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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第2章 ~アポカリプス計画~

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19/98

7話「繋がり」

胸に届く相手おまえの眼差し、


それはきずな結びし者の心の声。

ハイド達はなんとかボーンクラッシャーズの拠点支部の脱出に成功し、謎の女性集団に助けられた。

そしてハイド達と連絡をとるリアムは彼女たちをガーディアンズと言った。


ハイドにはその組織がよくわからなかったが、モーリスはすぐにその言葉に反応する。



「ガーディアンズがなぜこんなところにいる。」



すると先ほどのハイド達を車に乗るように指示した紫色の髪色の美少女が答える。



「さっき、別の場所であんた達の仲間を助けたの。」



彼女に続いてリアムが別行動を行っていたアドルフ、アンドリュー、オルガの3人に起きた状況をハイド達に伝える。



ハイド達がボーンクラッシャーズの拠点支部の脱出を試みている頃、アドルフとアンドリューは”アルハンブラコーポレート”に潜入したオルガを救出すべく、突撃を開始していた。


企業内の入り口にいた社員をすべて無効化したアドルフとアンドリュー。



「どうしますか?アドルフさん。」


「私は別のフロアから敵を引き付けつつ、オルガさんを探します。アンドリュー、君はこのフロアをお願いします。」



2人はそれぞれ別行動をとることにし、アドルフは別フロアのB棟に向かった。



アンドリューはDTPを介してリアムから企業内の全監視カメラをハッキングしオルガの居場所の特定を頼みつつ、自身も捜索に取り掛かった。


捜索を続けるアンドリューだが突如、背後から銃弾が飛んでくる。


直前にガラス越しから自身に向かって飛んでくる銃弾に気づいたアンドリューはギリギリで避ける。



「外したか。」



アンドリューを攻撃したのはダニーだった。


ダニーはララの部屋で監視カメラから確認した状況からストレンジャーの仕業だと見抜いていた。


元ストレンジャーのメンバーであり、アンドリューの相棒であったダニー。


しかし、今はともに敵対する側の立場。ダニーは自身の抱えた感情を押し殺しアンドリューに続けて発砲をしていく。


その攻撃を上手く遮蔽を用いて防いでいくアンドリュー。


アンドリューはかつて兄弟同然の相棒に向けて銃を放てずにいる。


ダニーは遮蔽に隠れたアンドリューに向けて冷たく言い放つ。



「どうした、反撃してこないのか。かつての仲間だからと言って銃もろくに抜けないなんてな。」


「はは……お前にしてはよく喋んじゃねぇかよ…」



アンドリューは銃を抜き、ダニーではなく自身の正面にある機材を撃つ。

するとフロアに警報が鳴り始め、フロア全体が停電を起こす。


その隙にアンドリューはダニーに接近し、得意の肉弾戦で挑もうとする。


しかし、長年相棒として任務をこなしてきたアンドリューとダニー。


ダニーはすぐにアンドリューの戦略を見抜き、冷静に対処する。


暗闇の中、ダニーはアンドリューの位置を予測し的確に銃を放つ。



「くっ…!!」



さすがのアンドリューもダニーの銃弾を肩に受け、その場で倒れこむ。


銃を構えながらアンドリューの方へ歩くダニー。



「バカが。その戦略は俺が考案したものだろうが。」



銃口をアンドリューに向けるダニー。


アンドリューはまだ、あの日の頃を覚えていたのかとダニーに問う。


その問いにダニーはしばらく黙り続ける。


そしてダニーはアンドリューに殺すのではなくH.U.N.ハンT.E.R ター本部へ連行し尋問することを言い放つ。

しかし、アンドリューはダニーのその発言にこう答えた。



「かつての仲間だからか?」


「なんだと?」



挑発を仕掛けダニーに隙が生まれた。


アンドリューはそれを見逃さず、すぐさま銃を構えるダニーの腕を払い、銃を落とす。

そのまま肉弾戦でダニーに猛攻を仕掛けていくアンドリュー。



「うっ…!」



アンドリューの戦略にまんまとはめられたダニーはアンドリューの猛攻を防ぎきれずに受け続ける。


殴られ続けている中で、ダニーはかつてのアンドリューやストレンジャーとの思い出が脳裏に浮かぶ。






「おい、お前名前は?」




初めてアンドリューあいつと出会った日………




「はい、ダニー。次はアンドリューに勝てるといいね。」




いつも俺や他の仲間を気遣ってくれるエヴァ……




「また足が止まってますよ。」




いつまで経ってもアドルフさんあのひとに一発も当てられずに叩きのめされる日々……




「ねーね!ダニーもサイバーインプラントしてみない??」




毎度毎度、したくもないサイバーインプラントを誘ってくるソフィアさん……




「潜入のコツ?ダニーくんはすでに得意な方じゃないかな。」




俺の気持ちを汲んでアドルフさんに潜入の役割を頼んでくれたオルガさん……




「お前は射撃の腕がいいから、これやるよ。」




モーリスさんにいただいた今も愛用している銃……




「ねーねー!ダニーさんも座りましょーよー!」




自分の横幅で座る場所を埋め尽くしているのにも関わらず俺に座るように言ってくるリアム……




「ありがとう…ダニー、お前のおかげだ。」




普段は無愛想なのに実は誰よりも俺やみんなを認め信頼してくれたへーロスさんおれのあこがれ……






アンドリューの猛攻の勢いが止まる。


その理由は、自身の目の前のダニーかぞくが涙を流していたからだった。



壁に打ち付けられたダニーはアンドリューに自分の秘め続けていた想いを言葉にする。



「俺も……わからないんだ………。」



それはダニーの心からの本心。


これまで苦楽を共にしてきた家族を裏切り、恩人のいる政府側についたダニー。


そこで彼はへーロスやアドルフの経歴や過去を知り、ストレンジャーの闇を見た。


そして同時にダニーは政府の闇までも目の当たりにした。


二つの闇を知ったダニーにはすでに何が正義で何が自分にとって正しいことなのかを見失っていたのだった。


だからこそ自分が求めた答えにたどり着くためにあらゆることに徹底して任務を取り組むようにした。

しかし、その先に見えたものは両者のさらに深い闇ばかり。


ダニーは涙とともにこぼした本音をアンドリューに伝えた。


それを聞いたアンドリューはダニーにあるものを渡す。


ダニーは”それ”を受け取りかつてアンドリューとのとある会話を思い出した。






「”それ”は俺たちの繋がりを表すものだ!!無くすなよ!ダニー!」






ダニーは、ストレンジャーから離れる際に置いていったアンドリューにもらったネックレスを渡される。



「勝手に泣いてんじゃねぇよ、お前てめぇの生き方はお前てめぇが決めんだよ……!」



そう言い、アンドリューはその場を後にする。


しばらくして、一人取り残されたダニーのもとにイヴリンが現われる。



「ダニー!その傷、平気!?」



心身共に疲弊したダニーに肩を貸すイヴリン。

イヴリンの肩に回したダニーの手には先ほどのネックレスがしっかり握られている。


それに気が付いたイヴリンはダニーに聞く。



「それで……揺らいだ気持ちは、どうなった……?」


「………。」


「…そう…。」



沈黙を貫くダニーの気持ちを汲んだイヴリンはそれ以上詮索しなかった。


ただイヴリンは心の中でこのとき誓った。


ダニーの決断がどうであろうと自分はパートナーとして、同じ組織の隊員として、


そして……


愛する者として彼との繋がりを守り、ダニーに付いて行くと。



場面変わり、”アルハンブラコーポレート”のB棟に侵入したアドルフはDTPを用いてリアムと周囲の状況を共有していた。



「なるほど、ここはインプラントの研究を担うフロア…ということですね。」



アドルフはオルガと連絡が途切れた要因はオルガが何者かに殺害されたことよりも何かしらの影響で偶然DTPを切断されたと見ていた。


となるとそのような最新技術があるような箇所は研究施設や開発施設などにしか存在しない、つまりオルガはそのような場所に向かっている道中で連絡が途切れたと考えた。


実際にアドルフの読みは正しかった。


今現在アドルフがいる階にてちょうどリアムとの連絡が途切れ、5階上の階にてオルガはヴェロニカと戦闘を開始している。

しかし、アドルフはそれ以外にもこのフロアの違和感に気が付いていた。



「(静かすぎる…)」



そう、今いるフロアは研究施設。

本来ならば研究員がいるフロアだがいくら自分達、侵入者が入り避難警報が出たにしては人の気配がなさ過ぎたのだ。


まるであたかもここには人はいませんと誘っているかのように…。


するとアドルフの周囲に高速で接近してくる複数の影が出現する。



「(これは………)」



その影黒い布に口元を隠した人物の集団だった。

彼らはアドルフを囲み全方位一斉に攻撃を仕掛ける。




だが、




「なっ……!!」



アドルフの目の前で全員の動きが止まる。

そしてアドルフは黒い革製の手袋をつけた自身の左手を軽く振る。


すると動きが止まっていた者達が一斉に血を吹き出す。

アドルフは自身の周囲に鋼線を張り巡らし襲撃者の攻撃を防いだのだった。


そしてアドルフは襲撃した者の動きから見て敵の正体を特定した。



E.R.A.イレイS.E.Rザーですか…。」



政府直属の組織には大きく分けて3つの組織が存在する。


H.U.N.ハンT.E.Rター


O.Sオーバーショック特殊部隊


E.R.A.イレイS.E.Rザー


そのうち、E.R.A.イレイS.E.Rザーは暗殺のみを任務とした組織で、政府公認の組織でも知る者はごく僅かであり、政府上層部や大企業の大物などの命でのみ行動する。


構成員のほとんどが不明であり、他の政府直属組織よりも特殊な立場である。


アドルフはかつて自身もこのE.R.A.イレイS.E.Rザーで隊長を務めていた。

そして自身に暗殺術をたたき込んだ師とも言える人物もまたこの組織の隊長を務めていた。



「(クリス……彼がここにいる……)」



そう確信したアドルフはフロアの探索を続ける。

度々E.R.A.イレイS.E.Rザーの暗殺者が襲いかかるもかつては隊長であったアドルフには手も足も及ばなかった。


先ほどいた階よりも2階上に上がったアドルフは下の階で倒したE.R.A.イレイS.E.Rザーのメンバーよりも少ない数を相手にしていた。


本来ならば、数が少なくなったことで相手側が追い詰められてると判断するのが妥当だが、アドルフは異変に気が付く。



「……!!」



突如、E.R.A.イレイS.E.Rザーの隊員ごと鋼線がアドルフにめがけて射出される。


それを間一髪で躱すアドルフ。


胴体が両断された隊員の向こう側でこちらに歩き続ける中年の男が一人。



「久しぶりだなぁ、アドルフ。」


「……クリス…!!」



珍しく感情的な表情を見せるアドルフ。


対するクリスは笑みを浮かべながらアドルフに向かってさらに攻撃を繰り出していく。


アドルフが用いる鋼線術は自身の手に装備させた鋼線を操り攻防一体の陣を作り出す。

対するクリスは銃のように鋼線を射出し、それを上手く利用して立体的な攻撃や移動をする戦法をとる。



二人は互いの癖を見抜いた無駄のない攻撃を繰り出していく。

クリスの放った鋼線をアドルフがつかみ、攻撃を防ぐ。



「お、ちょっとは成長したかぁ?アドルフ!!(俺の鋼線を握っても千切れねぇ…強化系バイオインプラントか)」


「………。あんたと話している暇はない…!」



クリス・Aアルヴァ・ウィザースプーン。

政府公認の暗殺部隊E.R.A.イレイS.E.Rザーの隊長にして、アドルフの師。



政府が保持する最高戦力である。



アドルフはクリスとの戦闘を行う中で自分とクリスとの出会いを思い返していた。






アドルフは自身の両親を知らない。


物心ついた時から1人で生活をしていた。

生まれついて1人で生き残る術を身に着けていたのだ。


そんな彼が8歳のとき、ある男に出会う。



「おい、ガキ。名前は……?」



それこそがクリスであった。


クリスはすでに政府のもとでE.R.A.イレイS.E.Rザーとして暗殺の仕事を受けていた。


そんな男がなんの気まぐれか、身寄りのない少年を引き取り自分の持ちうる技術をすべて叩き込んだ。


だが、アドルフはそんなクリスに恩などは一切持ち合わせていなかった。




それもそのはず……




「おいおい~、足が止まってるぞぉ~?クソガキ!」



クリスはアドルフに容赦がなかった。


殺される寸前まで追い詰められる日々。


常人なら精神的に耐えられないほどの訓練の日々。


しかし、アドルフは12年もの時をクリスとともに暮らしていくうち、これまで自分になかった情を抱く。




それは”愛情”であった。




これまでアドルフにはなかったもの。

それをアドルフはクリスに半殺しにされ死にかけようとも多少は感じていた。


そんなアドルフもE.R.A.イレイS.E.Rザーの隊長として任務を遂行する身となったある日。


アドルフはヘーロスと出会い、政府のやり方に疑問を抱くようになる。

そしてクリスにE.R.A.イレイS.E.Rザーから抜けることを伝えた。


だが、その答えをクリスは行動で示した。


アドルフはなんとかヘーロスとソフィアの助けによってその場から逃げることができたが、アドルフは心の中で落胆した。


これまで自分が半殺しになるまで自身の技術を叩き込んだクリス。

そんな彼でも父親のように想い始めていたアドルフは認めてもらいたかったのだ。




自分が新たな道に進むことを。






クリスの蹴りがアドルフに入り壁を破壊し飛ばされる。



「……くっ……!」



口から吐血をするアドルフ。



「久しぶりだろ、血を吐くことなんざ。」


「…たしかに…あの日以来…ですね…。」


「お前が俺のもとを去った日か…。あの時みたいに半殺しにされたくはないだろ?」


「えぇ…そうですね…。」



クリスは鋼線をアドルフに向けて放とうとする。


するとアドルフは自身の鋼線を巻き付けた機材をクリスの正面と死角から投げつける。


正面からの攻撃は自身の鋼線で破壊し、死角からきた攻撃を避けたクリスだったが、避けた先にあったのは爆発性のある機材。


そこにアドルフの投げた機材がぶつかり…



「!!!」



大きな爆発がクリスの目の前で起こり、クリスは部屋から投げ出される。



「あの日も同じ手で私を……逃がしましたね……」



そのままアドルフはオルガがいるもとへ急ぐ。



そして施設のとある部屋で戦闘を繰り広げていたオルガとヴェロニカの対決にも終わりが見えてきていた。


互いに満身創痍の状態で対峙する二人。



「くっそ……!!思った以上にしつこいな!!!」


「はぁ…はぁ…」



ヴェロニカは最新のサイバーインプラントを駆使して挑むも、オルガは再生系バイオインプラントを施していた。

再生系バイオインプラントによる恩恵であらゆる自身の傷は細胞分裂を活性化させ再生することができる。


対するヴェロニカは高火力な装備を保持していても所詮は消耗品。

長期戦に長けたオルガによって自身が持つ装備も消費されていた。



「奥の手、使うか。」


「!?(まだ、装備を持っているの…!)」



ヴェロニカは自身の右胸部から右腕にかけて大きく変形させていく。

それは戦車の砲台にも似た形状をしていた。


それを見たオルガはいまの疲労状態でこの攻撃をかわすことは不可能、それおろか再生系バイオインプラントを用いても身体の修復が間に合わないとすぐに察した。



「(これはまずい……!)」



ヴェロニカが攻撃を放とうとした瞬間、ヴェロニカの背後の壁が切り刻まれる。


その中から姿を現したのはアドルフだった。


アドルフはすぐにヴェロニカの砲台と化した腕に鋼線を巻き付け破壊し、それと同時にヴェロニカの両足も切断していく。



「くっ……そ!!!」



砲台が破壊されたことでヴェロニカの右半身が爆破する。



「アドルフくん!」


「急いでください、オルガさん。」



その隙にアドルフはオルガを連れ、部屋の外へ出る。

道中アンドリューと合流したアドルフはそのまま”アルハンブラコーポレート”の外への脱出に成功する。


しかし、”アルハンブラコーポレート”の警備兵が現れ万事休すかに思われたが……



「ストレンジャー!!はやく乗るんだ!!」



「ってかんじかな。」



先ほどの場面に戻りリアムがハイド達にアドルフたちの状況を伝えた。

ガーディアンズに助けられたストレンジャーはガーディアンズの基地に向かうことになった。



その頃、”アルハンブラコーポレート”ではアドルフの攻撃によって爆発を受けたクリスの前に|E.R.A.イレイS.E.Rザーの女性隊員が立つ。



「隊長、お怪我は?」


「これがないように見えるか?バカ。」



負傷しているも平然と立ち上がるクリス。



「まんまと逃げられましたね。それも前回と同じ戦略で…。」


「あぁ、あいつならそんなことはしねぇと思った隙をつかれた……。”アドルフ・Aアルヴァ・ヴァルデンストレーム”はそういう男だ。」



繋がりを絶った者、繋がり続ける者…。

読んでいただきありがとうございました。

互いの想いの中、繋がりを断ち切られた者、断ち切った者の心境が明らかになりましたね。

レヴァリィ世界篇と比べて現実世界篇ではなるべく人間関係の細かな描写に重きを置いているので、これからもそういった描写が登場します!

次回8話をお楽しみに!

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