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ネコ耳ばすた~ず   作者: 七海玲也
人の想い
18/31

闇の気配〔過日譚 七〕

 


「ここが……魔都ルドル」


「この中にママが……行こうレイヴ!」


 足音を立てないよう壁に沿って歩く。


「待てミィ。

 あそこが入口のようだ」


 壁が途切れ一段高くなっている所へ指を差し、注意を促す。


「大丈夫にゃ、まだ何も聞こえないにゃ」


 門まで辿り着き魔都の様子を窺うが、人など居る気配もなく、あるのは廃屋ばかりだった。


「どうだミィ。

 何か聞こえるか?

 オレには気配すら……」


「大丈夫そうだけど、ホントにここに居るかにゃ?」


 オレも同意見だった。聞こえてくるのは鳥の不気味な鳴き声ばかりで、本当に人が居るのか疑ってしまう。


「とりあえず、あそこの廃屋まで行ってみよう。

 ミィ、先を頼む。

 後ろは任せろ」


「オッケィにゃ。

 静かに付いて来るにゃ」


 後ろを警戒しつつ、すぐ近くにある廃屋へ入ると、そこには人骨だろう骨が散らばっていた。


「食人鬼みたいな魔者に喰われたのか。

 散々だな、こんなものを見るのは」


「だから本能だけの魔者は好きじゃないにゃ。

 どうするにゃ?

 これから」


 来たは良いものの、手掛かりも無くてはどうしようもない。


「研究所から運ばれたなら、何処かそれらしい所があるハズなんだが。

 手当たり次第に捜すしか無さそうだな」


「やっぱり……そうなるにゃ。

 だったら大きな建物からかにゃ?」


「そう……だな。

 それが無難か」


 少し落ち込んだ様子のミィだが、こればかりは仕方のないことだと思う。

 注意を怠ることなく廃屋を後にするが、都と呼ばれるだけあり、建物の多さにそれらしい場所は見当がつかない。


「こんなんじゃ見つけられないな」


「あっ!

 あそこから見渡したらどうかにゃ?」


 ミィの指した廃屋は他よりも二階ほど高く、何かのお店のようだった。


「あれなら分かるか。

 いくぞ!」


 そろそろ日が傾いてもおかしくないとは思っていたが、森の中、更には臭気に満ちている為だろう、日が落ちかけているくらいの明るさになってきていた。


「ここか。

 行くぞ、ミィ」


「待つにゃ!

 中から声が……と、とりあえず、静かに上るにゃ……」


 話の途中から顔を赤らめ、しどろもどろになっている。魔者がいるかも知れないのに、何を恥ずかしそうにしているのか全く訳が分からない。


「何かいるかもなんだな?

 人か?

 魔者か?」


「た、多分、人にゃ。

 で、で、でも、無視して違う大きい建物探した方がいいにゃ」


「?

 人なんだろ?

 だったら何か知ってる奴かも知れない。

 もしかしたら、当たりって可能性も」


「で、でも……無視しても……」


「分かった、分かった。

 聞き耳だけ立てて、関係ないようであれば無視するさ。

 どの辺りか案内してくれ」


 意見が通らなかったことになのか、先程より顔を赤らめ膨れっ面をして入って行く。


「こっちにゃ、この先にゃ。

 ここで待つから行くといいにゃ」


 二階に上がり、数ある扉のある廊下を突き当たった所で止まった。

 宿か何かだったのだろう、朽ちた扉の向こうにベッドらしきものが見えていた。

 しかし、今度は何を怒っているのか、顔を合わせないようにそっぽを向いている。


「分かった。

 少し聞いてくる。

 十分注意しててくれ」


 音を立てないようゆっくり静かに進むが、これだけ朽ちていると一歩ごとに廊下が軋んでしまう。灯りのない建物の中は正直不気味で、先に進むほど暗くなっている。

 五部屋程過ぎたところで、ようやくオレにも何か声らしき音が聞こえるようになってきた。

 ここからはより慎重に、聞き耳を立てながら近づいていく。が、何かおかしい。

 話し声にしては女性のような高い声が一方的に聞こえ、物音まで聞こえたりしている。これ以上近づくのは危険と判断し、目を閉じ声に集中してみると、全て理解できた。

 宿であったであろうこの廃屋で、情事が行われている声だった。

 さすがに今あそこに踏み込む勇気はなく、気持ちが落ち着くまで上で街の様子を探ることにした。


「えぇっと、上に行こうか」


 今度はオレがミィをまともに見ることが出来ず、恥ずかしさを押し殺すので精一杯になってしまった。


「そ、それがいいと思うにゃ」


 なんとも気まずい。

 お互い無言のまま三階へと上がると、適当な部屋の窓から街を見渡した。


「あれが一番大きくないかにゃ?」


「確かにあそこが一番大きそうだな」


 気まずさを無くそうと、本来の目的に目を向ける。

 ルドルの領主の館だろう、小さな城のように見える。


「だが、やけに鳥が集まってないか?

 黒い点が無数見えるな」


「何か飛んでるのは分かるけど、何かあるから飛んでるんじゃないかにゃ?」


 となると、やはりあそこが怪しいのか。

 そう思った矢先、背中に冷たい気配を感じた。


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