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なんでも屋は暇じゃない  作者: ゆきつき
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二十話 昔の事

「それで、君は何を聞きたいのですか?」

「うニャ?ここから昔の話に入る流れじゃニャかったニャ?」


 言いたい事はわかるけど、それ必要か?そんな他人の過去に知りたいか?そもそもこいついが情報をペラペラ喋るとも思えないけど。


「まあ、大体は想像もつきますが。君の集落の事ですかね。それか親の事か」

「エスパーニャのか!?」

「それで、どちらを聞きたいので?ああ、それと。君は興味がないなら帰っても大丈夫ですから」

「あっそ」

「それで、どちらを聞きたいのですか?情報は高くつきますけど」

「うニャニャ」


 なんか話が進んでるけど、そんなスムーズに進んで良い内容なのか、これ。かなり重ための内容じゃねえか?


「じゃあ、ママ達の方ニャ」

「そうですか。集落の方は僕も詳しく知れてないですし、都合が良いと言えますかね。じゃあ、まずはどのあたりから話すべきですかね」


 これ、面倒なところまでいかないうちに、さっさと帰るべきだよな。絶対あれじゃん、重たいじゃん。子供が親の事を聞くとか、もう他人が居て良い場所じゃねえだろ。


「じゃ、先に帰らせてもらうわ」

「そうですか。では次は一週間後ぐらいに顔を出してもらえれば良いですよ」


 まあ、適当にダンジョンにでも潜って、レベリングでもするか。いやまあ、確認できないけど、ちゃんとカウントされてるなら、無駄じゃないんだろうし。




_______________





「まあ簡潔に言えば、ヒューマン達に殺された、と言うのが正確でしょうね。まあ小さい集落如き、一般のヒトが知ってるとも思えないですがね。確か、集落が滅ぼされた時に、とある討伐隊が組まれてましたし、そのヒューマンだけで組まれたメンバーがダンジョンに入った形跡もなかったですし、恐らくヒューマンが滅ぼしたで確定でしょうね」

「そんニャ」

「更に言えば、そこにはヘルシュの親族もいたとかでしてね。まあ僕達も軽くではありますが面識もありましたし、ショックを隠せませんでしたが」


 イルは恐らく、ヒューマンの知り合いより、亜人達の方が知り合いが多い。

 彼はあの性格のせいで、幼い頃からの友人以外のほとんどのヒトから嫌われている。というより、村の住人ですら彼をよく思っていないぐらいだ。逆に仲良くしてるギルドの彼の方こそ異常だと思うが、そこは人望の差だろう。別に悪く思われる事はない。


「色々とありましたよ。ヘルシュが本気でヒューマンを滅ぼそうとしたりだとか、悪ノリのせいでそれが実行段階までもう少しのところまで進んでいたりだとか」

「ニャ?」

「まあ特に、ヘルシュが妹の子供の名づけを手伝うと言うのが一番大変でしたよ。そもそも僕達のパーティーは親なんかとは程遠いですし、またこういった行為にも程遠い。そしてヘルシュはそのセンスがずば抜けてダメでしてね。まあ妹夫婦も大して変わっていなかったので、余計面倒な事になりましたが、ええ」

「それ、何か関係あるニャ?」

「まあ、色々と聞き回った結果、ラフィで落ち着いた訳ですよ」

「ニャニャ!!ニャにゆえ、ミャーの名前を!?」

「まあ、そういう事ですよね。やはり不思議な縁ですよ。ほとんど関わりなんて無いですが」


 だからなのか、獣人だったりドワーフだったりエルフだったりアマゾネスだったり、彼の種族とは異なるヒトとの関わりの方が多い。

 これも、その一つ。とは言っても、あくまで知り合い程度なので、深く関りがある訳でもないのだが。


「さて、話が逸れましたが。君の両親の話ですね。まあ今更ですけど、君が知ってる事がほとんどだと思いますが。まあ物心つく前に殺されました。その時に生き残りはいないとの事でしたので、あのお二人がなんとか逃がした結果でしょうね、君は」

「……」

「まあ叔父にあたるヘルシュは、既に死んでますよ。どうせこちらは興味ないでしょうし割愛しますが。あの集落が襲われたのは、10年ぐらい前の話ですか?なら君が今までいた場所がどこなのか知りませんけど、ここまで生き残ってるんですし、それなりの人脈があったのでしょう。親族とは言えないのかもしれませんが。それで、今までどちらに?ずっとこの国に居たなんて事はないでしょう?」

「そうニャ。どこか、小さな獣人の集落で、ミャーとは違う種類の獣人と暮してたニャよ」


 そして彼の性質上、感情が表に出てこない。そのため淡々と事実だけを告げられる。一喜一憂するような話題でもないが、それでも感情を露わにしづらい。そういう雰囲気が漂ってしまっている。


「まあ僕は知りませんがね。とにかく、そのぐらいしか話せませんが」

「そうニャのか。うニャ、ありがとニャ」

「……ああそう言えば。君の母親は、ライオンがベースだったはずですよ。父親は詳しく知りませんが」

「それが、どうかしたニャ?」

「まあ、いざとなればわかるとは思いますよ。僕だって獣人の事なんて知りませんし、実際どうなるかわかりませんから。まあヘルシュは強かったですよ。だからどうしたと言う話ですが、特に身体機能はずば抜けていましたし、種族の差と言うのは大きいと言う事です」


 だがまあ、イルだって心が無い訳ではない。悲しむ必要があるならば、一人の時間を作ろうとする。イル本人には悲しむなどとは無縁に近いが、他人はそういう訳ではない。それを理解しているからこそ、そういう気遣いをする。空回りの方が多いが。


「ではまあ、僕も色々と忙しいので、失礼させてもらいますよ。夕食ぐらいには戻る予定ですので、君は食事の準備をしないでくださいよ」

「ニャ、うニャ」


 こういう気遣いは、やはり自分も体験できなければ、他人をおもんばかる事も難しいだろう。


「まずは王への報告、はやらなくてもいいですね。どうせ有益に使ってくれないですし。なら少々ギルドと話し合うべきですね」




___________________




 ダンジョンで経験値稼ぎをするって言っても、やっぱ面倒だ。モンスター一体二体倒してレベルが上がるなら簡単だが、そんな簡単に上がるはずもない。そんなポンポンレベルがあがるなら、モンスターなんて狩られ尽くしてるだろうし。

 まあけど、死にたくないから、レベルを上げておかないといけない。上げても死ぬときは死ぬけど、それでも強くなればそれだけ死ぬ可能性は下がるはず。


「って言っても、一層二層のモンスターって経験値が不味いはずだし。かといって三層はやたら面倒なギミックが仕込まれているし」


 正直、ステータスカードが更新されないなら、レベリングの効率なんて知らん。どれだけ効率がよかろうが、成果がわからないんだから。かといってわざわざ不味い場所で経験値稼ぎをしたくもない。

 しかもこの国のダンジョン、平均的にモンスターが強い。ここの一層のモンスターの強さは、幅があるにしろ、最低でも普通の十層ぐらいの強さはある。二層も大して変わらんけど。経験値は普通に一層で得られる分ぐらいしかないし。


「雨の中、狩りをすんのも嫌だしな」


 そして三層からは、経験値もうまくなる。って聞いた。そんなこまめに確認する事なんてないから、どこがうまいのか俺はほとんど知らないし。

 とにかく、三層からはモンスターの強さと経験値が釣り合っているらしい。モンスターの強さだけは、経験値と釣り合ってる。


 問題なのは、ダンジョンそのもののギミックだ。言って今までの平原と大差ないけど、問題は大雨。夜ってのも辛いところだけど、雨の方が面倒具合は強い。

 無駄に濡れて服は重くなるし。雨が強すぎて目を明けてるのも辛くなるし。無駄に風も強いから目に雨が入ってくるし。何より足音とかが雨のせいでかき消されるし。


「さっさと四層まで行ければ良いんだが。四層は流石に一人はキツイ。……はぁ。一層でちまちま稼ぐか」

 イルの冒険者時代を早く書きたい。けど彼の性格上、書けるタイミングが出てくる気がしない。


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