宝箱と 恋の契約
「んで、ちなみに 舞踏会は いつ?」
「明日の夜」
「…」
そこに 運悪く 巫女長様からの 使いが やってきた。
「アーニィ、長様が 呼んでるよ。ちょっくら きてくれだとさ。
おおっとー、うわさの コンニャク者様!」
「なにが こんにゃくだ。のみすけ衝士 殿」
「なに!ちょっと 外に 出なさいよ!一勝負 しようじゃないか」
喧嘩っ早い 相棒に うんざりしながら とめにはいる。
「やめときなよ、この人が 誰だかしってて 喧嘩売るのは あんたくらいの もんだよ。
ちなみに 剣の腕は 侯爵様譲りなんだから。いや、それ以上かも」
「そうそう、その 侯爵様が きてるんだった。アーニィに 用事が あるんだと」
「早くいってよー、もお!」
そう言ってばたばたとかけだしてゆく 大切な友の後ろ姿を見送り、くるりと振り返った顔には、氷のような 冷たさを ひめている。
「ふん、やっと 本性を出しやがったな。“長の御使い”殿。」
巫女長直属の 衛士が呼ばれる名で 相手を牽制する。
「私が 何のために 護衛しているのか ご存知か?
あの方こそ この国の 至宝ともいうべき 尊き存在。
次代の 巫女長候補でもあったものを、己の欲望の 餌食にするなど 言語道断。
世継ぎの君の 婚約者にこそ ふさわしきお方なのに・・・」
むっつりを 一瞬で 威嚇する表情に変え、本心を 告げる。
「俺は あいつを 愛している。
誰にも 渡さない。
笑顔を 向けるべきは、俺だけでいいんだ。
俺の 宝箱には あいつの笑顔しかはいっていないのだから」
「タカラバコ?それは、新種の お酒かなにかなのか?」
「・・・・・・やはり おまえら、いいコンビだな」
「もちのろんじゃないか!わたしが 男であったら、すでに 嫁にしているぞ」
「願い下げだ!アニーアンとは すでに 口づけを交わした 仲なのだから」
ドッターン、バコリン。
大きな音に 慌てて 薬草室からとびだすと、噂の本人が
ずっこけて 干してあった薬草まみれになっていた。
「なんで 知ってんの?誰にも 言ったことないのに・・・」