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ハイド  作者: じょじょ
ハイド 第2章 ~アポカリプス計画~

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1話「Code-χ」

享受せし者は、


夢を語る…

目の前に広がる光景……。

それはハイドがこれまでに見てきた世界とはまるで異なるものだった。

見るもの全てが初めて見るものばかり。この部屋も、この金属なのに透明で向こうの景色が見える物体も、そして、その物体から見える景色全てが……


ハイドが生まれて初めてみるものだった。


それを見たアンドリューがハイドの疑問に答えた。



「その透明な壁は"機械”っていうのさ!」


「……。」


「ここまでの経緯を覚えてるか?」



ハイドは自分の記憶を振り返る。


ハイドとアローラ率いる聖騎士団のメンバーと流浪人のアンドリューとリアムは特級テロスとの戦闘中だった。

その戦闘でハイドとリアム、アンドリューはある部屋で奇妙な白骨遺体を見つけ、そこから世界の真相をリアムから聞くことになった。



この世界は現実ではないと。



そして遺体が身につけていた秘宝、超越せし指輪アポクリプシを身につけ意識が遠のき目が覚めたらこの場にいた。



「ここが…本当の世界……。」


「信じられない…って顔だな!」



アンドリューはハイドに服を渡し、この世界について説明する。



今から数百年前、突如謎の金属生命体が現われた。


彼らの目的は自らの進化アップグレード

そのために彼らはこれまでの人類のデータを学習すべくある一定数の人間の脳を要求した。

しかし、そんな無謀な要求に答えるほど人類も愚かではない。

幾度も彼らと平和的に交渉を試みた人類だったが、相手は各国の首脳でもなく、犯罪者でもない。


機械なのである。


思考も人間とは異なる。


数十年の間交渉を試みた人類側だったが、ついに機械生命体側と決裂し、激しい戦争となった。


機械生命体は未知の機械兵器や技術を駆使してこちらに挑んだ。

だが、人類も長い歴史のなかで機械という概念はすでに確立しており、人類は日本以外と同盟を結び機械生命体に挑んだのだった。


その戦争は約20年にも及び、ただいな犠牲をはらい人類側の勝利となった……



「と思われていた。」


「どういうことですか?」



ハイドはアンドリューに聞いたこれまでの人類の歴史を聞いたものの、アンドリューの最後の発言に食いついた。



「それは嘘だったんだよ。」



2人の会話に入ってきた人物の名前はソフィア・ガーネット。

茶髪のショートヘアに眼鏡を額に上げている童顔な見た目の女性だ。



「ソフィア!REVERIEレヴァリィの接続処理は済んだのか?」


「もちろん!ばっちりさ!」


「(この2人の関係から見るにこのソフィアっていう女性もアンドリューさんやリアムの仲間なのか…。…あれ…?…この人、身体が……)」



ハイドはソフィアの身体の違和感に気が付く。

彼女はどうみても人間だ。しかし、その一部はまるで先ほど言っていたような金属生命体のような金属…らしきもので作られていることを。

そんなハイドの視線に気が付いたソフィアは口を開く。



「ん?あーこれか!たしかに君の世界にはなかったから初めて見るものだよね!」


「これは……」


「これは機械を身体に移植したのさ!それをこの現実世界では”サイバーインプラント”と言うのさ。」


「サ…サイ…何ですか…?」



慣れない言葉に困惑を隠しきれていないハイドにソフィアは先ほどのアンドリューの会話の続きを説明する。



公には20年もの機械生命体との戦争により人類は勝利し、生き残った機械生命体は人類側に降伏…


人類との干渉は避けることを条件にある一部の地域を居住として提供されて暮らしている…


そして人類は戦争に勝った際に機械生命体から奪ったいくつかの技術を駆使してさらなる文明の発展が可能となり、その時代の流れに生まれた技術が先ほどのサイバーインプラントのような機械の技術…


とされていた。


ソフィアは幼い頃から探究心が豊富にあった。

その探究心はソフィアが成長するにつれ大きくなっていき、ソフィアはある日、政府の機密情報の一部を意図せず触れてしまう。

そこに記されていたのは、人類側の勝利でも機械生命体側の勝利でもない…


両者との永久的に行われる協定に関する内容だった。




<機械生命体側は人類側の文明発展のため自身の持つ機械技術の提供を、そして人類側は機械生命体側に一定数の人間を含めた動物を提供する>



そう、つまり人類は勝利などしていなかったのだ。


政府は機械生命体と秘密裏に協定を結び、人類の繁栄を機械生命体に協力してもらっていたのだ。

自身にも施されているサイバーインプラントの技術も人類が編み出したわけでもなく、機械生命体から提供された技術のひとつだということが判明した。

衝撃的な事実を目にしたソフィアたちはただちに政府に追われる身となった。

そしてソフィアたちは機械生命体が人類側から提供された人間などの動物がある”装置”に利用されていることを突き止める。



仮想拡張装置REVERIEレヴァリィ



機械生命体が人類の脳にある情報、すなわち人間特有の思考や発想などを学習する目的で生み出された装置。

装置には機械生命体側と人類側が協定を結んだ際に送り込まれた人間が接続されており、接続された人間は仮想空間にて生活を行う。



この装置の存在を知ったへーロスは自分たちと同じ思想を持つ7人の仲間を集い、”ストレンジャー”という組織を名乗り政府の陰謀を阻止するため、REVERIEレヴァリィに接続された人たちを解放するために活動を行っている。



「というわけ!」


「なる…ほど…」


「まぁ…まだ信じられねぇよな。」



ハイドからすれば目が覚めたらいきなり世界が変わっていて、大量の知識を詰め込まれている状態…


到底二つ返事で理解ができるような内容ではなかった。



「ま、しばらくは一緒に過ごすわけだからよろしくね!とりあえず下の階にリアムいるから行こうか!」


「リアムいるんですか!」



ハイドはソフィアに案内されるままにリアムのもとに向かう。

同い年でありながら何度もレヴァリィ世界では窮地を救ってくれたリアム。

ハイドは下の階に降りてソフィアに案内された部屋の扉を開けようとする。

するとソフィアがハイドに向かって言った。



「びっくりするかもしれないけど、引いたりしないであげてね。」



ソフィアの言っている意味がハイドにはよくわからなかったが、ハイドはそのまま扉を開ける。

そこにはとてつもなく大きく肥え太った青年が座っていた。

グラ大国にいたジュディ王女も非常に大きな体型をしていたが、それ以上の体型。

だが、よく見るとその人物の顔はハイドの見覚えのある顔だった。



「リアム!?」


「ハ、ハイド!」



やはりこの肥え太った人物はリアムだった。どこもかしこも贅肉に覆われ、服の生地を限界にまで引き延ばしている。

特に男性にしては下半身に肉がついているのか座っていると2人分以上のスペースをとっているように見える。

そんな体型でも顔は原型が分かる程度の肉しかついておらず、顔だけ見たらすぐにリアムと判断できた。



「び、びっくりしたよね…僕…これが本当の姿なんだ…」


「リアム…」



ハイドはゆっくりとリアムに近づく。

そんなハイドに目を泳がせているリアムだったが、ハイドはリアムに思いっきり飛びつく。



「ちょ…!?…ちょっとハイド!?」


「リアムめっちゃふかふかじゃん!!」



ハイドは生粋の弾力のあるものには目がなかった。

レヴァリィ世界ではカニスを抱いていたが、その対象が現実世界ではリアムに向いたのだ。



「心配していたけど全然大丈夫だったね。」



そうリアムに優しく声をかけた女性の名前はエヴァ・クリコフ。

ソフィア同様にハイドが初めて見る人物だ。一束に結んでいる緑色の髪が目を奪う。



「はじめましてハイドくん。私はエヴァ・クリコフ。リアムやそこにいるアンドリューと同じで実は私もレヴァリィ世界で流浪人として活動してるんだ。」


「あ、どうも初めまして…(ソフィアさんなんかより全然しっかりしてるし、優しそう…)」



ハイドはリアムの身体を弄りながらエヴァに見入ってしまう。

するとアンドリューがハイドとエヴァの間に入る。



「見過ぎだ、ハイド!」


「あ…!…すみません…!」


「別に初対面なんだからいいよ」



ハイドに注意を促したアンドリューを見て笑うエヴァ。

その2人の関係を見て少し違和感を感じたハイドだったが、それを察したリアムがハイドの耳元で囁く。



「(アンドリューさんとエヴァさんは付き合ってるんだよ…)」


「あ…!…あーなるほど……」


「ま!じゃこれで揃ったわけだしはじめるよ!」


「はい?」



どうやらハイドが目が覚めたらソフィアが試したいことがあるようだった。

試したいこととはハイドの夢の内容の解析だった。



ハイドがこれまで頻繁に見ていた夢、内容は思い出せなくとも必ず夢には「Code-ωオメガ」という文字が見えた。

そしてこの”Code”が「ストレンジャー」が求めているデータだったのだ。

ハイドはレヴァリィ世界で自分が見る夢に映し出される「Code-ωオメガ」以外にもクヴィディタス大国にある古城跡にあった白骨遺体のそばに書かれた「Code-µミュー」と「Code-νニュー」を知っている。


つまりこの”Code”と呼ばれるものは複数存在するものだとハイドでも理解できていた。


ハイドはソフィアに奥の部屋に案内される。

エヴァとリアムも同行するが、リアムは極度の肥満体型なため歩くことすら大変そうだった。

ハイドはリアムの歩く速度に合わせて奥の部屋に向かう。



「ごめんね…僕が遅いから…」


「別に平気だよ!俺も目が覚めたばかりでそんなに早く行動できないし。」


「さ、ついたよ!ハイドはここに座ってね。リアムー、配置についてー」



奥の部屋についたハイドはソフィアに指示された椅子に座った。

その椅子にはたくさんの配線が繋がれており、その配線の先にソフィアとリアムが座る席があった。

ソフィアはこれからハイドを強制的に眠らせ夢を誘発させ、その夢を映像化させリアムと2人で解析するとハイドに説明した。



「え?リアムそんなことできるのか?」


「リアムは天才ハッカーなんだよ。」



本来、レヴァリィ世界に入り込むためには直接、機械生命体の所持しているREVERIEレヴァリィに繋ぎ侵入する必要がある。

だが、それをリアムは遠隔でハッキングに成功し、離れた場所からでもレヴァリィ世界に入り込めるようになったのだ。

しかし、それには数多のセキュリティを潜らなければならず、長時間居続けるとREVERIEレヴァリィとのリンクを一度失う可能性がある。

そうすると肉体と精神が分離してしまい、現実世界の本体は昏睡状態となってしまう。


まさに今のへーロスがその状態だ。


そのリスクを避けるためにリアムやアンドリューたちは定期的に現実世界に戻る必要があったのだ。



「なるほど…だからあのとき時間がないっていってたのか…。」



ハイドは今一度、この場が現実世界であることに実感を持つ。



「じゃおやすみなさーい!」


「え?も、もう!?」



意識が遠のいていくハイド……






「Code-χカイ」…


その文字のあとに表われる光景。


それは戦いのあとか何かなのか?


ひどく崩壊している町並み。


すると目の前に瀕死の男が倒れてる。


どこで見たことあるような…ないような…


その男に向かってこう放った。



「お前は俺の……」




意識が遠のく………




「はっ…!!」


「大丈夫?」



目を覚ますハイド。

ハイドからするとわずか数秒の出来事のような感覚。だが、不思議なことにその内容はやはりうまく思い出せない。

ある人物を見たような気がするが、それが誰だったのか、そもそも顔すら思い出せない。

そんなハイドの様子など気にもとめずソフィアが興奮気味に語り出す。



すごいよぉ!!


これが君の見た夢!


リアム達から聞いた「Code-ωオメガ」とは”Code”が異なるものだったけど、これは実に興味深いものだよ!!!


一体いつの記録なんだ?


過去?未来?


それとも今現在で別の場所で起きていることとか!?


いやー考えれば考えるほど興味が湧くよ~!!!


まだデータが足りないとはいえ、他にもデータが収集できるならこれは科学や理論を超えた想像を超えるような体験が待っていそうだ~!!!


そもそも君はレヴァリィ世界では超越せし指輪アポクリプシを身につけて目覚めたわけだけど、もし仮に目覚めるなら装置に繋がれた場所で目覚めるはず!!


なのに!!


君は突如ここに現われた!!


座標も何も送っていないのにだ!


実体はしっかりあるけど何もない場所に物体は発生しない!!


もっと物理法則を超えた量子的な…



「ちょ!ちょっとちょっと!興奮しすぎだよ!ソフィア!」


「あー済まない~つい取り乱した~!」


「何もないところから……現われた……?」



ハイドはソフィアが興奮気味に早口調で話した内容の一部に引っかかった。

一同、ハイドのその反応に少し間を空けるが、リアムがハイドに向かって答える。



「うん…。ハイドは急に出現したんだ。まるで魔法みたいに。」



新たに残る疑問…

読んでいただきありがとうございました。

前回の章とまるで異なる世界での出来事に主人公のハイドだけでなく読者のみなさんも頭がパンクしかけているかと思います。

しばらくはこちらの世界での出来事が展開されていきます。


慣れるのに大変かもしれませんがみなさんのペースで新たな世界についてきてください!

次回2話をお楽しみに!

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