終わりと始まり
「レイヴ、迎えにきたにゃ!
あれ?
レイブ?」
シャワー室の扉ごしに聞こえるミィの声。前回の轍を踏まぬよう、こちらから声をかけ開けないように心がけた。
「レイヴさん、いらっしゃらないの?
こちらの部屋はなんですの?」
遅れて入ってきたであろうティティの声がすると、ゆっくりとノブが回る。
「待て、開けるな!」
言ったところで間に合わず、裸のオレとティティが対面してしまった。無言のままティティが振り返り、オレはノブを引き寄せさっさと着替えを済ませた。
「どうしてお前達はいっつもこのタイミングなんだ!」
「知らないにゃ!
このタイミングで着替えてるレイヴがいけないにゃ!」
開口一番文句を言ってやるが、ミィにはミィなりの言い分もあるらしく、話は平行線を辿りそうだったのでティティに話を向けた。
「大丈夫か?
おーい」
どこか遠くを見つめたまま何か呟いている。
「あ、あれが男の人の裸。
あれが……」
興奮なのか衝撃なのか分からないが手の施しようがないように思え、ティティをルニに任せる。すると部屋の外から兵士が顔を覗かせた。
「レイヴ殿。
陛下が会議の間でお待ちですので、急いでいただきませんと」
「大丈夫、もう行ける。
さぁ、皆行くぞ」
会議の間にはメイル唯一人で待っていた。
「待っていたわ。
今回の依頼の件、とても感謝しています。
報酬はその袋の中に。
満足出来る分はあると思うわ」
目の前の袋を開けると、これでもかというくらい輝きを放つ金銀宝石が詰まっている。
「それと、あなた。
レイヴと一緒に行くのね?」
ティティは投げかけられた言葉に静かに頷き、今までの礼を述べた。
「これで全て終わりだな。
ディバイルがいなくなったことで、これからが本当の女王として始まることになるな。
大丈夫か?」
「なにを心配することがあって?
私にはアーサーもついているのですよ。
怖いものなんて何もないわ。
むしろ、貴方達にこの国の行く末を見てもらえないのが残念なくらいよ。
でも、またいつか遊びに来るんでしょ?」
「あぁ、落ち着いたら寄らせてもらうよ。
その時まで楽しみにしてるよ」
「それと、ミィさんだったかしら?
レイヴのこと、大切にするのよ。
私みたいに狙おうとする人はいるでしょうからね」
「でも、女王様は依頼だったにゃ。
本気で狙ってなかったにゃ」
「あら、そうかしら?
ね、レイヴ。
私の唇、良かったでしょ?」
自分で言わないほうがいいと言っておきながら、ここで直接言うか。
「はぁぁぁぁ!?
レイヴ!
どういうことにゃ!!」
「全く呆れるわ、レイヴには」
「唇とは一体、何かなされたのですか?」
「お姉ちゃん、レイヴとお姫様、チューしたの?」
口々にオレを責めるが、今言ったところで聞く耳を持たれることはないだろうな。
「メ、メイルそれじゃあ、またいつか。
それまで頑張れよ」
「そっくりそのまま返すわ。
またね、レイヴ」
別れもそこそこに、この状況を切り抜けたく足早に城外へ出るが、未だ耳元や背中、果ては足元から罵声を浴びせられ続けている。
「もう分かったから、ちゃんと話すから、頼む落ち着いてくれ。
ここで馬車を借りたらその中で話すから、な。
お願いだ!」
ようやく少し落ち着いてくれたようだが、目はまだ許してないと言っているかのようだったが、馬車も借りることが出来、次に向かう街ドミニオンへと馬を走らせた。
道中、唇の件をこれでもかと丁寧に説明し終えると、どうにか許してもらえたようで雰囲気も落ち着いてきた。
「あのぉ、レイヴさんとミィさんはどのようにしてお知り合いになられたのですか?」
「私も知りたいわ。
今まで聞いてなかったし。
いいでしょ?」
ティティの質問にルニも興味を持ったので、少し話してみようと思う。




