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約束はいらない  作者: 冬泉
第一章「伝説の軌跡を追って」
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約束はいらない-04◆「西方への飛翔」

■グレイホーク市→コーランド王国王都ナイオール・ドラ/王宮


 “シェリト゛マールの真珠”と言われる、コーランド王国王都ナイオール・ト゛ラ。“賢帝”ユゥア十三世の元で、コーランド王国を中心としたシェリト゛マール同盟諸国七カ国(コーランド王国、ステリック公国、グラン・マルク騎士団量、ユーリック三カ国にヨーマンリー自治領)は暗黒戦争終了後急速に復興した。そして、同盟の実質的な中心地であるコーラント゛王国の王都ナイオール・ト゛ラの発展には、目を見張るものがあった。


 ローランとカーシャは、カーシャの盟友である大火龍エル・ファイアーに乗ると、カーシャが開いたオメカ゛直伝の魔導“シ゛ャンフ゜ト゛ア”を抜けて、一時間後にはナイオール・ト゛ラ上空を旋回していた。


「ナイオール・ト゛ラは久方ぶりではないか?」

「えぇ。東方と中原の行動と探索が多く、ナイオール・ト゛ラまではなかなか足が運べなくて。」

「貴殿、テレホ゜ートの手段を持たなかったのか。それならば、無理もない。」


 カーシャと話しながら、ローランは眼下のナイオール・ト゛ラを見下ろしながらポツリと言った。


「手段だった槍は、封印しましたから・・・」


 ク゛レイホークより遥かに西に位置するナイオール・ト゛ラは、時差の関係で既に夜に入っている。


「警備の飛翔騎士が上がって来るぞ。」


 見ると、王宮からペガサスに乗った騎士が三騎、急速に上昇してくる。

 彼らは、コーランド騎士の中でも精鋭の飛翔騎士達だ。


 カーシャは右手を一振りすると、紅い炎で空中に魔導文様(ク゛リフ)を描き出す。


「ク゛リフですか?」

「うむ。飛翔騎士たちへの合図だ。」


 三騎の飛翔騎士は火龍の上空に抜けた後、再度降下して横に並んだ。


「連合騎士団のカーシャ・ラタ゛ノワ伯爵閣下とお見受けするが!」

「如何にも、ラタ゛ノワである。訳有って、友と共に王陛下を尋ねてきた。」

「お連れの方は?」

「戦役の英雄、槍聖ローラン殿だ。」

「了解しました!宮廷左手の騎士の館の前庭に降下下さい。」

「了解した。」


 数分後。大火龍を着陸させ、カーシャとローランは地上に降り立った。


「エル・ファイアー。大人しくしているのだぞ。」


 ぽんぽんと大火龍の首を叩くと、優しくカーシャは声を掛けた。

 エル・ファイアーは、信頼する主人に対して重低音で了解の意を示した。

 そんな時、輝く白銀の礼装を隙無く身にまとった騎士が二人の前に現れた。


「キ゛ルハ゛ルト!」


 キ゛ルハ゛ルト・ト゛ウ・シャーン公爵。コーラント゛近衛騎士(キ゛ャルト゛)総帥にして、ユゥア十三世の無二の親友である。

 がっちりと握手しながら、ギルバルトは爽やかに笑って言った。


「お早いお着きだな、カーシャ。来ると思っていたよ。それから、久しぶりだなローラン。戦役以来か?」


 キ゛ルハ゛ルトの手は温かかった。手を握り返したローランも笑みを浮かべた。


「もうそのぐらいになるか。皆、元気か?」

「あぁ。こちらには変わりはない。おかしな言い方だが、平穏無事な毎日だ。」


 ここでがらりと態度を改めると一礼する。


「ラタ゛ノワ伯爵閣下、槍聖ローラン殿。コーラント゛へようこそ。当国の国王が待っておられる。差し支えなければ、当職と共に来て頂きたいが。」

「無論だ。行くとしようか、ローラン殿。」


 カーシャは口元に笑みを浮かべてローランを見た。同じように口元に笑みを浮かべながら、ローランも言った。


「えぇ。ラタ゛ノワ伯爵。」


 ギルバルトに先導されたローランとカーシャは、薄い黄色の外壁も鮮やかな王宮に向かって歩いていった。




 コーランド王国は、イースタン南西部の大河シェリドマール流域に位置している、ステリック公国、グラン・マルク騎士団領の三カ国から成っている古い国です。ローランとカーシャの旅は、ここから更に西へ、“水晶の霧”山脈へと向かいます・・・。

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