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ネコ耳ばすた~ず   作者: 七海玲也
人の想い
15/31

魔弾製造施設〔過日譚 四〕

 計画通り昼過ぎから歩き始めると、夜も深くなったところで林の中にひっそりと建つ魔弾製造所へと辿り着いた。


「さぁ、オルド。

 そいつらを呼び出せ。

 変な真似はするなよ、穏便に済ませたいんだ」


「分かった。

 言う通りにしよう」


 オルドが一人建物に近づき、衛兵と話を進めている間、ミィには申し訳ないが後ろ手に縛らせて貰った。

 オルドの手下として振る舞う為、致し方ないとはいえあまり気分のいいものではなかった。

 暫くし、建物から数人出てくるとオルドが手招きをし出した。


「こいつで間違いないか?」


 衛兵とは別の白衣を着た人物にミィのフードを取り確認させると、何度か頷きにやけた。


「そうですとも、こいつだ。

 手間取らせやがって。

 さぁ、こっちへ来い」


「まぁまぁ、焦らずとも。

 報酬と交換といきましょうか」


「ふん。

 そうですな、では中でお渡ししましょう」


 白衣の男二人に先導され、建物の中を奥へ奥へと進む。一番奥であろう扉を抜けると、地下へと続く螺旋階段が現れそれを降りた。

 悪さをするヤツはつくづく地下が好きだなと思っていると、上とは違い真っ白な壁に覆われた通路が延びている。

 その光景に一瞬だが立ち止まったミィを見逃さなかったオレは、小声で確認してみた。


「ここに見覚えが?」


 静かに頷いたミィの表情は固く、母を心配しているように見えた。


「では、こちらへ」


 白衣の男がガラスの扉を開け中へ促すと、そこは何の変哲もない事務的な殺風景な部屋だった。


「これで宜しいですかな?」


 オルドの前に報酬を差し出すと、ミィを引き渡し交渉成立だと握手を交わした。


「おっと、そのまま動くなよ。

 オルドも手を離すんじゃねぇぞ」


 アルが静かに剣を引き抜き、二人の横に並ぶ。


「なんだ、これは!

 冗談では許されんぞ!」


 白衣の男がオルドに罵声を浴びせるが、手を離すことはなかった。


「冗談?

 貴様らのしていることが分かっているのか!?」


 あまりに意味の解らないことに腹が立ち、オレも魔法銃を引き抜く。


「何が狙いだ、オルド!」


「私だってこんな結末は望んでいなかったんですよ。

 私の部下も店もコイツらに壊滅状態にさせられ、仕方無く協力しているだけなんです」


 事情を理解したのか舌打ちをし、オルドとオレ達を交互に睨む。


「さぁ、母親を返してもらおうか?

 どこにいる!?」


「ここにはもう居ない……」


「っ!!

 まさか!」


 視界に映るミィの表情が強張る。


「本当に居ないだけだ。

 今も生きているかは知らんが」


「へえへえ。

 悪党ってのは言い回しが上手いもんだよなぁ。

 いっつも感心するぜ。

 なら、単刀直入に聞こうか……今、どこに居る?」


 オルドが体を震わせたのを感じた白衣の男も、身の危険を感じたのか少し怯え出した。


「ルドル……魔都ルドルだ。

 あそこに連れていかれた」


「あんな所に?

 ウソつくんじゃねぇぞ!」


「ほ、ほんとだ。

 ウソだと思うなら、研究室へ案内しよう」


「そうしてもらおうか」


 そこは部屋から少し行った先にあった。機械仕掛けの分厚い扉、更にガラスの扉と二重の扉を抜けると、白衣を纏った所員が数名作業していた。


「所長、いかがなされ……」


 所員の一人が異常に気づき、懐へ手を伸ばした。


「やめとけ。

 コイツを盾にすることになる。

 オマエらは向こうの隅に集まっておけ」


 アルの一言が所員を棒立ちにさせ、所長の頷きを見ると素直に従った。


「どうだ?

 居ないのが確認出来ただろう?」


「ミィ、ここか?」


「うん……ここで間違いないにゃ……」


 怒りなどより、母が居なかったということに落胆しているようだった。


「あそこにある資料を見れば、私の言ったことを信じて貰えるんだが」


「いいだろう。

 どれだ?」


 一つの机を指差した所長は引き出しを開け、紙を次から次へとめくっていくと一枚の紙を取り出した。


「これだ。

 読んでみるがいい!」


 アルが受け取った瞬間、紙の下に隠していた魔法銃を取り出した。



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