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ネコ耳ばすた~ず   作者: 七海玲也
人の想い
13/31

人としての価値〔過日譚 二〕

 酒場から一直線にルザ・オルド商会に向かうと、先程の騒動からさほど時間が経っていない為、商会員の出入りが激しかった。


「あっ!

 あんた達……まだ何か用かい?」


 襲撃の際に立ちはだかった艶やかな成りの娼婦が、包帯姿で焦っていた。

 アルの体術で失神までされたのだから無理もない。


「会長さんは居るかい?

 まさか、もう逃げたわけじゃないよな?」


「か、会長はまだ部屋にいるよ。

 あんた達がやった後始末があるから、ね……」


「そりゃどうも。

 また会わせてもらうよ」


 娼婦が包帯を巻いた腕を抑え、怯えながら道を譲った。

 慌ただしい屋敷の中を進み地下へ降りると、壊れたドアの奥に会長の姿があった。


 ここは全てアルに任せようかと、口出しはしないようにする。


「よぉ!

 また来たぜ。

 って、そんな驚くなよ」


 アルの呼び掛けにびくりと身体を動かし固まっている。


「な、何の用だ!

 もう話したし、約束しただろう!」


「てめぇ。

 ガキだと思ってナメてんじゃねぇぞ!

 のうのうと歳を重ねてきたヤツに人としての価値なんてねぇんだ!」


 明るい口調から一変し荒い口調に変わると、オレの腰から魔法銃(マジックガン)を取りオルドへ銃口を向けた。


「ま、待て待て!

 分かった!

 分かったから、下ろしてくれ!」


「オレらみたいな地べた這いずり回って必死に生きているヤツこそ、生きる価値はあるんだ!」


 あまりの怒号に思わず制止したが、まだ収まる様子はなかった。


「分かるよな?

 来た意味が。

 どこのどいつだ、あんたに頼んだヤツは。

 嘘をついてもムダだからな、ある程度の予想はついてんだ」


「ね、猫娘を見つけて連れて来いと頼んだのは……ここから程なく行った場所にある製造所だ」


「製造所ねぇ。

 つーと、製造所にある研究施設ってとこか」


 銃で頭を掻くと何か考えているようだ。


「よし!

 お前も一緒に来い。

 嫌とは言わせねぇ」


「わ、分かったから、もう下ろしてくれ。

 しかし、一緒に行ったからといって入れてもらえるかどうか」


「それなら問題ねぇな。

 猫娘なら居るからな」


 アルがこちらに目線を向けたので、ミィを前に出しフードを取った。


「ま、まさかこの目で拝めるとは。

 しかも、君たちの仲間だったのか」


「まぁ、そうゆうこった。

 じゃあ、早速案内してもらおうかい?

 会長さん」


「い、今からなのか?」


「まぁな。

 助けなきゃいけない人がいるらしいんだわ」


 魔法銃をオレに返すと、会長をオレ達の前を歩くよう指示し屋敷を出た。


「あくどいな。

 何か、やり方が悪い奴らと変わらない気が……」


 オレのふとした一言が、アルを真剣な表情にさせた。


「あくどいねぇ。

 まぁ見方によってはそう見えるかも知れないがな、力を持ってる悪に立ち向かうには、渡り合うにはどうすればいいと思う?

 法の裁きを待つか?

 神罰を待つか? 

 オレが正義とは言わないが、力のある者が力を使うべきなんじゃないか?

 まっ、これは持論だからな、考え方は人それぞれさ」


 最後にはいつもの軽い感じに戻ったが、なんとも胸に刺さる言葉だった。色々な経験を繰り返して辿り着いた考えなのだろう。


「レイヴ、先に行っててくれ。

 セレンに伝えてくる」


 酒場近くでアルが離れて行き、オルドを先頭にしたままフェアリアを出た。

 アルが離れたことで、オルドが行動を起こすと思ったが素直に前を歩いてくれている。それもこれも、アルの仲間である依巳莉(え み り)が注意深くしてくれているからだと思う。


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