表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

魂の姿

ムッちゃんは、忘れてくだせぇ。

 「....本当に僕は死んでしまったのですね。」

 映像をなんども見直した感想だった。

 コンクリートの塊に押し潰された、自分を見て思う。

 「......呆気ないなぁ。」 自嘲気味に笑う。

 なんだかあっさりした最後である。踏み潰された姿なんてまさにアリみたい。 僕は、大きなため息をついたあとに、俯く。白い床が見えた。

 管理人は、球体をしまいながら、

「まぁそう言わずに、人生何てこんなもんですよ。」 と励ましたが、管理人の言葉に僕は、ますますうなだれた。 励ましには聞こえなかった。どうも神は万能ではないらしい。

 すると管理人はムッと眉間にシワを寄せ、(ように見える)

 「失礼なっ」

 と怒鳴る。

 ......そういう地味なところは、できるんだね。

 僕は、管理人の長い髪の毛の隙間から見える目を見つめる。

 ......とは言うけどよく見えない。どんだけながいの?

 「髪は美貌の象徴ですっ神だけに」

 最早、管理人の髪の長さは極限の域である。神だけに。

 

 管理人は、ため息をつく。「というか、こんな話をするために連れてきた訳じゃあ無いんですけどねぇ。まぁいいか。キャラクターの個性なんざ、いつでも変えられるし。

 えーっさてとそろそろ

本題に入らせていただきましょうかね?」

 管理人は、僕の身体に指を指す。

 「ところであなた、ご自分の今の姿、ご存知?」

 と聞いてきた。

 僕は、言われて自分の体を見る。

 ......あれっなんかおかしい。と自分の身体を探す。 管理人は、どこからか大きな丸鏡をだした。 僕は、鏡に写し出された自分の姿を見た。そして驚いた。

 「僕がいない!?」

 管理人は、僕にこれ以上困惑させないためか、すぐに鏡を髪の中にしまう。

 「まさか自分の姿が

ないなんて......」

 僕は、無い体をしげしげ見渡す。ショックだった。てっきり、霊体にでもなっているのかと思った。

 管理人は、言った。


 「無いのは当然ですよ。あなたは、押し潰された時から体から、魂が抜けたのですから。それに、ですね、」


 管理人は続ける、

 「何を勘違いしているのか知らないけど、魂というのは霊というのは、本来、目に見えない、物です。

あなたの身体は、今、自然と同化し、無に近い存在となっています。」

「えっじゃあ喋れるのは?こうしてあなたと会話ができるのは?」

 管理人は答えた。

「それはまだ完全には自然と同化していないからです。自然と同化するとあなたの魂は、無に還元され、この世から永遠に消えます。......いや、消えるというのはおかしいかな?

ただ、再び、自然という巨大な輪廻の輪の一部へと、「小さな歯車」になるだけといった方が正しいか?」と途中訳のわからんことを言い出したが、彼女が言いたいことはつまり、

「つまり、あれですよね?仏教とかでいう、

神の下へ返されるとかいうやつ。......はて。キリスト教だったかな?」

まぁ何でもいいかな?僕は、気にしなかった。

管理人は、

「うんつまりは、そういうこと」

とうなずいた。

 「まぁ、それでもいずれ、完全に身体は、無となり、輪廻の輪に返されるのですがね。

 ところで、あなた今、一時的な記憶が欠落してるのわかってますか?」

 記憶障害?

 ああそういえば、記憶と言われて思い出したけど、もえさかる倉庫から逃げる際、

 「あの時、押し潰される前に誰かと走ってたような?」と首をかしげると管理人は、

 「はい。ちなみに何人でしょう?」と質問してきた。俺は、欠落してるらしい記憶から何とか人物像を浮かばせて答えた。

 「......一人?」

 と無い指で人差し指を伸ばす。

 「ぶぶー正解は二人です。一人は走ってて、もう一人は、あなたに担がれてました。米俵みたいに。」

 何だろそのフレーズ聞いたことあるぞ。と思ったけどいつ聞いたことがあったか忘れた。ああ。ところでそういわれて思ったけど、僕は、

 「ちなみにその二人は助かったのですか?」と聞いた。できれば生きていてほしい。

 それに管理人はウンウン頷く。髪の毛がバサバサと大きく揺れる。

 「生きてますよ」

 僕は、ほっとした。

 あの状況から生き残りがいるというだけでまだよかった。

 「あなたが命を賭けて助けたお陰でね」

 管理人は、さらにそう付け足す。

 「へっ?」

 僕は、突然の一言に対応できず、きょとんとした。僕が、助けた?

 管理人は、僕の反応を見たあとに、続けた。

 「覚えてないようですね。まぁ、無意識にやったことだから、知らないのは当然でしょうけども」とウンウン頷く。

 「僕は......僕は、何故、死んだのでしょうか?」

 今更になってだけど、僕は聞いた。

 そういえばまだ理由を聞いていなかった気がしたから。映像と話を聞く限り、天井押し潰される位、身体が弱っていた訳ではないよいだったから。

 管理人はすぐに答えた。それを待っていたと言わんばかりに。

 「あなたは、助けたのです。――――自分の命を賭けて、人を救ったのです。」

まだまだ転生はしやせんよ。調理前の下準備は、大切です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ