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簡単な踊りを広めるためにユーロビートっぽい曲やそれに合わせてパラパラを流行らせてみようか

 さて、最初に脱衣劇(ストリップ)のためにつくった劇場は小さいので歌舞伎芝居や人形芝居、紙芝居などの見ることを中心にする出し物、弁財天音楽堂は大きいけど音はよく響くので歌劇や歌謡ショウや楽曲の演奏発表やのど自慢のような観客は歌や音楽を聞くのが中心の出し物になっている。


 歌劇が歌声を楽しむものに対して芝居は役者の芝居そのものを楽しむのだな。


 そして21世紀では歌舞伎見学は私語や雑談禁止で子供が泣いたりしたら外に出るようにいわれるが、江戸時代の芝居小屋での観劇は芝居を見ながら弁当を食べたり、茶や酒を飲んだり、観客同士でしゃべったりと割りと好きに出来るものだった。


 尤もこの時代には伝統芸能となっていた能楽を見る場合には礼儀作法も求められるのでそうも行かないわけだが、能楽は庶民が気軽に見るようなものではなく大名や公家が執り行うものなのでそのあたりは仕方ないな。


 劇場や音楽堂には受付の他に座席とトイレなど最低限の設備はあるが他の付属設備はない、なのでその周りには休憩を取ったり飲食ができるような茶屋がちょこちょこ出来るようになった。


 茶屋は劇場や音楽堂への弁当などの仕出しも行ってるようでなんとも商売熱心なことだ。


「そろそろ一方的に客がみてるだけでなくて客も参加できる何かがほしいな。

 例えば遊女の演奏に合わせて観客も踊れるようにするとかはどうだろう」


 それを聞いた妙は大きくなったお腹を抑えながら笑っていった。


「それは良いかもしれません。

 体を動かすのも楽しいですからね」


「ああ、ちょっとやってみようか」


 しかしあんまり踊りが複雑だと出来る人間も限定されてしまう。


 ヲタ芸なんかは正直すげえと思うが俺が参加できる気がしなかった。


 だからできれば気軽に参加できる方がいいな。


 振り付けが簡単でなんとなく踊ってれば良さそうに見えるもの、うん、ディスコダンスやパラパラみたいなのがいいかもしれないな。


 阿波踊りも実は徳島の花柳街では「お座敷芸」として踊られていたらしいし。


「踊る阿呆に見る阿呆、同じアホなら踊らにゃソンソンってな」


 俺は三味線の速弾きでの ユーロビートの名曲でムスカに躍らせる動画の”三分間舞ってやる”でも使われてる ”NIGHT OF FIRE”っぽい曲を作り上げて、それに合わせてパラパラっぽい振り付けを中見世の遊女たち吉原娘。に踊ってもらうことにした。


 それにしてもユーロビートを聞くと常にそれが大音量でかかっているピンサロを思い出してしまうがなんで普通の音楽じゃ駄目だったんだろう。


 もちろんピンサロが大音量で音楽を流してる理由はボックスシートでフェラなどをさせているから周りの音が聞こえないようにするためだが、ユーロビートでないといけない理由が良くわからん。


「どうだ、いけそうか?」


 小太夫は頷く。


「あい、わっちらにまかせてくんなまし」


 パラパラをシンクロさせてきれいに踊るのはそれなりに大変だがそれっぽく踊るのならそこまで難易度は高くない。


 が、小太夫達には吉原娘。としての意地もあるのだろう、かなりキレイに踊れているな。


 ちなみに大見世の太夫たちにではなく中見世の局たちにやらせるのは大奥などの運動不足解消に一役買えないかなと思っていたりするからだ。


 そして吉原娘。がパラパラを公表する日がやってきた。


「みなはん、わっちらに合わせて見よう見まねで踊ってくんなまし」


 観客は意味が良く分からないようで座りながら顔を見合わせていたようだがまずはノリの良い人間が立ち上がって答えた。


「よーし、俺に任せろ!」


「私にも!」


 やがてユーロビートっぽい曲が三味線の速弾きで爪弾かれだすと吉原娘。が手や腕をリズムに合わせて動かしながら足を左右移動させるパラパラを踊りだす。


 いままでの吉原娘。のダンスは回転したり前後移動も有ったがそれよりはかなり簡単だ。


 パラパラはユーロビート盆踊りとかいわれていたくらいだし意外と日本人にあった踊りだったりもするんだよな。


 基本的にパラパラの振り付けは右腕を動かした後は左右対照になるよう左腕を動かしたりを交互に繰り返したものが基本なので見よう見まねでもそれっぽく踊るのはさほど難しくもないし、観客はきっちり真似しなくても別にそれっぽくリズムに合わせて腕を上下させて踊ってればいいわけだから加わるものも次第にふえてくる。


「お、こりゃあ結構面白いぞ」


「そうねなんだか楽しいわ」


「へえ、意外と俺にもできそうだな」


「そうね、やってみましょう」


 日本人はおとなしいともいわれるが意外にこういった馬鹿騒ぎに対してのノリは良かったりもするのだな。


 もっとも”ええじゃないか踊り”や”阿波踊り”みたいに大人数になりすぎて騒動になって禁止されるパターンも有るし、江戸では盆踊りに対する規制がつよくなってあんまり開かれなくなったりと多くのものが集まって騒ぐことがあんまり歓迎されてはいなかったりするのだが、腕を上下に上げ下げするのは運動不足の解消にもいいと思うのだ。


 そして公演が終わった後小太夫達はいい笑顔で帰ってきた。


「おつかれさん、中々盛り上がったな」


「あい、皆さんノリが良くて助かりました。

 大奥の女中さんたちにも踊ってもらったりするのは良さそうですな」


「ああ、ぜひやって見てほしい」


 その後大奥経由でパラパラがブームになったとかならなかったとか。

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