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6月のショートショート

数字が嫌いなおじいさん




じいさん「おーい、帰ったぞーい」


 おや、返事がありませんね。


 じいさんは顔をしかめてリビングへツカツカ歩きます。


 ばあさんは補聴器をかけて時代劇に見入っていました。


  (「このお方) (を何方と心得る!」)

  (「「「ははぁ〜」」」)


じいさん「ばあさん、おい、ばあさん!」

ばあさん「ほ? ああ、おかえり」


 ばあさんは小走りでキッチンへ行き、お湯を沸かして粉コーヒーを入れました。


 スプーンでくるくるかき混ぜます。



▼▼▼▼▼▼▼▼



じいさん「今日はこぉぉぉぉんなに大きなマグロが釣れたばい。カッカッカ」


ばあさん「そうねー、すごかねー」


じいさん「小さな魚をたくさん網でドワァァって」


ばあさん「すごかねー」


じいさん「他の人には真似できんばい」


ばあさん「すごかねー」


じいさん「むっ?」


 ばあさんの適当な相槌が気になってしまいました。


じいさん「ばあさん、本当にすごかとばい」


  プルルルル♪ プルルルル♪


ばあさん「あら失礼」


 ばあさんは電話に出ます。もちろんスマホです。


ばあさん「はい…はい…あらまあすぐ行きます」ピッ


じいさん「何ね?」

ばあさん「イノシシが出たって、ちょっと行って来るけん」


 ばあさんは猟銃を持って軽トラックで山へ行きました。


じいさん「むぅ……」


 じいさんは唸ります。


 最近ばあさんの返事が適当なのです。


 何とかして魚のすごさを伝えたい所。


 しかしただマグロを見せても、無関心なばあさんに対しては少々インパクトに欠けます。


じいさん「そうじゃ!」


 じいさんは何かを閃いたようです。


 子供のような顔をしてばあさんの帰りを待ちます。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 ばあさんはイノシシ被害に悪戦苦闘、夜になってしまいました。


 ばあさんが帰るとじいさんは、クーラーボックスを抱えてニヤニヤしていました。


ばあさん「ただいまー」


じいさん「……」にやにや


ばあさん「何ね、ニヤニヤして」


じいさん「……」にやにや


 じいさんはクーラーボックスに手を掛けます。



  パカっ



 ドワァァァァァァ!!!!!




▼▼▼▼▼▼▼▼





魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

    魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

      魚魚魚魚魚魚魚魚

       魚魚魚魚魚魚

        魚魚魚魚

      魚魚魚魚魚魚魚魚

         魚魚

    魚 魚魚 魚魚 魚魚 魚

      魚 魚魚魚魚 魚

       魚 魚魚 魚

     魚  魚魚魚魚  魚

      魚  魚魚  魚

       魚 魚魚 魚


         冷箱



▼▼▼▼▼▼▼▼




魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚

魚魚



▼▼▼▼▼▼▼▼



じいさん「ふふふ」ドヤァ


 なんと、おじいさんは釣った魚を床に並べたではありませんか。


 アジ、イワシ、カツオにサバ。たくさんの魚が並びます。


 片腕の長さほどの魚がずらりと並ぶ様は圧巻……


ばあさん「何しとんの! 早く処理して冷凍しなさい!」


 予想外の叱責に、じいさんは不機嫌です。


じいさん「ばあさん、これだけ釣るのにどんだけ苦労したかわかっとんのね!」

ばあさん「そんな事より鮮度が命でしょ」


じいさん「この、分からずや、ボケババア、家でテレビばっかり見てー」



   カッチーン!



 ばあさん、キレた。


ばあさん「せいや!」



 何処からともなく野菜が押し寄せる!



  ゴゴゴゴゴゴゴゴ……



▼▼▼▼▼▼▼▼



ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ドドドドドドドドドドドドドドドド




 魚と同じサイズの野菜が押し寄せます。


 巨大ジャガイモ、巨大ニンジン、巨大タマネギ、巨大ブロッコリー。


 スーパーの野菜を全部ひっくり返したよりも勢いがあります。



▼▼▼▼▼▼▼▼



魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜

魚─野菜


魚─野菜

魚─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜


 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜

 ─野菜



▼▼▼▼▼▼▼▼



じいさん「ぽかーん」

ばあさん「ほら、分かったらさっさと潮氷漬けせんね」


 じいさんは畳に膝をついて魚と野菜の位置を変えたりと無駄な足掻きをしています。


 やがて立ち上がります。


じいさん「まだだ、まだ終わらんよ」


 じいさんは目を血走らせて肩に力を入れます。


じいさん「出でよ、巨大マグロ!」





         ひ

         ゅ

         う

         ぅ

         ぅ

         ぅ

         ぅ

         ぅ

         ぅ

         ぅ

         ぅ

         ぅ



    どっしーーーーーーん♪

                バリィィン!!




ばあさん「ああこの、バカ、窓が割れたやないか!」


 自動車の倍はあるマグロが庭に落ち、窓ガラスが割れました。


じいさん「どうだ、俺のマグロは! すごかやろ!!」


 ガラスが割れたというのに、じいさんの興奮は止まりません。


 ばあさん困った。


 ここで超巨大イノシシを召喚したら、家が壊れる! モチベーション下がってじいさんの稼ぎが減る!


ばあさん「ああーもう分かった、分かったから。アンタは最強の漁師でいいけん、窓の修理費はアンタの負担だけんね!」


 じいさんの暴走は止まりました。


 



▼▼▼▼▼▼▼▼



 後日、業者に高い金を払って窓を修理しました。


 じいさんはお小遣い減らされたけど、ニコニコ。


ばあさん「はあ、男ってほんとバカね」


 ばあさんは、じいさんに内緒で、村のみんなに野菜とイノシシのスープを振る舞いましたとさ。


 めでたし めでたし

魚:92匹

野菜:256個

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― 新着の感想 ―
[気になる点] この世界戦にはドラえもんがいますか? [一言] スイミーだ
[一言] 笑いました。秀逸です。 頑張って文字の位置を整えたり、コピペしている姿が目に浮かびます。
[気になる点] > 「このお方 を何方と心得る!」 > 「「「ははぁ〜」」」 恐れ多くも先の副将軍!ちりめん問屋のご隠居にあらせられるぞ! > じいさん「ばあさん、これだけ釣るのにどんだけ苦労…
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