本当にテイムできるとは思ってなかったんですよ
「賢者の孫にして、最強ネクロマンサーの
レイナ・アルクレインです……ぐすんっ」
「あ、えっとゴーストテイマーの
アレク・ライロードです。はい」
なんて気まずいんだ……
*
普通は自我も持たず、会話するなど
考えられない霊が、
俺に向けて言葉を発したとなれば
霊を扱うものとしてテイムしたい欲にかられる
のは無理もない事で、
「いや、だからって本当にテイムするのは
どうかと思うがな!」
「本当にテイム出来るとは思ってなかったんですよ」
そもそも自我を持つ相手をテイムするのは
とても高度なことで、そんなことしたこともない
俺が出来るとは思えなかったのだ。
レイナさんは、テイムの証である
黒のチョーカーをおそるおそる触れながら、
「どうしてくれるのだ!
我はこれから、奴と戦わなくては
ならないというのに……」
「奴?」
「魔王ヴォルフレイムだ」
「あぁ、魔王ヴォルフレイムですか。
あの300年前に滅んだ」
「それそれ」
「で、なんの話をしてるんですか?」
「我が魔王ヴォルフレイムを滅ぼさなければ
ならないということに決まっておるじゃろ」
この娘何言ってんの?
そう、この賢者の孫、話す口調からは
威厳と風格を感じるのだが、
容姿がどう見ても
14歳程度にしか見えないのだ。
たなびく白髪と威厳とはかけ離れた童顔。
そこにテイムの証の黒いチョーカーが加われば
あっという間に見てはいけないロリっ子が完成する。
そんな犯罪スレスレなロリっ子が、
かつて世界を崩壊へと誘った魔王を
倒すと言うのだから、つい疑いたくもなる。
「あの魔王を倒すのですか?」
「本来ならその予定じゃったが、
どうもこのままでは行動が制限されてるし
不可能じゃろうな」
「そもそも、魔王は300年前に滅んだんじゃ……」
「滅んだのではない、封印じゃ」
「300年も封じられていたのになんで今になって」
「我の封印が解けたからじゃな」
「あなたはいったい……」
「質問ばかりでつまらんわ。
もっと有意義な事を聞かんか」
「有意義って、魔王関連の情報なんて
それ以上の価値のあるものなんてそう無いですよ」
「ほぅ、魔王退治に興味があるのか?」
「そりゃ、ないといえば嘘になりますが」
「では、さっさと用意せい」
「え?」
「いくぞ、魔王退治」
「でも俺ゴーストテイマーだし、学園最弱だし……」
弱腰な俺の肩を掴み、無理やり引っ張ると、
「なに弱気なことを言っておる!
この我がついておるのだ、貴様を
最弱と罵るヤツらともども平伏させてやるぞ!」
「えぇ……」
賢者の孫様は、それはそれは横暴な方のようだ。