宝箱と恋の契約
しばらくの間、惨劇を 目の当たりにしたためか、私は 言の葉を 失っていた。それに、感情もー
どんなに 優しく 話しかけられようとも、頑として 心を 許そうとしなかった。何かあれば、すぐ お屋敷を飛び出し、裏山の 森の中へと 逃げ出していた。
奥深い森は、私を 優しく包みこみ、生き物たちの 生きている姿を眺めていると、自然と 心が 落ち着いてくるのだった。
季節は 秋が終わり、冬へ 向かおうと する頃ー
極寒の地から 冬鳥たちが、わたってくる。
湖にあつまる 動物たちを 眺めているうち、奇妙な 事実を 目の当たりにする。
水辺にはえる、名も知らぬ 草のはを、どの 動物たちも 食すのだ。
それは、ギザギザの葉に、裏が紫色をしている 背の低い葉で、根元が青く 毒々しい香りを 放つ。
怖いもの知らずの私は、試しに 食してみた。
「ウゲ(≧◇≦)、ゲキマズ~ん?!!」
しかし、口の中で 含んでいるうちに、なんとなく 甘さが広がってくるのだった。深く考えもせずに、わたしは もう2,3枚、食したのだった。
この季節になると、この地方には やっかいな病が 流行るという。
突然 高熱を発し、身体の震えがひどくなって 意識障害を起こす。
主に 子どもがかかり、体力との 勝負だという。
解熱の 薬草も効かない、感染の原因も分からない“はやり熱”。
お約束のように、“ヒョロオヤセノスケ”様も かかってしまったのであった。