襲撃の帰結〔過日譚 一〕
姉妹を汚い仕事から手を引かせる為に模索していると、冒険者の一行、何にでも首を突っ込むアルと活発な少女の依巳莉、メイドの様なセレンと出会った。
彼等の手伝いもあり、元締めである商会の会長と会う事が出来、姉妹を解放する約束と黒服の追手の正体も判明した。
「ルザ・オルド商会は単に雇われただけだったから、もう追ってくる心配はないぞ」
外で姉妹を匿っていたミィ達と合流すると、元居た酒場へと戻った。
「良かったにゃ。
後はお母さんのいる建物に行くだけにゃ」
「でもよぉ、あいつ生かしておいて大丈夫だったのか?
また悪さするぜ?」
命乞いをする会長をオレが見逃した。そのことをアルはずっと気にしているようだった。
「雇われただけで、姉妹には手を出さない約束もした。
それに、まともに商売をしていなかったらまた襲撃するってあれだけ脅したら大丈夫だろ?」
「脅しっつーか、本気だったけどよ。
ああいうヤツらってのはその場しのぎで約束するだけなんだよなぁ」
会長の眉間に小剣を当て、今にも突き刺しそうな勢いだったのでオレが止めたんだが。やっぱり本気だったか。
「まぁ、その時はその時で対処するにして、この後だが……ミィは何か手掛かりはあるのか?」
ルザ・オルド商会では詳しい情報は得られ無かった。
大金を積まれ、ただ雇われただけだったので、逃げてきたミィだけが母親の居る場所を知っている。
「必死で逃げてたから、地図見ても分からないにゃ。
ただ、白衣を着てる人達は沢山いたにゃ」
「ちょい待ち。
ここのヤツを雇ったってことは、ここからさほど遠くない場所だろ。
そんでもって、白衣を着てたってことは医師か研究者の可能性があるってわけだ」
さすが冒険してきただけのことはあって、アルの分析力には目を見張るものがある。
「ん?
何かおかしいな」
アルが視線を行ったり来たりさせている。
「何がだ?」
「そこの子が商会の連中に追われてたんだよな?
で、大金を積まれて雇われたと……それでだ、先に報酬をもらうなんておかしくないか?」
そういえば。
ミィを捕まえたら誰に知らせる?どうやって分かる?
「あいつ!
何か隠してるな!」
勢い余ってテーブルを叩きつけてしまい、一瞬場が凍りついたように感じた。
「あははは。
生かしておいて良かったなぁ。
それじゃあ、オルドのところにでも行くか。
セレンは姉妹をよろしくな」
「はい。
かしこまりました」
メイドの様な格好だが、口調までとは。銀色の長い髪が一層お淑やかさを際立たせる。
「ミィも一緒に来てくれ。
あいつを問い詰めるのに役立つかも知れないから」
「分かったにゃ。
ルニ、リズ、良い子にしてるにゃ」
中々感情を表に出せない姉妹だが、積極的に話しかけるミィを偉く感じる。




