宝箱と 恋の契約
「へっ?ケイヤクコンニャク?
アタタタタ・・・・・・舌 噛んじゃったじゃないの!」
「違う! 契約婚約だ! バカヤロウ(`Д´)」
ムッツリ若様は、いつものムッツリ度を 3割増しにして 告げた。
「ふう~ん、で、誰が 誰と 契約すんの?」
手元の薬草を すりつぶしながら、顔も上げずに 尋ねる。
くりくりとした 短めの前髪に、両方で編んだ おさげ髪が
幼さなさを残す顔を、いっそう子どもっぽく 見せている。
おまけに、いつも 顔には 泥を引っ付けていて、それを 気にする風もない。
ーだから、ライバルなんか 現れるはずがないと 高をくくっていたのに。まさか あいつが 目を付けるなんて 冗談じゃない!
コイツは 俺の・・・・・
「アニーアン、おまえだ。」
ゴットン。
すりつぶしていた 棒を 取り落とし、ようやく 顔を上げた。
若草色の瞳が 大きく見開かれ、同時に 口も ポカーンと開く。
ーまた、顔に 泥を ひっつけてやがる・・・・・・
相変わらず、色気のねえやつ。
一日の大半を 精霊殿の薬草畑で過ごしているため、泥だらけの顔は もう すっかり 見慣れたものになっている。服装も、清潔であれば こだわりもないため、先輩巫女の お下がりを 平気で着ている。
小柄な体格の割には 結構な力持ちで、自分も 幼い頃 抱き上げられた
イタい経験を持っている。そう、昔の 俺は、ヒョロオヤセノスケだったから・・・・・・
「お前、殿下の 薬草師候補筆頭だぜ。回避したかったら、俺様と 契約するしかないぜ。」