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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第3章 ~7大国決戦~

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29/98

5話「欲の化身」

変異を受け入れし邪悪、


意慾の支配者と成る…

~三日目~



「……イド………ハ……イド………ハイド!!」



誰かの声で目を覚ますハイド。


その声の主はリアムだった。



「リアム!よかった…!元に戻ったんだな…!」


「うん…!ウォルターさんが助けてくれたんだ!」



リアムの後ろにはウォルターが立っていた。

ハイドはリアムを助けてくれた礼をウォルターにし、立ち上がる。


ハイドの横には横たわったまま動かないオズワルドの姿があった。



ハイドは意識を失ったものの、アロガンティア特務機関のひとり、カマエルまたの名、オズワルド・アシュフィールドを倒したのだ。

戦闘中、自身に秘宝の力の神髄を教え、闘いでの心得も新たなに学んだハイド。

ハイドは敵となりうる相手にも、オズワルドのような自身の弱さを捨て、たとえ敵にも敬意を示す者がいることを知る。


すでに息を引き取っているオズワルドの遺体に向かうウォルター。



「ウォルター、そいつをどうするつもりだ?」


「どうするって…後始末をしないといけないからね~…」



ハイドは自身に敬意を表して戦ったオズワルドにも相応の敬意を示すべきだと考えた。



「頼む…そいつをちゃんと埋葬してやってくれないか?」


「……考えておく~…」



ウォルターはオズワルドの遺体を運び、その場を去ることをハイド達に説明した。


アロガンティア大国には二人の王が国を統治している。


そのうちの一人、ジョージ王の住む王都にウォルターは向かうことを伝え、ハイド達の道案内はここまでと言った。


かわりに今いるこのプセマ村から最も近い街の方向と、聖騎士団らしき人物を見たとされる情報があった街の場所をハイド達に伝え、ウォルターはその場から秘宝の力で立ち去った。



「も~う、知ってるならはやく言ってくれればよかったのにー!」



ウォルターが立ち去った後、聖騎士団の情報を隠していたことに対し愚痴をこぼすリアム。



「ねーね!お兄さんたち!せーきしだんってなーに??」


「うわっ!!」



リアムの背後に急に現れた少女。


彼女は先ほどこの村に来た際にオズワルドに眠らされながら拘束されていた子供だった。

ハイドはこの村に住むたったひとりの少女に興味を持ち、名を尋ねる。



「わたし、アイヨ!」



~三日目~


クヴィディタス大国・王都内部



ハイド達と同時刻、クヴィディタス大国では第一次リヴィディン大国侵攻の際にも参加した女性少佐、パウラ少佐がこれまでの自身の部下であるリベル軍曹が参加した任務や戦いの記録を汲まなく目を通していた。



ー記録ー


クヴィディタス大国、イラ大国、両国会談にてアレクサンダー中佐、ブリュンヒルデ少佐率いる30名の兵をイラ大国に出国。

道中、2級テロスの襲撃を受け数名の一等兵、リベル二等兵も行方不明。

後に行方が不明となっていた兵士のなかでリベル二等兵のみ、クヴィディタス大国に帰還する。



ー記録ー


アセティア大国侵攻計画にて700名の兵士を動員。

アセティア大国侵攻の北軍の指揮はベン軍曹、西軍の指揮はパウラ少佐、東軍の指揮はリベル一等兵が担う。

ジリアン王直属の部下、アランによって東軍が壊滅的被害を受ける。

東軍の約7割が捕虜あるいは死亡、指揮を担当したリベル一等兵の情報はなし。

後日、グラ大国の国境付近で意識不明のリベル一等兵を発見。



ー記録ー


ベン軍曹の遺体がクヴィディタス大国内部で発見。

ベン軍曹の所属隊にいる兵士を動員させ原因解明のために捜査に向かわせる。

捜査中、殺害の凶器とみられる武器を発見。しかし2級テロスの群れに襲われ、捜査に向かった兵士にてリベル一等兵のみ生還。

なお、リベル一等兵は軍曹に昇格後、引き続きパウラ少佐の隊に所属。



「やはりか…」



彼女は自身の部下のリベル軍曹の欠落した人間性に対して嫌悪感を抱いていたが、彼女がリベル軍かれに対してさらに思い詰めることがあった。


それは兵士のとしての記録にいくつか不審な点があったからだった。


自分の軍に入り、部下となってからリベル軍曹を常に傍に置いてきたパウラ少佐だが、それには理由があったのだ。

これまでリベル軍曹が参加した任務では予期せぬことが発生した場合、必ずリベル軍曹が生還していること、そしてなぜかリベルの生還時に他の者は生還もせず、目撃した者も存在しないのだ。



「あのときも…」



パウラ少佐はハイド達”流浪人”がこのレヴァリィ世界に入る数日前の記憶を振り返る。


それは第一次リヴィディン大国侵攻の後、クヴィディタス大国内で死亡したクヴィディタス帝国軍の者たちについて、少佐以上の階級の者が集まり会談しているときのことだった。



・コンスタンティン少佐


・ヘルマン少佐


・ハインリヒ軍曹


・ジルビア軍曹


・ヤン軍曹


・リベル軍曹



以上の者が第一次リヴィディン大国侵攻後に殉職したとみなされた者たちだった。



「ヘルマン少佐率いる小隊にいた二人は侵攻計画でリヴィディン大国に捕虜となった後、ヘルマン少佐含め死亡が確認されました。」


「ヤン軍曹とコンスタンティン少佐は流浪人どもの仕業と思われます総督。」



ヴィルヘルム将軍とヴォルフガング将軍が報告をまとめる。それを聞いたクヴィディタス帝国軍、最高司令官であるヴィクトール総督は口を開く。



「そうか。」



白髪交じりに無精むしょう髭を生やした風貌をしている。

ヴィクトール総督はクヴィディタス帝国軍における最高司令官と同時にこの大国で最も強大な力を持つ者として知られていた。

その実力は将軍で戦闘力において最強を誇るヴァレンティーン将軍をも上回る。


彼にとって少佐や軍曹レベルの階級の損失など気にするほどでもなかった。



だが、



そのなかで少しばかりの違和感を持つ者が三人いた。


それがラインハルト大佐、クリスティーナ大佐、そしてパウラ少佐だった。



それは侵攻計画の帰還時にパウラ少佐率いる分隊は古城跡にコンスタンティン少佐の増援に向かった兵から事情を聞き、自身の兵からも数名を向かわせていたのだ。


そこにはリベル軍曹も含まれていた。


しかし、古城跡に残るテロスの残党と交戦となり、クヴィディタス帝国軍の兵にも損害が出たのだ。

生き残った兵は古城跡にて聖騎士団隊長の一人であるアローラを捕らえた後、速やかに撤退し、クヴィディタス大国に帰還を遂げた。


そこでパウラ少佐は帰還した兵からの報告を受け、自身の部下であるリベル軍曹の行方がわからなくなったことを知る。



普通に考えれば、テロスの群れの犠牲に遭ったと考えるのが妥当だ。



しかし、これまでのリベル軍曹の経歴から考えるとパウラ少佐は違和感を覚えた。


そしてそれはパウラ少佐の上司でもあるクリスティーナ大佐、そしてクリスティーナ大佐からそのことを聞いたラインハルト大佐も違和感を覚えたのだ。


会談ではリベル軍曹も死亡とみなされたが、パウラ少佐は疑問を抱き、こうして王都内にあるクヴィディタス帝国軍の全兵の記録のうち、リベル軍曹の記録のみに目を通していたのだった…。



~四日目~


クヴィディタス大国・王都内部



自身の疑問が晴れないまま、パウラ少佐は朝を迎える。

今日は敵国、リヴィディン大国から捕らえた聖騎士団隊長、アローラ処刑の日であった。


パウラ少佐は処刑時の警備を任されたため、すぐに準備に取り掛かる。



クヴィディタス大国、古城付近にてその付近を住処としていた特級テロスと聖騎士団と流浪人、そしてクヴィディタス帝国軍の三つ巴の闘いとなった。

そこで流浪人の所在は不明、軍を率いていたコンスタンティン少佐は死亡し、特級テロスもなんと死体として古城跡に残っていたのだ。


クヴィディタス大国は特級テロスを討伐した者をアローラとみなし、王命により処刑を行うこととなった。



処刑台にアローラが向かう。



特級テロス、その実力は大国の存続や周囲の環境に多大な被害を与えるほどの脅威として認定されている五体のテロスだ。

それ故に、大国側も戦闘となれば多くの兵力を犠牲にするために特級テロスとの戦闘は基本的に避けるように命じられてきた。


そんな強大な存在である特級テロスを倒したとなると、アローラそのものはクヴィディタス大国にとっても脅威以外の何者でもない。



欲の化身”テロス”



そのテロスのなかでも強力な欲を有したが故に人智を超えた怪物となった特級テロスを倒した者がここで命尽きる。


そうパウラ少佐は処刑台に上がるアローラを見ながら思う。



しばらくするとジャック王が処刑台に上がる。

王はアローラに向かって話し始める。



「聖騎士団…アローラと言ったな。

我を覚えているか?」


「……。

忘れると思ってるのか?」


「フン…まさかお前の愛する者と同じ末路を辿るとはな。」


「お前が、エリーナを語るな…!!」



アローラは静かに怒る。

そのジャック王を見る目はこれまでに見たことのない怒りの眼差しをしていた。


しかし、そんなことを意に返すこともなくジャック王は自身の手を見つめる。



「我の秘宝の能力、それは触れた者をその者が持つ欲のままに変異させる…。

アローラ、お前はどんな欲の化身となるかな…」



ジャック王がアローラに触れようとする。


そのときだった。



「……誰だ、お前は。」


「(あれは!?)」



パウラ少佐は驚愕する。

それは背後からジャック王の肩を触れるリベル軍曹がいたからだった。


すぐさま、嫌な予感を察知したパウラ少佐は群衆を振りほどきながら処刑台に向かって走る。



「退いてくれ!」



リベル軍曹は笑みを浮かべながらジャック王に向かってこう言う。



「あはっ!じゃ、あんたは?」


「!!(我の力が…!)」



ジャック王が自身の変化に気付く。



「あんたの力じゃねぇよ、知らないの?

秘宝の所有者は…」


「(まさか…)」



進化の意慾エクセレクシ


その秘宝は形が存在しない。

進化の意慾エクセレクシは所有者とされた肉体自体に直接刻み込まれる。


ジャック王がこのクヴィディタス大国で王となった理由…


それは先代のクヴィディタス大国の王が所持していた進化の意慾エクセレクシが自身を所有者と認識し、自身の身体に宿ったのだ。


そして、ジャック王は知っている。


秘宝を剝奪された先代の王がどうなったのか…



青ざめるジャック王を気にもせずジャック王に話し続けるリベル軍曹。



「秘宝が決めるんだよ…。」


「あ…あガッ……!」



ジャック王が苦しみだす。


徐々に自身の肉体が変形し始めていくジャック王。



そう、進化の意慾エクセレクシを剥奪された者は…



「ア…アガッ…!……ガ…!…ガァ…!!」



自身の欲が暴走し、変異を遂げ、欲の化身テロスと化すのだ。



「さぁ…!…どんな欲の化身となるのかな!」



欲に堕ちた王、最期に残す欲の形とは…

読んでいただきありがとうございました。

本来は先週に更新する予定だったのですが、体調を崩してしまい投稿は今週になってしまいました。(すみません…)

皆さんも2024年始まって早々に僕のように体調を崩すことのないように!(笑)


さて、前回は主人公であるハイドが活躍した回でしたが、今回は敵陣営のとあるキャラに焦点が集まりましたね。

2章では現実世界の物語であったため記憶に抜けている方も多いと思いますが、今回登場したリベルというキャラは一体何者なのか…

これがこの作品「ハイド」の重要な要素のひとつでもあります。


次回6話をお楽しみに!

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