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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第2章 ~アポカリプス計画~

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4話「社会の闇」

光を知れば、


それを覆う闇を知る。


闇を知れば、


さらなる闇を知る。

あれから2日後、任務の準備を整えたストレンジャーのメンバーは各自、自身の任務を遂行すべく行動を開始する。

アドルフ、オルガ、アンドリューの3人は”アルハンブラコーポレート”内部への潜入、ハイド、モーリス、ソフィアの3人はボーンクラッシャーズの拠点支部で企業に関する情報入手のために動きだす。


あらかじめソフィアは複数あるボーンクラッシャーズの拠点うち、これまでに企業関連の人物との密会を行っていたメンバーがいる拠点支部を3つに特定していた。


ハイド達はそのうち1つ目の拠点支部に到着する。



「さぁ!ついたよーここがまず1つ目の拠点だね。」


「(こーゆー仕事はソフィアさん早いんだよな…)」



ハイドは内心普段の言動からは想像のつかないソフィアの仕事の速さに関心していた。そこでハイドはソフィアからあるものを受け取る。


それは衣装のようなものだったが、見る位置を変えるたびに色が変わる不思議な代物だった。それにタイツのように薄い素材でできていた。



「なんですか?これ」


「これはバイオウェアというのさ!」



人類は技術の発展をすべて機械に費やしていたわけではなかった。


生命工学を駆使して発明された人類技術の結晶、バイオインプラント。


それはサイバーインプラントと異なり術後のリスクが極めて少なく、移植した直後に身体に馴染むので即座な利用が可能となり細胞の老化を抑えつつ活性化が期待できる。

ただし、非常に高価なうえにサイバーインプラントのような武装を目的として作られていないため今の時世ではサイバーインプラントの方が主流となってしまっていた。


そしてこのバイオインプラントの派生として誕生したのが、バイオウェアであった。


使い切りの代物だが、バイオインプラントを施してもいなくても使用でき、生命工学に基づいた外見の変化や光学迷彩を用いた透明化など幅広い応用が期待できる。



「ハイドには今回モーリスと潜入してもらうから光学迷彩搭載のバイオウェアを着てもらうよ。これ、手に入れるの大変だったんだよ?」


「わかりましたけど、モーリスさんの分は…」


「俺は問題ない。」



そうモーリスが言うと、モーリスはリアムに連絡を取る。


ハイドは不思議に思った。数ヵ月前にも同じようなことがあったが、ハイドはこの現実世界で目覚めてから電話というものを知った。


離れていても相手とやり取りが可能な非常に便利な代物だ。

だが、モーリスとリアムのやり取りはその電話というものを使用しないで通話をしていた。


不思議がるハイドを見たソフィアはハイドの疑問に答えて見せた。



「あーこれはリアムの開発したシステムだよ。」



リアムは世界でも指折りのハッカーでもあり、プログラマーでもあった。

そんなリアムはとあるストレンジャーしか知られていない技術を開発した。


その名もB.H技術ブリーチホライゾンオペレーション


その効果は施された者が持つあらゆる情報や事象に境界を敷き区別する。

これにより自身の記憶の識別によって正確に記憶を管理したり、あらゆる行動において無駄な動作を遮断するといったことが可能であった。


なにより最大の特徴は、効果は持続しないがサイバーインプラントを施していない者にも適応可能という点だった。

さらにサイバーインプラントを施していれば、さらに様々な効果が搭載できる。


モーリスがケリーを追っていた際に用いた自動照準、人物スキャン、目標の最短経路の把握はすべてこの技術の恩恵である。


そしてリアムはこの技術を施している者にのみ適応可能な送信システム、DTPと呼ばれるシステムによってストレンジャーのメンバーと常に連絡を取ることが可能となっているのだった。



「なるほど…どうりで。」


「ハイドにもすでに施してるよー。」


「え…?その声はリアム!?」



ハイドが現実世界で目が覚めるまでの間、実はリアムはハイドにB.H技術ブリーチホライゾンオペレーションとDTPを施しており、常に拠点にいるリアムたちと連絡が可能となっていた。


モーリスもリアムに光学迷彩をサイバーインプラントとして搭載され、ハイドと二人でボーンクラッシャーズの拠点支部に潜入することとなった。



「あ、あのー、モーリスさん…」


「黙って付いてこい。」



モーリスはハイドに対して冷たい対応をする。

ハイドはこの拠点支部に向かう道中でのモーリスとの会話を思い出す。



「あの…モーリスさん…この前は…任務に加えてくれるようアドルフさんに頼んでくれてありがとうございます…!」



ハイドはこの任務を行う2日前にアドルフの指示でエヴァ、リアムと共に待機命令だった。しかし、モーリスによって任務に加えられたことに感謝を述べた。



「勘違いするな、俺は他と違ってまだお前の実力を認めたわけじゃねぇ。せいぜい足引っ張んじゃねぇぞ。」


「は、はい…」



ハイドはストレンジャーに加わって2ヵ月の時が経過したが、いまだモーリスとはあまり接する機会が少なく、少し緊張した様子だった。

しかし、任務は任務。ハイドは懸命にモーリスに付いていく。

そして外部でソフィアの指示を受けながら二人はボーンクラッシャーズのメンバーを避けつつ、拠点支部を取り締まる幹部の部屋にたどり着く。



「なにかあった?」



ソフィアがハイド達に尋ねる。



「これといったものは特にないな。」


「こっちもです。」



二人は幹部の部屋にある書類等を隅々まで調べるも、これといった企業と繋がりを裏付けるものはなかった。

だが、元ボーンクラッシャーズのリーダーだったモーリスは少し気になるものを見つける。


それは現ボーンクラッシャーズのリーダーのケリーが幹部に送ったメールの内容だった。

そこには企業の取引で入手した品を自身のいる拠点支部に運ぶための内容が記されていた。



「もしかしたらケリーあいつの拠点には何かあるかもしれん。」



モーリスは1ヵ月前にケリーと企業の密会を邪魔した際に入手した品をソフィアに解析してもらっていた。


その品はサイバーインプラントの一部だったが、市販では売られていないような非常に珍しいインプラントだった。

当初は高価なサイバーインプラントを交換に企業側に有益な情報や行動を行っていたと思われていたが、モーリスはいくらケリーでも企業と敵対する側の組織である以上、そんな取引を行うことに違和感を感じていた。


3人は次の場所、ケリーがいると思われる拠点支部に向かうのだった。



その頃、アドルフたちは”アルハンブラコーポレート”の向かい側にあるビルの屋上で内部を観察していた。



「かなり警備が厳重ですよ、アドルフさん。」


「えぇ、なので私たちは警備が手薄になった夜に動きます。その間はオルガさんに任せます。」



アドルフとオルガはストレンジャーの中でも企業のスパイとして様々な企業に潜伏している。


特にオルガはバイオインプラント開発企業の”シュレディンガーエンタープライズ”の社員として潜入していた。そのため”アルハンブラコーポレート”に容易に侵入が可能だった。


アドルフの作戦では日中はオルガに内部を偵察、日が暮れると同時に自身とアンドリューが潜入しオルガと合流しつつ、情報を入手するという作戦だ。


オルガは”シュレディンガーエンタープライズ”と”アルハンブラコーポレート”の両関係の向上にために”アルハンブラコーポレート”の責任者と会談するという名目で企業内部に入った。


オルガが”アルハンブラコーポレート”の会談室まで社員に導かれる道中、内部の隅々を観察する。  



「(ほとんどの社員がサイバーインプラントを施している…)」



それはすなわち、いざとなれば全員が戦闘可能という意味でもあった。


それは

警備が手薄となる夜に潜入しても警戒すべき理由となった。

オルガは社員に案内された会談室に入る。そこにはこの”アルハンブラコーポレート”の責任者の1人でもある女性、ララ・Jジーン・アルハンブラがおり、オルガに早速挨拶をする。



「本日はどうもこの”アルハンブラコーポレート”にいらしていただき光栄ですわ。」


「こちらこそ、我が社との関係向上のために今回このようなお時間を設けていただきありがとうございます。」



二人は挨拶を交わした後、数十分間企業に関する話をした。

オルガはララと会話を交えながらあらかじめ入手していた彼女の情報を振り返る。


ララ・Jジーン・アルハンブラ、若くして”アルハンブラコーポレート”を先代の父親から姉妹2人で受け持ち、妹のララは主に他企業との対談、交易関連にいたる全てを1人で担っている。


はっきり言って企業としては非常に優秀な人物だが、それ以外の素性がいくら調べても不明な点からアドルフには警戒すべき人物の1人でもあるとされていた。



「それでは”シュレディンガーエンタープライズ”様にはまだ開発段階ですが、我が社の最新技術をお見せしましょう。」



そう言ってララはオルガを開発部へ案内した。



「!?」



するとアドルフはすぐさま異変に気が付く。

突如オルガとの連絡が途絶えったのだ。


リアムの考案したDTPは通常の連絡手段として用いる回線は使用しない。

対象の脳内で発せられる脳波をもとに信号を送るのだ。


ゆえに通信が途絶えることは相手側が死亡したのみなのだが、突如オルガから連絡が途絶えた。


先ほどまでの音声から考えるにオルガがおそこで死亡したとは考えにくい。

アドルフは企業内部にあるなにかしらの影響で通信が途絶えたと考えた。



「アンドリュー、予定を繰り上げます。今から1時間、オルガさんと連絡が繋がらない場合、”潜入”ではなく、”突撃”を開始します。」



2人はいつでも行動が可能となるようにバイオウェアを装着し準備に取り掛かる。



場面は変わり、以前使用されていたストレンジャーの拠点で手がかりを探し終えたダニーとイヴリンは「H.U.N.ハンT.E.Rター」本部に向かっていた。


そこで「H.U.N.ハンT.E.Rター」の隊長であるヴィヴィアン・Cセルマ・シュレディンガーに報告をする。



「それで、何か手がかりは見つけたか?」


「いえ…これといったものは何も。ですが…」



ダニーは自身がストレンジャーに所属していた頃にも何度も他の反政府組織と抗争を繰り返していたことはあった。

しかし、今回はそのような理由でボーンクラッシャーズとぶつかったわけではないとダニーは思っていた。


それ聞いたヴィヴィアンはダニーにこう言った。



「ダニー、今回の件はこれで終了だ。これ以上捜査を続ける必要はない。引き続きストレンジャーの拠点を探すんだ。」


「…!?……隊長…何を隠しているんですか…。」


「………。」



ダニーの鋭い発言に対し、ヴィヴィアンは立ち上がり自分の部屋の扉を閉め、ダニーにこう言うのだった。



「ボーンクラッシャーズは我々政府すなわち企業と手を結ぶことを決めた。その見返りに我々の障害となるものを排除してもらう条件でな。」


「……なっ…!?」



現代では政府と企業は以前よりも非常に密接な関係にある。政府は企業を支配し、企業は政府を支配する社会となった。


そんな政府に反旗を翻し犯罪組織を含めた多くの組織が誕生した。


ボーンクラッシャーズやストレンジャーもそのうちのひとつだ。

そんな組織に政府が手を差し伸べたことがダニーにとっては信じられなかった。


しかしダニーが驚いたのはそんな理由じゃない。


反政府組織のボーンクラッシャーズがいくら自分の保身のためでも政府の犬になるとは到底考えられなかったのだ。



企業と政府、企業とボーンクラッシャーズとの関係とは……

読んでいただきありがとうございました。

政治や企業の話が絡んだややこしい内容ですが、ここから本格的に物語が展開されていきます!


次回5話をお楽しみに!

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