宝箱と 恋の契約
若様に 助け出された後、一緒に お屋敷に 連れて行かれた。
お屋敷には、若様の乳母だった マーサおばさんが いて、
受け入れの準備万端で 一行の到着を 待っていた。
「まあ、何ですか、この 泥人形もどき人間は!!
せっかく掃除したてなのに、台無しにするつもりですか、まったく。」
根は 優しいけれど、言葉は けっこう 痛い。
「若様、拾ってくるのは、子犬だけに してくださいまし。
誰が お世話すると 思っていらっしゃるのやら・・・」
「ごめん。事情は 後で 説明する。
とりあえず その坊やを きれいに しておくれ。」
マーサおばさんは、やれやれといった顔をみせると、
黙って 湯浴みの準備に 取りかかった。
「じっと しておきなさいよ!暴れたら、石けんを 口に 突っ込むからね!」
ガシ、ガシ、ゴシ、ゴシ、ザパザパザパ。
泥を 落とされていくうちに、本当の 姿が 現れてきた。
「あらあらあら、まあまあまあ。なんてこと!
若様、 この子 女の子ちゃんじゃ ありませんか。」
「!」
みられちまったよ、ばっちり。ま、仕方ないけどね。
男だと おもわれていたんだから、その時は。