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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第3章 ~7大国決戦~

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2話「次なる大国」

新たな土地で待つ物語…

~三日目~



野原を目にもとまらぬ速さでかける人影が二つ。

周囲の動物やテロスも反応できないほどの速さで駆けていく。



「ハイドついたよ!」



リアムがハイドに向けて言う。



「ちょっ…速すぎだってリアム…」



ハイドはリアムの小さな背中に乗り、リアムのパラフィシカーとしての能力である”高速移動”によってインビディア大国からアロガンティア大国の国境まで本来なら数日を要す道のりを僅か数分でたどり着いていた。

しかし、リアムの能力はあくまで本人のみが高速に動くことができる。

そのため、ハイドは今にも吐きそうな表情をしている。


ハイドの体調を考えてリアムはアロガンティア大国の街までの道中は二人で歩くことを決める。


アロガンティア大国、レヴァリィ世界の西端に位置する大国。他の大国との親交はほとんど行わず、独自の文明や技術で国を統治している。

そのため他の国々もアロガンティア大国の詳細を知る者は少ない。

また、テロスがクヴィディタス大国の次に多く生息しており、特級テロスのほとんどはこの国に生息している。


今、ハイドとリアムがいる場所はアロガンティア大国の広大な自然が広がる草原にいる。


アロガンティア大国に関しては”流浪人”であるリアムたちもそこまで情報を持っていなかった。

どちらの方向へ行けばよいのかわからなくなっている二人の頭に声が聞こえてくる。



「ハイド!リアム!そっちの方向に街はないよ!」



その声の主は二人が聞き飽きるほどよく聞く人物、ソフィアだった。

”流浪人”であるリアムがなぜ、遠く離れた仲間と情報の共有が可能なのか、それはソフィアが現実世界でレヴァリィ世界との接続の仲介役を担い、DTPを用いて遠隔での連絡を可能としていたからだった。

世界の真相を知り、「ストレンジャー」として皆とつい先日まで暮らしてきたハイドにとってはすでに理解可能な現象だが…



「あの…ソフィアさん…!その音声のボリュームなんとかなりません!?」


「え!なんで?」


「いや、うるさくてこっちの音が…」


「ハイド、諦めた方がいいよ…」



ハイドは諦めた表情をしながら、ソフィアの指示に従った。

どうやらソフィアに示された座標にここから最も近い街があるようだ。

普段では皆が呆れ、振り回されるほどソフィアは厄介な存在だが、皆は知っていた。彼女の知恵と情報網を。

ソフィアの指示には疑いの余地がないほど正確なことに。



「わかりました、じゃ行こうリアム。」


「うん!」



二人は方向を変え、ソフィアの示した座標のもとへ向かう。


しばらく歩いていた二人は周囲の異変に気が付く。



「ハイド、」


「あぁ、俺もわかった。」



あたりの木々から視線を感じる。

二人はすぐにテロスがこちらに敵意を向けていることを察した。

リアムは現実世界でのハイドの戦闘能力を理解していた。


レヴァリィ世界での素の戦闘能力は現実世界での意識や感覚に反映される。


故にハイドは以前レヴァリィ世界にいた頃の時とは違う。

それを知っているリアムはハイドに反対側に身を潜めているテロスを頼み一斉に行動を開始する。


二人の行動に伴うようにテロスも動き出す。

リアムの方に4体、ハイドの方に3体の3級テロスが襲い掛かる。



「……。」



ハイドはかつてアセティア大国でジリアン王から聞いたことを思い出す…。



「かつては…テロスも人間あるいは動物だったのさ……!!」



そう、テロスの正体は進化の意慾エクセレクシによって自身の欲のままに変異した成れの果て。

3級テロスは進化の意慾エクセレクシの犠牲にあった動物の成れの果てだった。


ハイドはそのことを胸に刻みながら、憐みの表情を浮かべながら3級テロスに攻撃を行う。



「……ごめんな…」



それはハイドの心から漏れた本音だった。

自身を襲ってきたとはいえ、人の都合によって異形の存在へと歪ませられたものだ。

ハイドには命を奪う重さが現実世界で痛いほど理解できたていた。


だからこそ、今自らが奪ったこの3級テロスには安らかに眠ってほしい、ただそう思うのだった。



「ハイド!怪我はない!?」



リアムがハイドのもとへ駆けつける。

リアムも4体の3級テロスを倒し終えていた。ハイドは自分が倒した3級テロス亡骸を見ていた。



それを見たリアムはハイドの横に歩み寄り、ハイドの気持ちを汲み取った。



「お墓…作ろっか…動物さんが安心して眠れるように。」


「…あぁ……!」



ハイドはリアムの気遣いに感謝し、7体の3級テロスを弔った。


それを遠方で見つめる男が一人…



「へぇ~……久しぶりに見たと思ったら、面白いことするじゃん~……」




~三日目~



アセティア大国にたどり着いたアドルフは早速王都にてジャクソン王からの言伝をキリアンに伝える。



「ありがとうございます…!…ジャクソン王の同盟…我々も協力しましょう!」


「では、早速リヴィディン大国に戻って」


「お待ちください…!」



キリアンがアドルフを呼び止める。

キリアンは以前ジリアン王と国民の失踪の件に助力してもらった礼をした。アドルフはこの大国の王でありキリアンの兄でもあるジリアン王の様子を聞く。



「兄は…あの後も秘宝の虜になっています…」


「そうですか。」



アドルフはキリアンにジリアン王の独房に案内するように頼んだ。

キリアンは信頼できる側近のアランにアドルフを独房まで案内するように頼んだ。

ジリアン王のもとへたどり着いたアドルフはジリアン王の秘宝の虜となり、やつれた姿を見て冷たい視線を送る。



「これはこれは…前にも会ったね…流浪人。」


「随分と変わり果てましたね、ジリアン王」



キリアンによって秘宝を没収されたジリアン王は精神的な支柱を壊され、以前よりも秘宝に執着するようになった。

与えられた食べ物を腐らせても、自身の身体を傷つこうとも、自身の秘宝を取り戻そうと独房をひっかき、頭を打ち付けている。

アドルフはそんなジリアン王に戸惑う様子もなく、話をし始める。



「あなたは10の秘宝のうち”世界の法則を壊す力”を持つ秘宝についてどこまで知っているのですか?」


「おやおや、この世界を何でも知っているんじゃないのかい?流浪人というものは…。」


「質問に答えてください。」



ジリアン王はアドルフの質問に答えた。

10の秘宝はどれも人知を超えた力を秘めた代物だが、そのなかでも世界を壊しかねないほどの力を持つ秘宝が3種類存在していた。


その秘宝の力を目の当たりにした者は、”世界の法則を壊す力”と呼んだ。


その秘宝に分類されるのは、


進化の意慾エクセレクシ


真理の神秘ダブマ


心魂の憧憬シール


の3つの秘宝だ。



すでに進化の意慾エクセレクシはクヴィディタス大国のジャック王、真理の神秘ダブマ

はハイドが所持している。

しかし、心魂の憧憬シール

だけは所有者がいまだ不明なのだ。


アドルフはその所有者が不明な心魂の憧憬シール

のありかを探していた。



その理由…



流浪人はこのレヴァリィ世界のことをこの世界に住む人々以上に知り尽くしている。

その知識はもちろん10の秘宝についてもだった。


流浪人は10の秘宝すべての能力を理解している。

それ故に、心魂の憧憬シール

がどのような能力を有しているのかも…



心魂の憧憬シール

は所有者の最も願ったものを実現させる能力を持っていたのだ。


アドルフはその秘宝があればヘーロスの封印を解くことが可能だと確信していた。

だからこそ、さらに秘宝の情報を集めるために秘宝に執着していたジリアン王に心魂の憧憬シール

のさらなる情報を知っているか尋ねたのだ。


だが…



「知らないね、そればかりは…」



ジリアン王の答えはアドルフが持ちうる情報以上のものは持っていないということだった。

その場を去るアドルフに対し、ジリアン王はこう言った。



「私は知らないが…そこにいるアランは君が気になることを知っているんじゃないかな?」


「……。」



アドルフは少し足を止めたあとすぐにその場を去った。

キリアンのもとへ戻る道中、アランがアドルフに問う。



「先ほどのことだが…」


「王の言ったことですか?」


「あぁ、少し心当たりが…思い違いの可能性も捨てきれないが…」


「構いません。ぜひ、教えてください。」



アランは昔、アセティア大国がアロガンティア大国の文明を調査するために入国した際に、とある言い伝えを耳にし、その言い伝えの発祥の地である村に向かった際の話をした。



「その言い伝えは…」



場面変わり、アロガンティア大国の街にたどり着いたハイドとリアムは休息をとるために食事を摂っていた。

席で頼むような通常の店とは異なり、アロガンティア大国は独自の文化を持つ大国、どの店でも現実世界でいうバイキング形式に食べ物がずらりと並んでいる。

そこではハイドが頼んだ食事の量とは比べものにならないほどの量を食べるリアムとそれを見て呆れるハイドの姿があった。



「リアムー、そんなに食べたらこの世界でも太るぞ~?」


「だいじょーぶ!ここじゃ僕らは体型変わらないから!」


「いや、でもさ…」


「おかわりしてくるー!」



リアムは綺麗に空になった皿を持ち、新たな食べ物を摂りに行こうとする。

席を立ち気分が高揚しているリアムだったが、目の前にいる人物に気づかず、ぶつかり皿を割ってしまう。



「ご、ごめんなさい!!」



慌てて謝罪しようとするリアムの前にいた人物は…



「おや?……久しぶりだね~……流浪人…」


「お、お前は……!」



ハイドもよく知る人物…


忘れもしないあの不気味な雰囲気と掴みどころのない性格、そしていつも不敵な笑みを浮かべている人物。

自身をアセティア大国でさらい、クヴィディタス大国でジャック王に引き渡した人物…



「ウォルター…!!」



死神再び…

読んでいただきありがとうございました。

ハイドたち流浪人が目的の達成のために行動を開始する最中、ハイドとリアムの前に遭遇したのはなんとアセティア大国でハイドをさらった”死神”の異名を持つウォルター。

新たな大国で物語はどのように展開されていくのか…


次回3話をお楽しみに!

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