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「今日がお休みで良かった……!」

私はベッドに張り付く。

昨日学校を早退して、あまりのショックで暫く何も考えられなくて、我に返って泣いてを繰り返して、朝を迎えてしまった。


初めて見る、大好きな人の完全なる拒絶。

思い出すだけでまた泣きそうになる。

しかも、私がやったことじゃないことで嫌われるなんて。

「どうしたら良いんだろう……」

うじうじ悩んでいると、部屋の扉が勢いよく開いた。


「アリス!!」

「うわ、ママ……じゃないお母様!」

「休日だからって、何ぐだぐだしてるのよ」

「だって……」

「だってじゃない!使用人達も、貴方がベッドから出てこなくて困ってるじゃない!」

周りを見渡すと、困ったように眉を下げる使用人達の顔。


「……皆、困ってる?」

使用人達は顔を見合わせた後、恐る恐るといったように頷いた。

「はあ……、分かったよ」

私はのそのそとベッドから起き上がる。

「せっかくの休日なんだから、どこかに出かけてらっしゃい!何か思い出すかもしれないわ」

「ええ〜……」

そう言うとママに睨まれた。

この人本当に貴族?前の世界と同じ剣幕で怒られるんだけど。


今日は何もしたくなかったのに、ママに家を追い出されたので街を見て回ることになった。

ママが一緒に行ってくれるのかと思ったのに、予定があると言われてしまったので護衛の騎士達と、エラと一緒に街に向かう。


初めて学校に行く時はあんなに魅力的だった外の景色も、沈んだ気持ちのままだと色褪せて見える。


ママに好きなものを買って良いと言われたので、スイーツを買ったり雑貨屋を見て回る。

クローゼットの中のドレスは結構派手なものが多かったから、可愛い系でも買おうかなと思いドレスショップの前を通ると、ショーウィンドウに飾ってあるドレスに見覚えがある気がした。


何となく気になってお店に入ってみると、胡散臭い顔のおじさんが近づいてきた。

「いらっしゃいませ、本日はどのようなものをお探しですか?」

そう言いながら、私の装いを上から下まで素早くチェックしたのを私は見逃さなかった。


上客と判断したのか、おじさんはニコニコと話し出す。

「ゆっくりご覧になって下さいませ。有名なデザイナーに作らせたものが沢山ございます」


適当に返事をして店の中を見回すと、他のドレスも見たことがあるようなものが数着あった。

私はその数着を指差す。

「これとこれと、そこにあるのと、ショーウィンドウに飾ってあったドレスは同じデザイナーの物かしら?」

「お嬢様、お目が高いですね!これらは全て同じ有名デザイナーのものです。とても人気があるんですよ」


結局ショーウィンドウに飾ってあったドレスを1着ゲットして、私は店を出た。

ドレスは結構値段が張るが、この世界の私はお金持ちだから問題ない。

だから、性格が悪くなってしまったのかな……


部屋に戻り、今日買ったドレスを眺める。

「とっても可愛い……だけど、やっぱりどこかで見たような気がする」

私は腕組みをしながら部屋の中を歩き回る。

どこかで……どこだろう、この記憶は……


「ああっ!」

思い出した。ていうか、この頭が覚えていた。このドレスも、お店にあった数着も、教室で見たセオのデザイン画と同じものだ!


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