕まえたぞ…!」



フォートは首に突き刺さった短剣からミカエルの手が離れないように掴み、さらにミカエルの足を踏みその場から離れないようにした。


そのままフォートが剣を振り下ろす。



しかし、その攻撃はミカエルに当たらず、空を斬る。



「なるほど…これがお前の能力か!」


「首に刃が刺さっていても意識を保てるとは…」



フォートは自身に刺さった短剣が首を貫く前に首筋の筋力により刃を受け止めた。

それにより重症には変わりないが、出血と意識の喪失だけは防いだのだ。



「ですが、すでにあなたは死を待つだけの存在…いくら”リヴィディンの暴竜”といえど今の状態では意識を保つのもやっとでしょう…。」


「だからお前をれないと思うか?」



一般兵ならその場でたじろぐ程の威圧を放つフォート。

それに臆せずミカエルは剣を抜く。



「いいえ、命がけで戦う聖騎士団に対し、剣を抜かないというのはこちらも無作法というもの…」



先ほどとは比べものにならないほどの[[rb:禍々 > まがまが]]しい殺気を放つミカエル。

フォートですら震撼するその殺気にフォートは自身の命ではなく、レタとアイヨの身を守るために全力で挑むことを決める。





二人が同時に動き出す。



「うぉらぁぁぁ!!!!」



フォートは全力の一撃で地面を剣で破壊する。

常人なら鈍器を用いても壊すのに多大な時間を要すほどの王都の外壁…


その外壁の床を一撃で破壊し、ミカエルに破壊した瓦礫を放つ。


ミカエルは瓦礫を的確にかわし、剣をフォートに向かって槍のように投げる。


瓦礫の間を潜り抜け、フォートに向かう剣。



それをフォートは間一髪で肩の聖装備で防ぐ。

聖装備が欠けるほどの強い威力で当たる剣。


だが、フォートはその攻撃に怯むことなく、前方にいるミカエルを確認…するはずだった。



「残念、私はこちらですよ。」



先ほどフォートが防いだことで弾かれ宙に舞う剣を掴み、空中からフォートを斬りつけるミカエル。

目を斬りつけられるフォートだが、負けじとミカエルの剣を手で握り、そのまま折るフォート。



「なんて力だ…。」


「逃がすか!!!」



ミカエルに追撃を試みるフォートだったがミカエルは別の剣を抜き、またもやフォートの死角から攻撃を与え続ける。


反撃も空しく先ほどの首の一撃が仇となり、地に膝をつくフォート。



「やっとですね…。生身の肉体でここまで私の攻撃に耐えた者は初めてかもしれませんね。」



フォートの背後に立つミカエルが剣を振り下ろそうとする。



そのときだった。




「聖騎士団を…甘く見すぎだ…。」


「!?」



するとフォートの背中から剣がミカエルを襲う。


フォートは自身の命を捨て、自身の胸から背後に向けてミカエルに剣を突き刺した。

フォート自らの身体を死角としたことで不覚をとったミカエルは[[rb:咄嗟 > とっさ]]に腕で防ぎ、頭に剣が当たるのを間一髪で防いだ。


ミカエルの仮面が割れる。


腕に突き刺さった剣はそのまま腕を貫通しミカエルの頭部に当たりかけていた。

幸い、仮面のおかげで頭部の負傷は免れたミカエルだったが、その仮面の内に見える表情はミカエルが数年ぶりに感じた死への恐怖心からくるものだった。



「今のはさすがに肝を冷やしましたよ……。」



ミカエルが見つめる先にいるフォートの目はすでに生気が失われており、それはリヴィディンの暴竜が死亡したことを暗示させている。



「フォート隊長……あなたが…来たるこの世界を巻き込む戦いの前に…殺しておいて…本当に良かった…。」




~五日目~


14:45 クヴィディタス大国・王都正門前



クヴィディタス帝国軍が大勢並ぶなか、先頭に立つ三人の人影…



クヴィディタス帝国軍、最高司令官のヴィクトール総督


イラ大国の最強の男にして、王であるジューバル王


進化の意慾エクセレクシの所有者にして悪魔の申し子リベル



「全軍、各大国に進軍せよ!」


「さぁ~て!どんな景色が見れるんだろ!」



7大国決戦が始まる…!

読んでいただきありがとうございました。

いよいよ敵陣営側に本格的な動きが見えてきました。

レヴァリィ世界を全域を巻き込む戦いにハイド達はどう挑むのか…!?


次回11話をお楽しみに!

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