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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第3章 ~7大国決戦~

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4話「真理の覇者」

弱きを恥じ、己の強さにすがれ…

~三日目~



無数の岩石がカマエルに向かって降り注ぐ。


ハイドが真理の神秘ダブマの力を開放し、その能力によって岩石が攻撃に特化した槍状の形状に変化しながらカマエルを襲う。

それを剣で弾きながら攻撃を防いでいくカマエル。



「すばらしい…!」



カマエルはハイドの持つ秘宝の力を称賛しつつもハイドに攻撃を行っていく。


現実世界で幾度も命に危機に瀕するような状況に会ってきたハイド。

その経験を遺憾なく発揮し、カマエルの攻撃を躱しながら真理の神秘ダブマの能力で今度は炎を鞭のようにうねらせながら反撃を試みる。



しかし、



「ぐっ……!」



敵はハイドにとって未知数の存在…


カマエルは自身の剣に装備された神秘の欠片の能力を発動させ、ハイドを吹き飛ばす。



「すばらしい…だが…まだ君には秘宝の真価を発揮できていない…。」



カマエルの持つ神秘の欠片には風の情報が入っていた。

それにより、ハイドの放った炎もろとも吹き飛ばしたのだった。


ハイドはいくら神秘の欠片の情報には回数制限があるとはいえ、あの出力の風を出されては、自分の秘宝の能力を用いても、無意味だと考えた。


すると、カマエルが自身の懐からある物を取り出す。



それはカマエルの手から離れても宙に浮かぶ不思議な石…


ハイドはなぜかその物体を目にしたとき、その物質が自分にとって非常に危険なものだと感じ、カマエルと距離をとる。



「ほう…勘が鋭いな。」



するとその重力の影響を受けない不思議な石にカマエルが触れた瞬間、まばゆい光と共に先ほどハイドが放とうとした炎の残り火が石に吸収されていく。


カマエルの持つ石の名は”真理石”…


宙に浮かぶ不思議な石で、秘宝の副産物。


”奇跡と破滅の種”と同様に特定危険物質であり、触れた者の体力を奪うかわりに周囲にある任意の物質の情報を吸収することができる。


それにより、カマエルはハイドが先ほど放った炎を吸収する。



「これは…!!」



ハイドは自身の秘宝の能力と同等の現象を目にして驚きを隠せないでいた。



「物資の形状変化…そんなのは君の秘宝でなくともできる…。」



カマエルはそうして炎をハイドに向けて放出する。


しかし、それはハイドが先ほど真理の神秘ダブマで使用した際の炎の鞭ではなかった。


ハイドの周囲を炎の壁が取り囲む。



「まずい…!(取り囲まれた…!)」



真理石の能力、それは触れた者の体力を犠牲に物質の情報を会得し、その物質の形態を変化させ放出が可能というものだった。



「さて、青年よ。どうする?」



ハイドは炎の檻の中でこの状況をどう攻略すべきか考えた。


この炎は自身の秘宝から放出したもの、ということは再度こちらの秘宝で炎を吸収することは可能だろう。

しかし、それでも根本となる真理石をどうにかしないと問題の解決にはならない。


するとハイドはあることに気が付く。



「炎の中に…ある…。」



真理石はカマエルの手から離れており、ハイドが囚われている炎の檻の内部に浮かんでいたのだ。


ハイドは真理石のもとへ向かう。


そのときにハイドは先ほどのカマエルの言葉を思い出す。



すばらしい…だが…まだ君には秘宝の真価を発揮できていない…。


物資の形状変化…そんなのは君の秘宝でなくともできる…。



どのセリフも自分の持つ真理の神秘ダブマについて言及している。

ハイドは自身の持つ秘宝はまだ他にも力が宿っているのではないないか?と考えた。


真理石に触れるハイド。



その頃、1級テロスによって身体を寄生されたリアムを救出すべくウォルターはリアムに攻撃を仕掛ける。


しかし、リアムはパラフィシカーとしての能力によってウォルターの攻撃を躱していく。



「へぇ~…寄生している宿主の能力も扱えるんだね~…」



そう言ってウォルターは自身の所有する秘宝、断絶の籠ディアスタスケージの能力を使用する。



断絶の籠ディアスタスケージの能力…


それは、秘宝を開けるとどんな大きさのものでも収納できる。

収納されたものは断絶の籠ディアスタスケージから再び放つだけでなく、レヴァリィ世界のあらゆる箇所にある箱から放つことも可能。



移動にも優れ、収納にも優れたこの秘宝によってウォルターは複数の武器をリアムに向けて放つ。


10の秘宝は所有者と認識されたものには秘宝の真価を発揮できる。

ウォルターは先ほどの能力に加えて収納された物質の遠隔操作が可能であった。


それによって断絶の籠ディアスタスケージの能力から出現した武器はリアムに向かっていく。



「殺すのは簡単だけど、君を殺したらハイドに怒られそうだからね~…」



”高速移動”の能力によって次々と迫りくるウォルターの操る武器を避けていくリアム。

しかし、徐々にだが無数の武器による攻撃で逃げ場が失われていく。



「…!!」



そして武器によって完全に逃げ場を失い、さらに身体を拘束させられる。



「はい、それじゃ…」



リアムがもだえ苦しむ。


すると先ほど寄生していた1級テロスが姿を現す。

宿主が行動不能になったことから次の宿主、ウォルターに寄生するために身体から出てきたのだ。



「へぇ…僕の身体が欲しいんだ~…獲れるもんなら試してみな~…」



炎の檻の外にいるカマエルはウォルターと1級テロスの闘いを見ながら、炎の檻に視線を戻す。



「そろそろか…。」



すると炎の檻が跡形もなく消え去る。


そこに立つのは無傷の状態のハイド。

それを見たカマエルは仮面の内側でわずかに微笑みハイドに向かってこう言う。



「それで……今の気分は?」



ハイドは自身の腕に付いた真理の神秘ダブマを見つめたあと、すべてを理解したかのような笑みを浮かべながらカマエルの問いに答える。



「最高…!」




「お前、わざとだろ。敵なのに俺に秘宝の力を気付かせるために…」


「たとえ敵でも”気付き”を与えるのが私のやり方だ…。

……さぁ続きを始めよう。」



カマエルは再び剣を抜く。


ハイドもカマエルの構えを見て、戦闘態勢に入る。



互いに相手の動きを探る二人だったが、先にカマエルが動き出す。

カマエルはハイドに接近し、剣を振りかざす。


以前のハイドなら攻撃を躱し、態勢を整えてから反撃…


だが、今回は違う。


ハイドは真理の神秘ダブマの宝石のひとつから炎を出現する。しかし、それは先ほどまでの炎の鞭や炎の檻ではなかった。


炎は人の形へと変形し、複数に増えはじめる。



「…!!」



先ほどまでとは攻防の取り方が変わりカマエルも仮面の内側で表情を変える。



真理の神秘ダブマの真の能力…


それは物質の形状変化ではない。




真理の神秘ダブマの真価は”情報の書き換え”である。




得た物質の情報を秘宝に装飾として付いている五つの宝石に吸収したのち、その物質本来の構成を保てば、形状を変化させるにとどまらず、性質を変化させることが可能なのだ。


炎は本来、実体が存在しない。

それは物質が放つ熱エネルギーそのものが”炎”であるからだ。


しかし、ハイドは先ほどの真理の神秘ダブマの能力によって炎に自身の意思を宿らせ、さらに実体化までさせた。


それにより炎の人形は意思を持ちながら直接、敵を襲うことができる。


カマエルは自身の剣に装備された神秘の欠片に内蔵されている風の力を用いて炎の人形を攻撃する。



「やはり、ダメか…!」



しかし、実体を持った人形は風によって怯みはするも、消えはしない。


カマエルは襲い掛かる炎の人形を斬っていく。


しかし、やはり元は炎…


斬った際に飛び散る人形の血は炎でできている。

カマエルは次第に炎によってダメージを負うようになる。



「(このままでは…)」



カマエルは炎の人形から距離をとり、態勢を整える。


しかし、カマエルの距離を置いた場所には…



「…!!」



ハイドが迫っていた。


炎の人形に気をとられてハイドの位置までに目が届かなかった。

カマエルは間一髪でハイドの拳を受け止める。


しかし…


ハイドの拳を抑えたカマエルの手が焼けるような痛みを伴う。



カマエルはハイドに蹴りを加えて距離をとる。



「(情報の書き換え…こういうことも可能か…)」



カマエルは自身の焼けただれた手を見ながら、心の中でそうつぶやく。


炎の情報の書き換えで先ほどハイドは実態を持ち独立して行動する炎の人形を作製した。


しかし、通常の炎に備わる本来当たり前の効果…


”熱さ”


真理の神秘ダブマは物質の情報をもとの物質の構成を保ちつつ、書き換えることが可能。

ハイドは炎の本来持つ”熱さ”を保ちつつ、拳に視覚的に見えないようにし、カマエルの攻撃に用いたのだ。


故に通常の拳による攻撃だと判断したカマエルはハイドの攻撃を受けたことで自身の手が焼けただれたのだ。



カマエルに考える余裕もなく、炎の人形が襲い掛かる。


しかし、さすがはアロガンティア特務機関。

驚異的な秘宝の力の前にしてもすぐに平静を取り戻し、炎の人形を叩き斬っていく。



すべての炎の人形を斬り、ハイドの前に立つカマエル。



焼けただれた手、傷ついた仮面、ボロボロの服装…


その姿はすでにハイドの勝利が確定したようなものだった。




だが…




「うっ……!!」



先に膝をついたのはハイドの方だった。



「でしょうね…ここまでの能力…それに見合った体力は持っていかれるはず…」


「くそっ……!」



倒れるハイドを見下ろすカマエル。

まさかの形勢逆転、ハイドは諦めたくはないものの、敗北を認めざるを得ない状況だった。


しかし、そんなハイドに対してカマエルは思いもよらない発言をした。



「立つんだ…、青年…。」


「…!!」



それはトドメを刺そうするカマエルの姿ではなく、正々堂々と決着をつけようとするカマエルの姿があった。


ハイドは力を振り絞って立ち上がり、秘宝ではなく、自身の剣を抜く。


すでに体力の限界を迎えている両者、最後の攻防を行う。



互いに剣を振るうなか、カマエルはハイドに対して心の中でこうつぶやいていた。






乗り越えろ、青年。


秘宝の力を理解しても、秘宝の力に頼ってはいけない…


最後は”自分”で乗り越えるのだ。


勝てない、限界だ、そんなものは相手こちらも同じ…


その”弱さ”はここに置いていけ。






ハイドの剣が折れる。



「すばらしい…」



カマエルの仮面が割れる。


最後に立ったのはハイドだった。



「ありがとう………えっと…」


「オズ…ワルドだ…」



真理の覇者が完成する…

読んでいただきありがとうございました。

今回の物語でついにハイドが秘宝の真価を発揮しました!

ようやく主人公らしい活躍が出てきましたが、本作では味方側だけでなく敵側にも多くのキャラクターが登場しています。

今回の章でその両陣営のキャラが大きく動いていくので、ぜひお見逃しなく!


因みに筆者である僕のお気に入りキャラはアドルフ、ウォルター、ヴァレンティーンです(笑)


次回5話をお楽しみに!

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