現代冒険
ファンタジーになったぜよ!
ま、ありがちテンプレにはするつもりはさらさらありませぬ。
とある冒険家は、己の人生を旅に費やした。
彼が長い旅の末に再び、故郷の土を踏んだときの言葉は、世界中に衝撃を与えたという。
「我々のすむ星は、巨大な球体である」と。
一つの常識が覆された瞬間であった。
これまでの常識を話そう。大陸の中心部には、巨大な大木が立っている。
見上げても先が見えないほど、背の高い大木である。
さて、とある一人の飛行士が、自作の飛行機を使って燃料が許す限り空をとんだ。
大樹のてっぺんに存在すると語られる天の王国をこの目で確かめるために。
彼がそれを実行した理由があった。
昔とある宗教家がこんなことを言った。この世は二つの大木があり、一つは、我々が普段見るあの樹。もう一つは、我々が立つ大地であると。
これを「巨大星樹説」という
飛行士は、ならばあの世界樹の上にも人がすんでいるのではと考え、登るのは無理だ、ならば空を飛ぼうと、空を飛ぶための研究をして、とうとう飛行機を造り上げた。
猛禽類型の飛行機である。
そして彼が、世界樹のてっぺんめがけて飛んでいってから幾年。彼が、空から戻ってくることはなかった。
彼は、天空の城の住民に捕まり、処刑されたのだ。人々は、そう噂した。
ところで、とある島で、彼の飛行機の一部が見つかった。
その島は大木より、数十キロ以上離れた場所であった。
見つけたのは島の原住民であった。
原住民は、見たことのない者に対して、これはひょっとしてと原住民は島に住んでいた賢者、エストルに渡した。
その時エストルは、島で数年間の休暇をとっていた。
エストルは、早速飛行機の破片を調べて、研究の末にこのような結論を下した。 「世界樹の上の方には、強い気流ができていて、飛行士は、それに巻き込まれたと思われる」と。
しかし調べる術もなく自証はされなかった。
後の多くの世界樹研究家は、エストルの提唱した
「世界樹超気流説」
を高く評価している。
天文学者の第一人者であるクリス・マルノイに曰く、
「世界樹上層部には、常に雲で覆われている。
まるで、何かを守るように」
そのため、世界樹上層部の観測がかなり難しいそうだ。
とある冒険家は、巨大世界樹が本当かどうか調べるために家族を捨て、一人大地を歩いた。
彼の旅の果てに得た星は、まるくて、世界樹は星に根づいているということが分かった今、世界樹は、ますます神格化され、世界樹に登ることができなくなった。
「現代冒険」より抜粋。
(注、都合により簡略化してあります。