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なんでも屋は暇じゃない  作者: ゆきつき
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四話 初仕事

 もう二度と、情報を調べるのは簡単だとか思わない。

 いや、ダンジョンの新しい階層の到達とかを馬鹿にしてた訳じゃない。既に明かされてる階層の情報ですら、頻繁に更新される。その更新内容は色々あるけど、やっぱり一番はモンスター情報だ。

 大抵の場合、既にマッピングは終わっている。未知の世界を、一から開拓していくのが冒険者の夢だが、いざやれと言われると、それこそやりたくないと思う人が大半だろう。なにせ、どんなモンスターがいるのかもわからければ、その階層の地形なんかもわかっていない。そんな場所を突き進んでいくなんて、自殺志願者とか生き急ぎ野郎だと思う。

 だが、その未知を開拓した者と言うのは、冒険者の最高の名誉を得る事ができる。なにせ、モンスターを恐れなくて済む世界に一歩近づいた事になるのだ。その立役者の一人になる事ができる。


 だが、既に開拓されている場所の、それも低階層のモンスターの情報なんか、それこそ簡単に手に入れれると思ってた。だって、所詮一層とか二層のモンスターってのは、雑魚しかいない。この国のダンジョンは、一層とかでも十分面倒な強さをしてるけど。

 だから、そんな情報ってのは簡単に得られると思ってた。所詮は低い階層のモンスター。いくらこの国のダンジョンのモンスターが、他のダンジョンより強いとは言え、まだ弱い。だから、簡単にいくものだと思ってた。


「やはり、いきなりは早かったですかね。もう少し気にかけておくべきでしたか」

「別に、何もなってないから大丈夫だ」


 そう。別に低階層のモンスターの、それも一匹しかいない相手に、怪我をするなんてあり得ない。あっても、かすり傷とか、致命傷にはならない怪我だ。だから、表面上、怪我は一切負ってない。

 ただ、神経がすり減った。あの追跡していたモンスターに関しては、ずっと見張っていた訳だから、警戒ももちろんしてた。

 ただ、その警戒はあの一匹だけのためにしてたから、他は一切警戒なんてしてなかった。結果として襲われた訳じゃないからよかったが、あの一匹に意識を持っていかれてたせいで、後ろにモンスターがいたとしても気づけなかった。

 それにだ。人型のモンスターを追ってたのは良いが、いつこっちの事を気づいてもおかしくはなかった。ただ気づかれなかっただけで、それこそあいつの仲間を連れてこられてでもしたら、って考えると。今更ながらに寒気がくる。


「まあ、手を出さなかっただけマシですが。おかげで調べたい事を一通り調べれましたし。本当はもう少し具体的な情報まで調べておきたいところですけど、足手纏いを連れてできる事ではないですしね。いったん引き上げますよ」

「お、おう」


 そうなら、最初から連れて来るなと言いたいけど。まあ、実力を把握できないと、これからの扱い方に困るだろうしな。しょうがないだろうけどよ。わかってたなら、テストだけして帰ってもよかったじゃねえか。


「それにしても、君は本当に五階まで行けたのですか?いくら個の力以外が関わっていたとしても、これは、いくらなんでも低レベルすぎませんか?」

「そんな事ねえよ。俺だって、レベルは21ある。そりゃ銀のままだろうが、それでも実力者と言えるレベルだ」

「元、銀冒険者ですよ」

「ああ、そうだよ!剥奪されたから、元だよ!けどそりゃてめえも変わらないだろうが」

「そうですか。君と僕とではレベルが全然違いますが、冒険者資格を剥奪されたと言う点は同じですね」


 こいつ。一回一回煽りを入れないと話を進めれないのかよ。


「まあどうでも良い話ですよ。それより早く行きますよ。階段を如何に早く見つけられるかが鍵になりますからね。でないと、無駄に体力を消費しますからね。いくら低階層だっとしても、モンスター相手に油断などと愚の骨頂。愚か者と同じ目には遭いたくないので」

「ああ、そうかよ」


 とは言っても、いくら場所がわかってると言えど、暗闇を歩くのだけでも十分体力を、気力を持ってかれる。

 そもそも暗闇のせいで、目印にできるような場所が見えない問題がある。平原ってだけでも、十分居場所を惑わされるのに、それが暗闇になれば尚更だ。


「そうそう。階段を見つけるのは簡単ですよ」

「あ?暗闇だから、早く見つけないとって事じゃねえのかよ?」

「君も通ってきたのでしょう?ならわかるはずですが、まあ良いでしょう。一つ上の階層に進めば、太陽があるかと思うレベルに明るいですから。階段がある場所は、少しでしょうが明かりが漏れていますからね。その明かりを見つける事ができれば、そこに階段があると言う事です」

「じゃあなんで急ぐ必要があるんだよ」

「だから言ったでしょう。愚か者と同じ過ちを犯したくないのでね。今は無理をしてまで冒険する機会ではないのでね。余裕がある状態でダンジョンを脱する事ができるのが望ましいのですよ」


 言いたい事はわかるが、そりゃ勿体ないっていうか。そりゃ体力が尽きるまで戦うのは馬鹿だろうが、ギリギリまでモンスターを殺す方が良いだろう。経験値集めにもなるし、少なくとも準備に使った費用を回収できるぐらいにはモンスターを殺さないといけない。いや、それ以上に稼げないと、飯を食う事ができなくなるし、宿なんかで泊る事もできなくなる。

 だから、余力を残したままダンジョンを出るのは、やっぱ勿体ない。毎回毎回命懸けだけど、だからこそ毎回全力で挑むわけだ。





「ああ、ようやく見つけました。えーっと、この辺りは、やはり壁の近くですか。しかも面倒な事に、ダンジョンの入り口の、丁度反対側と来ましたか。はぁー。面倒な事になりましたよ」

「前から聞きたかったが、その階段の位置が変わってるみたいな口振りはなんなんだよ」

「おや?そんな事も知らないので?ええ、本当によく二階以上の階層に行けましたね。それとよく戻ってくる事ができましたよ。どれだけの運を使えば、そうなるので?そちらの方が気になりますよ」

「だから、どうなんだって」

「ええ、変わってるみたい、ではありません。事実として、階段の位置が変わっているのですよ。ダンジョンに意思があるかのように、定期的に階段の位置が変わってます。だからこそ、僕のような時間が無駄にある情報屋が必要になるのですよ」


 階段の位置が変わるって、なんだそりゃ。あり得ねえだろ。ここのダンジョンは色々と特殊だけど、最低でも階層を移るのは、10メートルぐらい階段を上る必要がある。ここは特殊だから、10メートルなんて馬鹿げた長さの階段を上り下りする必要があるが。

 そして階段ってのは、ダンジョンの中で唯一と言えるぐらいの、モンスターが入ってこない安全エリアだ。ここは特殊だから、その辺りの他のダンジョンの常識も通用しないのだろうけどよ。まさか、階段の位置が変わるって、常識はずれも良いところだろ。


「ほら早く行きますよ。僕達が上っている間に消える可能性だってあるのですから」

「そんな危険なのかよ」


 一段目とか、十段目で消えてくれたら、尻餅をつくぐらいで済むだろうけど。半分ぐらい上ってると、骨折とか余裕で出来る高さがある。……急がないと不味いじゃん!

 サブタイトルのネタがね、もう無いのです。こんな序盤から、もう思いつかないのです。


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