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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第2章 ~アポカリプス計画~

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20/98

8話「情報は力」

叡智を受け入れし者は、


愚者を屠る。

「ここが…」



ハイド達はガーディアンズの本部に到着する。

ハイド、モーリス、ソフィアを救った紫の髪色をした美少女に案内されながら中に進む。


彼女の名前はヴァイオレット・ホワイトフィールド。


ガーディアンズのリーダーにして、世界一とされるほどの天才ハッカーでもある。

ヴァイオレットはハイド達が連絡に用いるDTPをハッキングし、今回の作戦を盗聴していたのだった。



「あんたらストレンジャーの中にも優秀な人がいるんだね。」



ヴァイオレットがモーリスに言う。

それを横で聞いたソフィアがモーリスとヴァイオレットの間に割って入るかのようにして話し出す。



「それ、もしかして私のこと!?」


「お前じゃなくてリアムのことだろ。」


「え!!」



そうこうしているうちにハイド達は内部の中心部分に到着する。

そこにはガーディアンズに看病されているアドルフ、アンドリュー、オルガがいた。



「みんな無事でしたか!?」


「おぉ!ハイド!こっちは問題ねぇ!」



アンドリューが答える。

ハイド達が集まったことでストレンジャーは各自手に入れた情報の共有を始める。


ハイド含めモーリス、ソフィアの三人はボーンクラッシャーズの拠点支部を探索した結果、ケリーや対O.Sオーバーショック特殊部隊による

邪魔があったものの、ある情報を手に入れていた。



それは”アポカリプス計画”と呼ばれるものだった。



その計画はサイバーインプラントにあらかじめ施してある”アポカリプスウイルス”なるものを対象の脳内に移行することで人類の

洗脳、いわゆる人類の統一化を画策しているものだった。



そしてアドルフ含めたアンドリュー、オルガの三人は”アルハンブラコーポレート”にてE.R.A.イレイS.E.Rザーやダニーの妨害にあうも、オルガの潜入によって”アポカリプスウイルス”の存在、そしてそのウイルスのサンプル入手に成功する。


これら2組の情報から”アポカリプス計画”の確かなる存在とその計画を防ぐべくウイルスの分析を速やかに行うべきだとアドルフは判断する。

そしてアドルフたちの会話を聞いていたヴァイオレットが口を開く。



「私たちも…協力させて。」



思いがけない提案だった。

これまで反政府組織が手を組み行動することなんてなかったからだ。本来なら警戒すべき相手だが、アドルフはガーディアンズが自分たちを助けてくれたことやここまでの対応を見て信頼に足る組織と判断した。



「わかりました。」



こうしてストレンジャーとガーディアンズによる反政府組織が初めて手を組むことになった。


まずはより多くの”アポカリプス計画”の情報が必要となる。

ストレンジャーは拠点にいるリアムとエヴァをこちらに向かわせ、モーリスが完治するまでの間はガーディアンズの拠点で行動することにした。



アドルフとオルガは早速、行動に移し企業や政府の動向を探ることにした。

ハイドはヴァイオレットたちガーディアンズと協力して、民間や反政府組織の動向や企業とのさらなる繋がりを探すことにした。



「きみ、きて。」


「お、おれですか?」



各々で自分の仕事をこなす中、ある日ハイドはヴァイオレットに話しかけられる。


ヴァイオレットはこの数日の間、反政府組織のひとつマッドネスジョーカーの動向をインターネットを経由して監視していた。


そこでヴァイオレットはマッドネスジョーカーのリーダーであるフランシスコ・ウルキオルの動向に注目していた。

ハイドはこの現実世界で目覚めてまだ数ヵ月の間でしか暮らしていない。日常における一般知識等はストレンジャーのメンバーから聞いてはいたが、いまだ組織的な知識は不十分であった。



「この人が何です…か?」


「見てわからない?」



フランシスコは基本的に拠点支部から姿を現すことは滅多にない。しかし、一日のある時間のみ外出する。


それは必ず午後14:35から17:00の間であった。


その間なにをしているのかは不明だが、この日ではフランシスコは午後14:35から18:35に拠点支部に戻っている。



「これが何を意味するかわかる?」


「いや~……」


「………。…はぁ…。」



この世界でネットはもはや人々のなかでは生きていくのに必須の存在となった。


そんな非常に重要なネットも常日頃から危険が潜んでいる。

それを駆除・警備するためにネットは一日に一度、大規模な更新が行われる。

その間もネットは通常通り使用が可能であるが、そのかわりネットを経由した通信機能および記録機能の精度が著しく低下する傾向にある。



その時間帯が午後14:35~17:00なのだ。



これはこの世界に住むものであれば、常識中の常識の事柄でありそれゆえにその時間帯は犯罪率が通常の8倍にも上昇するため企業や政府も警戒態勢をとる。


そんな時間帯に反政府組織のリーダーが護衛もなしに外に出歩き、なにごともなく帰ってくることの方が異常なのだ。



「きみ、こんな当たり前のことを親に教えられてないの?」


「あー……まぁ…そうですね……」


「……。とにかく今からフランシスコこいつが何をしているのか探るから手伝って。」



ハイドはヴァイオレットにほぼ強制的に外に連れ出される。


二人は先ほどのインターネットで経由した映像からフランシスコのいたと思われる場所に向かう。

道中、静寂な空間に耐えかねたハイドがヴァイオレットに問う。



「あのー…、なんで俺だったんですか…?アンドリューさんやエヴァさん、何ならこうゆうことに詳しいリアムとかと行けばよかったんじゃ…。」


アンドリューおとこのひと]]は暑苦しそうだし、エヴァおんなのひとはうちと相性悪そうだし……それにリアムあのこは……ほら、ぽっちゃりしすぎてるじゃん?」


「あはは……たしかに……(リアムはぽっちゃり超えてる気がするけど…)」


「……。それに…きみ、暇そうだったし……。」


「ひ、ひま!?(そう見られてたんだ…おれ……)」



特に会話も広がることなく、目的地に到着する。

ハイドは内心、無口なヴァイオレットの扱いにやりづらさを感じていた。



「(これならソフィアさんの方が楽だったかも……)」



そうこうしているうちにヴァイオレットは手際よく周囲の防犯カメラや建物内にある機材をハッキングし、情報を得ていく。

うしろでぼーっとしているハイドに気が付いたヴァイオレットは無言でハイドにとある装置を渡す。



「???(え、なにこれ…)」



わけもわからず渡された装置をハイドは見つめ続ける。

なんの装置かもわからないハイドは裏返してみたり、振ってみたりとまるで初めて玩具を見た幼児のような行為を繰り返す。



「ちょっ…!…な、なにしてんの…!」



慌ててヴァイオレットはハイドを静止する。

ハイドはいまだに「???」な表情を浮かべヴァイオレットを見つめる。



「そ、それは…き、起爆装置…!…いま押したら大変なことになる…!」


「は、はい!?」



それを聞いたハイドは慌ててその装置を床に置く。



「なんでそんな大事なことをはやく言ってくれないんですか!!!」


「だ、だって…!…きみが暇そうにしてたから…!…て、てか敬語やめてよ…!…歳ほとんど変わらないのに…!やりづらい…!!」


「そっちこそ…!…きみきみきみって…馴染みにくくてやりづらいですよ…!!」



二人が大声で言い合っている横に男があらわれる。



「きみたち、ここで何してるんだい?」


「!!!」



ハイドとヴァイオレットはその人物を見て驚きを隠せないでいた。

それもそのはず、彼こそ自分たちが探す対象である……


フランシスコであった。



「(まずい…!!)」


「おや、君はガーディアンズのリーダー、ヴァイオレット・ホワイトフィールドじゃないか。」



ヴァイオレットはフランシスコの恐ろしさを知っていた。


彼は世界で最強といわれる男…


ヘーロス・ベルモンテを一度倒したことのある人物だった。

それは政府や他の反政府組織にも知れ渡っていた。


そんな人物が自分たちが口論をしている間に見つかってしまったのだ。

二人は、ゆっくり少しずつ後ろに後退していく。

だが、それをフランシスコは見逃さなかった。



「くはははは!!ここまで来て逃がすと思っているのかい?」



フランシスコが合図すると全方位からマッドネスジョーカーの手下が現れ、ハイド達は完全に包囲される。

ハイドは立ち向かおうと試みるが、ヴァイオレットに止められ二人はおとなしくフランシスコの拠点支部に連れていかれる。


二人は拷問部屋のような場所に入れられ、椅子に拘束される。

しばらくしてからフランシスコが入ってきた。

フランシスコは何やら袋を手に持っていた。



「くはは…これがなにか気になるかい?…………………………教えるわけねぇだろ!!!」



そう言ってフランシスコは思いっきりヴァイオレットを殴りつける。

その勢いでヴァイオレットは倒れる。



「てめぇ!!何しやがる!!」


「くははははは!!君には聞いてないよ。」



そのまま倒れたヴァイオレットを何度も踏みつけて愉しむフランシスコ。



「やめろ!!!」



ヴァイオレットを踏みつけたまま、ハイドの方を向くフランシスコ。

フランシスコは先ほどの袋からとんでもないものを取り出す。



「ひっ!!」



それを見たヴァイオレットは悲鳴を上げる。

フランシスコが袋から取り出したもの、それは人の指や耳などの部位だった。



「これは僕の趣味でね、きみたちには”これら”の仲間入りをしてもらおうと思ってね。」


「目的はなんだ!」



ハイドが問う。

するとフランシスコは特に目的はなく、自分の趣味を満たしたいだけと答えたのだった。


フランシスコ・ウルキオルは生を受けて4年で両親を殺害、精神疾患を患ったとされ囚人精神病棟にて投獄されるも、幾度にも及ぶ犯罪行為および倫理観に欠如したような行為を繰り返した。



脱獄回数、8回

精神的な犯罪行為、81回

病棟内の医者または社員殺害数、18人

病棟内での患者殺害数、42人



その現代が生み出した狂人は投獄と脱獄を繰り返し15年。


フランシスコが19のとき、反政府組織によって囚人精神病棟が襲撃、おおよそ107名の精神疾患を患った犯罪者が世に解き放たれた。


フランシスコもその一人であった。


そして、フランシスコは囚人精神病棟を襲撃した反政府組織のメンバーに加わり、持ち前の頭脳とカリスマ性で2年でトップの座に君臨する。


それからフランシスコは自身の脳内にサイバーインプラントを施した。

過度な頭部サイバーインプラントによって、フラシスコはサイバーサイコシスを患い完全に精神は破綻した。


だが、その精神破綻も彼にとっては新たなステージの始まりにすぎなかった。

本来ならば、サイバーサイコシスを患えば理性を保ちつつも、まともな感性を維持できなくなる。しかし、フランシスコは生まれきっての精神異常者。



混沌に新たな混沌を加えても、あるのは混沌……



フランシスコはさらに予測不能な行動、誰にも制御の効かない存在へと昇華した。



「きみたちがあそこで何をしてたかなんて興味がなくてね……くは………くはははははは!!!」


「何がおかしい!!」


「いやすまないね、これは癖で………くはははははは!!」



ハイドとヴァイオレットはこの何をしでかすかわからない狂人に次第に恐怖を抱くようになる。

ハイドはフランシスコに踏みつけられボロボロになったヴァイオレットを見る。


ヴァイオレットは涙を流していた。


それはまぎれもなく恐怖からくる涙だった。

ハイドはそれ見たとき理解した。


彼女も自分と同じく一人の人間、恐怖を持たない人間などいない、たとえ若くして反政府組織ガーディアンズの長になっても、恐怖は等しく人間が持つ感情、抗えても、飲み込まれる。


それを知ったハイドは彼女のために動き出す、恐怖に抗うために。



「そいつを離せ。」


「くはははははは!!!!」



ハイドの言葉に関係なくいまだに笑い続けるフランシスコ。



「おい!!」


「ん?なんだ、なにか言ったかい?」


「離れろ。」



それを聞いたフランシスコはハイドの方へ向かう。

ハイドの怒りの言動にヴァイオレットは恐怖とは異なる意味の涙を静かに流す。



「それ以上…彼女から」



そう言い終わる前にフランシスコは無慈悲にハイドを殴る。



「ぐはっ!」


「なにか言ったかい~?…くははははは!!!」



無防備な二人を痛めつけていくフランシスコ。

しばらくしてフランシスコは席に座りながら、ハイド達に自分の事情を話し出す。



「僕はね、人見知りでね。あまり外には出たくないのさ。けど外に出た方が健康にいいじゃない、だから決めた時間に外出をして、15:00までに人を探し殺す。そんでもっていきつけの店でティータイムを満喫し、心を落ち着かせるのさ。」


「(……狂っ…てる…!!)」



ヴァイオレットの心を見透かすようにフランシスコがほほ笑む。

フランシスコは話を続ける。



「けど、最近は新しい楽しみができたのさ、僕が外出してる時間はネットの通信機能や記録機能の精度が低下するみたいでさ、ちょうどいいから……”彼ら”に会っているのさ。」


「……。」


「”機械生命体”とね。」


「!!!」



衝撃的な内容だった。

まさかフランシスコは政府でも企業の連中でもなく、機械生命体との接触を単独で行っていた。どんな目的があろうと嫌な予感がよぎるハイド達。



「おっと悪いね、暇すぎて意味のない情報を流してしまったよ、君たちはこれから僕の装飾品になるのに。」


「……意味はあるよ。」


「ん?」


「貴重な情報をありがと。」



すると拠点内部の全監視カメラや機械が一斉に火花を散らし始める。

頭部サイバーインプラントを施した者たちは脳内に周囲のネットワークや機械と同機が可能となる。しかし、それは同時に周囲の機械と自身の脳内は同一個体とみなされる。


故に……



「ぐあっ……!!!」



フランシスコの脳内に火花が起こる。

その隙に拘束を解いたハイドはヴァイオレットの拘束を解き二人で脱出を行う。



「情報は力だよ、サイコパス。」



幸いにもマッドネスジョーカーの過半数はサイバーサイコシスを患っている。つまり頭部サイバーインプラントを施していることになるため、今回のハッキングによる攻撃が大いに堪えたのだ。



「さっきは……ありがとね、……ハイド…」



初めてきみではなく名前を呼んでくれたヴァイオレットにハイドは答える。



「こっちこそ、ありがとう…助けてくれて。」



それを聞いたヴァイオレットはそっぽを向く。

その表情はハイドには見えないものの、頬を赤めるヴァイオレットの姿が。



「……。……だって…仲間だもん。」



新たに芽生える感情と結ばれる絆…

読んでいただきありがとうございました。

今回はハイドとヴァイオレット二人の話がメインでした。

実のところ、ヴァイオレットはハイドとこのような関係する予定はなかったのですが、物語が進んでいく中でキャラが勝手に動いて今回のようになりました。

次回9話をお楽しみに!

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